著者
岸本 暢将 岡田 正人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2431-2439, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
14

脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)は,強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,反応性関節炎,炎症性腸炎関連関節炎,分類不能脊椎関節炎および小児の脊椎関節炎を含めた体軸関節と末梢関節に病変が起こる炎症性関節炎の総称である.以前の報告では,日本での有病率は欧米と比較すると非常に稀な疾患と考えられてきたが,昨今,生物学的製剤を含めた治療進歩に伴い,その疾患概念や特徴が認知され,日常診療では関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の鑑別疾患として重要な疾患群と考えられている.他科との連携も非常に重要な疾患として臨床的特徴と診断治療について解説する.
著者
稲積 真哉 與北 雅友 木村 亮 嘉門 雅史 西山 嘉一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-22, 2007-11-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

海面埋立処分場において鋼管矢板を打設することで構築される鋼管矢板遮水壁は、埋め立てられた廃棄物からの浸出水が外海へ漏出することを防ぐ重要な遮水工要素である。一方、鋼管矢板が遮水工としての機能を発揮するためには、継手を有する鋼管矢板の嵌合打設において周辺地盤との密実性を保持しなければならない。本研究では、鋼管矢板遮水壁の打設における周辺地盤の乱れ領域の形成に着目し、海面埋立処分場全体の環境保全機能に対する乱れ領域の影響、乱れ領域の形成を抑制する打設工法の効果およびサンドコンパクションパイル工法による地盤改良の影響を、浸透・移流分散解析によって評価する。本研究における成果の一例として、下部堆積粘土層において形成される乱れ領域が特定経路における有害物質漏出の漏出量に大きく影響し、一方、ソイルセメントによる鋼管矢板周辺の地盤改良を伴う鋼管矢板の打設工法が有害物質の漏出抑制に効果的であることを示した。
著者
Yurika Iwasawa Naoto Hosokawa Mariko Harada Satoshi Hayano Akihiko Shimizu Daisuke Suzuki Kei Nakashima Makito Yaegashi
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.0787-18, (Released:2018-09-12)
参考文献数
20
被引用文献数
8

A 62-year-old man with diabetes mellitus and a two-day history of fever and dyspnea presented at our hospital. He was diagnosed with community-acquired pneumonia (CAP), septic shock, and respiratory failure. Sputum Gram staining revealed Gram-negative coccobacilli. Based on the Gram staining findings and history, Acinetobacter baumannii was considered as one of the causative organisms of his CAP. Consequently, he was successfully treated with the initial administration of meropenem. We suggest that A. baumannii should be considered as one of the possible causative organisms of CAP based on a fulminant clinical course, and the presence of Gram-negative coccobacilli.
著者
松村 俊太郎 関谷 博 鍜治 武志 中村 英児
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013-OS-124, no.12, pp.1-7, 2013-02-21

分散処理システムにおいて,アプリケーションの処理速度が低下した場合の発生箇所の絞込みは,(1)自律動作により処理を担当するサブシステムや時系列などが異なること.(2)処理負荷やシステム環境による競合条件などの変化によるボトルネック発生箇所の変化,により困難である.これらの課題に対して,分散処理システムにおいてI/Oシステムコールをトレースして性能情報や呼出し履歴を収集・分析することにより,ボトルネックの発生箇所を特定する方式を提案する.また,提案方式を実装して評価を行い,トレースによる性能低下を抑止しながらI/Oボトルネックの原因となるコード位置が特定できることを報告する.
著者
山口 彦之 吉田 芳和 田野 茂光 備後 一義 片桐 浩
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.349-356, 1985 (Released:2010-02-25)
参考文献数
23

