著者
中谷 敬子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.176-182, 1991-09-02
被引用文献数
8

シロザ、メヒシバ、ヒメイヌビエ、ハルタデの4草種を供試して1983年から3年間毎年播種期を 4月から9月だいし10月まで変えて、地上部生育量、播種後出穂・着蕾までの日数および種子生産量を調査 し、次の結果が得られた。 1)播種後出穂・着蕾までの日数は4〜8月播種では各草種の日長反応性に対応した差異が認められたが、9〜10月の播種では各草種とも生育が温度により制約され、日長反応性による差は認められたかった。 2)出穂・着蕾が可能な播種期の限界はメヒシバ、ヒメイヌビエでは8月下旬、シロザ、ハルタデでは10月上旬であった。また種子の着生が可能である播種期の限界はシロザでは9月上旬、他の3草種では8月下旬であった。 3)草丈・主茎長あるいは地上部乾物重だとの生育量は各草種とも播種期が遅くなるにともない減少したが、減少程度は短日性のシロザで大きく、中目性のハルタデで小さいなど、草種により異なった。 4)種子生産量は地上部生育量に対応する傾向がみられ・各草種とも4〜6月播種の場合に最も多かった。 5)種子の千粒重はシロザを除いて播種期が遅くなるにともない減少し、個体当たりの生産種子粒数の減少を補償する傾向を示したが、シロザの8月播種の場合の千粒重は大きくなった。また、REは短日性のシロザや量的短日性のメヒシバおよびヒメイヌビエでは播種期が遅くなるにともない増加したのに対し、中日性のハルタデでは播種期が遅くなるにともない減少した。 6) 生殖器官への乾物分配率は短日性のシロザでは播種期が早い場合には生育後期に集中して高くなり、播種期が遅い場合には生育初期から分配が開始され徐徐に増加したのに対し、中日性のハルタデでは播種期にかかわらず各器官への分配率の推移のパターンは変化しなかった。
著者
亀田 真吾
出版者
立教大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

水星は固有磁場を持つが大気は希薄であり,磁気圏と固体表面が直接相互作用しているという点で他の惑星と異なる磁気圏を持つ.ナトリウム大気はその相互作用によって生成されると考えられ地上観測が続けられてきたが,磁気圏観測が行われておらず大気生成過程は謎のままであった.本研究においてメッセンジャー探査機によりCMEが到達したと考えられる時期に,大気密度がほとんど変動していなかったという結果が得られた.このことから,太陽風衝突による大気放出量は先行研究で予想された量よりも少ないと考えられる.
著者
大島 光春 広谷 浩子 田口 公則 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科学館や子どものための博物館では、対象を子どもに絞り、体験・体感できるような展示を行っている。一方、自然史博物館では、恐竜・鉱物・昆虫などを静置し、大きい・美しい・珍しいなどの感動から、自然への興味関心を引き出している。このような展示は来館者にある程度の知識や経験を要求することが多い。しかし、子どもを対象にした場合、自然史への興味の導入には、科学館などのような動く展示が重要な役割を果たしていると考え、自然史博物館にふさわしい動的展示を開発し、それをさらに有効に活用できるプログラムを試行した。
著者
田中 伸彦 伊藤 太一
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「里山」を「人里近くにあって人々の生活と結びついた山や森林」と定義した。その里山を、観光デスティネーション(D)としてとらえ、レジャー観の多様性を体系化し、科学的根拠に基づき計画的提言を行った。内容は1.観光Dとして里山を捉える意義、2.観光学におけるDマネジメントと資源/施設との関連、3.里山観光を巡る興味関心と施策の変遷に関する考察、4.Dとしての里山の地理評価法の開発、5.里山の自然公園管理から構成される。成果としては、市民の里山に関する興味関心の広がりを時系列的に明らかにし、里山観光Dの地理的集散状況の経年変化を定量化する指標を開発し、客観的な里山観光地評価を行うことを可能とした。
著者
山田 正 平野 廣和 藤吉 康志 太田 幸雄 大石 哲 平野 廣和 藤吉 康志 太田 幸雄 大石 哲
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

雲物理過程解明のために行った実験よりエアロゾル量の増加に伴い雲水量も増加するがエアロゾル量が閾値を超えると生成される雲水量が一定になり飽和状態になる。また上昇風速が大きくなればなるほど雲水量が増加することがわかった。ヒートアイランドを緩和させる効果のある河川周辺で行った微気象観測により河川の大きさに関わらず水面付近の気温は周囲より低く、河川上の冷気が運ばれやすい風道がある場所の気温は2~3℃周囲より低いことがわかった。
著者
津田 栄 勝又 保雄 山下 元 清水 誠一
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.570-584, 1994-06-15
被引用文献数
30

