著者
鈴木 毅彦
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.167-176, 1995
参考文献数
26
被引用文献数
4

So-called kazanbaido which means volcanic-ash-soil in a literal translation overlies surfaces and hill slopes in most area of the Japanese island. In 1960's, the kazanbaido with massive structure and brown color was recognized as residual soil (not transported soil) which was originated from pyroclastic deposits. Recently, most studies regard the kazanbaido as soil formed through the accumulation of dispersal tephra, eolian dusts from the Asian continent and local eolian dusts. In this study, the author discusses the source of the material constructing kazanbaido on the basis of the pattern of change in its thickness (Fig. 1). The kazanbaido treated here has accumulated during the last 50,000 years in central Japan. Thickness of the kazanbaido distributed along the Japan Sea coast and in the south part of the Shizuoka Prefecture is less than 1 m. Source of the kazanbaido seems to be a lot of fine distal air-fall deposits which derived from distant volcanoes, a long-range transported eolian dust from the Asian continent, and local eolian dust from the adjacent non-vegetated area. Kazanbaido thicker than 2 m distributes in the South Kanto and North Kanto areas. Increase in the thickness of the kazanbaido in these areas is most likely caused by depositions of tephras derived from near volcanoes. Two main depositional processes of accumulation of the thick kazanbaido are as follows. One is frequent accumulation of a minor air-fall deposit associated with a small-scale eruption, which does not form stratification because of the small volume of each deposit. The other is accumulation of secondary tephras, which are derived from the slope of a volcano through wind transportation. Change in thickness in the Kanto area suggests that the former is more significant than the latter.
著者
橋爪 真弘 上田 佳代 西脇 祐司 道川 武紘 小野塚 大介
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.413-421, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
31
被引用文献数
64 66

Asian dust, called ‘kosa’ in Japan, is the long-range transport of atmospheric pollutants originating from the desert areas of China and Mongolia. Although Asian dust has a long history of appearing in Japan, it is only quite recently that there is increasing concern for its possible adverse health effects. We reviewed the epidemiologic evidence of potential health effects of Asian dust events. PubMed was used to search for the following keywords: Asian dust, yellow sand, desert dust, dust storm, sandstorm, mortality, death, morbidity, hospitalization, hospital admission, health, pulmonary and respiratory. The search was limited to the epidemiologic studies published between January 1980 and May 2009. JMEDPlus was used to search for Japanese literature. Seventeen studies were retrieved from PubMed and one study from JMEDPlus. In addition, one study was identified for reviewing from the references of another study. In total, we identified 19 epidemiologic studies (3 for mortality, 13 for hospital visits or admissions and 3 for respiratory functions or symptoms) mainly from Taiwan and Korea. There were many combinations of outcomes and lagged exposures examined, and some suggested possible associations of dust exposure with an increase in mortality and hospital visits and admissions due to cardiovascular and respiratory diseases, whereas the rest of the studies did not show statistically significant associations. The evidence from these studies was limited because exposure assessments were inadequately described and potential confounders were insufficiently controlled. Well-designed epidemiological studies are required to clarify any potential health effects of Asian dust events in Japan.
著者
今本 成樹
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Animal-husbandry (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.7-14, 2012-01 (Released:2012-12-03)
著者
田島 靖久 宮地 直道 井上 公夫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.287-301, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
31
被引用文献数
2 3

日本最大の活火山である富士火山には, 山麓部に複数の扇状地が分布する. 本論では, 富士火山の西側に位置する上井出扇状地について, その形成過程を解明した. 上井出扇状地は堆積物の構成物質や地形より, その形成時期をYFM-K1~K3期の3時期に区分できる. このうち, YFM-K1期 (cal BC 3,400~2,100) は中期溶岩の噴出時期にあたり, cal BC 2,500頃には到達距離の長い岩樋火砕流が発生した. YFM-K2期 (cal BC 1,500~1,000) は, 比較的規模の大きな降下テフラや火砕流が噴出するとともに, 御殿場岩屑なだれと近接した時期に107m3オーダーの規模の大きな猪の窪ラハール-Aが発生した. YFM-K3期 (cal BC 800~AD 300) は, 湯船第2スコリア (Yu-2) をはじめとする山頂火口に由来する降下テフラの噴出時期に対応し, これらに伴うラハールが発生した.マグマ噴出率の変化と, cal BC 3,400以降の上井出扇状地における土砂堆積量の変化傾向は, おおむね一致していることが判明した. 上井出扇状地のYFM-K1期の場合, 大規模な降下テフラの発生が少なく, このため山体近傍に堆積する溶岩の供給量の変化は, 扇状地での堆積量の変化に大きく影響を与えていると考えられる. YFM-K2期については, 107m3オーダーのラハールが短時間に流出する現象が扇状地の形成に関与していた.
著者
原 悠歌 井上 智香子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.650-651, 2011-09-01 (Released:2012-09-01)

本研究は,日本農芸化学会2011年度(平成23年度)大会(開催地 京都)での「ジュニア農芸化学会」において発表予定であったが,残念ながら東日本大震災によって大会が中止となった.日本農芸化学会和文誌編集委員会によって本研究を優れたものと選定し,掲載することとなった.市街化が進む水田地域における外来種ミシシッピアカミミガメの生態を明らかにしたもので,在来種への圧迫や食物連鎖のバランスなど生態系に与える影響を考察する上で重要な知見を得ている.
著者
羽田 裕 石山 康介 青木 教之
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.12, pp.1-6, 2013-03-06

