著者
中井 隆介 若槻 麻里子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高磁場MRI装置を用いて、顎関節部および咀嚼筋の種々の画像の取得、および、下顎運動時の動的画像の取得を行った。また、この下顎運動を医用画像から自動的に計測し、運動軌跡を抽出するソフトウェアの開発を行った。この解析の結果、下顎運動の左右方向の移動距離と咬筋の体積の左右比に正の相関があることが判明した。また、関節円板に異常がある被験者は、異常が無い被験者に比べ、下顎頭の左右方向の変位が大きいことがわかった。さらに、このMR計測情報を応用した有限要素法による力学解析を行ったところ、関節円板に異常のある被験者はより応力が高くなる要素が存在することがわかった。
著者
河上 敬介 曽我部 正博 曽我 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

筋損傷に対する理学療法による回復促進効果を,あらかじめ組織学的な筋損傷量が明らかにされているモデルラットを用いて検証した。評価は筋線維の横断面積や足関節のトルクを指標に行った.その結果,筋損傷後早期に超音波刺激または伸長刺激をそれぞれ与えると,筋損傷からの回復促進効果が認められることが判明した.このメカニズムの一端をを調べるために,筋衛生細胞の活性の指標であるMyoD量とmyogenin量を超音波刺激と伸長刺激後に調べた.その結果,損傷後早期に与える超音波刺激や伸長刺激は,筋損傷後数日以内に起こる筋衛星細胞の活性化を促進させ,その結果として損傷からの回復を促進させている可能性が示唆された.
著者
岩崎 愛一
出版者
二松学舎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

宇宙ダークマターの正体はいまだなぞである。また、宇宙物理学において、ガンマー線バースト、および、超高エネルギー宇宙線の起源に関しては、未だ解明されてはいない。ここでの理論研究では、その両者を解明するひとつの糸口として、この高エネルギー現象を説明する起源としてあるメカニズムを提唱した。それは、ダークマターであるアクシオンが重力的に集まり星となったアクシオン星と呼ばれるものと、中性子星との衝突である。その衝突で、アクシオン星は中性子星の強磁場の下で電磁波に転化し、それが中性子星の中で吸収され、結局、そこで蒸発してしまう。その結果、急速に開放されたエネルギーで、中性子星の外層(クラフト)が吹き飛ぶ。それが、ガンマー線バーストを発生させるもとになる粒子の風を生み出す。このメカニズムでは、その風の粒子は外層を構成していたもので、その全質量は太陽質量の10万分の一以下である。このことは、観測されるガンマー線バーストから、その起源を考えるとき要求されるものである。他のガンマー線バーストの起源も提唱されているが、この条件を満たすことが困難とされている。その点が、ここのメカニズムの利点である。ガンマー線バーストは以上であるが、そのとき仮定されていることが、中性子星の磁場の強さとして、10の12乗以下であることである。それ以上の磁場に対しては、アクシオン星は衝突前に崩壊してしまう。それはアクシオンが強磁場のもとで発生する強電場が、自発崩壊するためである。この電場で加速される荷電粒子は、超高エネルギー宇宙線として観測される10の20乗電子ボルト以上になるのである。これが、超高エネルギー宇宙線が発生するメカニズムとして私が提案したものである。両現象のエネルギースケールを説明するのに必要なアクシオン星の質量が、ちょうど銀河ハローに発見されたMACHOのそれに等しいことは注目に値する。
著者
保坂 直之
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

