著者
加納 塁
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.19-23, 2012 (Released:2012-03-30)
参考文献数
14
被引用文献数
7 10

皮膚糸状菌症の犬および猫からヒトが感染し,体部白癬,時にはケリオンにまで重症化する場合がある.今まで原因菌のほとんどは,Microsporum canisであったが,最近は兎,げっ歯類,ハリネズミが人気動物になりそれらの輸入時に,これまで本邦で認められなかったArthroderma benhamiaeが侵入し,全国的に拡散しヒトへの感染も報告されている. クリプトコックス症は現在のところ増加傾向は認められないが,本邦でもCryptococcus gattiiの感染動物が報告されている.獣医臨床の分野でも免疫抑制剤および抗癌剤による治療症例数の増加に伴って,本症が増加する可能性がある.動物のスポロトリクス症は,本邦では稀な疾患であるが,大量の菌が感染病巣や滲出液中に認められるため,ヒトへの感染や居住環境を汚染する危険性がある.
著者
中西 欣弥 花北 順哉 田宮 亜堂 吉田 守 瀧花 寿樹 井水 秀栄 平井 達夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.723-729, 2004-10-20
被引用文献数
2

脊椎血管腫は良性脊椎腫瘍の中で最も多いが,脊髄症を呈することは非常に稀である.今日われわれは,脊髄症を呈した2症例を経験したので報告した.症例1は45歳,女性,胸椎圧迫骨折による背部痛にて発症した.第12胸椎椎体腫瘍の診断で腫瘍摘出術を行ったが,術中にコントロール困難な出血に遭遇し腫瘍部分摘出となる.第2回目手術では,術前に腫瘍栄養血管塞栓術を行い腫瘍の全摘出が可能となった.症例2は47歳,男性で両下肢のしびれを主訴とした.第5胸椎脊椎血管腫の診断で術前に腫瘍栄養血管塞栓術を行い,その後手術にて腫瘍の全摘出を行った.脊椎血管腫は易出血性の腫瘍であり,術前検査として血管撮影は必須である,腫瘍摘出術を行うに際して術前の腫瘍栄養血管塞栓術が重要と考えられた.
著者
渡邉 典子 ワタナベ ノリコ Watanabe Noriko
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.43-59, 2011-03-31

1970 年代の日本の新新宗教ブームを牽引したGLA(God Light Association)総合本部の二代目の教祖高橋佳子は会員に「ミカエル」1 と信じられており、会員にカウンセリング的なふりかえり(「神理」という教えの実践)技法やスピリチュアルなターミナルケア2 を提供している。現代のGLA 会員の活動からは、個人化・グローバル化社会で競争を強いられている人々や、感情労働3 を求められるサーヴィス業の人々に支持されるようなスピリチュアルな「心の技法」が見出せる。この「心の技法」へのニーズにより、刺激反応図式の古典的パラダイムの主体が刺激に反応する受動的な存在であったことに対し、現代の主体とは、自己の行動をコントロールする能動的な存在であることを示し、そこに至る心身管理の自己責任性の重視を考察する。そして、GLA の神観、初代教祖高橋信次や弟子らのチャネリング4、瞑想や座禅などの「心の技法」を題材に、後期資本主義時代の新新宗教の教説の「心理主義化」傾向を分析するKeiko TAKAHASHI, the present leader of God Light Association (GLA), one of the Japanese neo new religious movements from the 1970's, is called as "Mikhail" by members, and she offers terminal care for members, which is a kind of spiritual counseling. We can observe from GLA activities a desire for "the technique of the heart" by the people in the service industry doing emotional labor, and they are forced to compete in individualized and globalized society. By analyzing the technique of the heart, it is argued that the old modern self was just a passive actor who behaves in response to external stimulation, and that today's self should actively control his or her own behavior with the emphasis on self-responsibility. Also, from the view point of GLA's God image, channeling by the founder Shinzi TAKAHASHI and his disciples, and Zen meditation, doctrines of neo new religions in the late capitalism are fairly "psychologized".
著者
笹田 慶二郎 新谷 公朗 古川 宗孝 豊田 実香 金田 重郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.35, pp.69-76, 2004-03-23
被引用文献数
10

