著者
小田 和也 小林 寛和 竹村 和彦 竹内 豊 山田 哲生
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.25, pp.17-20, 2003-03-28
被引用文献数
13

我々は、1つのマイクロレンズ下に感度の異なる2つのPDを配置した全く新しい構造のCCDを新規に開発した。2つのPDはそれぞれ、高感度PDと低感度PDとして独立に機能しこの情報を専用の信号処理を行う事で、今まで、部分的に明るすぎて白飛びしていた撮影シーンなどにおいて、従来再現域に対して約4倍の明るさまでの情報を低感度PDで再現できるようにした。特に逆光シーンやハイコントラストシーンなど今までDSCの苦手だったシーンを克服し、撮影領域を拡大した新しいコンセプトの第4世代スーパーCCDハニカムの開発したので報告する。
著者
水野 健一 松井 敦男
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1.ピレン微粒子を分散したメリクリル酸メチル高分子(PMMA)膜試料をオスミウム処理し、濃淡をつけたものについて電子顕微鏡観測し、微粒子の粒径分布を求めた。その分布はおおよそガウス型でり、分布の山は32Å、半値幅は15Å、上限は約50Å、下限は約15Åであった。2.バルク・ピレン結晶では、低温において結晶構造が2相存在するので、まず、140K(高温相)において波長幅40cm^<-1>以下の光を用いて、蛍光スペクトルを測定した。我々が得られる粒径分布の範囲内では、確固たる自己束縛励起子発光は確認できなかった。続いて、2K(低温相)において、発光スペクトルを測定した。この発光スペクトルからも確固たる自己束縛励起子発光らしき物は見られなかった。このことは、微結晶において励起子は自己束縛しにくいことを意味している。最近、これを支持する結果が、我々のグループと協力関係にある竹島研究所で理論的に得られている。3.励起スペクトルのモニター波長依存性より、励起子帯幅の粒径依存性を調べた。それは、励起子帯幅は粒径が大きくなるに従い励起子帯幅が増し、粒径は約30Åで飽和が始まり、粒径47Åで、330cm^<-1>の最大値を示した。その後粒径が50Åのところで励幅が急降下し消失した。この最大値はバルク結晶の励起子帯幅と見なすことができることから、バルク結晶について今までに求められている励起子・格子相互作用の大きさや状態間の定性的な上下関係を考慮すると、v状態(自己束縛状態)が^1Lb状態(自由励起子状態)より下に15cm^<-1>以下にはならないという結果を得た。4.弱結合系に属するアントセランにおける微粒子の励起子帯幅の粒径依存性とピレンのそれを比較検討した結果、アントラセンでは分散体であるPMMAとの相互作用が強く、微粒子表面での励起子の散乱効果が見られるのに対し、ピレン微粒子ではその効果は無視できることがわかった。
著者
小澤 俊治 古屋 清 三宅 正則
雑誌
山梨県果樹試験場研究報告 (ISSN:03893588)
巻号頁・発行日
no.10, pp.11-19, 2000-03

