著者
手塚かね子 著
出版者
大橋光吉
巻号頁・発行日
1911
著者
津村 浩二
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2015年のLHC実験では十分なデータが得られなかったため, ヒッグスボソン結合の実験精度はあまり変わっていない. 一方で, 種々の異常なイベントが報告された. 特に本研究課題に関係するものとしては, 2TeV程度の質量を持つファットジェット対に崩壊する新粒子の可能性があった. この報告に即応して, 付加的なスカラーボソンによる新粒子の解釈を提唱した. 実験データを解釈するには新粒子もヒッグス機構に寄与することが必要であり, その結果として付加的なスカラーボソンと既に発見されているヒッグスボソンの相互作用の間には和則が成り立つ. そのため, 新粒子の相互作用はヒッグスボソンに対して実験的に許されている結合定数のズレを用いてその許される結合が決まる. したがって, 付加的なスカラーボソンでの解釈は強く制限される. LHC実験におけるさまざまな制限に加えてフレーバー実験による制限も調べ可能なシナリオを提示した.
著者
李 〓
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-101, 2006

1980年代、中国の文壇では、様々な文学ジャンルが相次いで勢いを見せたが、それに比べると、90年代初期の文壇は間違いなく寂しいものであった。だが、都市文学の再興によってこれらの状況は一変した。「都市文学」を研究するには、まずその定義を定めなければならない。しかし目下の所、評論家や学者らの間に「都市文学」についての定義は存在せず、学者の中には「都市文学」の概念を厳密に定義する必要はないと主張する者すらいる。それゆえ都市文学というこの特定の概念について議論・研究する場合も、それぞれが考える意味内容は決して同じではない。しかし、都市文学の概念や定義をあまりにも拡げすぎると、それを対象とする研究に支障をもたらすことになるだろう。したがって、本研究では「都市文学」を次のように定義する。都市住民・都会生活を描くことを主とし、都会の雰囲気・都会意識を表現する作品をすべて都市文学と呼ぶ。特に指摘しておく必要があるのは、本研究は90年代後期に現れた都市文学の分析に重点を置くが、その中でも小説という文学ジャンルを研究範囲としているということである。中国の文壇にとって「都市文学」は突然降って湧いたものではなく、3、40年代には都市文学の創作が大いに盛んで、劉吶鴎・穆時英・施〓存・張愛玲などの作家が都市の情景や都市住民の生活を描いて大いにもてはやされた。しかし1949年以降は都市文学の創作は低迷期に入る。80年代後半になり、10年間の改革開放政策が大陸の都市部に大きな変化をもたらし、人々の生活や思想・観念も都市化の進展に伴って大いに変化し、都市文学も次第に作家や読者に注目されはじめた。1994年、中国広東省深〓市の『特区文学』という雑誌が「都市文学」創作の烽火を上げて以来、そのブームは今日にまで至っている。今日、都市文学の創作ブームによって、多くの著名な作家が現れた。張欣もその中の一人である。張欣は中国作家協会全国委員会委員・広州市作家協会主席であり、1978年の小説デビュー以来、すでに中篇小説集12作、文集3作、長編小説9作と多数のエッセイ集を出版している。そのうち、『〓星〓案』や『浮華背後』など10作以上の都市文学作品が中国大陸にてテレビドラマとして放送されたおかげで、張欣の都市文学作品の認知度がさらに上がった。張欣は都市を熟知しているばかりでなくその表現にも優れているが、かつてインタビューの中で自らが都市にアイデンティティーを持つことを告白している。彼女の作品の中で最も魅了されるのは、彼女が描く一連の都市の女性像である。それらの女性像を通して、張欣の作品は、90年代以降、女性たちが複雑な都会生活の中で経験した苦悩と矛盾を描き出すと共に、都市という環境が女性の思想や価値観に与える影響を探究し、都市女性に特有な女性意識を表現した。都市に生きる女性の洞察と描写が、張欣作品最大の魅力であろう。本研究の骨子は次の通りである。まず90年代以降、中国において都市文学が再び盛んとなったその原因を考察し、次に90年代以降の都市文学の中国における発展状況及び都市文学の創作ブームの中に現れた著名作家と彼らの作品を紹介する。その中でも張欣の都市文学作品と彼女が描く女性像について重点的に分析する。
著者
中岡 俊裕 荒川 泰彦
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、まず、研究蓄積の深いInAs自己量子ドットを用いて、コンパクトな実装に不可欠であるだけでなく、光の回折限界を超えた集積化、量子もつれを用いる集積化に重要な電流注入型サイドゲート素子の開発を行った。素子の作製プロセスおよびゲート制御に必要なフリップチップ型の実装及び測定手法の確立に成功した。達成したエネルギー変化量0.3meVは、これまでに量子もつれ状態作製に用いられている光励起型と同等であり、コンパクトな実装に適した電流注入型において集積化への道筋が開けたと考えている。さらに、集積化への次ステップとして、高密度集積化可能なナノコラムからの単一光子発生を実証し、その有望性を示した。
著者
原半 兵衛
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.263-264, 1936-03-15
著者
狩野 光伸 正宗 淳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