近年,子育て支援を目的として,保護者と保育者をつなぐグループウェアシステムが多数提案されている.この考え方を発展させ,保育者,保護者,子育て支援センターの行政担当者,医師などが,連絡帳などの子どもに関する情報を共有し,中長期に渡って発達段階を見守る「e?子育てNETシステム」を実現できれば,保育の質の向上に資すると考えられる.しかし,その際の大きな課題は,子どもの活動記録のデジタル化である.各種活動記録の投入を保育者の業務とすると,保育者の負担が増大する.そこで,本稿では,e?子育てNETシステムの中核部として,ベテラン保育者のノウハウを用いて活動記録を容易にデータ投入できる「デジタル連絡帳」を提案する.デジタル連絡帳は,ベテラン保育者のKnowledgeを,多数のテンプレート(例文)として持っており,その選択・加工により,容易に連絡帳を作成できる.連絡帳は,携帯電話,Webによって保護者に配信される.そして,選択されたテンプレート種別などから児童原簿が自動生成される.本稿では,XMLをベースとして開発されたデジタル連絡帳プロトタイプ,及び,幼稚園・保育所の保育者を対象に行ったシステムに対するヒアリング結果について報告する.Recently, many application systems were developed for infant education domain: kindergarten or nursery schools. These conventional systems, however, lack the viewpoint of working reduction for nurses/kindergarten-teachers. Thus, this paper proposes a new supporting system "e-Infant Education NET System" as the way to improve infant education quality. By using the proposed system, parents, nurses/teachers, domain experts of administrative office, and medical-doctors own digital records of child activity in common. The major subject of the proposed system is easy activity record making for each infant. To resolve this problem, the authors developed "Digital Communication Notebook System" having knowledge of veteran nurses/teachers in example sentence format, each of which is called "Template." A nurse or kindergarten teacher selects and modifies the template. This template selection results in automatic generation of a digital communication notebook, daily reports, and special reports for administrative offices. The resultant digital communication notebook is sent to parents through E-mail of mobile phone or Web homepage. This paper demonstrates the outline of the implemented system and the nurses/teachers comments concerning the newly developed system.
著者
鈴木 俊幸
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

近世初期書籍目録や蔵版目録書き入れ、また購書目録等既刊の資料から抽出し、書籍価格のデータベースを作成した。また、国内の図書館・文書館を調査し、書籍価格の記事を備える資料を収集した。それに基づき、上記データベースにデータを付加し、最終的にそれを CD に収めて研究者に広く配布した。また『書籍文化史』第10~14 集を発行した。これには投稿論文とともに書籍に関する研究文献目録を収載、研究者と諸機関に配布し、研究情報の共有に資した。
著者
北林 行雄 郭 立新 黒田 靖子 加藤 ジェーン 川田 勉 中山 剛
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.43-48, 1998-02
被引用文献数
2

