著者
山口 倫照 浅川 和久 柏田 師宏 瀬川 典久 澤本 潤 矢澤 正人 玉置 晴朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム = IEICE technical report. LOIS, Life intelligence and office information systems (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.19-23, 2012-03-01

センサネットワークの基本技術が開発され約10年経ち,現在その技術をいかに一般社会に生かして行くかが重要な課題となっている.現在おこなわれているセンサネットワークの実用化の実証実験は,都市部または安定してネットワークインフラが構築できる地域を対象とすることが多い.しかしながら,中山間地等の条件不利地域が多い東北地域では携帯パケット,ADSL等の通信網はもとより,容易に電源を得るのも難しい状況である.また,山間地等の地理的条件から,簡単にセンサネットワークのインフラを構築するのが困難であるのが実情である.しかし,都市部,中山間部といった利用する場所が異なるだけの理由でセンサネットワーク技術の利益が得られないことは避けたいと考えている.本研究は,災害時に要救助者を迅速に発見することを目的にしたシステムを提案する.提案するシステムでは,要救助者の位置情報の他に生体情報を基地局に送信することで,救助後の救命処置を助ける.
著者
中尾 泰子
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.31, pp.121-133, 1999-10

1914年の10月にソフィヤ・パルノークと出会ったマリーナ・ツヴェターエワは, その直後から連作詩「女友だち」を書き始める。しかし, 同性の恋人に捧げられたこのテクストは, 彼女の存命中に世に出ることはなかった。といっても, 女性の同性愛を含め, 当時のロシアにおいて「性」について語ることがタブーだったわけではない。 ではツヴェターエワにとってレズビアニズムを表象するという行為は具体的にどんな意味を持っていたのだろうか。また, ツヴェターエワのレズビアニズムに対する認識は時を経るにしたがってどのように変化していったのだろうか。 本論では, まず今世紀初頭の文学における同性愛のテーマについて概観し, 次いでツヴェターエワの「女友だち」と「アマゾンへの手紙」という二つのテクストを中心にこれらの問題について考察する。
著者
両角 卓也
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

研究業績の概要パリテー対称性が自発的に破れるある種のleft-right模型は,標準理論と異なる機構で軽い5つのに質量を与えることができ,さらにトップクオークの質量も困難なく導入できるので,標準模型を超える模型として興味深い.我々はシーソー機構に基づくleft-right模型を研究し,この模型におけるクオーク質量階層性,フレーバーチェシジングな中性カレントおよびCP非保存現象を系統的に調べた.その結果,K中間子のCPの破れ_<εK>およびΔM_Kからパリテー対称性が破れるスケールの下限を得た。このスケールが低い時(500GeV程度)には,K中間子の稀崩壊K_L→π^0ννのpionのエネルギースペクトルに標準模型と異なる特徴的なシグナルが現れることを指摘した.B中間子の稀崩壊B→X_sl^+l^-は,10^8-10^9個のB中間子を作るBファクトリーで100-1000個程度見つかることが期待され,このモードが標準理論のtreeレベルでは起きないことから,標準模型を超える理論に強い制限を与えることが期待されている。我々はB→X_sl^+l^-の模型によらない解析を行った.具体的には,このモードに寄与しうる10個のローカルな4体フェルミ相互作用を書き下し,それがこのモードに対する分岐比,レプトンの不変質量分布や,前後方非対称性にどのような影響を与えるか,特に標準模型との違いに注目して解析した.その結果,ローカルな4体フェルミ相互作用の種類によって,分岐比と前後方非対称性に与える影響が異なることがわかった.
著者
川又 啓子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.63-70, 2000

本稿は、関係性マーケティングの実践として、劇団ふるさときゃらばんを取り上げた事例研究である。最初に関係性マーケティングの議論を概観し、次に、組織内対応と顧客対応の面から分析する。また第3章では、きゃらばんの応援団とのインタビューから、企業と顧客とが融合するような関係性マーケティングの可能性について考察を加えることにする。最後に、地域におけるきゃらばんの実践から、地域需要開拓戦略への経営上の示唆を提示する。
著者
徳永 朋祥 浅井 和見 中田 智浩 谷口 真人 嶋田 純 三枝 博光
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.279-287, 2001-11-30
被引用文献数
2 3