Tradescantia (clone KU-7) were grown at three points near a site of nuclear power plants and somatic mutation frequencies in Tradescantia stamen hairs were investigated for three years. The two points are located in the prevailing down-wind sector of the site. Mutational events in stamen hair cells were scored every day from the end of April to October for three years. In parallel with this observation, factors which have been thought to affect mutation induction, such as temperature, humidity, insolation, pollutants, radioactivity in the buds were measured at the three points. The daily exposure and radioactive concentration at three points due to the amount of the radioactive nuclide released from the nuclear power plant were calculated.Mutation frequencies fluctuated daily, but they were estimated rather constant on average at three sites. Increase of radioactivities in the buds or other plant tissues was not detected during this experiment. The daily exposure and radioactive concentration were very low, for example, the ratio of the maximum daily exposure to the doubling dose was less than 1×10-7.It has been definitely shown by this field experiment that radionuclide released from the nuclear power plants can not induce significant mutation of Tradescantia.It was concluded that Tradescantia stamen hair system was not appropriate to monitor the environmental radiation from the power reactor.
著者
郡司菜津美
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第60回総会
巻号頁・発行日
2018-08-31

問題と目的 現在,大学の教員養成の段階で,どの教員にとっても必須である性教育指導に関する必修カリキュラムは組まれておらず,教員志望の学生らが性教育に関する指導スキルを十分に身につけていないまま現場に出て行くことが課題となっている(天野ら,2001:西田ら,2005:児島,2015:長田ら,2016)。つまり,性教育の「指導方法がわからない(佐光ら,2014)」まま教壇に立つ教員を養成し続けていることになる。そこで,本研究では,教員志望の学生が,性教育の適切な指導スキルを身につけられるプログラムを開発することを目指し,学生が模擬授業を行うラーニングバイティーティング形式による性教育指導に関する主体的対話的学びの講義を実施し,その学習効果を検討することを目的とした。方 法 2017年7月,首都圏A私立大学の教員免許取得必修科目「生徒指導論」において,受講者84名(男子67名,女子17名)を対象に,「性に関する正しい知識を指導できるようになろう」という課題を与え,ラーニングバイティーチング形式の講義を実施した。具体的には,筆者が高等学校での性教育講演で用いるPPT資料を配布し(内容は①第2次性徴&デートDV,②妊娠と中絶,③性感染症,④性的マイノリティ),4つのグループで構成された1チーム内で内容を分担し,それぞれの資料を元に指導略案を作成,その場で互いに模擬授業を実施させた。授業の学習効果を明らかにするため,授業の前後に性に関する知識(上記①~④に関するもの)を問う質問紙調査(回答は記述式13問と選択式6問の全19問)を実施し,質問内容の回答がわからない場合には「わからない」と記述すること,あるいはその項目を選択するように教示した。それぞれの質問内容に対して①適切に理解していると判断できる回答をした人数,②わからないと回答をした人数,③①における性差について,それぞれ授業前後及び性差に有意な差があるかどうかを,①と②についてはt検定(対応のある),③についてはχ2検定を用いて検討した。結 果1. 適切に理解していると判断された回答数 全19問の性に関する知識を問う項目について,84名の回答を集計した結果,適切に理解していると判断される回答をした人数の平均値は,授業前が1問あたり38.95人,授業後は59.47人であり,授業の前後で適切に理解している回答を記入した人数に有意な差があることが示された(t=6.109, df=18, p<.001)。各質問項目について,最も理解度に変化があったのは,「避妊の確率が高い順序の並び替え」「同性愛者の方が異性愛者よりも性感染症(HIV)に罹患しやすいこと」の2項目であり,授業前の正答率がそれぞれ1.19%,27.38%であったのに対して,授業後は44.05%,63.10%と増加した。2.わからないと表記された回答数 1.と同様に集計した結果,授業前は1問あたり24.74人であったのに対して,授業後は5.95人であり,授業の前後でわからないと表記した人数に有意な差があることが示された(t=6.909, df=18, p<.001)。3.理解度における性差について 全19問について,適切に理解していると判断された回答を記入した人数について,性差があるかどうかを授業前後で比較した結果,全ての問題において有意な差がみられなかった。考 察 本研究では,性に関する内容を検討・模擬授業させるラーニングバイティーチング形式による講義を実施した。その結果,授業前後で性に関する問いに適切に回答できる学生数が増加し,「わからない」と回答する学生数が減少した。これらは,⑴仲間に教授すること (Teaching),⑵仲間の教授を受けること(Learning through Peer Teaching)の効果であることが推測される。指導案を検討し,模擬授業を実施するという授業デザインによって,学生らが主体的・対話的に学んだと考えられる。また,全ての項目について,回答数に性差が見られなかったことから,互いの性別に関係なく,対話的に学習する機会であったことが推測できる。 本研究での実践は,講義内での学習を目的としたものではなく,教育実習や,教員になった際に現場で活かされるために行ったものである。従って,本実践で得られたことが,学生らの未来の教育実践にどのように活かされて行くのか,そのことを引き続き検討していくことが重要である。付 記本研究はJSPS科研費 17K18104の助成を受けたものです。
著者
遠藤 智夫
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.26, pp.71-83, 1993