Cognitive property of Japanese surnames having peculiar intimacy to each of Japanese as an individual label was investigated. The frequencies of 5778 surnames taken from directory of a society including 30,000 members were investigated. Twenty subjects assessed the intimacy of surnames sampled from above mentioned 5778 surnames. Average scale values of intimacy for sampled surnames were found to be proportional to logarithms of frequencies . As a result of factor analytic study of intimacy, two factors were extracted. Quantitative relationship among frequencies and those factors was examined.人間による外界の認知は,機械認識と異なり,認知が能動的であることが特徴である。テレビカメラやマイクロホン等を通した機械的な情報の取り込みは,全く無選択的であるのに対し,視覚や聴覚による認知は極めて選択的であり,認知を行なう人間にとって必要のない情報は無視される。この現象は,聴覚の世界では,古くからカクテルパーティ効果として知られ,その機構の解明が試みられてきたが,まだ完全には明らかでない。この効果は,パーティなど,周囲で大勢の人の話し声がする場合でも,誰かが自分の名前を云うと聞こえたり,離れたところで話している人に注意を集中するとその人の話を聞くことができるといった聴覚における選択的認知に関するものである。また,視覚の世界でも,眼の網膜の解像度の特性は均一でなく,中心か(fovia)と呼ばれる部分を中心に視角にして+3度程度のごく狭い範囲だけが解像度特性が高く,それをとりまく周辺部は解像度が低い替わりに動きに対して敏感であるといわれている。したがって,人聞は外界の視覚的情報を得ようとする場合には,見ようとする対象に頭の運動と眼球運動を組み合わせ,かつ,レンズとして作用する水晶体の焦点を調整して,中心か上に像を結ぶような,能動的な活動が必要となる。近年,人工知能の世界で,人間の認知機構を計算機に取り入れ,計算機による外界の認識を柔軟なものにしようとする研究が行なわれている。我々も,こうした研究の一貫として,人間の姓のもつ認知的特徴に着目し,これを材料として認知の能動性の一貫を解明しようと考えた。姓は個人のラベルとしての特性を持ち,その認知は特定の個人にとって特別な意味を持っている。すなわち,自分の姓は非常に高度な親近性を持ち,カクテルパーティ効果に代表されるように,認知される度合も他の人の姓よりはるかに大である。したがって,姓の持つ特性を明らかにし,これと認知特性との関係を調べることにより,人間の認知特性の一側面を解明できるものと考える。その研究の第一歩として,本報告では,日本人の姓の出現頻度を調べ,同時に,個々の人聞にとっての姓の親近度の特性を明らかにし,頻度と親近度の関係付けを行なった。これをベースとして姓の認知特性の研究を進めたい。
著者
北条時頼 著
出版者
中近堂
巻号頁・発行日
1893
著者
落合 美貴子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.351-364, 2003-09-30

教師バーンアウトは,ヒューマンサービス従事者のバーンアウトの中でも,とりわけ深刻な問題として研究されてきている。教師バーンアウトは,教育学,心理学,社会学等多領域に跨がるテーマであることから,学際的な視点が必要である。本論は,その点を踏まえて,まず国外の研究を概観し,次いで日本の研究動向を探った。そして,特に要因研究に焦点を当て先行研究のメタ分析を行い,今後の教師バーンアウト研究に必要とされる4つの視点を提示した。それは,(1)バーンアウト研究は,概念やその成立機序からしてストレス研究とは一線を画すべきであること,(2)社会・文化的視点,特に教育制度や教師文化の独自性に関する認識が不可欠であること,(3)時間軸の重要性から,教師のライフヒストリー研究等の縦断的研究が必要であること,(4)これまでの量的研究は,バーンアウトの内実に迫り得ていないことから,質的研究法を導入する必要があること,である。
著者
万木 豊 永田 洋 Yurugi Yutaka Nagata Hiroshi
出版者
三重大学農学部
雑誌
三重大学農学部学術報告 (ISSN:04624408)
巻号頁・発行日
no.63, pp.p199-203, 1981-12

