著者
SATO Hiroaki
出版者
The Center for African Area Studies, Kyoto University
雑誌
African study monographs. Supplementary issue. (ISSN:02869667)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.33-46, 1998-03

This paper addresses the structure of traditional medical belief and knowledge with special reference to etiology among the Baka hunter-gatherers living in the tropical rainforest from northwestern Congo to southeastern Cameroon. A group of the Baka in northwestern Congo has 89 folk illness terms. The illnesses are classified into three groups by the type of cause. The first group consists of 8 illnesses which develop exclusively due to specific causes such as contacts with various pathogenic substances, violation or sorcery. The second group consists of 55 illnesses which develop spontaneously or due to specific causes. The third group consists of 26 illnesses which develop purely spontaneously. In the Baka folk etiology, the naturalistic notion that some natural entities are responsible for the occurrence of illnesses is more predominant than the personalistic notion that some agents, such as sorcerers, evil spirits, and ghosts, cause illnesses. Among various pathogenic substances, animals are major pathogens. Forest animals, whose bodily shapes or behavior look strange or unusual to human beings, seem to provide good materials to the Baka who wish to explain and understand what causes illnesses, an abnormal state in body and mind, without warning. The Baka people think that almost all of their folk illnesses may develop spontaneously too. Their search for pathogenic substances of their illnesses seems neither for the purpose of removing it nor cutting off contacts with it, but for the purpose of seeking specific remedies.
著者
中川 雅博
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.105-128, 2013-03

投稿論文"War is wrong." No one denies this. But once a country has becomeinvolved in a war, its views might change. During the Japanesemodern era, wars occurred at various times. Each time, peopleargued about whether it was right to fight and they reached thesame conclusion: "War is wrong." Nevertheless, wars still occur, becauseto the people who are involved in an actual war, the words"war is wrong" are meaningless. However, they typically say, "Ourpresent situation differs from that of other times anyway. We mustfight. "Thus, when they collide with the realities of war, they createtheir own arguments to justify the act of war. The idea of righteousness,such as humanity and justice or a religious cause often becomesa principal pillar of their thinking.Many Japanese Buddhists took a chauvinistic position during theRusso-Japanese War. Although Buddhism teaches that we should notkill any living creature, they have sometimes adopted improper behavior.How about Russian Orthodox Church? The Bible says, "Thou shall not kill." However, it has led Russian people into war for positivereasons. On a superficial level, many religions preach peace, yettheir teachings themselves may contain a logic that advocates war.I would like to clarify Japanese Buddhist logic by examining theviews of Rinzai Zen master Shaku Sōen (Kōgaku Sōen). Section Icriticizes ordinary ideas that are generally related to the ethics ofwar, and Section II presents an overview of the meaning of the Russo-Japanese War in Japanese society. Section III shows Sōen's figurein the Meiji era of Japan, and Section IV discusses his views on theRusso-Japanese War, which were published in the magazine TheSun (Taiyo). Sections V and VI examine the logic that supports hisopinions on war in his other writings. In this study, the special featureof the war logic of Japan—the obligation of egolessness—is revealedin considerable detail.
著者
高橋 佐智子
出版者
実践女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

わが国の核家族化が進んで久しい。その結果、家族間での被服製作に関わる知識や技術の伝承は少なくなっている。また、中高等学校の家庭科教育における被服製作時間数の減少等により、大学の被服製作の授業では受講者スキルに合わせた実演指導が求められている。しかし、授業時間数に制限があるため難しいのが現状である。本研究は実演指導が必要な被服製作教育において、初心者にも理解できる電子教材を作成し、自宅等で被服製作技術を習得できるe-ラーニングシステム全般の開発と効果の検討を目的とする。本年度は被服製作に関する基本調査と電子教材の作成を行った。被服製作に関する基本調査:10代後半から20代前半の男女(男性154名、女性287名、計441名)を対象に学内のWEBサーバーに構築したアンケートシステムを利用し調査を実施した。調査の結果、被服製作の道具を持っている人は58%、被服製作ができない人は84%であり被服製作があまり一般的でないことが明らかとなったが、浴衣を製作してみたい人は60%であり被服製作への関心の高さも伺えた。また、被服製作の電子教材を使用したことがある人は21%、使用したい人は42%であることから被服製作の動画教材の使用経験は少ないものの、それらに対する期待は比較的高いと考えた。電子教材の作成:本研究では、関心が高かった上、伝統的な技術を要する浴衣製作を題材として選定し、動画教材を作成することとした。15回分の各テーマを設定し、見出し別に再生する事を可能にして反復学習が出来る内容にした。デジタルビデオカメラで撮影し、MacBookProのimovieにより編集した動画に解説の音声ガイドを入れた。作成した動画を学内サーバーから配信するWBTの初歩的なシステムを構築した。配信形式は、MWVとQuickTimeの2種類を用意した。今後は実際にシステムを運用して学習効果や使用しやすさを調査、検討したい。
著者
尾川 僚
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、長い期間をつうじた複数の経済主体の競争におけるインセンティブの問題について、ゲーム理論、オークション理論を用いて分析した。特に、競争の主催者側の視点に立って、競争参加者の努力をうまく引き出すような競争の仕組みがどのようなものになるか分析する枠組みを作り、望ましい設計のもつ性質を提示した。
著者
柳沢 啓 大山 卓爾 熊沢 喜久雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.371-376, 1986-08-05
被引用文献数
3

