著者
寺本 潔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.89-109, 1984-02-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
38
被引用文献数
9

本研究は,子どもの知覚環境の発達とそのメカニズムを明らかにするために,熊本県阿蘇カルデラ内に居住する小学校2・3・5年生,および中学校1年生,計1,432名を被験者としてなされたものである. 調査方法としては,身近な地域を描いた手描き地図から読み取る方法と,周辺の地物を撮影したスライド画像に対する反応を分析する方法を用いた.前者により描かれた空間は,発達段階に従って外延的拡大を示すが,著しく動線に影響されることが明らかとなった.また,子どもにとって「意味のある空間」として, (1) 近道,抜け道 (2)「秘密基地」,「隠れ家」(3) こわい場所,「幽霊屋敷」を検出した.後者により,可視領域に位置する目立つ地物は,知覚環境を構成する重要な目印として作用していることが推察された. このような子どもの知覚環境の発達に関する基礎的な研究は,子どもの発達を内発力とする新しい地理教育のカリキュラム開発に寄与しうるものと考えられる.
著者
UCHIBORI Chie
出版者
東京女子大学言語文化研究会
雑誌
東京女子大学言語文化研究 (ISSN:09187766)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.16-35, 0000

この論文では、戦後の中学校の学習指導要領を分析することで、日本の英語教育の変遷を考察した。中学校は義務教育であり、その中で英語教育は途中から必修科目に変わったものの、戦後からずっと英語は学ばれてきた。学習指導要領は英語教育をどのような目的をもって行うのかが規定されているため、それを分析することで日本の英語教育の変遷を知ることができる。この論文では、学習指導要領を1)言語の4技能、2)コミュニケーション能力、3)国際理解、4)教育内容の政策の4つのキーワードに絞って分析した。この4つの問題の分析から、学習指導要領の英語に関する記述はその内容から3つの時代区分に分けられることがわかった。第1期(1947-1958):言語とその文化をともに学ぶことが目的第2期(1969-1977):実際的な外国語教授法が反映された内容へ変化第3期(1989-2012):知識としてではなく英語を実際に使えるようになることが目的国際理解の面でも、英語圏の人々についてだけではなく、日本も含めた世界を知ることに対象が変わってきた。つまり、日本の英語教育の目的は、次第に使えるようになるために言語そのものを学ぶことと、国際情勢を知るためのそれぞれに明確になった。すなわち言語面での目的は英語の実用能力の育成へと具体化され、他方、国際理解がはっきりと打ち出されるようになってきた変遷が明らかになった。
著者
小玉 健太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.879-883, 1999-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

筆者は, 生命の源である海洋からのSaccromyces cerevs cerevisiaeの分離を試み, 陸上由来のS. cerevisiaeと性質の異なる株を得た。それらをパンや清酒の製造へ利用した結果を紹介していただいた。
著者
浅井 冨雄 柯 史〓 児玉 安正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.675-684, 1998-10-25
被引用文献数
7

1987年の暖候期について東アジア・西太平洋上の雲の日変化を静止気象衛星「ひまわり」3号の赤外放射観測資料を用いて調べた。調査対象領域は北緯50度から南緯20度、東経90度から160度の範囲である。得られた主な結果は以下の通りである。(1)雲量日変化は大きな一日周期変動と小さな半日周期変動から成る。1日周期変動の振幅と位相は陸上と海上で大きく異なるが、半日周期変動の振幅と位相は陸上と海上で類似している。半日周期変動の雲量の極大は、地方時の3時〜5時と15時〜17時にみられる。(2)日周変化の位相の系統的なずれがチベット高原からその東方の中国大陸上でみられる。すなわち、雲量の極大はチベット高原上では夕方に、四川盆地では真夜中に現れる。日周変化の位相の東進速度は北米ロッキー山脈の東方でみられる降水頻度の日周変化のそれに類似している。局地的に誘起される対流活動に加えて、チベット高原で形成する雲クラスターの東進は中国大陸上の雲の日変化を理解するためには考慮されるべきであろう。(3)チベット高原の東方の中国大陸で日周変化の位相の東進は盛夏期に不明瞭になる。これは主に中国大陸で夕方局地的に発達する対流とチベット高原越えの上層偏西風の衰弱によると推測される。
著者
勝木 淳 高木 浩一 浪平 隆男
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.268-275, 2011-04-25
被引用文献数
12

