著者
柄澤 清美
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.115-132, 2003-03-10

浴風園は、1927年に恩賜財団浴風会によって設立された養老施設である。浴風園は、恩賜財団の豊富な資産をもとに内務省直轄の運営が行われ、当時としては質の高い養老施設とされていた。しかし、これまでの浴風園の評価は、社会福祉的視点からのものが多く、医療についての評価が不十分であった。今回の論文は、浴風園における、高齢者医療保障前史ともいえる医療を看護学的および経済学的に分析したものである。まず、浴風園がどのような社会的必然性によって設立されたかをふまえ、それによりどのような医療システムを作ったかを論じた。それから、医療の展開過程を分析した。すなわち、老人の医療ニーズおよび看護ニーズがどのように明らかにされ、それにどう対応したかについて論じた。また、尼子富士郎の老年医学研究の業績について論じた。そして、それらをふまえて、浴風園における医療活動を高齢者医療保障前史として位置づけた。
著者
宮西 香穂里
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、ジェンダーの視点から、プエルトリコの米軍基地と地域社会についての分析を試みることである。その際、交際・結婚、売買春および反基地運動の3領域に焦点を当てる。以上の研究目的にもとづいて、関連文献のレビューを行い、日本文化人類学会やAsian Studies Conference Japan (ASCJ)において報告した。今年度は、昨年行ったプエルトリコでの現地調査の資料整理を中心に進めた。特に、米海軍基地が撤退した後の基地の街、セイバや基地周辺に住む人々について調査を行った。セイバの基地周辺で、米軍を相手としたバーを経営する50代のプエルトリコ人女性は、基地があった頃の生活を振り返り、米軍基地との思い出を語った。また、彼女は、プエルトリコの東部、ビエケス島での基地反対運動について厳しく批判をした。インタビューの最後には、現在抱えるバーの深刻な経営問題について語り、基地撤退後の苦しい生活を話した。その他のインタビューからも、基地撤退後の基地の街で生きる人々の抱えるさまざまな問題が明らかになった。また、インタビューの資料整理に加えて、随時プエルトリコの米軍基地に関する文献調査を継続した。以上のように、米軍基地と基地周辺の地域社会の関係は、非常に複雑であり、多くの地域住民が米軍基地にさまざまなかたちで関係している。また、米軍基地反対運動を通じて、プエルトリコは沖縄やハワイなど米軍基地をかかえる様々地域とつながっていることがわかった。今後は、さまざまな立場で米軍基地と関係する人々の視点から、米軍基地と地域社会との重層的な関係を考察していきたい。
著者
馬場 智一
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