膵がんの五年生存率は1割前後であり30年来改善していない。とりわけ進行性膵がんでは、予後は6か月未満と短く、投与薬剤が有効に奏功していないと考えられる。その原因を腫瘍細胞以外の腫瘍組織構築因子に求め、本研究では、ヒト膵癌由来細胞を用いた新規三次元培養系の構築を通じて、薬剤送達経路である1)腫瘍血管と2)腫瘍線維組織に求める仮説の実証を進めた。ヒト患者由来膵星細胞(PSC)を用いた立体培養系を構築し、分子生物学およびナノ薬剤挙動という観点から解析を行った。これにより、PSCを用い、立体培養・立体共培養の方法を再現性良く構築することが可能となり、薬物送達の解析に用いることに成功した。
著者
Hirano Hideaki 平野 秀秋
出版者
法政大学社会学部学会
雑誌
社会労働研究 (ISSN:02874210)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-63, 1997-09

4)This article was published at the same time on my website,its URL beeing(http://prof.mt.tama.hosei.ac.jp/~hhirano/).So, I write this abstruct in Japanese mostly. My articles preceeding and related this are article 1) and article 3). If interested, please read these Japanese articles, too.この論文は1)にはじまり3)に至った筆者の論旨を拡充し断定的に述べた英文論文である。西欧文化圏における「理性的文化一元論」に決して含まれなかった論客は、G.W. ライプニッツその人であった。この事実に注目しえていたのは20世紀ドイツの倫理学者アルベルト・ハイネカンプ等を除くとほとんど居ない。しかしライプニッツ思想が晩年に到達したこの側面はもっと注目されてよい。かえって『自然のフラクタル幾何学」で有名な数学者であるブノア・マンデルブロートのような論者の方が、かえってライプニッツの断片の中に散見される彼のこの「多元主義・相対主義」の思考様式に深い興味と関心を告白している。彼は単にニュートンと微分法の発見を争うだけの思想家ではないのである。
著者
大塚 裕子 藤倉 仁
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

物語自動生成のために必要な文体特徴、文章構造、物語展開のパタンなどの知識について、複数の代表的なショートショート作家の作品を対象に、情報を整理・分析し、ショートショート作品の特徴を明らかにする。とくに、星新一に焦点を当て、他の作家作品との類似点、相違点を明らかにする。
著者
坂内 太
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ジェイムズ・ジョイスの初期の各短編から、『若き芸術家の肖像』『ユリシーズ』に至る諸作品を研究対象とし、この作家が膨大な人間群像の描写を通じて特殊な身体表象を展開したことを明らかにした。特に<変容の失敗>のモチーフが多様な文体的テクニックの変遷の根底に持続的に存在し続けたこと、また、同時代の他の詩人・劇作家達が取り組んだ浄罪と変身のモチーフを批判継承しながら、人間の身体的・精神的変身のモチーフを肯定的に飛躍させたことを明らかにした。
著者
藤田 祐
出版者
釧路公立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

1890年代のイギリスにおける進化社会理論と政治思想のコンテクストで、『社会進化』で展開されたキッドの社会進化論における〈機会の平等〉概念の位置づけを分析し、〈機会の平等〉を中心理念に据えたウォレスの進化社会主義と比較対照した。両者の特徴的な共通点は、〈機会の平等〉をダーウィンの生物進化メカニズムと結びつけている点である。また、1890年代前後に雑誌や新聞に掲載された社会問題をめぐる議論を調査し、進化社会理論において〈機会の平等〉概念が展開したコンテクストを探究した。以上の分析を通じて、同時代のイギリスにおける〈機会の平等〉概念の勃興に進化理論が一定の役割を演じたという仮説が導き出された。
著者
西澤 奈津子 大隅 清陽 藤森 健太郎 稲田 奈津子 金子 修一 石見 清裕 桑野 栄治 野田 有紀子 安田 次郎 和田 英信 松岡 智之 末松 剛 吉永 匡史 武井 紀子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

古代日本においては、律令制の導入に続いて、8世紀になってから礼の本格的な導入が始まり、9世紀には儀式書の成立という形に結実する。その後9世紀から12世紀にかけての古代から中世の変革期において、中国の礼を受容して形成された儀式が支配構造との関係でどのように変容したかを、中国の賓礼や軍礼、凶礼などに該当する儀式を検討することによって明らかにした。また、同時期の中国や朝鮮半島諸国の礼や儀式の変化と比較することによって、日本の儀式の変化の特徴に迫った。その結果、中国において当該期に礼や儀礼が庶民化すること、皇帝権力の伸長により変化があることなどが確認された。
著者
須賀 祐治 山崎重一郎 村上 美幸 荒木啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.54, pp.23-28, 1998-05-29