山梨県果樹試験場では、農林水産省の指定試験地として1951年からブドウの育種事業を開始し、わが国の気象条件下でも容易に栽培が可能で高品質の生食醸造兼用品種の育成を図ることを目標に事業を進めてきた。その成果として、'甲斐美嶺'を登録するに至ったので、その育成経過及び特性を報告する。本品種は1983年に'レッド・クイーン'と'甲州三尺'を交雑した実施2個体から選抜したものである。1984年に播種、育種後、1985年に個体番号13669として圃場に定植した。1990年に一次選抜を行い、1992年より'山梨36号'の系統名で第8回系統適応性検定試験に供試した。その結果、白色系品種としては早熟であり食味も良好なことから、1997年8月19日に'美嶺'と命名、'ぶどう農林17号'として登録、公表された。その後、商標との類似のため、1999年3月31日に'甲斐美嶺'と名称変更された。1997年3月31日に種苗法に基づく品種登録の申請を行い、1999年4月21日に出願公表された。樹勢は強く、新梢の伸びは旺盛である。葉の大きさは大きい。花穂は複穂円錐形で、1新梢あたり2~3花穂を着ける。花は完全花(両性花)であり、三倍体品種である。満開期は山梨市で6月上旬で、花振るいは小~中である。防除は'巨峰'に準じた散布で問題となる病害虫は認められない。自然状態の果房は、有岐円筒~有岐円錐形であり、着粒密度は中~やや密である。果粒の形は扁円で、大きさは約1.6gである。満開時12.5または25ppm及び満開10日後の25ppmのジベレリン水溶剤の処理によって、4~5gに果粒が肥大し、400g前後の果房となる。果粒は黄緑色で果面の汚れやさびは少なく、果紛は少ない。果皮の厚さは中程度で、はく皮性は容易である。肉質は塊状であり、フォクシー香を有する。果汁の糖度は18~19°Brixで、酸含量は0.5~0.7g/100mlで食味はさわやかである。裂果はほとんど認められない。脱粒性はほとんど認められず、輸送性に優れる。果実の日持ちは中程度である。収穫の目安は糖度18°Brix以上、酸度0.6g/100ml以下、糖酸比30以上とする。全国のブドウ生産地帯での栽培が可能であるが、酸抜けが遅いことを考慮して、寒冷地を除く温暖なブドウ地帯での普及が見込まれる。
著者
内藤 佑介 清水 智 加藤 智行 小林 功郎 植之原 裕行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.258, pp.103-108, 2012-10-18

ループバック装荷半導体モノリシック集積SOA-MZI型全光フリップ・プロップ回路は、高速・広波長帯域・低偏波依存性の特徴を持ち、全光パケットスイッチの光パケットの光ゲート制御信号生成や光ラベル識別動作への応用が期待される。しかしながら、従来はSOAと光導波路のハイブリッド集積回路に光ファイバ・ループを外部で接続した構成での動作実証のみであり、ループの伝搬遅延に制限される数10nsのパルスでの動作が報告されるに留まっていた。そこで数10psの入力光パルスでの動作を目的として半導体モノリシック集積回路について動作検討を行った。SOA利得の波長・注入キャリア密度依存性を考慮したモデルを用いたレート方程式を解析し、CWプローブ光パワーとループ減衰量に対してセット・リセット動作を同時に実現可能な動作条件について明らかにした。またFWHM 18psの光パルスに対してフリップ・プロップ動作を実証したので報告する。
著者
大貫 隆史
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,第二次大戦後英国に登場した,いわゆる「ニューウェイフ(New Wave)」と呼ばれる劇作家の中でも,社会改良を掲げて大きな反響を呼んだアーノルド・ウェスカーを,その主たる対象とするものである。その際,階層問題などの社会的背景との関連性を明らかにすることで,また,ウェスカーに関係する作家達にも目を向けることで,分析の充実を図り,再評価を行うことを目指した。二年目にあたる本年度では,ポピュラー・カルチャーの問題性を厳しく指摘し,否定的な立場を取るウェスカーが,聖別化もされていなければ,その一方で,大衆性の「烙印」を押されることのないような形の演劇を,どのように求めることになったのか,という問題を検討すべく,米国内アーカイヴでの調査資料を含む,ウェスカー関連資料の読解を行った。また,社会的背景と演劇作品の関わりを考察する上で,作品の「形式性」を慎重に検討するため,ウェスカーに限らず広く戦後英国の「社会的」劇作家一般という観点をとり,ウェスカー作品との関連性が強く指摘されるD.Edgar,Maydaysの分析を,本年度の研究目的に含まれる関連作家研究の一環として実施し,英国の「社会的」劇作家がその問題系を提示する際に共通して抱えると考えられる形式的問題点,つまり,悲劇的要素の抑圧とアイロニー形式の浮上という点について考察を深めた。この成果は,アメリカ演劇に対して応用されている文化の社会学的手法を,イギリス演劇に適用する際の妥当性を検討する際にも,示唆するものが大きいものと思われる。この観点を充分に生かしつつ,ウェスカー作品上演に関する文化の社会学的分析について,論文化の可能性を本研究は今後も継続して模索してゆく。
著者
十日市 健助 池田 豊子
出版者
佐賀大学
雑誌
佐賀医科大学一般教育紀要 (ISSN:02880865)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.87-103, 2000-12