根粒による固定窒素と培養液中の硝酸を同時に利用する生育条件下でダイズを水耕栽培し,開花期(7月10日),莢生長期(7月24日)および子実生長期(8月7日)の初めに^<13>CO_2と^<15>N_2または^<13>CO_2 と^<15>NO_3の二重標識処理を行ないその後の^<13>Cおよび^<15>Nの分配を追跡した。1)どの時期に同化した^<13>CO_2も同化直後に速やかに各器官へ転流する。しかしその後の^<13>Cの分配の変化はゆるやかでありNの場合ほど顕著ではなかった。2)根から吸収したNO_3-^<15>Nはどの時期に吸収した場合も処理直後には約90%が根と葉に見出された。収穫時には葉身と根の分配率は減少し子実および莢に再分配された。3)根粒で固定した^<15>N_2の挙動は^<15>NO_3と著しく異なっていた。どの時期に固定した場合も処理直後にはおもに根粒と葉身に分配していた。開花期の初めに固定した^<15>N_2は収穫時に子実への再分配はほとんど認められなかった。しかしながら莢生長期および子実生長期の初めに固定したN_2-^<15>Nは収穫時までに子実へ高い割合で分配され,同じ時期に吸収したNO_3-^<15>Nよりも高い割合であった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.10, no.10, pp.86-89, 2011-06-21

調査概要:5月中旬〜下旬にかけて、編集部が選んだ各業界の代表企業70社に暑さ対策に関するアンケートを送付、44社から回答を得た。グラフの割合は設問ごとの有効回答のみで算出し、小数点第1位で四捨五入した。 「東京・東北電力エリアは消費電力量15%カット!」と政府が定めたことを受け、各企業が対策に乗り出した。
著者
今冨 裕樹 鹿島 潤
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-12, 2004-04-15
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は温熱環境の視点から,生理的快適性に富むチェーンソー保護衣開発のための基礎資料を得ることを目的として,市販されている3種類のチェーンソー保護衣の衣服内気候を調べた。ズボンタイプの保護衣の着用は,冬季では,温冷感尺度は「やや暖かい」,快適感尺度は「快適」,春季では温冷感尺度は「暖かい」,快適感尺度は「不快」,夏季では温冷感尺度で「暑い」〜「非常に暑い」,快適感尺度は「非常に不快」に区分された。したがってわが国においてズボンタイプの保護衣の着用は冬季では適するが,それ以外の季節では温熱環境の視点から適用しにくいものと考えられた。チャプスタイプの保護衣の着用は,冬季ではズボンタイプの保護衣と比べて暖かさは劣るが,未着用に比べるとかなり暖かさが確保されること,春季では衣服内湿度が比較的低いためにさほど蒸れも感じられないこと,夏季では暑さや蒸れが感じられることがわかった。夏季では時折,留め具を緩めて保護衣内の換気をよくすることにより,暑さや蒸れによる不快感を緩和させることができるものと思われた。なお,保護衣内の温度上昇に伴う生体負担の変化を調べた結果,着用保護衣の違いから生じる温熱環境と生体負担との間に明確な関係を見出すことはできなかった。
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.220, pp.55-60, 2011-09-22
参考文献数
11

