著者
上田 睦
巻号頁・発行日
2009-03-04
著者
佐藤 文子 山口 浩 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
no.24, pp.12-26, 2008

PIL(Purpose-In-Life Test)はロゴセラピーの理論に基づき実存的欲求不満を測定する心理検査である。日本版PILではPart Aの質問紙法に加えてB(文章完成法)、C(自由記述)も数量化し標準化した。原案者のクランバウら1,3)はPIL得点は年齢要因とかかわりないと述べ、すべての年齢に共通する判定基準を示している。しかし日本版ではPIL得点に年齢要因が関与することが示唆され、'93のマニュアル12)、'98の改訂版13)いずれも年齢段階別の判定基準を設定してきた。しかしこれまでは高齢者のデータが少なく、年齢に若干偏りがあったこともあり、65歳以上はT値換算ができずにいた。'08の改訂15)では高齢者群データを補充し、年齢を今まで以上に厳密に統制して妥当性を再検討した。その結果、総得点では成人群と高齢者群の間に有意差は見られなかった。他方判定基準の設定に際しては主として総得点分布から35歳未満と36歳以上の2群に分けることになった。今回はA,BC共通に2群に分けたので、テストとしてはわかりやすくなったが、妥当性検討は総得点についての統計的分析に基づくもので、年齢要因の意味的側面についてはマニュアル、ハンドブックでは十分には論じられていない。 PILデータと年齢要因との関連について検討の必要な課題を整理してみると、 ①年齢を統制しての妥当性の検討に際して、10歳刻みでそれぞれの年齢段階の総得点の有意差を検討し、いくつかの年齢群に分けて妥当性を検討したが、年齢段階と得点差の関連については、'08のマニュアルおよびハンドブックでは充分に考察されなかった。 ②判定基準の設定に際しては総得点の分布の統計的な検討に加えて臨床的経験的解釈も加味して35歳以下と36歳以上の2つの年齢群に分けたが、この区分のロゴセラピー的意味については充分に論じられていない。 ③PILの解釈はA,BCの総得点の差のみでなく、BCの下位評価項目得点プロフィールや記述内容なども考慮してなされるが、これらの側面についての年齢要因の検討はマニュアル、ハンドブックではほとんどふれられていない。 本論文では総得点に加えてPIL得点を構成している諸側面に年齢要因がどのように影響しているかを検討し、それはロゴセラピー理論の観点からどのように解釈されるかを考察する。そのためにⅡでロゴセラピー理論において年齢要因が意味・目的経験にどのようにかかわると考えられているのかをフランクルならびにロゴセラピー関連の文献から検討する。次いでⅢでこれまでのPILデータを年齢要因あるいはライフサイクル論を考慮した群間で検討し直す。具体的には、(1)'08改訂のデータの年齢段階別の結果を再検討し問題点を整理する。(2)標準化データから年齢およびライフサイクル論を考慮していくつかの群を抽出し、①PILの標準的分析、②BC・人生態度局面の類型化の比較、③一般的人生態度と過去の受容・意味づけとの関連の群による特徴をPIL-B-2およびB-4項目の内容分析から検討する。
著者
横山 賢治 石川 眞 巽 雅洋 兵頭 秀昭
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2005年春の年会
巻号頁・発行日
pp.149, 2005 (Released:2005-05-24)

サイクル機構の提案する次世代解析システムが持つべきシステム構成(制御層と計算層の2階層からなるシステム構成と汎用スクリプト言語の採用)に基づき、高速炉の燃焼核特性データを炉心設計に効率的に反映するために必要となる新燃焼感度解析システムPSAGEP(Python-wrapped SAGEP-burn code system for Power reactor)の開発に着手した。開発方法として3種類の方法、(a)スクラッチ開発法、(b)カプセル化法、 (c)インクリメンタル法を考え、ここでは短期間で実働システムを構築することを目標にカプセル化法を採用した。新規開発する制御層とカプセル化モジュールの実装にはオブジェクト指向スクリプト言語Pythonを用い、複合部品の再部品化にはPythonの機能を使う。この方針では内部的に従来の構造が残るものの、ユーザは整理された新制御層のみを利用すればよくなり、既存システムの問題点を解決できる。
著者
小泉 友則
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.153-188, 2016-06-30

現代日本において、子どもの性をよりよい方向に導くために、子どもに「正しい」性知識を教えなければならない・もしくはその他の教育的導きがなされねばならないとする“性教育”論は、なじみ深い存在となっている。そして、このような“性教育論”の起源がどこにあるのかを探求する試みは、すでに多くの研究者が着手しているものでもある。しかしながら、先行研究の歴史記述は浅いものが多く、日本において“性教育”論が誕生したことがいかなる文化的現象だったのかは多くの部分が不明瞭なままである。そこで、本稿では先行研究の視点を引き継ぎつつも“性教育”論の歴史の再構成を試みる。
著者
八巻 一成 広田 純一 小野 理 土屋 俊幸 山口 和男
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.219-226, 2000-08-16
被引用文献数
7