本稿は,ドロシー・スタイン著Ada : A Life and a Legacyの付章「異常感-精神的なそして肉体的な-」の日本語訳である。この章を選んだ理由は,詩人バイロンの娘エイダが37年の短い生涯において苦しんだ様々な病気に専ら言及しているからである。医学生の立場からすると,スタイン女史が,エイダの最も長く患った病気の源を,彼女の家系をたどることによって,どのように特定しようとしたかは,特に関心をよせるところであると思われる。スタイン女史のこの問題に対するアプローチの厳格さは,彼女のスタイルともなっているが,どの学生も見習い身につけるべきであろう。
著者
錦戸 典子 坂本 光司
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、中小企業における健康的な職場環境の普及推進に向けて、産業保健分野のみならず経営分野と協働することにより新たな知見を得て、革新的かつ実践的な推進モデルを開発することを目的に実施した。良好実践事例の分析により、職場のコミュニケーションの活性化や適切な労務管理・評価などについては経営分野でも重視されているが、健康診断結果の活用や健康を維持しながら働ける職場環境づくり、保健医療専門職・機関の活用などに関しては経営者等に殆ど認識されていないことが明らかとなった。中小企業従業員を対象とした質問紙調査結果からは、企業として健康と仕事の両立が可能な職場づくりに取り組む必要があることが示唆された。
著者
長谷川 修 金出 武雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1795-1807, 2003-07-15
被引用文献数
5 3

人と車両が入り混じる,対面通行の一般道路映像中の移動物体を対象に,(1) {車両,人物,その他} の識別および車両ならばその種別の識別,(2)対象が含む主要な色の推定,を同時に行うビジョンシステムを試作した.識別する対象の種別は,実験システムの入力映像中に多く見られた,{小型作業車,セダン,バン,トラック,人物(単数,複数とも),その他(ノイズなど)}とし,また色は {red-orange-yellow,green,blue-lightblue,white-silver-gray,darkblue-darkgray-black,darkred-darkorange} の色グループから選択させた.入力映像として晴天もしくは曇天の午前9時から午後5時の間の映像を用いた実験の結果,種別と色の識別結果が双方ともオペレータの目視による識別結果と合致した場合を正答として,91.1%の正答率を得た.また本研究では,上記の機能を利用し,あらかじめ設定した特定対象(種別と色の組合せから特定される)を映像中から検出させる実験も行った.特定対象を {FedEx社の集配車,郵便車,パトカー} に設定して行った実験の結果,92.9%の正答率を得た.こうした識別や推定の機能は,統計的線形判別法(線形判別分析)と非線形識別則(重みつきK-最近傍法)を組み合わせる手法を導入して実現した.This paper describes a vision system that recognizes moving objects(cars and humans) on general streets. The system classifies objects based on shape appearance and estimates their colors from images of color video cameras set up toward a street.The input images were obtained between 9:00 a.m. and 5:00 p.m. in fine or cloudy weather conditions.The types set up in the system are {human, sedan, van, truck, mule (golf cart for workers), and others}, and the colors are {red-orange-yellow, green, blue-lightblue, white-silver-gray, darkblue-darkgray-black, and darkred-darkorange}.Moreover, the system can selectively extract specific targets, such as FedEx vans, police cars, mail vans and others from objects based on classified and estimated results. For classification and estimation, we cooperatively used a stochastic linear discrimination method (Linear Discriminant Analysis: LDA) and a nonlinear decision rule (weighted K-Nearest Neighbor rule: K-NN).
著者
信原 幸弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