情報理論というとシャノンを思い浮かべる人が多い.しかしジョン・フォン・ノイマン(1903-1957)も,生命の自己複製と進化を自動的になしとげる複雑さを生みだすメカニズム「オートマトン」の研究として情報理論の必要性を訴えていた.そして,組合せ,熱力学,形式論理学,デジタルといった基本概念を吟味し,万能チューリングマシン,デジタル神経ネットワーク,長期記憶メカニズムといったシステム構成要素を論じていた.情報は離散的で有限個の元からなる論理記号が,一次元状に配列された表現であり,それが媒体を変調して回線上を伝搬し,宛て先でデジタル復調されて複雑な意味を構築する.デジタル信号はアナログ信号よりも信号対雑音比(S/N比)にすぐれているから,組合せ理論にもとついて符号語の種類が桁違いに多くなり,一回だけ送信すれば相手にメッセージが届く.ほぼ無限に作り出せる符号語が,一度送信するだけで相手に届くことの相乗効果として,短い符号語が意味単位の接続や意味の修飾を行うようになった.これが言語における文法,タンパク質合成における非コーディングRNA,コンピュータ・ネットワークにおけるプロトコルスイッチである.宛て先で処理されるための情報以外に,情報を処理する回路の組み立て方を指示した情報を宛て先に送ることができるので,情報によって情報処理回路を作れる.できあがった処理回路を処理回路を作る回路に投入すると,一段上のレベルの処理が可能な処理回路ができ上がる.これを何度も繰り返すと,だんだん処理できる複雑さのレベルが上昇し,複雑さのレベルが同等な子孫を生みだし,さらに複雑さを増した進化を自然に生みだせる.具象概念から類概念・関係性概念に発展したものが,抽象概念,公理,公理系へと発展する過程も自己増殖による複雑化と考えられる.
著者
武田 尚子
出版者
武蔵社会学会
雑誌
武蔵社会学論集 : ソシオロジスト : Journal of the Musashi Sociological Society (ISSN:13446827)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.14, pp.1-34, 2012-03-22

本稿は, イギリスのB.S.ロウントリーが1899年に着手したヨーク第一次貧困調査の企画・構想のベースについて探る。当時, イギリスは深刻な不況にみまわれ, 如何にして「効率性」を高めるかが社会的な議論のテーマになっていた。「効率性」議論の場を積極的に形成していったのはウェッブ夫妻である。ウェッブ夫妻など社会主義者と異なる視角から, 貧困・失業問題への対策を構想したのが20世紀初頭の新自由主義者の集団で, B.S.ロウントリーは新自由主義者の集団と近しい関係にあった。B.S.ロウントリーは食品製造業経営者の家に生まれ, 20歳代に10年間食品化学の実験に携わり, 急成長する食品会社の中枢で, 製造方法や組織運営の経験を積んだ。ミクロな側面から経営効率や, 企業成長の推進力を生み出すしくみについて考察を重ねる豊富な機会に恵まれていた。このような環境で育成された緻密な数値, プラグマティックなものへの関心が, 都市貧困調査において食物の必要量, 栄養価を克明に調査することにつながっていったと考えられる。
著者
鈴木 剛 渡辺 正夫 諏訪部 圭太
出版者
大阪教育大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

植物の受粉機構に関連する「ゲノム・遺伝子相関」を明らかにするために3つのプロジェクトを行った。第一に、形質転換実験によりインセスト回避をレストアできるかを検討し、シロイヌナズナの自家和合性の分子進化を考察した。第二に、アブラナ科植物の同一種内で受粉時の生殖障壁を生み出している新規生殖隔離遺伝子の花粉側・雌しべ側因子セットを同定し、機能解析により証明した。第三に、イネやアブラナの生殖器官特異的な包括的RNA解析により、受粉時の相関遺伝子の解析基盤を整備した。その過程で、イネ葯のmiRNAの網羅的解析から、耐冷性の高いイネ品種におけるmiRNAの遺伝子発現制御の役割を見いだした。
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.42, pp.127-144, 2009-03

