著者
宮崎 泰幸 河邉 真也 山下 翔大 小島 綾夏 臼井 将勝
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.763-770, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
18
被引用文献数
2

くさみを抑制するとされる郷土料理の一つ,魚の糠味噌炊きの効果を検証することを目的とし,マアジの水煮調理の際糠あるいは糠味噌を添加して,においの改善効果を調べた。糠あるいは糠味噌を加えると調理時のトリメチルアミンの生成を抑え,保蔵時の脂質酸化で生じるアルデヒドなどのカルボニル化合物の増加を抑制した。官能検査では,魚臭さの低減が糠炊きで有意となった。しかし糠味噌炊きの風味は,糠床漬け物を食した経験のない多くのパネルには嫌われた。
著者
田嶋 一夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.554-567, 1983

日本語によるデータの世界が, ほぼ無限の文字から形成されることから, 可動性のある文字セット (オープンキャラクタセット) が必要になることを論証した。またこの問題点として, 漢字における異体字の問題があることを明らかにし, これがコード化法では解決不可能であることを分析した。その上で国家的規模における文字セットコントロールシステムの必要性を提案した。また異体字取り扱い法の一つとして"漢字シソーラス"の必要性を述べた。さらに, 文字セットコントロールシステムの実現方法について考察した。
著者
飯笹 佐代子
出版者
オーストラリア学会
雑誌
オーストラリア研究 (ISSN:09198911)
巻号頁・発行日
no.17, pp.53-68, 2005-03-25

The Discovering Democracy Program was introduced into the Australian compulsory school curriculum nationwide as a civics and citizenship education program at the end of the 1990s. It was established on the basis of a strong federal government initiative, in spite of each state and territory being constitutionally responsible for education. How should the meaning of citizenship be taught in school with the aim of preparing future active citizens? This has been an important question in the debate on citizenship policy in Australia since the early 90s. Its policy consequence is the Discovering Democracy Program. It should be noted that some elements peculiar to Australian contexts, especially the approaching Centenary Federation and the republic debate, provided an impetus for public discussion on citizenship and influenced the nature of citizenship education. For this reason, perhaps, the redefinition of national self-image, or in other words, the (re)invention of a national civic identity for multicultural Australia, has been emphasised as the object of citizenship education, rather than any attempt to promote active participation in civic life. Another related distinctive feature is that policy makers identified 'Australian history' as an essential vehicle for education in citizenship, the 'heritage' approach to citizenship which is clearly reflected in the Discovering Democracy materials. The purpose of this paper is to examine critically the meaning and effect of citizenship education in Australia with attention to representation of cultural diversity. Firstly I will shed light on the background to and process of formulation of the citizenship education policy with a focus on its political intention and implications. I will then analyse how and to what extent cultural diversity is reflected in the concept of citizenship and how multicultural Australia is narrated in the content of the curricular materials developed by the Curriculum Corporation.
著者
小林 義典
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.189-219, 2011-07-10 (Released:2011-09-01)
参考文献数
370
被引用文献数
2 7

軟らかくて咀嚼回数が少ないファーストフードや健康補助食品の多量摂取,朝食の欠食などによる不十分な咀嚼は,激変した社会環境を背景として健康に多大な影響を及ぼしている.一方,近年の研究では,食の文化に基づいた歯応えと風味がある食物の十分な咀嚼は,心身の成長の促進,脳の活性化とリラックス作用,食物の発がん物質の発がん性の減弱,活性酸素の消去,肥満の抑制,糖尿病治療効果の向上,運動機能の向上,骨粗鬆化の抑制,脳の損傷や老化のリハビリテーション効果などにつながることが確認または示唆されている.また,この前提条件として,健全な咬合の必要性が強調されている.今後の健康,医療,福祉を展望すると,歯科臨床が主な目的とする咀嚼機能の回復とその維持は不可欠であり,それを標榜してきた日本補綴歯科学会には,重大な責務があるといえよう.具体的に,科学的根拠に基づいた行政施策が実施されるためには,咀嚼機能の診断の確立とその呈示とともに,医学,栄養学,薬学,理工学などとの密に連携した研究と臨床の推進が必須であり,特に広範な領域を専門とする日本補綴歯科学会の担う役割は重大である.
著者
平野 昌繁
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.703-715, 1972
被引用文献数
1 5

従順化係数と後退係数をもつ斜面発達モデルは係数の物理的意義を考えた場合にも不自然でない.これにもとづけば,平衡形は内営力と侵蝕力がバランスして生じる時間に依存しない形態として理解される.下刻作用に伴われる平衡形の生成や,その消滅過程についても同様にして検討が可能である.木曾川の先行谷を例にとり平衡形の性質を用いて係数を定めたところ,後退係数はmm/yearのオーダーとなった.
著者
依藤 光代 松村 暢彦 澤田 廉路
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.487-492, 2011-10-25

地方都市の商店街ではにぎわいを喪失しており、商業の活性化が課題となっている。長期間にわたる商店街活性化に関する活動や組織の変化を追跡するだけではなく、まちづくりの担い手間の関係に着目することにより、まちづくり活動の担い手の継承の要因について考察した結果、次のように考えられた。(1)1993年以降、担い手となるセクターは、行政組織、地元市民組織、新規市民組織、広域市民組織の順に変遷してきた。(2)担い手が継承されるための要因は、地縁・志縁の担い手間のネットワークや、問題意識および課題解決の方向性が担い手間で共有されること、課題を解決するためのスキルを担い手が提供できること、活動の場としての組織の存続が担保されていること、の4つが考えられた。共通して重要であるのは、志縁の関係が行われるような、実践的な活動が積み重ねられることである。
著者
岡松 道雄 毛利 洋子
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1069-1076, 2015
被引用文献数
2

モータリゼーションの進展、中心市街地の空洞化、少子高齢化等により近隣型商店街が衰退している。同時に集約型都市構造への転換が望まれ、「歩いて暮らせる街づくり」の必要性が唱えられている。近隣型商店街はこの課題に重要な役割を果すと考えられることから、本稿ではまず、鹿児島県いちき串木野市にある近隣型商店街の現状を調査し、地域活性の取組み状況を明らかにする。次に商店街に生じた空き地を、朝市イベントの「賑わい広場」として活用し、商店街に賑わいを取り戻すための仮設実験を行った。その有用性を確認するため仮設物の使われ方の効果を検証した。