平成24年度は交付申請書に記載した研究実施計画のうち(1-3)~(1-5)および(2-1)~(2-3)を遂行した。これによりレヴィナスによる西洋哲学批判には以下の二つの重なり合う焦点があることが明確になった(1)パルメニデス、プラトンから始まる「融即」の哲学の歴史。(2)特にその中でも近代哲学の前提する主体概念の「照明」構造。上記の二つの焦点は、レヴィナスが翻訳したフッサールの『デカルト的省察』とレヴィナスが聴講したハイデガー講義『哲学入門』における相互共存在をめぐる対立にその出発点がある。融即概念はハイデガーがこの講義で「前学的」な現存在の相互共存在を特徴づける際に訴える「マナ表象」に近いものである。レヴィナスは、社会性の存在論的基礎をこうした相互的な合一に置くことに対して強く反対し、またフッサールのように照明の構造を備えた「閉じた」モナドから出発することも拒否した。この批判はしかし外在的批判ではなく、そもそも融即状態とは何かについての現象学的な分析に支えられている。この分析がいわゆる「イリヤ」の概念であり、ハイデガーやフィンクの「像」論への批判もこうした背景から初めて理解される。レヴィナス自身の立場は、同僚のジャコブ・ゴルダンの影響下、マイモニデス以来の無限判断の論理に基づいている。レヴィナスは西洋哲学を〈同〉の哲学の歴史として大胆に批判していることはよく知られているが、それが前提とする「融即」概念がどのようなものなのか、正確な吟味はなされてこなかった。また非常によく知られた「イリヤ」概念がそうした批判的哲学史観とどのような関係にあるのかも余り論じられなかった。さらにはその出発点にあるフライブルク留学期の意義が、その後の思想展開に照らし合わせて推し量られることも稀であった。平成24年度の研究成果はこうした現状に対して大きな貢献ができたといえる。
著者
白井 清昭
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題では、ユーザの質問が暖昧であったときに、ユーザに対して問い合わせを行うことによって適切な解答を選択する対話型質問応答システムを構築することを目的とする。前年度までは知識源となるコーパスとして新聞記事を用いていたが、獲得できる知識に偏りがあるという問題点があった。本年度は、より多様な知識の獲得が期待できるウェブを知識源とし、そのために必要なシステムの改変に取り組んだ。ユーザの質問の暖昧性を検出するために、ウェブページ上の表を抽出する手法とテキスト解析に基づく手法の2つを考案した。ウェブページ上の表を抽出する手法では、ユーザの暖昧な質問に対し、それに対応する複数の解答を一覧表示している表をウェブから発見し、ユーザに提示する。質問文中の主要なキーワードが表の1行目または1列目にあるか、残りのキーワードが表の近傍にあるか、表の一行または一列上にあるテキストが質問に対する解答タイプと一致しているか、などの条件をチェックし、条件を満たす表を抽出する。一方、テキスト解析に基づく手法では、まずキーワード検索でウェブページを獲得し、解答候補を抽出する。次にキーワードの周辺にある限定表現をパタンマッチによって抽出する。最後に共通の属性を持つ限定表現をまとめて解答群を作成し、ユーザに提示する。さらに、まずウェブページ上の表を抽出を試み、ユーザに提示するのに適切な表を発見できなかった場合にはテキスト解析に基づく手法で動的に解答群を作成するという形式で、提案する2つの手法を併用するシステムを作成した。評価実験の結果、2つの手法を併用することにより、より多くの質問に対して適切に暖昧性を検出できることを確認した。
著者
中里 富美子 長谷川 幸雄 左 篤子 赤司 一武
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 家政科・一般教育・音楽科編 (ISSN:02888645)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.33-46, 1986-03

1.4地区世帯の平均的栄養摂取状況は、全国平均パターンとほぼ同様で、ビタミンA、B_2などの微量栄養素の摂取が若干低い結果であったが、大旨良好な摂取であった。2.食品群別摂取状況をみると動物性食品(魚介類、獣鳥肉類)に偏っているので、穀類、油脂、豆類、緑黄色野菜などの摂取増をはかり、動物性食品の過剰摂取を適正にする必要がある。3.また栄養摂取量の分布をみると、世帯間の格差が著しく、過剰摂取群および、不足摂取群に対する何らかの改善が必要である。4.そこで、エネルギー脂肪摂取を過剰摂取群、適正摂取群、不足群に、その他の栄養素の摂取を充足群、不足群に群別し、各栄養摂取のレベルの違いによる摂取食品の差異について検討した結果、(1)エネルギー摂取の違いは、全般的な食品摂取量の差異に起因する。(2)脂肪摂取の違いは、主に油脂類、獣鳥肉類の摂取量に起因する。(3)蛋白質摂取の違いは、動物性食品とくに、魚介類の摂取量差に起因する。(4)カルシウムは乳類、また鉄は魚介類の摂取量に最も差異が著しかった。(5)ビタミンAは、量的な差異によるものであり、主摂取源である緑黄色野菜、獣鳥肉類、卵類の摂取量に差異が著しかった。(6)ビタミンB_1、B_2は、乳類および獣鳥肉類に差異が著しかった。(7)ビタミンCについては、摂取源が野菜と果実および、果汁飲料などに限定され、摂取量の差異が著しかった。以上のように、その摂取の差異は多く魚介類および獣鳥肉類の摂取の差異に起因していることから、業態の違い、即ち漁業世帯とその他の世帯との差異によるものではないかと推察されるので、その点に関する検討結果について次回に報告する。この研究の一部は、第29回日本栄養改善学会において発表した。終りに本調査実施にあたりご協力いただきました野母崎町役場職員の方々、調査世帯の各位、非常勤講師関タマノ氏、本学家政科補助員の方々、学生一同に深く感謝する。本研究のまとめに際し、終始ご協力くださいました本学補助員、森部みゆきさんに心より御礼を申し上げます。
著者
鈴木 恵二 川村 秀憲
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