パルスパワーは,宇宙,慣性核融合,超高エネルギー密度物性研究などの大型科学研究とともに発展してきた.最近では,小型化や高繰り返し化などの電源技術の飛躍的発展によって,光源,環境,医療,食品,農業など,身近なところで利用されつつある.パルスパワー技術入門の最終回となる今回は,パルスパワーの利用形態を述べ,いくつかの特徴的な応用を挙げその概略を述べる.
著者
竹内 敏己 藤野 清次
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.9-26, 1995
参考文献数
14

In this paper we study theoretically on some mathematical properties of the matrix of the linear system of equations which stems from discretization of n-dimensional Laplace equation by finite difference approximations. The mathematical properties, i.e., the maximum and minimum absolute eigenvalues, the eigenvectors and the condition numbers of the coefficient matrix A and the Jacobi matrix B of the iterative method are estimated. The discretization by the finite differences in n-dimensions is made using the nearest and skewed neighboring grid points. The effectiveness of the variants of the finite differences is shown throughout this study.
著者
多田 千佳 柳田 高志 佐賀 清崇 ベスピャトコ リュドミラ バティスタ エルマー 藤本 真司 美濃輪 智朗
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.869-876, 2009 (Released:2009-11-24)
参考文献数
25

The economic impacts, CO2 emission, and change in industrial structures using rice husk power plant in Japan were investigated using input-output table of Japan. The direct and second economic impacts by investment to the rice husk power plant sector were 1.5 times higher than that to the power sector. The flow of money shifted to the agriculture, forestry and fisheries sector during introduction rice husk power plant. Increasing rate of using rice husk power plant induce the high-value added and the low CO2 emission society with a very little change in industrial structure.
著者
石橋 勇人 岡部 寿男 櫻井 恒正 金澤 正憲
雑誌
分散システム運用技術シンポジウム'97論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.87-92, 1997-02-06

京都大学では、全学をカバーするATMネットワークであるKUINS-II/ATMを1996年3月に導入した。このATMネットワークは、総計260台のATM交換機からなる大規模なものであり、交換機間を接続する回線容量は1.8Gbpsから311Mbpsとなっている。京都大学には、すでに全学をカバーするキャンパスネットワークであるKUINSが敷設されているが、 KUINS-II/ATMの基本的な考え方は、従来からあるキャンパスネットワークを置き換えてしまうのではなく、従来のネットワークを活かしつつ、これまでにはで
著者
萩原 剛
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.710, pp.110-113, 2002-01-21

「初めて超高層ビルの設計を手掛ける際,外装デザインをどうすべきか迷っていた」。竹中工務店設計部の萩原剛氏はこう話す。モジュールを統一してデザインすれば,大面積の「繰り返し」デザインの外装が出来上がる。印象が薄れはしないか……。萩原氏がデザインのヒントにしたのは,2人の巨匠のマリオンだった。
著者
渡辺 賢悟 伊藤 和弥 近藤 邦雄 宮岡 伸一郎
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.58-65, 2010

キャラクタデザインは,ゲームやアニメといったコンテンツ制作において重要な作業である.デザイン作業は複数人のアイデアを,コミュニケーションを介してまとめながら進められるが,絵が描けるデザイナと描けない者の間でアイデアの視覚化の能力に差があるため,アイデアを交換・共有するのが難しい現状がある.本研究では,絵が描けない者のアイデアの視覚化を支援するため,絵画手法の1つであるコラージュに着目する.複数の既存画像から一部分を切り出し,組み合わせるだけの作業で視覚化を行えるシステムを提案する.画像合成処理にPoisson Image Editingを用いることで,高品質なコラージュ結果を実現する.また,合成部品の切り取りを簡単にするため,部品領域の最適化処理を実装する.作成したシステムと,従来のソフトウェアを使用して視覚化した結果を比較し,システムの実用性を検証する.

1 0 0 0 薬理学

著者
王宝禮 [ほか] 編
出版者
医歯薬出版
巻号頁・発行日
2008