ソシオメトリーは, モレノ[1]の提唱した集団成員の関連構造の測定法で, 成員相互の好き嫌いの程度から解析されるが, その構造を明確に表すことは, 仲々困難である.筆者等は, ファジィグラフを応用することにより, 新しいソシオメトリー分析法を考案した.本方法は, 幾つかの質問から得られる応答データから成員の関連状態を測定し, ファジィグラフを構成し, 解析するものである.ファジィグラフのクラスター分析, 近似構造分析などを適用することにより, 近似的なソシオグラムが構成でき, 集団構造の特徴をかなり明確に抽出することができる.本稿では, ファジィグラフを応用したソシオグラムの構成法, 分析法を論ずると共に, 学校教育に関する適用事例を通じて, その効用を述べる.
著者
石原 昌江 野村 梨香
出版者
岡山大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岡山大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13463705)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.89-98, 2001

本研究では、岡山大学における養護実習の現状とその効果について、実習生及び指導養護教諭に対する調査結果を分析することにより、これからの養護教諭養成における実習のあり方について検討することを目的とした。現状では、健康診断、保健指導、救急処置等の基本的職務については学ぶことができているが、養護教諭の新たな役割とされる健康相談活動については、子どもの心の状態を探る段階にとどまっている。また、学校保健委員会活動等の企画運営への参画など、他の教職員との連携のあり方や学校保健活動、養護活動の進め方について十分に学び得ることは、短期間の実習だけでは困難な事項もある。今後の課題としては、「養護実習が養護教諭養成カリキュラム全体を推し進める要の位置にある」ことを明確にし、関係者が協力して、実習の事前・事後における指導内容・方法の改善を図っていくことが必要である。This study is aimed to consider the problems of training practice for school nurse-teachers by analyzing the research about the current evaluation and effect of the training in Okayama University. In the present situation it is possible to learn fundamental duties such as physical examination and health guidance. However some issues which include cooperation with other teaching staff, participation in management of the school health committee and organizing school health activities are still left to argue.
著者
寺尾 純二
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.3-11, 2005-01-25
被引用文献数
5 1

1. フレンチパラドックスが巷間の話題となって以来, ワインに含まれるポリフェノールの生理機能性が注目されるようになってきた. フレンチパラドックスとは, 「フランス人では飽和脂肪摂取量が多いにも関わらず冠状動脈疾患の罹患率が低いのは, ポリフェノールに富む赤ワインを摂取するためである」とする仮説である. 赤ワイン中にはポリフェノールが800mg/kg程度含まれるが, その多くはカテキン, エピカテキン, アントシアニジン色素等のフラボノイドやこれらの重合物である. フラボノイドは野菜や果物にも多く含まれているが, 1994年にオランダのHertogらは野菜からのフラボノイド摂取量が多いほど冠動脈疾患による死亡率が少ないという疫学調査を発表した. 40〜59歳の男性12,763人を25年間にわたって観察したSeven Country Studyでもフラボノイドの平均摂取量は冠動脈疾患罹患率と逆相関することが明らかとなった. これらの疫学調査報告から, フラボノイドは抗動脈硬化因子として俄然注目されるようになった.
著者
鈴木 庄亮 ROBERTS R.E. LEE Eun Sul. ORLANDAR Phi 町山 幸輝 BLACK Thomas 小林 功 山中 英寿 BUJA Maximil SHERWOOD Gue 倉茂 達徳 土屋 純 BURKS T.F. 伊藤 漸 BUTLER Patri 中島 孝 石川 春律 SHERWOOD Gwendolyn BURKS F.thomas THOMAS Burks 森下 靖雄 ROBERTS R. E 鈴木 守 LEE Eun Sul 古屋 健 JUDITH Crave RONALD C. Me GUENDOLYN Sh 大野 絢子 GEORGE Stanc 城所 良明 近藤 洋一 PAUL Darling 三浦 光彦 村田 和彦
出版者
群馬大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