It is well known that the English word "philosophy" was translated into Japanese as<I>tetsugaku</I>by Amane Nishi.<BR>The writer makes clear the circumstances under which Nishi coined the term<I>tetsugaku</I>.<BR>However, before Nishi coined it, the word<I>rigaku</I>was the term most com-monly used to mean "philosophy." <BR>In 1791-92, in a translation of a Dutch book on astronomy, YoshinagaMotoki translated "philosophy" into various terms, such as 儒教・智学・窮理学・性理学・性理術. This was the first recorded translation of "philosophy" into these terms. And after twenty years, in a few Dutch-Japanese or English-Japanese dictionaries compiled around 1810, we can find the word<I>rigaku</I> (理学).A case can be made that Yoshinaga Motoki and Dutch interpreters played an important role in the translation of the word "philosophy" into Japanese. But why did<I>tetsugahu</I>come to replace<I>rigaku</I>as the commonly accepted translation when<I>rigaku</I>had been used for so many years.<BR>After presenting a report at the regular monthly meeting in April, 1993, the writer tried to throw new light on this question, as well as on the issues of why opinions are divided on the books in which the term<I>tetsugaku</I>appeared, and why "philosophy" was not translated into its exact Japanese equivalent<I>aichigaku</I> (愛智学).
著者
吉川 文隆 矢野 昭彦 内田 幸宏 藤田 健二 川添 強 佐田 裕之
出版者
The Japan Institute of Marine Engineering
雑誌
Marine engineering : journal of the Japan Institution of Marine Engineering = マリンエンジニアリング : 日本マリンエンジニアリング学会誌 (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.123-129, 2008-03-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

Propeller shaft diameter of ferries becomes larger in conjunction with requirements of higher vessel's speed and CPPs (controllable pitch propellers) . Thus, it may lead into a tendency to reduce the life duration of stem tube bearing under seawater lubrication. Wear of the propeller shaft sleeve, i.e. bronze alloy, is typically greater than that of the rubber bearings, with triangularly shaped craters appearing on the sleeve surface.<BR>In this paper, we describe the investigation of used sleeve sample taken from an actual vessel, as well as the wear characteristics of bronze alloys conducted under the corrosive wear condition which is equivalent to actual ferry service. The results indicated that corrosive wear was the main cause of sleeve wear. Comparing between the amount of wear in seawater and the one in distilled water, the influence of corrosion on sleeve wear was found to be substantial. Additionally, the craters are considered to be formed by the action of erosion corrosion
著者
川口 雅昭
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 : 人間環境学研究所研究報告 : journal of Institute for Human and Environmental Studies (ISSN:13434780)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.15-22, 1999-06-20