季節感を表す語が詩的テキストの色合いを決めることは、日本の定型詩になじんでいる我々の共通理解である。本研究では電子化されたドイツ詩のデータを集約し、「~のように」などの指標のある比喩イメージとの複合検索によって、詩的表現の気配を支配する「枠組語」のリスト化を目指している。テキストベースの集約データは自由な処理が容易なため、統計処理よりも「解釈上の思いつき」の適否をその都度確認しながら、通常の読みではできない読み方のための補助に使いやすい。本研究はそのための検索手法も追求している。
著者
岡田 陽平
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本年度は、国際機構の活動と国際責任の法理に関する研究(以下、本研究)の最終年度であった。三年間を通じて、とりわけ責任の発生段階に着目し、国連平和活動に適用される行為帰属規則について分析を行ってきた。今年度は、昨年度までの研究から得られた成果について、これを新しい法的問題へと応用する作業に取り組んだ。新しい法的問題とは、具体的にいえば、二重帰属の是非およびあり方、そして、国連以外の国際機構(とりわけNATO)への行為帰属である。第一の点について、二重帰属をめぐっては、先例の欠如ゆえに、学説上ようやく議論され始めた状況にある。国連平和活動に適用される行為帰属規則は、国際責任法と国際機構法のインターフェースに位置づけられるものであり、双方の法的必要性に基づいて成立・発展してきたものである。そこで、これまでの展開の延長線上に二重帰属の問題を位置づけ、いかに二つの法の要請を均衡させることが可能かについて分析を行い、適切と考えられる二重帰属のモデルを提示した。それによれば、たとえ二重帰属が認められうるとしても、被害者は、まずは国連の責任を追及するように求められる。さもなければ、すなわち、最初から国の責任を追及することができるとすれば、平和活動の自律性および実効性の確保という、これまでの実行を導いてきた法的必要性(これは現在も妥当している)を無視することになってしまう。第二に、NATOへの行為帰属に関しては、資料の入手困難性や先例の稀少性ゆえに、これまで本格的には研究されてこなかった。しかしながら、冷戦終結後の国連平和活動ではNATOが主要な役割を果たすことが少なくない。したがって、現行法の問題として論じることができる部分はきわめて限定的であるということは認識しつつ、現時点で可能な範囲で分析を加えた。以上をもとに、本研究の成果を博士論文としてまとめ、京都大学に提出した。
著者
郭 沛俊
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度から20年度までの間に主な研究成果が以下のようになる。(1)可能性区間回帰モデルの提案と分析(2)不確実性下の一回限りの意思決定問題において、新しい意思決定フレームワークの構築・分析と応用(3)区間確率の同定・結合及び意思決定モデルの構築と応用(4)ラフ集合に基づくデータマイニングシステムの構築・応用及び内的競争因子、外的競争因子、顕著度に基づくIF-THENルールの簡略化手法の提案と応用(5)ファジイDEAモデルの提案と応用
著者
名倉 豊
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

現在、最も安全な輸血とされている自己血輸血の問題として凝集塊形成による返血不能や、返血時の発熱反応・血圧低下などの非溶血性副作用の発生が挙げられる。これらの主な原因として、自己血中に含まれる白血球の関与が考えられる。同種血輸血製剤による非溶血性副作用の防止策として、赤十字血液センターでは全ての同種血製剤に対して、保存前白血球除去を導入している。本研究では、自己血の保存前白血球除去(以下、白除)の有用性について検討を行った。その結果、白除処理により白血球および血小板は効率よく除去されていた。一方、赤血球は白除処理の影響を受けず、高い回収率であった。白除した自己血では凝集塊形成を認めず、返血時に問題も認めなかった。自己血中のサイトカイン・ケモカイン濃度を測定したところ、白除処理により、不変のものから顕著な減少を示すものまで様々であった。さらに、これらのサイトカイン・ケモカインが血小板凝集塊形成に及ぼす影響を検討するため、白血球の存在下及び非存在下において血小板に添加し、凝集塊形成を評価した。その結果、白血球非存在下で血小板凝集は認めないものの、白血球の存在下でサイトカイン・ケモカインを添付すると血小板凝集が認められた。また、血小板と白血球の接着について検討を加えた結果、サイトカイン・ケモカイン処理により、接着率が増加した。このことから、サイトカイン・ケモカイン刺激による血小板凝集には、白血球の存在必要不可欠であることが確認された。したがって、自己血の保存前白除により、白血球および血小板が効率よく除去され、これらが産生するサイトカイン・ケモカイン濃度の上昇を防止することが可能であり、その結果として凝集塊形成の抑制及び非溶血性副作用の防止が可能と考えられた。自己血の安全性向上に、保存前白除の導入は重要と考えられる。
著者
都築 正喜 馬場 景子 市﨑 一章 神谷 厚徳 伊関 敏之
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

視覚障害のある学生の英語教育において、音声の取り扱いはかなり難しく、教育の現場では試行錯誤を続けてきた。発音記号やイントネーション符号などのプロソディの取り扱いは暗中模索の状態であった。本研究は、従来ほとんど取り組まれてこなかった視覚障害のある学生の英語発音を改善するための指導法と教材研究に特化して研究を行った。その結果、今回導入した、点字プリンタ「ロメオアタッシュ」を有効活用することにより、英文教材の点字化を推し進め、先行研究で一部稼働に成功していた、音調文字式符号と音調音符式符号の併用を可能とした。視覚障害のある学生のための英語補助教材も点字式補助符号を併記して有効活用への道を開いた。
著者
近藤 広紀
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