意識の自然主義的理論を構築するため、感覚質の自然化の問題と無意識的過程の本性をめぐる問題に取り組んだ。その結果、以下のような成果が得られた。1.意識的経験にはそれ自体に備わる内在的特徴とそれによって表される志向的特徴がある。感覚質は経験の内在的特徴ではなく、志向的特徴である。われわれは経験の内在的特徴を意識しえない。経験がある志向的内容をもつことはその経験がある一定の機能をもつこととして説明できるから、志向的特徴である感覚質は経験の機能に還元できる。2.感覚質は意識的経験の意識性を保証するものである。しかし、感覚質が経験の志向的特徴にすぎないとすると、同じ志向的特徴をもつ無意識的な経験が存在しうるから、感覚質は意識性を保証しえなくなる。したがって、感覚質は経験の「意識的」な志向的特徴だと言わなければならない。この「意識性」は言語化可能性として自然主義的に説明できる。言語こそ意識の根源であり、言語をもたないものは意識をもちえない。3.意識的な思考過程は言語的であり、したがって古典計算主義的である。しかし、無意識的な思考過程はニューロン群の興奮パターンの変形というコネクショニズム的な過程である。したがって、たとえば善悪の判断や文法的適格性の判断などは、意識的に行なわれる場合には、古典計算主義的であるが、直観的に行なわれる場合には、コネクショニズム的である。ただし、言語を用いて意識的に推論する場合でも、日常的な推論においては、ふつう多くの論理的飛躍があり、厳密な意味では、古典計算主義的とはいえない。
著者
唄 花子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

【研究の内容】本研究は、着床期の長い反劉動物をモデルとし、胚・栄養膜細胞と子宮細胞の相互作用による妊娠成立機構の解明を目的とした。初年度には、ウシ栄養膜細胞CT-1と子宮内膜上皮細胞(endometrial epithelial cells, EECs)を共培養することにより、着床周辺期の遺伝子発現を再現するモデルを確立した。しかし、EECsは、数回の継代で性質が変化してしまい、安定性に問題があった。そこで、安定した細胞を得るため、本年度は、不死化子宮内膜上皮細胞(imortalized EECs, imEECs)を作出することを目標として研究を行った。不死化遺伝子をEEcsに感染させ、薬剤選択を行ない、imEEcsを作出した。得られたimEECsは、60回以上継代した後も増殖能を持ち、形態にも変化はなかった。imEECsは、IFNTおよびホルモン処置への反応性も有しており、子宮上皮細胞としての性質を維持していた。しかし、imEECsは、上皮細胞のマーカー(サイトケラチン)と間質細胞のマーカー(ビメンチン)が共に陽性であり、EECsとしての性質を維持しながらも間質細胞の性質も有することが示唆された。更なる研究に用いるためには、培養基質を変える等の検討が必要である。栄養膜細胞との共培養実験に使用できるか否かも検討している。また、着床周辺期に重要な胚側の因子として、GATA6がIFNTの遺伝子発現制御に関与することを見出した他、内在性レトロウイルス由来配列に着目し、着床周辺期に発現するいくつかの配列を見出している。【意義・重要性】本研究により、長期の継代にも耐えられるimEECsを作出した。課題は残るが、IFNTやホルモンへの応答性を検討するためには研究を行う上での安定性の問題が克服できたといえる。また、新たにIFNT遺伝子の制御に関与する因子として見出したGATA6は、反芻動物とマウス胚の知見とで違いがある点が興味深い。今後、動物種による違いを探るきっかけとなり得ると考えている。【研究成果】本年度の研究成果として投稿した論文は7報が採択された。また、2報は採択決定済である。
著者
坂上 昇史 新井 隆景 西岡 通男
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,定量化シュリーレン法による変動計測法やPIV計測の校正法,新しい熱線流速計など超音速乱流変動計測法の開発を行い,これらを用いて超音速境界層乱流遷移や超音速乱流混合場を調べた.超音速境界層の乱流遷移については非圧縮流変換した遷移レイノルズ数が主流マッハ数によらずほぼ一定となること,超音速混合については主流マッハ数が大きくなると縦渦によって生じる小スケール変動は逆に小さくなること等を明らかにした.また,壁乱流の平均速度分布が対数分布かベキ乗分布かを診断する新しい方法を提案し,平板乱流境界層の速度分布に適用してその有用性を示すとともに対数分布とベキ乗分布の共存する現象を明らかにした.
著者
新井 隆景 遠藤 彰 永田 晴紀 杉山 弘 森田 修至
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.614, pp.3318-3324, 1997-10-25
被引用文献数
7 1

