著者
萩原 育夫 大西 有三 佐々木 猛 西山 哲
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.357-367, 2009-12-25 (Released:2009-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

不連続変形法を用いた落石シミュレーションにおける形状パラメータ設定方法の体系化を目的として,落石の形状特性に関する定量的指標の導入について検討した。落石の形状特性を表す指標としてアスペクト比,円形度,形状エントロピーに着目し,跳躍過程を主体とする解析ケースを対象とした感度解析並びに落石崩落事例解析を行って各形状指標の適用性を検討した。検討結果から,着目した形状指標のうち曲率に関する形状エントロピーと円形度は落石ブロックの形状特性に関連した跳躍時の射出方向変化や崩落時のエネルギー減衰等のシミュレーション結果に対応することを明らかにし,実際の落石崩落を対象とした事例解析において各指標の有効性を把握することができた。これらの形状指標を解析パラメータの設定に導入することは,落石の形状特性把握における主観的誤差の低減や,合理的な落石シミュレーションの実施に有効と考えられた。
著者
中国 昭彦 堀 哲夫
出版者
山梨大学
雑誌
教育実践学研究 : 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:13454161)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-19, 2010

2008 年学習指導要領が改訂され,思考力や表現力等,児童生徒の資質・能力の育成が改訂のポイントのひとつとなっている。中教審答申では,特別活動や総合の学習の時間において体験活動を充実させることで,資質・能力の育成をすることが強く求められている。これまで特別活動や総合的な学習の時間において,資質・能力を育成するために一枚の用紙のみを用いたOPP(One Page Portfolio) シートを活用した研究は,ほとんど提案されていない。そこで,本研究では児童が生きる力を身につけていくために,総合的な学習の時間「私たちの祇園祭を伝えよう」の単元において,資質・能力を育成するための手立てとしてOPP シートを活用した授業づくりに取り組んできた。その結果,本研究を通してOPP シートを活用することにより,資質・能力の育成や体験活動の充実が効果的に図れることを児童の記述内容から確かめることができた。
著者
亀山 統一
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

琉球列島のマングローブの重要な構成樹種の主要病害であるメヒルギ枝枯病の病徴進展・蔓延に影響する要因を明らかにするため、初期病徴形成すなわちシュート壊死に着目し、病徴形成の季節変化、関与する菌類、激害林の水分環境について検討した。本病激害林である沖縄島北部の汀間川メヒルギ林では、初期病徴形成は調査期間を通じて観察されたが、春から初夏に多発し、健全なシュートは1-2年以内にほぼ全てが損傷を受けた。同時期には、西表島の微害林でもメヒルギのシュート端の損傷が春〜初夏に促進されたが、シュート壊死〜枝枯の病徴への移行は少なく、両者の比較により本病の流行には春〜初夏の誘因の関与が大きいことが示唆された。汀間川河川水の水質の定常変化に異常値は見られなかった。また、穿孔・食害性の鱗翅目昆虫の影響は、激害林では一般に大きかったが、発病・進展に必須の誘因ではなかった。これに対して、マングローブの塩分濃度は満潮の冠水時には樹体上部と下部で大きく異なり、罹病木の部位により塩分ストレスの負荷に相違があることがわかった。また、激害林分である名護市真喜屋大川メヒルギ林では、病患部組織から多様な菌類が分離され、その一部は接種試験で病原性を示した。一部の菌株は、本病病原の強病原性菌株に匹敵する病原性を示した。本病病原Cryphonectria likiuensis自身やこれら病原性を示す菌がシュート壊死を引き起こし、これを引き金にして本病が進展することが推測された。したがって、今後、これら菌類の初期病徴形成への関与を明らかにすれぱ、メヒルギ枝枯病の初期病徴の実験室的な病徴再現が容易となり、本病の激害化を促進する因子の特定につながるものと考えられた。
著者
植村 誠 松田 洸一 山本 真嗣 長谷川 恭子 仲田 晋 田中 覚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.382, pp.311-316, 2011-01-13

本研究では,レーザ計測によって得られた祇園祭・船鉾の三次元点群データに対して,新開発の「粒子べースレンダリング」を適用することで,船鉾の三次元構造を高品質かつ分かりやすく半透明可視化することを目的としている.半透明可視化では写真や実物では見ることのできない内部構造を明確に提示でき,これを粒子べースレンダリングで可視化することで,従来のポリゴン化を必要とした半透明可視化に比べ,以下のような利点がある:(1)ポリゴン化による取得点群の損失(間引き)が発生しなくなる(2)ポリゴンのソート処理が必要ないため,生成ポリゴンに交差や接触がある場合の不正確な可視化が行われず,取得,点群の正確な半透明可視化が実現できる.(3)構造の輪郭部が強調され,立体感のある半透明可視化が可能.本報告ではレーザ計測で取得した船鉾の外周,車輪,車軸の三種類の点群データを統合したモデルに加え,モデリングソフトにて作成した人工的なポリゴンモデルを船鉾の内部に配置し,粒子べースレンダリングにて全体の構造を可視化した結果を報告する.