少子高齢化が進展していく経済において,家計の立地選択と,産業の立地選択を分析した.まず,親子世代の居住形態(同居か地域を移動して別居か)の決定について分析した.少子高齢化経済においては,家族の居住形態は,一つのパターンが繰り返されることを明らかにした.これにより地域間人口移動はより一層限定的となる.このモデルを教育投資と,人的資本水準が重要な産業の立地を含むモデルへと拡張した. 大学進学率の地域間差異を説明できる. また,産業集積のパターンは,従来の新しい経済地理モデルよりも,より多極的となりやすいことが示された.
著者
平本 健太 小島 廣光 岩田 智 谷口 勇仁 岡田 美弥子 坂川 裕司 相原 基大 宇田 忠司 横山 恵子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究によって解明された戦略的協働を通じた価値創造は,21世紀の社会の課題に挑むための方法の1つである.この戦略的協働は,今日,世界中で急速に増加しつつあり,多元的な社会的価値の創造に対して大きな潜在力を秘めている.3年間の研究プロジェクトの結果,戦略的協働を通じた価値創造に関する7つの協働プロジェクトの詳細な事例研究を通じて,戦略的協働の本質が明らかにされた.われわれの研究成果は,18の命題として提示されている.これら18命題は,(1)参加者の特定化と協働の設定に関する命題,(2)アジェンダの設定を解決策の特定化に関する命題,(3)組織のやる気と活動に関する命題,(4)協働の決定・正当化と協働の展開に関する命題の4つに区分されて整理された.本研究の意義は,大きく次の3点である.第1に,戦略的協働を通じた価値創造を分析するための理論的枠組である協働の窓モデルが導出された.第2に,戦略的協働を通じた価値創造の実態が正確に解明された.第3に,戦略的協働を通じた価値創造に関する実践的指針が提示された.
著者
岡田 洋子 菅野 予史季 松浦 和代 佐藤 雅子 井上 ひとみ 茎津 智子 三田村 保
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1)子どもの「死の概念発達と関連要因」を明らかにする。2)子どもが日常生活の中で出会う「死」を通して「死」や「死後の世界」をどのように考えているか実態を把握する。3)Death Educationのための指針を開発する目的で調査を実施した。調査対象は、小学校1学年から中学校3学年までの合計2,690名で、地域別では北海道が989名、関東が935名、九州が766名であった。死の概念の構成要素である(1)生物・無生物の識別は、学年(小学1〜3年と小学4〜6年、小学1〜3年と中学1〜3年)、地域(北海道-関東)、性別、学年・性別間と、(2)死の不動性は、学年(小学1〜3年と小学4〜6年、小学4〜6年と中学1〜3年)、地域(北海道-関東、関東-九州)、性別、学年・地域、学年・性別、地域・性別間と、(3)死の不可逆性は、学年(小学1〜3年と中学1〜3年、小学4〜6年と中学1〜3年)、地域(北海道-九州、関東-九州)、性別、学年・性別間と、(4)死の普遍性は、学年(小学1〜3年と小学4〜6年、小学1〜3年と中学1〜3年)、地域、学年・地域、学年・性別間と、(5)時間の概念では、学年(小学1〜3年と小学4〜6年、小学4〜6年と中学1〜3年)、地域、性別、学年・地域、学年・性別間、学年・地域・性別と有意に異なる関連があった。死の概念(5つの構成要素の和)は、学年、地域、性別、学年・地域、学年・性別、地域・性別、学年・地域・性別の全てと有意に異なる関連があることが確認された。つまり小児の死の概念発達は、学年、生活環境、性別による影響を受けており、その結果異なることが考えられる。Death Educationの方略指針の作成において、学年、生活環境、性別等を考慮に入れたプランが必要である。そこでまず、北海道における方略を開発中である。
著者
西田 正規 オダックス マブラ 木村 有紀 網谷 克彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