沿岸海底下からの地下水採取技術の開発を行った.ここでは.潜水作業を行うことができるダイバーによって調査が可能な水深(約30から40m)程度までの領域において.海水との混合を防ぎ.かつ大量の地下水採取を可能にすることを目的とした.具体的には.海底下に長さ60cm程度の採水用針を刺し.複数の三方コックとプラスチックシリンジ.マイラーバッグを組み合わせることにより.1回の作業で1リットル以上(最大2リットル程度)の採水を行うことを可能にした.この手法を.黒部川扇状地沖合の淡水湧水地点において適用した.その結果.本手法では.海水との混合をすることなく淡水の地下水を採取することが可能であることを確認した.また.今回の採水では.採水地点(2個所)から各々約1リットルの地下水を採水することができた.採取された地下水の主成分組成および安定同位体の値は.今までに黒部川扇状地の陸域で報告されている値と調和的であった.
著者
松岡 弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. III, 自然科学 (ISSN:03737411)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.55-66, 1974

1歳~34歳までの死因の第1位を占めるのが不慮の災害(事故)による死亡である。それ故学校保健においても学校安全教育は重要な位置にあるが,その基礎的研究は以外に少ない。1),2),3)筆者はこれまで幼児,小学生,中学生,高校生,大学生および交通事犯少年らを対象にその安全能力の発達に関する一連3)-7)の研究を続けてきたが,今回は絵画面接技法による幼児の安全意識の発達に関する研究と,筆者らが開発をすすめている安全能力検査(SAT)を中学生,高校生および交通事犯少年に実施した結果を報告し,現在の学校安全教育の問題点について言及したい。本研究の要旨は次のようなものである。(1)交通安全を中心にした10枚の絵(27×10cm)を4~8歳児に提示し,その絵にしめされた状況にどう反応するかによって子どもの安全意識の発達をみた。その結果は,日常生活で必要とする安全知識の多くは8歳までに獲得されるが,幼児では交通安全教育の基本である正しい歩行・乗車のマナーなど基本的事項の学習が十分でないことが判明した。(2)安全能力検査(SAT)を中学生,高校生,交通事犯少年に実施した結果から次のような知見を得た。中学生から高校生の年代では,注意力・動作の速さなどの項目では得点の上昇がみられるが,動作の安定性・安全行動・リスクティク(挑危険)などの項目では変化がみられない。交通事犯少年は,動作の速さではすぐれているが動作の質で劣っている。すなわちスピードはあるが正確さに欠けることが推測され,かつ安全の態度でも問題のあるものが多い。Safety education is an important part of school health education, but little work has been done on the development of safety abilities of children. In order to measure adequately the development of the safety abilities of the pre-school child as well as the pupil, the author takes the following two approaches: a) To younger children (aged 4 to 8) are shown ten pictures and we ask for them to answer questions about the pictures. b) A Safety Abilities Test (SAT) is prepared for this study. SAT consists of attention test, speed test (A and B), emotion test and safety behavior test. The following results have been obtained: 1) Though most of the safety knowledges necessary for daily life is achieved at eight some other abilities are not sufficiently developed. 2) The scores on the attention test and speed test A (quantity test) are high for senior high school pupils, but as to the scores on the safety behavior test and speed test B (quality test) they are the same as junior high school pupils. 3) Boys who had been in traffic accidents or violated traffic rules had shown high scores on speed test A but low scores on speed test B.
著者
上出 寛子 小菅 一弘 高橋 英之 笠木 雅史 新井 健生 山邉 茂之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ドライビングシミュレータ環境が、実車実験とどの程度類似しているかどうかを、手動・半自動での運転モードと、マインドワンダリングの発生との関連から検討するため、実車実験と同様の被験者5名に対して、ドライビングシミュレータを用いた実験を行った。実車実験のドライブレコーダ記録から、追い越された車の種類、台数、また、道路環境(工事等による片側車線規制など)を確認し、これらの要因に関して平均的な運転状況をドライビングシミュレータ上に再現した。また、実車の際には安全性を考慮して実施できなかった、アイカメラを用いた視線測定も行った。実車の場合と同様に、ランダムなタイミングで、音声により運転に集中しているかどうかを訪ね、マインドワンダリングの発生を計測した。同じ被験者に対して、自動運転、半自動運転の両方のモードを行った。その結果、同じ被験者である一方で、シミュレータと実車では、運転モードとの関連でマインドワンダリングの発生について類似した結果は得られなかった。アイカメラの測定の結果、マインドワンダリングを行っている際には、視線が真正面に集中せず、周囲に分散することが確認された。また、全ての被験者が半自動運転の際に、マンドワンダリングしやすいという訳ではなく、運転に自信のある傾向の人は、手動運転の方が、半自動運転よりもマンドワンダリングしやすく、慎重な運転をする傾向の人は、半自動運転の方が、マインドワンダリングしやすいという結果も得られた。また、運転の楽しみについても、これまでの成果で、半自動運転の昨日のついた車のドライバーの方が、手動運転の車のドライバーよりも、運転の楽しみを高く感じていることが明らかになっている。
著者
石橋 喜美子
出版者
日本農業経営学会
雑誌
農業経営研究 (ISSN:03888541)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.32-41, 1997 (Released:2012-10-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4
著者
水野 和代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.98-105, 2011-09-30 (Released:2011-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
2

