著者
植田 睦之
出版者
Japan Bird Research Association
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A19-A23, 2012

オナガ <i>Cyanpica cyana</i> はツミ <i>Accipiter gularis</i> の防衛行動を利用して捕食を避けるために,ツミの巣のまわりに集まってきて繁殖するが,ツミが巣の直近しか防衛しなくなった2000年代からは,ツミの巣のまわりで繁殖することは少なくなった.しかし,一部のオナガはツミの巣のまわりで繁殖し続けている.なぜ,一部のオナガがツミの巣のまわりで繁殖しているのかを明らかにするため,営巣環境に注目して2005年から2011年にかけて東京中西部で調査を行なった.ツミの巣のまわりのオナガの巣は1990年代よりも葉に覆われた場所につくられるようになり,通常のオナガの営巣場所とかわらなかった.またツミの巣の周囲に好適な巣場所が多くある場所でのみ,ツミの巣のまわりで営巣した.これらの結果は,オナガは1990年代同様,ツミのできるだけそばで繁殖しようとしてはいるものの,当時のように自分たちの巣の隠蔽率を無視してまでツミの巣の近くを選択することはなく,営巣場所選択におけるツミの巣からの距離と隠蔽率の優先順位が逆転したことを示唆している.
著者
奈良県 編
出版者
奈良県
巻号頁・発行日
vol.第14冊, 1938
著者
柴田 悠
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

まず、1.研究課題「現代社会における他者援助」の公的な典型形態である「所得再分配」(一般政府による公的支出)に関する研究として、(1)所得再分配の規定要因について、歴史社会学的研究と計量社会学的研究を、国内研究会での発表と議論をつうじてさらに精緻化し、ワーキングペーパーと博士論文(2011年7月京都大学大学院人間・環境学研究科受理)にまとめた。また(2)再分配政策の(自殺率・出生率・経済成長に対する)効果についての計量社会学的研究を、国際会議や国内学会での口頭発表と議論をつうじてさらに精緻化し、博士論文(同上)と投稿論文(投稿中)にまとめた(結果の詳細は博士論文などを参照)。つぎに、2.「現代社会における他者援助」の私的な典型形態である「親密性」に関する研究として、とりわけ今後の日本社会で活性化が必要と考えられる(幼児と高齢者の間の非血縁の世代間ケアが生じうる)「多世代コミュニティ」に着目し、国内先進事例に関する文献調査と現場調査(子育て支援施設と高齢者の居場所を兼ね備えたボランティア運営施設での参与観察とインタビュー)を行い、「多世代コミュニティの活性化条件」に関する理論仮説を得ることができた(その成果は現在、論文として執筆中である)。また、東アジアでの国際的な質問紙調査のマイクロデータ(日本・韓国・中国・台湾・バンコク・ハノイ)を用いて、「親子間ケア」(家事援助と金銭援助)のパターンを統計的に分析し、ベトナム・ハノイでの国際研究会で発表した(成果は論文として執筆中)。さらに研究計画にはなかった追加的研究として、子どもと高齢者に対する公的援助(ケアサービス)と私的援助(ケア行動)に関して、東アジア諸国(日本・韓国・中国・台湾・シンガポール・タイ・ベトナム)のマクロデータを、海外研究者たちの協力のもとで、先行研究を上回る規模で収集し、集計した(成果は論文として執筆中)。
著者
飯吉 弘子 渡邊 席子 西垣 順子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

学生の「思考力(自分で考える力)」とその育成に焦点を当て、(A)「育成対象(思考力自体と学生の発達意識)」と(B)「育成主体(大学教員とその教育実践)」両面の文献調査・言説分析・質問紙調査の量的質的分析・ナラティヴ調査・実践事例研究等の各種調査分析を通して、「大学教育が担うべき思考力育成とその教育実践と教育の評価のあり方」の総合的研究を行い、批判的に思考する「態度」育成の重要性やその教育実践事例分類、学生の発達意識や教員の意識における思考力育成の可能性や重要性の認識分析、カリキュラムと教育の評価のあり方分析等を行い、批判的に思考する能力や態度の育成のあり方の方向性と可能性を考察した。
著者
太田 裕 音田 功 前川 博
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1397-1413, 1969-03-17

A large earthquake occurred to the south of Cape Erimo, Hokkaido, at about 9 h 49 m (JST) on May 16, 1968, and severely shook the Tohoku and Hokkaido areas. According to the Japan Meteorological Agency, the epicenter of this shock is 40°7N, 143:7E and 20km depth, and the magnitude 7.8 on the Richter scale. After about ten hours of this main shock, the largest aftershock (M=7.4) occurred at the location 41°4N, 143°3 E and 20km depth. Recently, the southern part of Hokkaido was rocked by two huge earthquakes, one was the Off-Tokachi earthquake of March 4, 1952 (M=8.1), and the other the Off-Hiroo earthquake of April 23, 1962 (M=7.0) (cf. Figure 1).
著者
宮本 誠子
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