先史社会の復元は、それが定住社会であれば生活遺物もまた集落周辺に集中的に堆積しているため、集落遺跡の発掘によってその全体を把握できる。しかし、生活拠点を頻繁に移動させる遊動社会は、生活遺物を広大な地域に分散させるため、遺跡の発掘によって十分な情報を得ることが困難である。実際、遊動社会の先史学的研究は、定住以後の社会復元との比較において、きわめて未熟な段階に留まっている。これを克服するため本研究は、タンザニアのセレンゲティ国立公園南部の約2.5000平方キロを調査地として地表面に広く薄く散乱している石器の分布調査を行い、調査データを高度な統計処とGISを用いて解析し、それらの石器を廃棄した遊動社会の空間利用と資源利用、および遊動パターンの復元的研究に取り組んだ。石器の分布調査は50メートル四方の方形区を設定して地表の石器を採集して行い、また、地下に埋もれている石器を把握するため2平方メートルのテストピット調査を行った。計測エラーなどの資料を除外するなどして、最終的な解析は98の方形区と9ヶ所のテストピットのデータを用いて行った。テストピット調査の結果、地下に埋没している石器の大半は地表下20センチまでの浅い所に集中しており、その密度は地表面の石器密度と高く相関する(R2=0.94)。これにより、地表面の石器密度からその地域に残存する石器の全量の推定が可能であり、埋没している石器密度は、地表面の石器密度の42000倍であった。また方形区データから得られた石器密度分布を、地表水や森林、風避け地形など、「ヒトの住みやすさ」に影響する環境因子と関連づけて解析した。その結果、一年を通じて涸れない水場までの距離や遠方まで見渡せる地形などの環境因子によって石器密度分布の80パーセントが説明できることが明らかになった。以上をもとに調査地における石器予想分布図を作成した。
著者
陣内 正敬
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後における日本人のコミュニケーション行動の変化を探るため、スポーツ場面での言語行動に焦点を絞り、そこでの変化の様子やその要因を考察した。具体的には、毎年甲子園で行われる高校野球の選手宣誓行動を映像資料によって跡付け、その宣誓文や宣誓行動におけるパラ言語(声の調子など)の側面などについて、考察した。その結果、1980年代を境に、型通りのものから多様なものへと変化していることが判明した。これは、日本社会の変容(モダンからポストモダンへ、あるいは戦後社会からポスト戦後社会へ)と連動した現象である、と結論づけた。
著者
筒井 清忠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、明治期から昭和戦前期にかけての日本の近代化過程における異文化との接触の様態を、特にエリート文化と大衆文化という2つのレヴェルの差異と相互作用に着目しつつ、社会学的見地から分析することによって、次の3点の解明を試みた。(1)外来文化に対する日本人の態度が、エリート・大衆双方においてそれぞれいかに変遷していったか。(2)外来文化と日本の土着文化とが、いかにしてエリート・大衆という階層間の区別・差異化の契機として(あるいは両者の融合の媒体として)機能したか。(2)大正期以降の大衆社会の出現の過程で生じた文化的平準化の中で、外来文化がエリート文化・大衆文化の相互浸透の媒体としていかに作用したか。こうした研究の過程から、特に次の2点が明らかになった。(a)明治期以降の近代日本のエリート文化が欧米からの外来文化を核として形成され、親米英的な性格が強かったのに対し、大衆文化は日本の土着文化と連続する面が大きく、ナショナリズムに傾きがちであった。(b)大正期以降の文化的平準化の中で、外来文化を核とするエノートは孤立していき、ナショナリズムを強めた大衆から攻撃されるようになっていった。以上の知見をもとにして、大正デモクラシーから昭和軍国主義にいたる近代日本文化の変質過程について自説をまとめ、本年度末に出版される共著において発表した。最終的に、外来文化の選択的受容の結果が近代日本におけるエリート文化と大衆文化の分化に影響を及ぼしただけでなく、大正デモクラシーから昭和軍国主義にいたる日本の歴史的進路にも大きなインパクトを与えたことが明らかになった。
著者
重村 力 月館 敏栄 岡田 知子 後藤 隆太郎 三笠 友洋
出版者
神奈川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、被災集落における復興計画の策定に参与し、その過程を記録する事で、住民主体の合意形成過程、住民要求の把握と各種復興事業の実施における課題について明らかにすることを目的としている。研究対象は主として岩手県大船渡市三陸町越喜来崎浜集落及び宮城県気仙沼市大島を対象とし、以下6項目の研究を行なった。1)岩手県内沿岸集落の津波被災に関する歴史的研究、2)集落空間と生活実態の調査、3)防集事業における住宅復興の課題整理、4)被災後の集落共同空間構築過程の記録、5)漁集事業における課題整理、6) 漁業史文庫の再建支援
著者
萩 裕美子 川西 正志 山本 直史
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