上流工程での設計レビューと下流工程におけるテストは,ソフトウェア開発にかかわる代表的な検知活動である.筆者らは,設計レビューの品質向上のため,暗黙知だったものを,テスト観点ツリーという形式知にして設計レビューに適用した.これによって従来であれば流出したであろう欠陥を設計レビューで検出することができた.また,幾つかの開発プロジェクトで繰り返し適用することで,開発チームメンバの教育効果が認められた.
著者
張 漢明 野呂 昌満 沢田 篤史 吉田 敦 蜂巣 吉成 横森 励士
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.11, pp.1-6, 2013-03-06

本研究の目的はソフトウェアアーキテクチャを中心とした実践的な記述法と検証法を確立することである.振舞い仕様と機能仕様及び詳細化関係に着目して,既存のモデル検査とテスティング技術を適切に適用するための検証モデルを提示する.本稿では単純な自動販売機を事例として,アーキテクチャ段階における仕様記述と検証例を示す.本検証モデルは,ソフトウェア開発者がアーキテクチャを記述及び検証するさいの実践的な指針となることを目指す.
著者
石川 健太 岡村 陽子 大久保 街亜
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.225-231, 2012 (Released:2012-11-23)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

The present study investigated the effects of social anxiety on judgments about gaze direction. The participants (N = 123) were divided into two groups on the basis of social anxiety scores (social anxiety and control group). Participants who scored high on a social anxiety scale judged the direction of slightly averted gaze to be straight more often for angry faces than for neutral faces. This pattern was reversed for participants in control group. An angry face looking straight at a person may be seen as an overt threat. People suffering from social anxiety tend to interpret ambiguous situations as negative or threatening. This negativity bias may contribute to the increased judgments of straight-gaze responses for angry faces with slightly averted gazes.
著者
嶋本 昭三
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.11-22, 1992-03-31

ヨーロッパの美術の歴史はヒエラルキーへの挑戦の歴史と見ることができる。現代において美術のヒエラルキーに対抗するために生まれたそのひとつにメールアートがある。メールアートは1960年代にコンセプチュアル・アートのシミュレーションとして試みられたことがあり,日本では未だにこれをメールアートであるといっているが,世界で捉えられているメールアートとは,郵便手段を通じて,アートやアートに関する思想をお互いに交流する「コレスポンデンス・アート」のことである。そしてそのメールアート行為が発展する中でネットワークが生まれ,これが大きくなる中で「ネットワーキング」というより新しいジャンルとしてひとり歩きするようになった。ここではネットワーキングの現状とその構造について論じた。
著者
吉村 ミツ 吉村 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.40, pp.17-24, 1997-05-15
被引用文献数
3

日本人の名前は通常3個ないし5個の漢字,ひらがな,カタカナからなっている.署名をするとき日本人は,たいていの場合,構成文字間に空白をおいてその名前を書く.この空白を利用すると署名は各構成文字に分離できる.これに着目して署名照合システムを作り,その性能を実験で吟味したところ,署名を各構成文字に分離しないときに比べて約7%小さい誤照合率を得ることができた.本報告では,そのシステムで用いている文字切り出しアルゴリズムを紹介し,その性能評価実験結果を述べる.
著者
孫 大雄 宮崎 清 樋口 孝之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1-10, 2008-03-31

本稿では、1920-1930年代における小池新二(1901-1981年)のデザイン振興活動を考究した。小池は、学生時代に美学美術史を学ぶ一方で旅と登山に親しみ、実践の活動を通して自然と文明に対する思索を行う視座を感得した。大学卒業後、建築美学を探求するなかで欧州で展開されていた近代造形活動の考えに心服し、1930年代には多くの建築情報の出版活動への関与を行い、合理性・工学的審美性など客観的な科学を基盤とした近代建築運動を精力的に紹介した。また、「海外文化中央局」を設立運営し、建築・工芸についての世界的な活動の動向を中心に、幅広く人類文化の全領域にわたる膨大な情報の収集.研究を行った。1936年の「日本工作文化連盟」設立にあたっては中心的な役割を果たし、「工作」という概念を用い、生活の様式をつくりあげるものとしての造形運動の啓蒙・指導をめざした。それらの活動を通して、生活のあらゆる場面に造形美を創成しようとする「汎美計画」の思想を構築し、提唱した。
著者
根本 淳子 鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-318, 2006
被引用文献数
8

本研究では,近年eラーニングなどの自己学習教材において,その必要度が増しているシナリオ型教材の開発に有効とされる,インストラクショナルデザイン理論の一つゴールベースシナリオ理論(GBS)が日本で活用されることを目的に分析し,紹介する.GBSの論理的根拠であるCBR (Case-Based Reasoning)学習理論を併せて紹介する.この理論がより簡単に活用できるようにGBSチェックリストを開発した.チェックリスト開発には,教材開発の手法を応用し,形成的評価および改善を行った.GBSチェックリストには既存教材の強みと弱みを明確にさせ,リ・デザインへのヒントを整理できる機能も含んでいることが確認された.