成年後見人に法律の専門家が選任されるケースが増加するにつれ、成年被後見人死亡による成年後見終了後の財産管理をいかにおこなうかが問題となっている。成年被後見人の死亡により、成年後見は終了し、後見人には財産管理の権限も義務もなくなる。しかし、財産はなお成年後見人の手元に残ることから、相続人の遺産管理との抵触が生じる。本研究では、フランス相続法の中に、相続人の権限や遺産分割の規律と抵触しない分野を見いだし、死後の事務の法的理論化への示唆を得た。
著者
鈴木 豪 志賀 剛 木原 貴代子 大熊 あとよ 西山 寿子 小林 清香 鈴木 伸一 西村 勝治 石郷岡 純 萩原 誠久
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.381-381, 2011-10-25

第6回東京女子医科大学メンタルヘルス研究会 平成23年6月23日 東京女子医科大学総合外来センター5F 大会議室
著者
アレクシッチ ブランコ
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

シナプス足場タンパク質のMAGI2はグルタミン酸受容体を含む多様な機能分子と相互作用し、統合失調症の認知機能障害との関連が示唆されている。本研究ではMAGI2の遺伝子多型と統合失調症の関連解析を行い、さらにその多型が認知機能に与える影響について検討を行った。その結果、MAGI2の2つの遺伝子多型(rs2190665、rs4729938)が統合失調症と関連し、さらにrs2190665は統合失調症に特徴的な実行機能障害にも関与することが明らかになった。

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出版者
雄松堂フイルム出版
巻号頁・発行日
1926
著者
河村 善也 松橋 義隆 松浦 秀治
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.307-317, 1990-10-20 (Released:2009-08-21)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

This paper offers detailed descriptions of the late Quaternary fossil-bearing sediments of Suse Quarry and their mammalian faunas, with a discussion on the faunal succession between the latest Pleistocene and early Holocene in the Pacific coastal region of central Japan.The sediments of the quarry were found in two fissures (East and West Fissures) exposed on the limestone quarry faces in 1975. Those of East Fissure are composed of brown to yellowish brown mud, and the 14C age of fossil bones from them is determined to be 14, 710±670y. B. P. The sediments of West Fissureconsist of brown mud with breccia, and the fluorine analysis of fossil bones suggests that the sediments are younger than those of East Fissure, and are possibly assigned to the last part of the Late Pleistocene to the early Holocene in age.With the exception of an extinct deer species, Cervus praenipponicus, the assemblage of East Fissure (Table 2) is composed of extant forms which are found in present-day Honshu. It is also characterized by the absence of wild boar, in contrast to the abundant occurrence of deer remains. The assemblage of West Fissure (Table 3), on the other hand, includes neither extinct forms nor extant forms which are now absent from Honshu. Additionally, remains of wild boar ate commonly found in association with deer remains.On the basis of the data from these two assemblages and those from Site 5 of Yage Quarry (14C age: 18, 040±990y. B. P.) and other Late Pleistocene and Holocene fossil localities in the region, we can postulate the following faunal succession:About 18, 000 years ago, the fauna were generally similar to those of lowlands and low mountains of present-day Honshu, but also contained extinct forms (Anourosorex japonicus, Microtus cf. brandtioides and Cervus praenipponicus) and a form exotic to present-day Honshu (Ursus cf. arctos). In spite of the abundant occurrence of deer, wild boar was almost absent in the fauna. The above-mentioned extinct and exotic forms (except for C. praenipponicus) vanished between 18, 000y. B. P. and 15, 000y. B. P. The fauna of 15, 000y. B. P. became more similar to the present one, but wild boar were almost absent as in 18, 000y. B. P. From 15, 000y. B. P. to the early Holocene, the number of wild boar increased drastically, and then the fauna became almost identical with that of present-day Honshu.
著者
ラビノヴィッツ R.W. 後藤 登
出版者
好学社
雑誌
アメリカーナ
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.1-18, 1957-03
著者
大島 義信
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

最終年度では,階段形状の反射ターゲットを用いた変位計測法に関して,前年度明らかとなった問題点を改善するため新たに補正法を考案し,実橋において実証を行った.提案するレーザー変位計の変換原理は,レーザー入射角とターゲットが垂直になっていることが基本であった.そのため,測定現場などで入射角が垂直とならない場合,換算値と実質の変位が異なる可能性があった.そこで本研究では,ターゲットを二つ組み合わせて,入射角に拘わらず変換値が真値に最も近づく理論を考案し,実橋において実証を行った.その結果,1.二つのレーザー変位計を用い,ターゲットの一つを斬増する方向,もう一つを斬減する方向に組合せ,同時に測定を行う.この場合,対象のある変位方向に対し,一つ目のレーザーからは斬増する値が得られ,もう一つからは斬減する値が得られる.理想状態の場合,これらのデータを足し合わせればゼロとなるが,入射角の相違のため誤差が生じてゼロとはならない.この誤差には角度の情報が含まれるため,この値を用いて補正を行えば,角度を陽に意識することなく変位が得られる.2.レーザーの入射角が-5度から+5度までの範囲内であれば,ターゲットを二つ組み合わせることで,正しい変換値を算定できる.3.実橋において,たわみ量を提案技術で測定した結果,接触式変位計と同等め変位値が得られた.よって,新たな測定原理を適用すれば,提案技術の課題であった角度補正につ恥て特に意識することなく,橋梁の変位を計測できることが明らかとなった.