- 著者
-
奥野 充
- 出版者
- 日本第四紀学会
- 雑誌
- 第四紀研究 (ISSN:04182642)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.4, pp.225-236, 2002-08-01 (Released:2009-08-21)
- 参考文献数
- 91
- 被引用文献数
-
24
71
南九州には,最近約3万年間に噴出したテフラが数多く分布している.これらのテフラの噴出年代の決定方法を,(a)古記録との対比,(b)暦年較正曲線での位置,(c)14C年代値の暦年較正曲線への投影,(d)層位による比例配分の4つに区分して,網羅的に整理した.広域テフラである鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)および姶良Tnテフラ(AT)の噴出年代は,暦年較正曲線での位置から,それぞれ7.3cal ka BP,29cal ka BPと判断される.これらの噴火の前後の休止期間は1,000~3,000年程度と見積もられ,とくに長い時間間隔ではない.桜島薩摩テフラ(Sz-S/Pl4),池田湖テフラ(Ik)および霧島御池テフラ(Kr-M)は南九州に広く分布するテフラであり,層位学・編年学的に重要である.これらの噴出年代は,それぞれ約13cal ka BP,約6.4cal ka BP,約4.6cal ka BPである.K-AhとIkの時間間隙はおよそ1,000年と考えられるが,より正確に見積もるためにはIkの暦年較正曲線での位置を確定する必要がある.