吉田松陰は、安政6年(1859)10月27日朝、死罪の申し渡しを受け、同日、刑死する。現在、判決を聞いた際の松陰の態度については、騒動しく、「実に無念の顔色」を見せたとする説と、神色自若としていたとする、相反する記述が残っている。しかし、これまで定説とされているのは後者の説である。小論では両説成立の経緯などを探り、定説誕生の背景及びその問題点を論考した。そして、1、定説は当時長州藩江戸留守居役であった小幡高政が直接見聞したことを娘三香に語り、それを又聞きした田中真治が昭和初期に記録した可能性が高いこと。2、田中は世古格太郎の「唱義聞見録」をかなり意識して記述していること。3、また、世古は安政の大獄に連座したという点で松陰の同志であり、松陰を悪し様にいう動機が見あたらないこと。4、『全集』の編集委員であった玖村敏雄等は両説を精緻に検討した形跡がないことなどを解明した。
著者
渡辺 満久
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

1 はじめに 発表者はこれまでに、「福島」以前の杜撰な審査を繰り返さずに原子力関連施設の安全性が確保されることを願い、原子力施設の再稼働の前提となる新規制基準適合性に係わる審査に対しいくつかの具体的提言を行ってきた(渡辺ほか、2013;渡辺・中田、2014)。ところが、最近の北海道泊原子力発電所の審査における、原子力規制委員会(以下、規制委員会)の姿勢には大きな疑問を感じている。本報告では、積丹半島の活構造を総括し、規制委員会による審査の問題点を指摘する。本研究では、平成25~27年度科学研究費補助金(基盤研究(C)研究代表者:渡辺満久)の一部を使用した。2 積丹半島の活構造(渡辺・鈴木、2015;渡辺、2015a;2015b;北電、2013、2014) 積丹半島西方断層は神威海脚の西縁から神恵内西方まで約60 km連続し、比高数100 mの凸型斜面(撓曲崖)を形成している。撓曲崖基部には新しい地すべり地形が多数見られ、最近も斜面が不安定になったことがわかる。北電による音波探査の結果にも、いくつかの断層構造が確認される。規制委員会は、明瞭な断層構造が確認できないことを理由に活断層の存在を否定しているようである。しかし、上述したように断層構造は確認されている。そもそも、十分な変動地形学的検証なしに音波探査結果だけで活断層の存在を否定してはならないことは、2007年中越沖地震で学習したはずである。 積丹半島南西岸では、MIS 5eの海成段丘面が30 m程度の高度にあり、高度の異なるノッチや離水ベンチが存在しているため、間欠的隆起が繰り返されていることが強く示唆される。一方、北東岸では、海成段丘面は分布しておらず、離水ベンチもほとんど認められない。このような変動地形学的コントラストは非常に明瞭であり、両地域の地形発達が同じであるとは到底考えられない。これらの特徴は、積丹半島西方断層の活動で統一的に説明できる。規制委員会は、このような地形学的特徴の違いをまったく考慮していない。また、積丹半島全域が定常的かつ一様に隆起していると結論しているが、本当にそのような地殻変動が継続しているかどうかの検証はまったく行われていない。 規制委員会は、半島南西岸の海成段丘面(MIS 5e)の旧汀線高度はほぼ一定であるとした。しかし実際には、その旧汀線高度は一定ではなく、10 km程度の区間で10 m程度の高度差がある。これは、それほど本質的な問題ではないが、このような事実誤認があることも問題である。また、神恵内付近における旧汀線高度の急変に関しても、合理的な説明はなされていない。これらの問題に関して、2015年度活断層学会で報告したところ、当時の審査担当者から「北電から満足のゆく回答はまだなく、結論はでていない」というコメントがあった。その内容は、規制委員会の結論とはまったく異なるものであり、審査の進め方などに大きな疑問を感ずる。 MIS 9以降、積丹半島南西岸は等速度で隆起していると考えられ、中新統は南西側へ撓曲している。泊原子力発電所は、MIS 9に形成された海成段丘面を掘削して建設されており、撓曲する中新統には複数の層面すべり断層がある。これらの断層が後期更新世に活動していないと断言できる証拠はない。MIS 9以降の一様な隆起運動を考えれば、今後も動きうる断層として評価すべきである。 規制委員会は、南方の岩内平野では中新統~前期更新統の撓曲構造が前期-中期更新統の「岩内層」に覆われており、後期更新世には成長していないとした。