1 0 0 0 芭蕉

著者
井本農一 栗山理一 中村俊定編著
出版者
三省堂
巻号頁・発行日
1977
著者
久保田 篤
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.55-74, 1998-03
著者
関場 武
出版者
慶應義塾大学藝文学会
雑誌
芸文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
no.60, pp.p1-22, 1992

中田美喜教授追悼論文集一、 「日耳曼字十躰いろは」二、 「獨逸捷徑七以呂波」三、 「英學捷徑七ツ以呂波」「佛學捷徑七ツ以呂波」四、 「七ツいろは」五、 「頭書洋語七體以呂波」

1 0 0 0 上古音系

著者
郑张尚芳著
出版者
上海教育出版社
巻号頁・発行日
2003
著者
菅野 信夫 網谷 綾香 樋口 匡貴
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第三部, 教育人間科学関連領域 (ISSN:13465562)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.291-299, 2002-02-28

The purpose of this study is to clarify what the parents think about non-attendance at school of their children and how they will do with their children when they absent themselves from school. The results showed that the parents whose children had a tendency of school refusal persuade them to go to school although they tried to understand the situation from the standpoint of their children. The investigation also showed that there was a difference between parents and teachers as for understanding and attitude toward school refusal.
著者
勝谷 範敏 池田 好伸
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.121-131, 1997-06-15
被引用文献数
10 7

デルフィニウムを毎月上旬に播種し,定植後は年間を通じて無加温室で栽培し,開花反応の季節的変動を調べた.また,花芽形成過程を観察し,分化と抽台の関係などを検討した.さらに,ファイトトロン内で温度が抽台および開花に及ぼす影響,ならびに自然日長条件で加温栽培した時の抽台に関する品種の特性を検討した.<BR>1.無加温ハウスで栽培すると,デルフィニウムの花芽分化はほぼ周年にわたって認められ,広い温度域で分化した.播種から花芽分化までの期間は,定植後から高温となる時期は短く,定植後から気温が低下する時期は長くなり,花芽分化は高温によって著しく促進された.<BR>2.20°C以上の高温では幼若期が短縮され展開葉が5枚になると抽台を開始したが,15°Cでは幼若期が著しく延長されるとともに,ほぼ半数は抽台しないでロゼット状態となった.<BR>3.節数と小花数の相関は高く,定植後から高温となる3~7月播種は低節位で小花が分化し,小花数が少ない貧弱な花穂であった.定植後から低温となる8~2月播種では節数が多く,小花数の多いすぐれた切り花が得られた.<BR>4.低温は花芽分化を誘導するバーナリゼーションとしてではなく,ロゼット打破として作用した.すなわち,生長活性が回復して高くなり,生育できる低温の限界温度を拡大させるものとして作用した.<BR>5.デルフィニウムは花芽分化に伴って抽台を開始し,抽台時にほぼ小花数が決定されるので,品質の劣る早期抽台苗を早期に判別することができる.<BR>6.冬季に自然日長で加温栽培すると,品種によってはロゼット化する株が多く発生し,ロゼット化すると抽台が遅れるとともに,後になって抽台した花穂は奇形化して商品性がなくなった.
著者
平塚 三好
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.131, no.2, pp.278-282, 2011-02-01

Assuming that patent trolls would come up in the field of software and the like in Japan in the future, we have proposed countermeasures to apply compulsory license against their exercise of patent right. Specifically, in order to avoid injunctive relief of the patent trolls, we have proposed that the enforcement regulation for Japanese Patent Act Article 83 is overhauled in attempt to broadly construe the provision of "the grant of non-exclusive license where invention is not worked" as "the grant of non-exclusive license where invention will not be worked in the future". Also, we have compared such countermeasures with other countermeasures to apply the principle of abuse of rights to the injunctive relief.
著者
秋山 弘之 山口 富美夫 Mohamed Maryati
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.135-141, 1999-02-28

マレーシア,サバ州キナバル山の登山道沿い,標高3300mの周辺から蘚類スギゴケ科Polytrichadelphus属の新変種P. archboldii var. kinabaluensisを報告した。この植物は,雌包葉の先端が朔に届くほど著しく短い朔柄を有していることで基本変種から区別される。1997年1月および12月の2回現地で観察したが,両シーズンとも多くの群落で胞子体を旺盛につけていた。本属はおもに南米を中心に分布しており,アジア・太平洋地域ではニュージランドとニューギニアからそれぞれ1種が報告されているのみである。北半球からは初めての産地であり,すでにキナバル山から見つかっているナンジャモンジャゴケなどともに植物地理学的に興味深い分布を示す蘚類の一例である。