平成5年度に、医学教育全般、基礎医学、看護教育、大学院教育及び病院管理を中心に相互の調査研究を実施した。これをうけて平成6年度は臨床医学教育、臨床病理・検査医学、教育技法を中心に相互訪問し、資料作成提供、説明とヒアリング、見学と討論及びセミナー開催を行なった。(1)日本側大学: 群馬大学及びその医学部、生体調節研究所(前内分泌研究所)、及び医療短期大学部。研究分担者は各部局の長および医学部教務担当教授、内科、外科、臨床病理の教授。(2)相手校: 州立サキサス大学健康科学センターヒューストン校(H校と略す)およびその医学部、公衆衛生学部、看護学部、医療技術学部、及び生物医学大学院。研究分担者は教務担当副医学部長を代表として各部局の教務関係教官。(3)渡米した教官: 中島孝(医学部教務担当、病理学)、小林功(内科学、臨床検査医学、団長)、山中英寿(外科学)、及び倉茂達徳(医短、臨床病理学)の4教授。(4)訪日した教官: 教務担当副医学部長PMバトラ-女史(医、小児精神医学、団長)、Mブヤ(医、病理学主任教授兼医療技術学部教授教授)、PMオルランダー(内科学)、及びCTブラック(外科学)の4教官。(5)研究分担者会議を日米7回開催し、研究の概要説明、研究計画実施手順、資料収集、研究討論、などを行った。(6)前年度のサキサス大学訪日団の報告書の修正、入力、整理、翻訳を行い学内関係者に回覧し、意見を求めた。(7)渡米・訪日期日: それぞれ、6月6-13日と10月22-29日。(8)渡米団の活動: 前年度訪日したH校副学長、医学部長から歓迎の意を表された。目的とする卒前卒後の臨床医学教育訓練を中心テーマとして、予定されたプログラムにそって、資料提供、説明、見学、討論が行われた。すなわち、ヒューストン校の概要、医学部カリキュラム、医学部卒後教育、臨床病理学教育及び施設、学習資源センター、医学総合図書館、教育関連病院、学生相談システム、学生評価、教官採用評価昇進等について見学と討論が行われた。(9)訪日団の活動: 日本の医学教育及び群馬大学医学部における卒前卒後の医学教育訓練について、内科外科臨床教育を中心に各研究分担者が用意した資料にもとづいて説明し、討論した。附属病院内科外科外来病室及び臨床病理中央検査部で詳細な現地見学聴取討論をし、卒後臨床教育の観点から学外の大学関連病院および開業医2ヵ所を見学した。医学教育セミナーを開催し、H校の4教官がそれぞれの立場から具体的な医学教育の方法、内科診断学教育、一般外科の実習、臨床病理学の教育、問題解決型学習および標準患者による臨床実習の方法について説明と話題提供をした。(10)報告会と報告書: 渡米した4教授による調査研究の公開報告会を7月12日に開催し、報告書の提出を得た。今年度訪日した4教官の報告書入手中。(11)本事業の意義について: 双方の教官は、相互訪問し各自の医学教育システムを最大限わかってもらえるよう努めた。相互訪問で視察と討論を行うことにより相互の文化的背景にまで及ぶほど理解が深まった。とくに西欧社会はこれまでわざわざアジアを理解しようとすることは少なかったので、テキサス大学教官にとっては国際理解のいい機会になった。米教官の一人はこのような試みに研究費を出す日本政府は米政府より将来優位に立つかもしれないと述べた。(12)日本にない米医学教育システムの特色: 入学者選抜は約15倍の学士である志願者に対して1.5時間におよぶ面接口頭試問を含む、PhD教官による基礎科学と医師による臨床医学の接続がうまくいかない、カリでは行動科学・プライマリケアが重視されている、問題解決型学習が定着している、カリにゆとりがあり積極的な自己学習を期待している、標準患者による具体的で実際的な診断学教育が行われている、学生当たりの教官の数が5割程度多い、卒後医学教育が「医局」でなく一定のプログラムの下に行われ専門医等の資格に至るようになっている、臨床検査技師教育はより専門分化している、等である。
著者
石井 徳章 阿南 景子
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

急激な出力調整が難しいという欠点を補うために考案されたスターリングエンジン・DCモータ方式のハイブリッド車両を実現するために、その第1段階として、「駆動トルク配分機構およびその制御システムの開発」に重点を置いた駆動装置の実験シミュレータを製作した。ただし、スターリングエンジンはACモータに置き換えた。駆動トルク配分機構には、遊星歯車を用いた配分機構を用いた。駆動トルクの配分制御には最も簡単なクラッチ機構を利用して実現し、滑らかな動力配分が可能であることを実証した。
著者
守屋 豊 亀山 渉
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.5, pp.1-7, 2010-02-12

国立歴史民俗博物館及び川崎市市民ミュージアムとの共同研究で、「日本ニュース映画」 (1946 年~ 1951 年:第 1 号~第 312 号) の映像資料とそのナレーションテキストについて、歴史研究及び将来的な展示に利用するためのデジタルアーカイブシステムの構築を行ってきた。今回は完成したシステムについて、その構築過程より明らかとなったシステム設計上の問題点を整理し、併せて汎用性や持続性、及び拡張性等について評価し考察を行う。A joint research project about "Using News Movies for Historical Study" with National Museum of Japanese History in cooperation with Kawasaki City Museum has been conducted. In this research, methods to transform the films of "Nippon News" (from year 1946 to 1951, number 1 through 312) and its transcribed narration texts into a database are explored. The purpose is to facilitate the active utilization of the archive in historical research and future exhibition. In this paper, we report the evaluation result on usability, sustainability and scalability of the completed system.