大規模計算の能力を活用し,意思決定手法の活用において,利用者の負担を軽減し簡易にかつ素早く意思決定を行なうための理論開発をおこなった.具体的には,意思決定手法としてAHP(Analytic Hierarchy Process)を取り上げた.AHPの利用における問題としては,評価項目間や,各評価項目における代替案間の全ての一対比較をしているため,評価項目数,代替案数が多いと一対比較数は膨大となるという弱点,すなわち,多数代替案問題がある..本研究では,この問題点に対するアプローチとして,多数代替案問題を一対比較の順序決定にかかる探索問題と考え,大規模並列計算を使った先読み探索手法の開発を行った.
著者
植草 一世 大木 みわ
出版者
植草学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は,保育者養成で,ロール・プレイングと同様に絵本作りの楽しさやメッセージ性を学生に気づかせ内面性の成長を助けることを主眼とした。結果を見ると,絵本作りによって自分の経験の振り返りと統合が促進された。子どもの絵本作りを手伝うことで,学生は子どもの内面に触れることができ,子どもの理解が深まり,関わり方に自信を持つことができた。子どもにも,内面性の成長に役立つことが分かった。さらに幼児の絵本に表現された内容や素材の分析を行い,3つの個性を把握した。幼児の絵本作りを手伝う時に,その個性に合わせた援助が幼児の成長にとって大切であり,学生の保育者としての資質もさらに高まるものと考えた。
著者
COORAY Nawalage
出版者
国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

二年間にわたる"かけんプロジェクト"が今年の三月に終わりました。二年間のプロジェクト期間に、様々な国々の様々な様相の紛争について考慮しながら、紛争の根本的要因やどの様に国際社会が紛争の解決に関与できるかなどの重要な問題について研究がなされました。世界の様々な国の研究者から委託した論文を遅れずに受け取る事ができました。何人かの研究者は著名な大学教授であり、彼らは多くの論文を出版していました。多くの研究者はNepalやCambodiaやSri Lankaといった紛争によって影響をうけた国で働いた経験があります。現段階では、すべての原稿を委託した研究者から受け取った段階で、これらの原稿を一つの論文として編集しているところです。この原稿の編集が終わった後、Conflict formation,Development of International Cooperationというタイトルの本の執筆に取りかかろうと考えています。この本は全部で10程の章から構成され、それらはこれまでに提出されたレポートに基づいたものにしようと考えています。これらの活動に加えてdissemination conferenceという会議が2007年11月にUniversity of Colomboとの協力で開かれました。また、私個人としてもdisseminating seminarsをカンボジアとネパールで行いました。
著者
金山 直樹
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ユーザのID情報を公開鍵とする暗号系で用いられるペアリング関数についての研究を行った.ペアリング関数は楕円曲線と呼ばれる曲線の2つの点を入力とし,例えばRSA暗号などの処理の数倍のコストがかかるが,本研究では,数学的アプローチ・実装手法の最適化などを総動員しいくつかの高速ペアリング計算法を得た.また,ペアリング暗号の安全性の根拠の1つであるペアリング逆問題についての考察も行った.
著者
弥久保 宏
出版者
東北福祉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

(1)選挙キャンペーン世論調査における政党支持の動向や主要政党のマニフェストを比較して、キャンペーンの選挙結果に及ぼした影響を探ってみた。保守党と労働党の二大政党間におけるマニフェストの大きな相違は見られなかった。世論調査ではサッチャー保守党長期政権に対する国民の不満や変化を求める世論を反映して、労働党優勢であった。これに危機感を抱いたメジャー首相率いる保守党は選挙戦中盤からなりふり構わない労働党に対する中傷やスキャンダルキャンペーンを展開した。特に、労働党はテレビでの党の広告番組でいわゆるヤラセ番組を放映するなど、大失態を演じ、取り返しのつかないダメ-ジをこうむってしまった(2)選挙結果とその分析選挙結果の地域的特性、社会的属性、社会的・経済的地位、労働組合員と住居形態と投票行動において、従来とは異なった現象が今回の選挙では明らかになった。特に、労働組合員と住居形態との関係では、サッチャー政権時代に行なわれた公営住宅政策によって公営住宅の払下げを受けた労働者階級の労働党支持から保守党支持へのスウイングは労働党の政権奪回戦略の根本的な見直しを迫るものとなりそうである。
著者
川端 基夫
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