森林レクリエーション計画においては, 利用ニーズに合った多様なレクリエーション体験の提供が重要な課題である。本研究では, このような視点からレクリエーション空間の計画, 管理のあり方を示したROS(Recreation Opportunity Spectrum)を取り上げ, わが国の森林レクリエーション計画における有効性を探った。まず, わが国における森林レクリエーション空間の実態とレクリエーション計画システムの現状を考察し, 課題を明らかにした。つぎに, ROSの成立過程, 基本概念, 計画作成プロセス, 適用事例について解説し, ROSとは何かを明らかにした。最後に, わが国の森林レクリエーション計画における意義および役割を検討した。その結果, ROSの特色であるレクリエーション体験の多様性という視点が非常に有効であると考えられた。
著者
柿野 純
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-39, 1992-07 (Released:2011-02-03)
著者
阿賀 倶子
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.433-444, 1976

先に陳・槌本が報告したBMRと血清PBIに関する研究と併行して,同じ日本の気候に曝露される日本人10名と,白人10名の被検者について,血清遊離脂肪酸(FFA)濃度を1972年6月から毎月1回1年間にわたりItaya-Ui変法を用いて測定した。<br>(1) 血清FFA値の年間平均値には日本人と白人の間に差がなかった。これは教室の山口の米軍人と日本自衛隊員と比べて前者が有意に高かったという報告とは異なる結果である。そして白人のFFA値は1, 2月の厳冬期に日本人に比べて低く,かつこの季に大きく低下する動きを示し,その年間変動率(49.6%)は日本人(25.2%)よりも有意に大きかった。この点も山口の結果とは逆であった。また白人でも日本に移住して間もない者の寒期の低下は著しかった。<br>(2) FFA値とBMR値とは,日本人では有意の正相関を呈したのに対し,白人では負の相関傾向を示した。両計測値を各個人の平均に対する各月の変動率でみると白人の負の相関係数は有意であった。また季節別にみると,夏期のFFA値とBMR値との関係は日本人,白人とも正相関の傾向にとどまるが,冬期には日本人は正相関傾向を示すのに反して白人では有意の負の相関を示した。<br>山口は冬の居住気温が日本人で10°Cも低かった事が主因となって,日本人の方がより強く寒冷に順応されたものと解しているが,(1), (2)の結果を綜合すると,本研究では逆に白人被験者の方が強く寒冷に順応したものと解される。したがってFFA値の水準や季節変動には人種的な差はなく,その寒冷期の居住環境が大きく関与すると推論された。血清PBI値とFFA値とは両群とも負の相関傾向を呈した。血清FFA値と基礎代謝の呼吸商(RQ)の間に年間を通じて有意ではないが負の相関傾向がみられた。
著者
岡本 良知
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.539-598, 1936-03

日本とフィリッピン群島との交通及び貿易を便宜上二期に分つて觀察しやう。前期は一五六五年エスパニヤ人の群島占據の始めより一五九〇年に至る二十五年間であり、後期はそれ以後の三十年間である。この二期の第一特徴は、前期に於ては全くその航海と通商を日本人が狗占し、後期に於ては彼我兩方面より船が往來し貿易に從つたことであり、第二には、前期に於ては外交上宗教上直接の関係が殆んど生やす、後期に於てはこれに反して事變續出して兩國の交渉が複雑錯綜したことである。本稿の目的とするところはこの前期に於ける兩國の交渉と通商とである。我等は先づ彼我兩國船の交通を研究し、然る後貿易上の現象を論じやう。
著者
第3調査研究グループ
出版者
科学技術・学術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-11 (Released:2014-02-13)

当研究所では、文部科学省の科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業の下で、マクロ経済モデルにより研究開発投資の経済的効果を分析し、その分析結果を政策立案へ応用していくための調査研究を実施している。 その調査研究の一環として、2013 年3 月に、EU やOECD において研究開発投資の経済効果分析及びその政策への適用等に携わる実務者を招聘し、国際ワークショップ「研究開発投資の経済効果測定モデルの政策適用に向けて」及び国際シンポジウム「研究開発投資の経済的効果の評価」を開催し、研究 開発投資の経済的効果の測定手法や政策への活用手法に対する理解を深める機会とした。 As part of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT) of “Science for RE-designing Science, Technology and Innovation Policy(SciREX)” project, NISTEP has been conducting macroeconomic analysis of the impact of research and development (R&D) investments to support related policymaking. On March 2013, NISTEP was holding international symposium and workshop in the presences of experts conducting similar/related R&D economic impact analyses to support policy formulation in the EU and OECD in order to provide the participants with deeper understanding of case examples for R&D economic impact analysis and their essential contribution to effective policymaking.
著者
大林太良著
出版者
角川書店
巻号頁・発行日
1973
著者
砂山 渡 錦戸 拓也 西原 陽子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.304-315, 2009-06-15 (Released:2009-10-08)
参考文献数
11

本稿では,地図型アニメーションインタフェースにおいて,観点の変化に伴って価値が変わるキーワードの検出と解釈を支援する手法を提案する.Web における検索ヒット数を用いて,キーワード間の関係を抽出する研究が盛んに行われている.キーワード間の関係は観点の数だけ存在し,観点による関係の違いの理解も必要となる.特に他のキーワードとの関係が大きく変化するキーワードを見つけることが重要となる.そこで,提案手法は観点の変化による関係の変化をアニメーションで表現する際に,価値(他のキーワードとの関係の強さ)が大きく変化するキーワードに印付けして着目を促す.提案する印付け手法は,印の有無と位置による効果を確認する実験から,関係の違いを理解することの支援に有効と確認した.