This research intends to present a measure to increase vegetable consumption by evaluating the difference in vegetable consumption awareness between young and middle to elderly aged groups by a questionnaire survey. Survey data was analyzed through factor and image analyses, e.g., the SD method. The result of the analysis showed that both groups were aware that vegetables are essential in diets and beneficial to health. Different responses were obtained for other parameters such as consumer benefit, image, and expectations from each group. Young respondents were less reluctant toward processed vegetables, expected results in their physical appearances, and anticipated immediate effects. On the other hand, middle to elderly aged respondents had a good image of fresh vegetables but not processed vegetables. These respondents expected health benefits and prevention of current and future diseases because of vegetable consumption. Therefore, to increase vegetable consumption, it is critical to identify measures that consider the difference in awareness between different age groups.
著者
横井 和美 山本 はるみ 北村 幸恵 平井 由香里
出版者
滋賀県立大学
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.61-70, 2005-03-31

背景 成人看護学では、看護の対象者である成人を総合的に理解し、成人がもつ健康へのニーズに対応できる看護を学ぶ。成人の役割や発達課題及び心理的ストレスの内容は、成人の発達段階別にその時期の特性として提示されているが、健康観や健康行動の特性については発達課題との関連で個別なものとし発達段階別での傾向や特性は示されていない。この健康観や健康行動は健康自己管理を左右する因子ともなり、発達段階別の特徴を理解しておくことは看護介入する上で必要な情報となる。目的 成人各期の人々の健康観や健康行動の特性を学習することは、対象者の状態にあった看護介入を行なう上でも重要であることから、成人各期の健康観や健康行動を調査し、生理的年齢区分での発達段階別に相違があるものか否かを検討し、成人期の人々の健康観や健康行動についての特徴理解を深める。対象及び方法 看護学生とその家族及び看護学生を取り巻く人々213名を対象に、健康観と普段の健康への取り組み内容の健康行動と、実際の不健康を生じたときの健康への回復行動をみるため風邪の対処方法についてのアンケート調査を平成15年4月〜7月に行った。発達段階別に健康観・普段の健康行動、風邪に対する対処方法を比較した。結果 青年期・成人前期の子世代と、成人中期・成熟期の親世代、老年期の祖父母世代間での比較では、健康観や普段の健康行動の内容に有意差(p<0.01)を認めた。個人の精神的な内容(気分爽快、リラックス等)に健康を求めた人は青年・成人前期に多かった。一方、普段の健康行動で、老年期の方は、医療への受診や社会活動の参加を他の発達段階の方よりも多く行なっていた。しかし、実際の風邪の対処方法の内容に各発達段階別の差は認められなかった。いずれの発達段階でも風邪症状の発熱の有無で対処法方が異なり、発熱を機に専門家に頼ることが示された。結語 成人の健康観や健康行動は、青年・成人前期の子世代と成人中期・成熟期の親世代、老年期の祖父母世代で相違があることが示された。しかし、実際の風邪の対処方法では発達段階の差はなく、症状によって健康行動が左右され、看護介入するタイミングが示唆された。
著者
丸山 一平 長井 宏憲 野口 貴文 友澤 史紀
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.823-828, 2000-06-01

本研究は,構造物に要求される性能から材料に求められる性能が定義できるという仮定の元で,要求された性能を満たすコンクリートの調合設計手法を確立することを目的としたコンクリートの要求性能型調合設計に関する基礎的研究である。本研究ではコンクリートに対する多くの要求性能値を同時に満たす調合問題を多目的最適化問題として扱い,遺伝的アルゴリズムを用いて,その解を導出するシステム構築を目指したところ、一定の成果が得られた。