外食企業の海外進出については、一般にメニューや味を進出先の食文化にいかに適合させるかに関心が集まる傾向が見られる。しかし、本研究では、海外進出の成否はむしろ現地で効率的なオペレーションシステムを構築できるかどうかが鍵を握ることが明らかとなった。オペレーションシステムとは、すなわち食材調達、店舗開発、人材育成の3つをさす。それらを各企業が単独で構築することは困難を極めるが、近年では、それらのシステム構築を支援する多様な日系企業が海外進出を進めているため、中小の外食企業であっても比較的容易に海外進出が可能となっている。このことが、外食グローバル化を促進させる要因となっていることも明らかとなった。
著者
新保 達也 東野 翼 大薮 多可志 木村 春彦 南戸 秀仁
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン準部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A publication of Sensors and Micromachines Society (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.126, no.7, pp.370-375, 2006-07-01
被引用文献数
5 2 1

Plant can recognize the environmental factors, for example temperature, humidity, atmospheric pressure and light intensity. Humans can identify the capabilities by measuring the plant bioelectrical potential. It can also recognize the breezing wind. Plants can be regarded as an environmental sensor by using the potential. In this study, the bioelectrical potential characteristic to the wind grade was examined. As for the results, the correlation between the characteristic and the grade was derived. The correlation coefficient was very high. The integrated value for the potential was adopted to derive the relation. Plant can identify the wind intensity by adopting the value. It became obvious that plant has higher capabilities to sense the environmental factors not only temperature, humidity and light intensity but also wind intensity. The application field of plant will spread by using these results.
著者
新保 達也 大薮 多可志 広林 茂樹 竹中 幸三郎
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. E, センサ・マイクロマシン準部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. A publication of Sensors and Micromachines Society (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.470-475, 2004-12-01
被引用文献数
5 11 2

The bioelectric potential of a foliage plant changes according to an occupant's behavior, for example entering the room in which the plant is installed, as well as watering and touching the plant. The potential shows the impulse responses due to the behaviors. In this study, the integrated values of the bioelectric potential were adopted to identify those behaviors. There are two types of values. Those were derived by integrating the bioelectric potential characteristics for a minute (<i>v</i><sub><i>m1</i></sub>) and for an hour (<i>v</i><sub><i>h1</i></sub>) respectively. The histogram of the values <i>v</i><sub><i>m1</i></sub> for the steady state perfectly took a normal distribution. The frequencies of <i>v</i><sub><i>m1</i></sub> for the behaviors were different compared with the steady state distribution. The system can identify the behaviors by examining the frequency table of <i>v</i><sub><i>m1</i></sub>. Conversely, it is thought the plant gives us some suggestions using bioelectric potential characteristics. A clue for communication between humans and plants was also obtained. The <i>v</i><sub><i>h1</i></sub> becomes higher as the average room temperature (<i>t</i><sub><i>r</i></sub>) becomes lower. There was a negative correlation between <i>v</i><sub><i>m1</i></sub> and <i>t</i><sub><i>r</i></sub>. There were two groups in the scatter diagram of the variables <i>v</i><sub><i>m1</i></sub> and <i>t</i><sub><i>r</i></sub>.
著者
鍛代 敏雄
出版者
國學院大學栃木短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

平成22年度は、本研究課題の基盤調査研究と位置づけ、両八幡宮の古代・中世における祭祀関係史料を蒐集・調査し、データを集積した。平成23年度は、展開的な研究を実施し、研究会を開催し歴史的な意義を究明した。平成24年度は、総括的な研究と位置づけ、調査・研究した史料データの公開を前提に、本研究を促進するための研究に入った。当該の祭祀儀礼関係史料と神国関係史料の網羅的なデータベースを構築した。
著者
高野 晋吾 上羽 哲也
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

膠芽腫の増殖制御を考え、血管新生因子FGF2特異的な抑制物質としてFGF2受容体に対するアンチセンスホモロジーボックス(AHB)に注目した。コンピュータープログラムによるすべての可能なAHBの探索により、FGF2受容体の標的ペプチドに対応する相補ペプチドを13種類合成した。合成ペプチドの血管新生抑制効果をin vitroヒト血管内皮細胞の増殖試験で確かめた。予想に反して、合成ペプチドに非常に強い内皮細胞増殖効果、FGF2シグナルの増強を認めた。FGF2受容体に対するAHBペプチドの血管新生促進効果の特異性を確実なものにして、さらにin vivo脳梗塞モデルでの血管新生療法を考案した。
著者
上村 智子
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.714-720, 2005 (Released:2006-09-22)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