土壌動物の持つ機能についてリターバック法を用い、近大里山内において樹種毎に落葉の分解にどれだけ土壌動物が寄与しているのかを調べた。その結果、土壌動物は落葉量の多い11月や12月の時期には落葉量と同じように増えているが、落葉量が少ない4月から7月の時期にかけても個体数が多かった。また、8月の夏の時期にはもっとも少なかった。どの樹種においてもこの傾向が見られた。また、リターバック内の落葉の残存率は、9月頃まで減少し続け、その後は横ばいに推移している。分解速度にてヒノキの4ヶ月目と6ヶ月目にピークが現れたのは土壌動物の個体数増加に伴う分解促進の結果と思われる。落葉の分解が進むにつれて落葉中の窒素含有率が上昇している。これは落葉中の炭素が消費されていることを意味している。炭素は土壌動物や土壌微生物にとってエネルギー源であり、窒素は土壌微生物の体を形作る養分である。落葉の多い時期に、土壌動物の個体数が増えているのは、9月頃の分解のピークによって分解者以外の利用できる養分が増え、分解者以外の土壌動物の個体数が増えはじめ、それらが土壌中を動きまわることにより、土壌が攪拌され、新たな団粒の形成等により、分解者である中型土壌動物の生存可能空間が作られる。そこに落葉が供給されることにより、再び分解者の活性が高まったためであると考えられる。落葉の少ない、3月頃から8月の手前までの時期にも土壌動物は個体数を増やしているが、これは、寒くも無く、暑くもない温暖な気候である春という時期が土壌動物の活動を活発にさせ、個体数を増加させたものと推察される。8月の土壌動物の個体数が少ないときに分解速度が減少したり、落葉の多い時期に比例するように土壌動物は増えていることをはじめとするこれらの結果から土壌動物の落葉分解という機能が示された。また、落葉の分解にもっとも貢献していたのはダニ目のササラダニ亜目であった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.94, pp.125-127, 2007-04

「最高気温が35℃を超える日を『猛暑日』と呼ぶ」─。今年2月、気象庁は約10年ぶりに気象予報用語を改定し、新たに「猛暑日」という用語を設ける方針を打ち出した。同庁はこれまで最高気温30℃以上の日を「真夏日」と呼んできたが、群馬県前橋市や埼玉県熊谷市で35℃を超える日がここ10年急増。予報解説に新たな用語が必要になった。 確かに首都圏は暑くなった。
著者
Rampal Rajera Kalpana Nagpal Shailendra Kumar Singh Dina Nath Mishra
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.945-953, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
85
被引用文献数
38 212

During the past decade formulation of vesicles as a tool to improve drug delivery, has created a lot of interest amongst the scientist working in the area of drug delivery systems. Vesicular system such as liposomes, niosomes, transferosomes, pharmacosomes and ethosomes provide an alternative to improve the drug delivery. Niosomes play an important role owing to their nonionic properties, in such drug delivery system. Design and development of novel drug delivery system (NDDS) has two prerequisites. First, it should deliver the drug in accordance with a predetermined rate and second it should release therapeutically effective amount of drug at the site of action. Conventional dosage forms are unable to meet these requisites. Niosomes are essentially non-ionic surfactant based multilamellar or unilamellar vesicles in which an aqueous solution of solute is entirely enclosed by a membrane resulting from the organization of surfactant macromolecules as bilayer. Niosomes are formed on hydration of non-ionic surfactant film which eventually hydrates imbibing or encapsulating the hydrating aqueous solution. The main aim of development of niosomes is to control the release of drug in a sustained way, modification of distribution profile of drug and for targeting the drug to the specific body site. This paper deals with composition, characterization/evaluation, merits, demerits and applications of niosomes.
著者
高橋 和文 黒川 隆志 磨井 祥夫
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.189-200, 2005-03-10

本研究では, 100m疾走中の速度変化を表す2つの指標を提案し, その有用性を明らかにすることを目的とした.1つの指標は, Furusawa et al.の理論式からの偏倚の程度を距離で示す累積速度偏差である.もう1つの指標である累積速度偏差率は, 最高速度発現後からゴールまでの速度低下の総量を同区間の理論値に対する割合として定義した.1)累積速度偏差の有用性を判断するために, 5m区間ごとの値を算出し, 速度変化の時系列に沿った分析を行った.その結果, スタートから5m地点までの累積速度偏差は, 反応時間を含めたスタート技術に関与すると考えられる高値を示した.次の5-10m区間では, 累積速度偏差は全区間中で最も低値を示し, 30m地点に至るまで増加傾向を示した.しかし, その後の30-35m区間では, 累積速度偏差は前区間と同値を示し, 次の35-40m区間では, 前区間より低値を示した.また, 最高速度発現後(40m以降)の累積速度偏差は, 80m地点に至るまでの上に凸な曲線的増加と80-100m区間の直線的増加を示した.これらのことから, 累積速度偏差は, 100m走中の速度変化の過程を客観的に区分することのできる指標であることが示された.2)累積速度偏差率の有用性を判断するために, 目的変数として100m走タイム, 説明変数として最高速度, 最高速度の到達時間, 速度逓減率, 累積速度偏差率を用いた重回帰分析を行った.その結果, 多重共線性が無く, 有意な予測値を示した説明変数は, 「最高速度と累積速度偏差率」の組み合わせだけであった.この結果から, 累積速度偏差率は速度逓減率に比べて, 速度低下を説明できるより有効な指標であることが示唆された.