定期的運動をしていない中高年女性に、短時間で簡単にできる筋力トレーニングを開発した。3か月の教室期間中のトレーニング実施率は57%であった。運動習慣がなかった女性でも2日に1回は実施していることが明らかとなった。その結果、体重と体脂肪率が減少し、体力の向上が認められた。一定の効果が認められたので、教室終了後も自分自身で、正しく継続的なトレーニングができるように、DVDを作成した。一方で、山歩きを趣味としている中高年女性に対して、年に1回の体力測定、身体構成の測定を行い、1年後および2年後の変化を見た。同年代の女性に比べ、BMIや体脂肪率、血圧が良好で、体力も高く、2年後も維持されていた。
著者
鈴木 健嗣
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

昨年度より構築している全身18自由度の人間型ロボットにおいて,初年度,第二年度の結果に基づき実験を行った.これは,ロボットのアクチュエータ部位において生じる過電流検知および逆起電力検知による物理的な作用の計測を詳細に行うものである.各モータドライバを通じてアクチュエータに供給される電流をセンシングすることにより,動作時のアクチュエータへの電流・電圧値データを収集し解析を行うと同時に,当初計画通りロボットの自己キャリブレーションに関する研究を行った.ロボットに初期状態から自身の各部位を自由に動作させ,最終的に,ロボットが自身で能動的に行動範囲を定める機構を持っことが出来ることを示した.特に,人間型ロボットの腕部を対象とし,ロボット動作時における各関節部モータに流れる電流とその時間変動に基づいて,稼働範囲を定める閾値をロボット自身の能動的な動作により獲得する手法を提案し,口頭発表を行っている.また,(1)無負荷状態,(2)腕の先端に一定荷重を付与,(3)動作中の想定外の衝突などにおいても,適切に自身の稼動範囲を能動的に獲得することが可能となることを示した.このように,機能としての「痛み」を人型ロボットに実装することで,ロボット自身が自身の姿勢と環境の変動に応じて適切な動作範囲を能動的に獲得できることを示した.本研究の成果を国際会議論文として投稿する準備を進めている.さらに,学習理論に関する論文をまとめ,学術論文として発表した.これは,事象の関連性から学習を行うモデルであり,ロボットが自身の稼動範囲マップを構築・更新するにあたり重要となる今後,本手法を稼動範囲獲得へ応用するとともに,車輪型移動ロボットなどの異常検知への応用を検討したい.
著者
中井 孝章
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、子どもの睡眠状況とそれに関与する親の養育態勢の相関性の分析の結果、子どもの睡眠習慣(目的変数)に対して,母親の就寝時刻(21 : 00以前)という説明変量が. 57(p<0.1),各家庭の睡眠文化(有無)という説明変量が. 62(p<0.1)という正の相関性がみられた。一方,子どもの睡眠習慣(目的変数)に対して,メディア関与度(1時間以上)という説明変量が-. 51(p<0.1),母親の帰宅時刻(18 : 00以後)という説明変量が-. 41(p<0.5)という負の相関性がみられた。
著者
田口 智清
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

遅い一様流中で回転する球に働く揚力および抵抗を気体分子運動論にもとづいて求め,球の大きさがある閾値を下回ると揚力の向きが逆転する逆マグナス現象を解明した.その際球周りの流れを調べるためのボルツマン方程式の新しい漸近的手法を開発した.また,揚力の計算を劇的に簡略化する公式を見出した.球の抵抗則における高次補正を得た.
著者
眞嶋 史叙 草光 俊雄 新井 潤美 大橋 里見 菅 靖子 大石 和欣 冨山 太佳夫 見市 雅俊 新 広記 田中 裕介
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは,「消費文化史研究会」開催を通じて,この新領域に関する共通認識を培いつつ,構成員をそれぞれ単独執筆者とする著作シリーズ発刊の準備を進めてきた.成果の一部は, 2009年社会経済史学会のパネル報告「消費社会における教養を考える」で公表された.また, 2011年度末に開催された国際シンポジウムでは,国内外の研究者25名の講演・発表を通じて,研究成果を集約するとともに,今後の学問的課題を確認した.