著者
前橋 明 浅川 和美 石井 浩子 本保 恭子 奥富 庸一 長谷 川大 松尾 瑞穂 泉 秀生
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

全国的な生活調査や体力・運動能力測定の実施から、子どもたちの抱える心やからだの問題点を見いだし、それらを改善するための計画を立案してきた。そして、調査・測定地の行政(教育委員会、子ども支援課など)や教育・保育・体育の関連団体(保育士会や幼稚園連盟など)と連携し、健康づくりのための実施可能な対策を立てて実行に移してきた。中でも、(1)子どもの個別の生活と健康実態が診断できるシステムや、(2)データ分析を通して育まれた基本的な健康づくりの考え方(近年の問題発現に関する理論)、および、(3)健康づくり運動を実践・普及するシステムを構築した。
著者
窪田 暁
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、ドミニカ共和国(以下、ドミニカ)からアメリカに渡る野球選手を対象とし、彼らの移動経験とスポーツを介した国際移動の実態を民族誌的に記述することを通して、「野球移民」の背景にある近代スポーツ文化の「土着化」の過程を明らかにし、国際移民研究のなかに「野球移民」を位置づけることである。そこで、昨年度から継続中の(1)ドミニカ国内の野球システムについての実態調査(2)野球がどのように土着化しているのかを解明する(3)アメリカのドミニカ移民コミュニティにおける野球への関わりについての調査を実施した。(1)の調査では、昨年度に調査したベースボールアカデミーを退団した選手にインタビュー調査をおこない、アカデミー経験がどのような意味をもつのかについて聞き取りをおこなった。(2)に関しては、ひとつのコミュニティにおける参与観察から、野球が人々の日常生活や価値観を規制していることがあきらかとなった。また、(3)のアメリカでの移民コミュニティでおこなったインタビューならびに参与観察からは、移民社会において野球が祖国と移民をつなぐ役割をはたしている様相を観察することができた。これらの調査結果は、研究代表者が「野球移民」と呼ぶカテゴリーの実在性を、完成された選手送出システムとドミニカに根ざした野球の文化性の事例から実証可能であることを示している。先行研究が野球の伝播やスポーツ帝国主義の視点で論じてきたことで野球選手の移動とその背後にあるスポーツの文化性については見過ごされてきた。本研究がおこなった現地調査でのデータから、「野球移民」の背景にある野球文化があきらかになりつつある。これらの調査結果は、学会や研究フォーラムで随時発表をおこなっている。
著者
近藤 拓也 山際 貴志 山中 光司 山本 正信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.247-255, 1997-01-25
被引用文献数
27

これまでの動画像の解析では, 連続する画像間の対応付けに始まり, もっぱら対象の運動パラメータや3次元情報といった物理的・幾何学的情報の抽出が中心課題であった. これに対して, 我々は人間の動作について「上手である」とか「美しい」とかの印象を定量的に把握することを目指している. 本論文ではスキーにおける滑りを取り上げ, 滑りの動画像を解析することにより, 滑りの上手さを判定することを試みた. 実際, 動画像から得られた動作の運動パラメータから, 動作の対称性や滑らかさなど動作の特徴を抽出した. これらの特徴を用いて滑りの上手さを判定することができた. この判定結果は, 同じ動作を観察したときの人間の受ける印象と一致している.
著者
佐々木 良一
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.155-160, 2009-03-01
被引用文献数
2 2

近年,利用が増大しつつあるデジタル署名は,電子の世界のはんこの機能を実現するものであり,その安全性は公開鍵暗号の安全性に依存している.したがって,公開鍵暗号が危殆化した場合のデジタル署名ならびに署名付文書への影響とその対策を検討せざるを得ない.そこで,公開鍵暗号の危殆化が近く生じることが明確になった場合に,既存の署名付き文書に関連した各種対策の最適な組合せを対策費用とリスク低減効果のバランスを考慮しつつ求める評価方法を開発した.さらにその方法を適用し,ある想定した状況における最適な対策案の組合せを求めたので,その適用結果を報告する.
著者
鋤柄 佐千子 與倉 弘子 松平 光男 北口 紗織
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

布の新しい価値を提案するために、布から得られる,視て触って感じる情報に関係する有効な特性値の抽出を進めた。主な試料は、西陣織物,絹、綿のちりめんである。その結果、視感では西陣織物の中に挿入される金糸の効果や織柄の特徴を識別できる評価方法をみつけた。この方法は、特定の光の当たる角度/見る角度の組み合わせで、布を回転させながら測定する。触感では、絹のちりめんの特に厚さを変えることで、適したシルエットが設計可能なことを示した。またちりめんのしぼ形状と綿素材の吸湿性能に及ぼす強い撚り糸の効果がわかり、それがさらっとした触感に寄与している。
著者
佐藤 亮一
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.130, pp.165-167, 2000-03-15
著者
古谷 毅 犬木 努
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