Supersonic combustion using a catalytic combustion in a cold supersonic flow field was investigated in a square duct with a backward-facing step. The free stream Mech number was M_m=1.81. Hydrogen was injected transversely behind a backward-facing step into a cold air free stream. Using a catalyst in a cold supersonic turbulent mixing layer, it was found that hydrogen reacted stably to oxygen in the air flow. The relationship between the heat release due to catalytic combustion and supersonic flow properties, which influence the supersonic combustion, was clarified experimentally. The spatial distribution of heat release generated by catalytic combustion in the supersonic turbulent mixing layer is discussed. It was found that the heat release due to the catalytic combustion had a maximum at the outer edge of the mixing layer.
著者
日比野 進
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.60, no.13, pp.14-15, 1971-12-31 (Released:2011-02-22)
被引用文献数
7
著者
河野 裕彦 菱川 明栄 小関 史朗 加藤 毅 菅野 学 伏谷 瑞穂 松田 晃考
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

電子・原子核波束計算法を用いて,COやN2のレーザー場中の多電子ダイナミクスやアト秒パルスを発生する高次高調波のレーザー制御法を提案した。また,実験グループは,理論の予想通りCO2の等価な2つのC-O結合の一方だけを2色レーザーパルスの形状によって選択的に切断させることに成功し,化学反応制御の新たな可能性を示した。さらに,反応動力学計算を用いて,XFELによる多価カチオン生成とそのクーロン爆発を使った時間分解分子イメージングに対するシミュレーション法を確立して,ヨードウラシルなどに適用した。そのほか,分子ベアリングやDNA鎖切断の実時間シミュレーションを行い,それらの動力学を明らかにした。
著者
大友 弘士 日置 敦巳
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

ネズミマラリアを病態モデルとして用い、宿主における組織低酸素症の発現と主要臓器障害との関係を調べた。7周令、雄のBALB/cマウスにネズミマラリア原虫Plasmodium berghei NK65感染赤血球【10^7】個を腹腔内接種した場合、マウスは接種後7-8日で死亡した。宿主マウスの貧血は原虫接種6日後には血液中ヘモグロビン5.7g/dl(非感染対照群14.5g/dl)と著明となり、組織低酸素症はこの時期に急速に進行するものと考えられた。感染の進行に伴う重要臓器障害について検索を行った結果・肺水腫もしくは肝不全はマウスの死因としては重要ではないと考えられた。腎機能を調べるために感染マウスの血中尿素窒素,クレアチニン,尿量,尿中への尿素窒素排泄および尿中N-アセチルグレコミニダーゼ活性の変動を調べるとともに腎組織中アデニンヌクレオチドを測定した。血中尿素窒素は死亡前に増加したがマラリアで惹起される大量溶血から推定されるような血中尿素窒素の著増、もしくは尿中への尿素窒素大量排泄は認められなかった。また血中クレアチニン濃度も軽度上昇したのみであった。尿中N-アセチルグルコサミニダーゼは原虫接種4-6日後に高値となる傾向を示したが7日後には低値となった。腎組織中のアデニル酸エネルギーチャージには接種7日後に低下が認められた。これらの結果から、組織低酸素症が惹起されると考えられた接種6日後には腎機能がかなり低下し、尿細管上皮が傷害されてN-アセチルグルコサミニダーゼが逸脱した結果、7日後には低値となったものと示唆された。マラリア感染では腎障害は重要な病態であり、血中尿素窒素で腎不全を評価する場合には過小評価しないよう注意する必要があると考えられた。

1 0 0 0 下野の伝説

著者
尾島利雄編著
出版者
第一法規出版
巻号頁・発行日
1974
著者
友枝 圭
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 = Annals of Japan Prosthodontic Society (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.436-439, 2013-10-10
参考文献数
4

<b>症例の概要</b>:患者は54歳・女性.上顎左側遊離端欠損部のインプラント治療を希望し紹介来院した.初診時における口腔内診査において,下顎右側臼歯部ブリッジに破折を認めたため,両欠損部においてインプラントによる補綴治療を行った.<br><b>考察</b>:十分なインフォームド・コンセントを行った結果,患者はインプラントによる補綴治療を希望した.今回,インプラントによる補綴治療3年経過後の時点においてインプラント周囲に炎症や異常な骨吸収等の所見はみられず,機能的にも審美的にも良好な口腔環境が維持されていると考えられる.<br><b>結論</b>:本症例では,上下顎の補綴治療にインプラントを応用することで良好な予後を得ることができた.