現在、インターネット上のプロトコル,アプリケーションはセキュリティを確保するために公開暗号鍵技術を使用しているが、それらが利用できる公開暗号鍵インフラ(public-key infrastructure PKI)の整備が急務となっている。X.509標準[2]はこのインフラのベースとなるもので、認証の基本的な枠組みおよび証明書のフォーマットが規定されている。またX.509デジタル証明書はすでに多くのアプリケーションで利用されている。本報告では、異なる認証ドメインの証明書の検証が可能になり、結果的にPKIクライアントのサービス有効範囲を拡大することができる相互認証技術をディレクトリサービスを用いた方式で提案する。Many Internet protocols and applications employ public-key technology forsecurity purposes and also require a public-key infrastructure (PKI in short) to manage public keys. The X.509 standard constitutes a basis for such an infrastructure, defining data formats and authentication framework. X.509 certificates are already used in multiple applications. This document proposes cross-certification by using the X.500 Directory, and it is possible to verify certificates on another domain and also extend scopes which PKI users can receive services.
著者
十代田 朗 津々見 崇
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本年度は、昨年度末に現地での空間調査・資料収集を行った米国グアム・サイパンを対象にリゾート再生に関する分析を行った。両リゾートについて、日本人のリゾート志向を考慮したいので、下記のような日本側の資料により、調査分析を進めた。グアムについては、旅行業の業界誌「トラベルジャーナル」を用い、1974年から2017年までの記事を抽出し、現地で得た“tourism2020”やアニュアルレポートなどの情報を加味し年表を作成した。その上で時代区分を設定した。次に、代表的旅行ガイドブックである「るるぶ」と「地球の歩き方」をバックナンバーを含めて購入し、キャッチコピーやアクティビティの記載を元に時系列変化に注目して分析した。現在、前者と後者のクロス分析中である。サイパンについても、1976年から2016年までの記事を抽出し、“2017 Sustainable Tourism Development in the Marianas”を加味し同様の作業をした。こちらも分析の途中。
著者
山田 敏彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.263-269, 2009-10-15

地球温暖化への対策や化石燃料の枯渇問題などから、サスティナブルな低炭素社会構築を目指し、持続再生可能なエネルギー生産のシステム開発が各方面で注目されている。アメリカ合衆国オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策をはじめ、各国でその取り組みが開始されている。植物バイオマス資源からバイオ燃料、特にバイオエタノールを製造する技術もその一つである。アメリカ合衆国ではトウモロコシ子実からバイオエタノールを製造するためのプラント建設が、2000年以降急激に拡大し、2007年には25百万kLのエタノールが生産されている。食糧との競合を避ける意味で、セルロース系バイオマス資源が、将来の原料として、にわかに注目を浴びることになった。セルロース系バイオマスには、作物残渣である稲わら、麦わらやトウモロコシ・ストーバー(茎・葉)および木本植物の早生樹(ヤナギ、アカシア、ユーカリなど)があるが、ここでは草本系植物として、イネ科草類、特に、ススキ属植物について言及する。ここでは主に欧米におけるススキ属研究を紹介しながら、バイオ燃料のフィードストック用エネルギー作物としてのススキ属への期待について触れたい。
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.474, pp.149-152, 2005-01-24

"要返信"には旗を立てる/一歩先行く"自動仕分け"
著者
坂本 つや子
出版者
三重大学
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.71-87, 2002-03-25

Oscar Wildeの三つの作品,The Importance of Being Earnest, Salome, The Selfish Giantについて,「庭」という観点から論じる。The Importance of Being Earnestでは,第一幕はロンドンのフラット,第二幕はウールトンのマナーハウスの庭,第三幕はマナーハウスの邸内が背景に設定されている。作者はShakespeareのA Midsummer-Night's Dreamを下敷きにして,宮廷の秩序に対する森の混沌,あるいはArtに対するNatureという,古典的対立概念を作品の構成に利用し,全体の秩序を統べる者として,Duchess of Bolton (舞台には登場しない)及びLady Bracknellを設定している。Salomeは聖書のエピソードと,Flaubertの短編Herodiasをもとに書かれた戯曲である。この作品には歴史と文明の集積地としての肉体が「囲われた庭」としてイメージされている。Salomeを恋する若者は彼女の肉体を「没薬(ミルラ)の園」と呼ぶ。Iokanaanは自らの身体を「主なる神の御堂」と呼ぶが,思想的純粋さに対する彼の自負は,Salomeの直観によって否定される。サロメは彼の神聖な白い身体とそそけた黒髪を「鳩や銀の百合に満ち満ちた庭園」,「茨の冠」に喩える一方,「癩病に冒された皮膚の白」,「黒葡萄を飾ったディオニュソスの髪」に喩える。このようにsalomeにおいては,聖とともに汚れや異教世界をも内包する,矛盾に満ちた複合体としての「囲われた庭」が渇仰の対象となる。The Selfish Giantは巨人の城に付属する広大な「庭」を背景に描かれている。童話の形式を取ったこの短編は,幼子の姿をしたキリストの「囲われた庭」への訪問,巨人のキリスト迫害と回心,キリストの顕現と聖痕の提示,巨人の「楽園」への昇天を描く奇跡劇(ミステリー・プレイ)である。