介護保険制度による改修サービスの課題を検討するために追跡調査を行った. 2002年度広島県三原市の改修申請者88名 (77.4±8.9歳, 女性61名・男性27名) を対象とした. 2002年度全申請者から死亡者39名と転居者7名を除く323名に調査を依頼した (承諾率27%). 改修541±120日後に利用者宅で実施した. 15名 (17%) が, 改修したトイレ・浴室・外出口いずれかの使用を6カ月以内に中断した. 3件は屋内で車いすを使うための改修であり, 改修直後に使用が中断された. 12件は段差解消以外の改修であり, 利用者の心身機能低下後に中断された. 認知障害者の改修設備の6カ月以内の使用中断のオッズ比は, 障害なしの者より高かった (p = 0.001). 車いす導入改修と認知症高齢者の改修の課題が明らかになった.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1396, pp.90-93, 2007-06-18
被引用文献数
1

北九州市の北西部にあるひびきコンテナターミナル(HCT)。日本海側で唯一、大型貨物船が入れる水深15mの岸壁が700m続き、巨大クレーンが並ぶ。しかし、東京ドームが7個入る広大なコンテナヤードに、貨物がほとんどない。 HCTがオープンしたのは2005年4月。
著者
柳田 康幸
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.29-36, 2014

A survey of technologies related to localized scent delivery by using vortex rings is provided. Scent delivery is one of important technical fields that compose olfactory displays. Among various techniques for scent delivery, use of vortex rings has been proposed to deliver scents relatively long distance through free space. Equipment that expels vortex rings is called an air cannon. Although several researchers have designed and built air cannons as parts of their display systems, design parameters of air cannons have not been discussed systematically. In this paper, technical fields that compose olfactory displays are briefly surveyed to clarify the standpoint of scent delivery techniques, and then relationship between design parameters of an air cannon and its performance is discussed. In addition, some ongoing studies on air-cannon-based olfactory displays are introduced.
著者
橋口五葉 編
出版者
日本風俗図絵刊行会
巻号頁・発行日
vol.江戸末期時代 下巻, 1918
著者
服部 雅之
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

チタン-銅(10%含有)合金が、チタンの融点低下ならびに研削性向上の観点から有用なことは既に報告している。しかしながら歯科鋳造用として臨床応用するには機械的性質、特に延性の改善が必須である。研究代表者らは現在までに数種類の添加元素に着目し、三元合金化による改善を試みてきた。なかでもチタン-銅(10%含有)合金にクロムやパラジウムを数%添加した試作合金鋳造体の機械的性質を評価したところ、延性の向上が認められたが何れも3〜4%程度であった。本年度においては、延性のさらなる改善のために、パラジウム添加量を増加させた試作合金の特性評価を行った。これは、前年度までの研究成果からパラジウムの添加量が増すにつれ伸びの増加が著明であることに着目したことによる。パラジウム添加量を7.5mass%、10.0mass%とし、Ti-Cu-Pd三元合金を溶製し、歯科鋳造法により試料を作製した。引張試験の結果から、パラジウム添加量7.5%(Ti-10.0Cu-7.5Pd合金)および10.0%(Ti-10.0Cu-10.0Pd合金)鋳造体の引張強さはそれぞれ885MPa,893MPaであった。また、0.2%耐力はそれぞれ736MPa,735MPaであった。昨年度までの結果(1.0,3.0,5.0%添加試料およびTi-Cu二元合金)と比較すると、それぞれの強さに変化は認められなかった。伸びは、7.5%添加試料で4.5%、10.0%添加試料で3.5%を示し、Ti-Cu二元合金の値と比較し、有意に大きな値を示した。以上の結果よりTi-10.0Cu合金の延性の低下は、パラジウムの添加により強度が低下することなく、改善されることが明らかとなった。チタンへのパラジウムの添加により耐食性も向上するとの報告がある。現在、歯科鋳造用合金として市場で入手可能なのは、Ti-6Al-7Nb合金のみであるが、今回の結果は、新たな歯科鋳造用合金を開発していく上で有益なものであると考えられる。臨床応用への課題としては、いくつかの問題もあるが、今後の検討課題として取り組んでいく予定である。