家形埴輪は多様な埴輪群の中枢部に配置され、形象埴輪の中で最初に出現し前方後円墳の終焉まで造られた代表的な埴輪で、古墳時代集落や居宅の景観と他界観(世界観)が象徴的に反映しているとみられる。本研究では家形埴輪の群構成・階層性と東アジア農耕社会の建築・家形造形品との比較・検討から、日本列島の地域統合に大きな役割を果たした古墳葬送儀礼を分析し、古代国家形成期にあたる古墳時代の他界観(世界観)の解明を目標とした。形象埴輪群・家形土器の調査を実施すると共に、情報共有化のために古代史研究者を交えて古代手工業史における埴輪生産や家形埴輪の儀礼的意義の検討や韓国・家形土器と比較・検討する研究会を開催した。
著者
岡田 至 奥井 周子 関根 真波 高橋 洋治 福地 俊樹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.69-73, 1992-02-20
被引用文献数
6

われわれは先にN-(4-tert-ブチルベンジル)-4-クロロ-3-エチル-1-メチルピラゾール-5-カルボキサミド(tebufenpyrad, Code No. MK-239, Pyranica^[○!R])が, 高い殺ダニ活性を有することを報告した.さらに高活性な化合物を目標に, 26種の二環式ピラゾール誘導体(IV)を合成し殺ダニ活性を試験したところ, シクロペンタン環を有する化合物が高活性であることを見いだした.その中で, N-(4-tert-ブチルベンジル)-2, 6-ジメチル-2, 4, 5, 6-テトラヒドロシクロペンタピラゾール-3-カルボキサミド(21)が最も高い活性を示し, テトラニカス属やパノニカス属のダニに対してMK-239に匹敵する活性を示した.
著者
兼子 良夫
出版者
日本都市学会
雑誌
日本都市学会年報 (ISSN:09114424)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.341-345, 2013
著者
関沢 純 大竹 千代子
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.295-300, 1992-11-20

農薬による人の健康と環境へのリスクを正しく評価することは重要である.問題の所在を知る上で, 農薬の永年にわたる使用量の変化, 現行の規制内容, 国際機関によるリスク評価の現況を知ることは大きな参考となる.著者の開発したデータベースを用いて国内で1975年から1990年(農薬年)において使用量の多かった41農薬について, 使用量の推移, 国際機関によるリスク評価の結果(FAO/WHO合同残留農薬委員会による一日許容摂取量の評価の概要など)と国内の規制状況(残留基準の有無など)を検討し, 今後必要と思われるリスク評価のニーズを指摘した.一例としてはDichloropropene, Chloropicrin, Methyl bromideなどくん蒸剤の使用量が増加しつつあり, 使用者への健康影響および生態系への影響の評価と管理が課題と考えられた.
著者
田中 圭介 杉浦 義典 竹林 由武
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.146-155, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

マインドフルネスとは,“今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく,能動的に注意を向けること”として定義される自己の体験に対する特殊な注意の向け方である。マインドフルネスの個人差を規定する要因として,注意機能の関連が指摘されている。しかし,注意機能のどの側面が,どのような交互作用でマインドフルネスに関連するのかについては,これまで明らかにされていない。本研究では,大学生を対象にAttention Network Test(Fan et al., 2002)とマインドフルネス傾向(Baer et al., 2006)を測定した。階層的重回帰分析の結果,注意の喚起機能が低い時には,注意の定位機能はマインドフルネスと正の関連を示す一方で,喚起機能が高い場合には,定位機能はマインドフルネスと負の関連を示した。これらの結果は,マインドフルネスの個人差の規定因として,注意機能を交互作用から捉える必要性を示唆する。
著者
佐瀬 卓也 阪間 稔 黒崎 裕 木下 悠亮 荒川 大輔 桑原 義典 入倉 奈美子
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

医療施設や研究施設で用いられる放射性ヨウ素等の放射性廃液を、放射性物質回収材(シクロデキストリン重合体(CDP)、食品用活性炭等)を用いて簡便に捕獲する方法を開発した。β-CDP、活性炭、2者混合、を試験しそれぞれ99. 2%、86. 6%、85. 5%の捕集効率を得た。回収した放射性物質は放射線計測により数値または画像にて定量可能であった。本法は放射性ヨウ素の簡便な捕集に有効であり、臨床の場における放射性廃液の一次処理及び原子力災害時に汚染された飲料水の簡易浄化にも応用が可能であると思われる。