しかし、前期-中期更新統の傾斜は、発電所近傍では12~13度であるのに対し南方の岩内平野では3~4度程度であり、岩内平野では変形の程度が小さい。泊原子力発電所直下の構造を、離れた地域で検証することはむつかしい。また、岩内平野の「岩内層」は、前期-中期更新統ではなく、MIS 5eの海成層である可能性が高く、1度程度傾斜している可能性がある。以上を考慮すれば、敷地内の撓曲が活構造であることは否定できず、重要構造物直下にcapable faultが存在する可能性がある。3 規制委員会の評価への批判 規制委員会は、積丹半島の変動地形学的特徴を誤認し、積丹半島西方断層の上盤の敷地内断層の活動性に関しても正しく評価していない。規制委員会は、新規制基準に基づく安全審査を実施しておらず、事業者の調査結果を鵜呑みにして「総合的におおむね妥当」と判断している。審査ガイドに明記された厳格な審査に違背した評価であり、「過去の形式的で杜撰な審査は見直し、事業者よりの専門家が関与した非科学的な審査結果は一掃しなければならない」と批判された、保安院時代のものと同質のものである。すべては、3・11以前に戻った。【文献】北電、2013。20131003_02shiryo_01.pfd。北電、2014、20150529-000108711.pdf。渡辺ほか、2013、活断層学会秋季大会。渡辺・中田、2014、地理学会2014年度春季学術大会。渡辺・鈴木、2015、科学、85。渡辺、2015a、地理学会2015年度秋季学術大会。渡辺、2015b、活断層学会2015年度大会。
著者
新井 健司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.821-830, 1984-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1982年3月21日浦河沖地震により,日高海岸地域に,:地割れ・崩壊などの地盤変形とこれらに伴う構造物の被害が生じた.本稿では,この地域の地盤災害調査の結果明らかになった地盤変形・被害分布の特徴をもとに,浦河沖地震に伴う地殻変動について考察した. 被害地域には,被害率の地域差が認められた.各地域の地層の平均走向や摺曲軸の平均方向と,発震機構より求められた主震源断層の走向 (N30°W) との関係を調べた結果,両者が平行する地域で被害率が大きく,交差する地域で被害率が小さかった.このことから,被害率の地域差は地質構造によると推定される. また,新冠と東静内では,既存断層線に沿う被害の線状分布が認められた.これは,既存断層が地震により動いたために生じたものと推定される.東静内に比べて震源域より遠い位置にある新冠の節婦断層は, 1952年十勝沖地震・1968年十勝沖地震の場合と同じように,強い振動により誘発されて動いたと思われる.一方,東静内の春立背斜断層とその北方に平行する断層は,今回の地震の震源断層活動により動いた可能性がある.水準点改測により把握された垂直変動によると,東静内は異常隆起が現われた地帯の一部である.さらに余震分布からは,この異常隆起は主震源断層より浅い位置にある二次的な震源断層の活動により引き起こされたと推定される.したがって,東静内の地表断層の動きは,二次的な震源断層の活動により生じたものと考えられる.

6 0 0 0 OA お大名の話

著者
三田村鳶魚 著
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
1924
著者
窪田 輝蔵
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.391, 2001 (Released:2001-09-01)
参考文献数
16

現代学術雑誌を代表するNature,BBA,JBCの歴史と現在をたどり,その誕生,変遷を探る。学術雑誌の今日の姿とその特徴はレフェリー制度,編集と出版の乖離(かいり),市場競争である。それぞれ検討すべき課題がある。価格を巡るあつれきが米国のSPARC,英国のNESLIを生み,電子ジャーナルの出現が学術出版社をNeutral Databaseによる情報サービス業に変身させ,市場である図書館をコンソーシアムによるブローカーに変身させつつある。今日,特にわが国において,学術雑誌に真の出版人が求められている。