この暖帯地方に分布する常緑広葉樹 4 種の長日条件と短日条件下での生長パターンをしらべ, その天然分布との関連を考察した。ヤマモモ・クスノキ, アラカンは長日条件, 短日条件下ともで周期的生長を示した。そこで, これら 3 樹種は亜熱帯地方では休眠に入ることなく, 分布可能なのであろう。タブノキは長日条件下で周期的生長を示すが, 短日条件下では 1 回のフラッシュをみたのみであった。このタブノキが亜熱帯地方に分布しているのは, 短日条件下でも周期的生長を示す生態型があるためであろう。Growth patterns of four evergreen broad-leaf trees distributed in this warm temperate zone on long-days and short-days were studied, and the relationship between growth patterns and distribution was discussed. Myrica rubra SIEB. Et ZUCC., Cinnamoum camphora SIEB., and Quercus glauca THUNB. showed periodic growth on long-days and even on short-days. So they can be distributed in the subtropical zone without being induced to bud dormancy. These three species seem to be induced to bud dormancy wit lowering temperatures in autumn, and to be released from bud dormancy with winter chilling in this region. Machilus thunbergii SIEB, et ZUCC. showed periodic growth on long-days, but showed only one flush and then no growth on short-days. It may be considered, therefore, that Machilus thunbergii can be distributed in the subtropical zone, having an ecotype showing periodic growth on short-days.

1 0 0 0 Job

著者
David J.A. Clines
出版者
Word Books
巻号頁・発行日
1989
著者
Akisato Kimura Masashi Sugiyama Takuho Nakano Hirokazu Kameoka Hitoshi Sakano Eisaku Maeda Katsuhiko Ishiguro
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.128-135, 2013-03-12

Canonical correlation analysis (CCA) is a powerful tool for analyzing multi-dimensional paired data. However, CCA tends to perform poorly when the number of paired samples is limited, which is often the case in practice. To cope with this problem, we propose a semi-supervised variant of CCA named SemiCCA that allows us to incorporate additional unpaired samples for mitigating overfitting. Advantages of the proposed method over previously proposed methods are its computational efficiency and intuitive operationality: it smoothly bridges the generalized eigenvalue problems of CCA and principal component analysis (PCA), and thus its solution can be computed efficiently just by solving a single eigenvalue problem as the original CCA.

1 0 0 0 ヨブ記註解

著者
松田明三郎著
出版者
日本基督教団出版部
巻号頁・発行日
1954
著者
正岡子規 著
出版者
俳書堂[ほか]
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1902
著者
長田 裕子 上村 佑也 坂 智秀 吉田 睦子 西塔 正孝 工藤 秀機 國崎 直道 五明 紀春
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.625-631, 2008-12-15
被引用文献数
8 7

<I>Lactobacillus plantarum</I> No. 14株を被験者28人に二重盲検法により摂取させ,そのスギ花粉症に対する効果を調べた.実施期間は2005年1~3月とし,No. 14株の凍結乾燥菌体を1日2.0×10<SUP>10</SUP>CFU, 3週間連続摂取させた.その結果,血液成分において群間に有意な差はなかったが,No. 14株摂取により総IgEの有意な減少が見られた.また摂取を終了した後でも総IgE, 好酸球数の上昇を抑制した.アレルギー症状に関しては鼻回数が摂取3週間目と後観察1週目で試験群がプラセボ群に対して有意に少なくなった.また,体脂肪率が摂取前後でプラセボ群は有意に上昇したのに対し,試験群は有意に減少した.このことからNo. 14株の摂取により花粉症が抑制され,体脂肪率が低減する可能性が示唆された.
著者
三谷 純 鈴木 宏正
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.3-8, 2004 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

我々は3次元コンピュータグラフィックスの技術を用いることで, PC上でポップアップカードの設計を対話的に行えるソフトウェアの研究開発を行ってきた.このソフトウェアを用いることで, PCの画面に表示されるポップアップカードの立体図をマウスとキーボードのカーソルキーで編集し, その展開図をプリンタから出力することができる.この展開図を元にカッターなどを用いて紙工作することで, PCの画面で設計したポップアップカードを実際に手に触れて確認できるようになる.本稿では, このソフトウェアを初等および中等教育における図工や技術・家庭科を対象とした新しい教材として活用することを提案する.中学校の技術・家庭の授業で試行的に利用してもらうために幾つかの機能拡張を行い, そして実際に授業で試行することによって教材としての評価を行った.