著者
藤枝 憲二 長屋 建 松尾 公美浩
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

<CPHD症例において同定したPIT1β変異体の機能解析>ヒト野生型PIT1β並びに変異PIT1βcDNAの作成と、それらの発現ベクターへのサブクローニングを終了した。今後、供与していただいた野生型および変異型PIT1cDNA発現ベクター、さらにその標的遺伝子であるPRL、GHのプロモーターと併せて、COS7細胞並びにGH4細胞を用いてルシフェラーゼアッセイを行う予定である。なお、他のCPHD3症例に対して同様にPit1β変異解析を行ったが、いずれにおいても変異は認められなかった。<GH不応症例に同定したGH1変異体の機能解析>ヒト成長ホルモン受容体を発現したBaF/GM細胞を用いたヒトGH生物学的活性の測定を行った。低身長児群と正常群の間で生物学的活性/免疫学的活性比に有意な差は認められなかった。今後、この系を用いてGH1変異を有するGH不応症例患者血清中のGH生物学的活性の測定を行い、機能解析を進める予定である。<低身長児を対象とした成長関連遺伝子解析>-2SD未満の低身長児100例を対象にGH1,GHR,IGF1,IGF1R,NPR2についてPCR-ダイレクトシークエンス法を用いて遺伝子解析を行った。その結果、GH1については一例のヘテロ接合性ミスセンス変異(未報告)、GHRについては二例同一の既報のヘテロ接合性ミスセンス変異、IGF1Rでは一例の一塩基挿入(未報告)、そしてNPR2では一例のヘテロ接合性ミスセンス変異(未報告)を同定した。
著者
伊藤 善也 奥野 晃正 村上 優利香 内山 聖 岡田 知雄 坂本 元子 梁 茂雄 衣笠 昭彦 貴田 嘉一 大関 武彦 本田 悳 村田 光範
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.752-756, 1996-11-30
参考文献数
11
被引用文献数
26

平成2年度厚生省身体発育調査結果から得られた身長別体重表を基礎資料として身長に対応する平均体重を求めた。さらに各身長と平均体重の二次回帰分析により体重の身長への回帰を二次相関式として表した。その二次回帰式は男児ではy=1.83×10^<-3>x^2-0.071x+4.43,女児ではy=2.34×10^<-3>x^2-0.157x+7.71(y:標準体重(kg),x:実測身長(cm))である。この二次回帰式を標準体重を表わす標準身長体重曲線とし,これに肥満度?30%,+20%,+15%,-15%と-20%の曲線を加えたチャートを肥満度判定用に作成した。この肥満度判定チャートを用いれば視覚的に容易に肥満度を判定できる。また経過観察や教育指導用の材料として用いることができる。
著者
村上 明日香
出版者
昭和大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

チタンインプラント埋入後の創傷治癒における酸化ストレスは,骨結合を妨げる重要な因子であり,これを抑制することがひつようである.チタンは表面処理により骨との親和性を向上させることができる一方で,酸化ストレスの抑制については検討されていない.本研究では放電陽極酸化によって表面処理したチタンの骨芽細胞に対する酸化ストレス抑制効果を検討した.放電陽極酸化チタンでは骨芽細胞の石灰化関連遺伝子の上昇が見られた.また,表面に析出した骨様石灰化物の物理的性質が向上した.放電陽極酸化チタン表面から発生する活性酸素が分解され,接着細胞に対して酸素を持続的に徐放することにより,酸化ストレスを抑制することが可能になった.放電陽極酸化処理チタンは,骨結合能と創傷治癒の促進により,チタンインプラントの表面処理として有効であると考えられる.
著者
谷口 勇一
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、九州内の中学校ならびに高等学校の部活動顧問教師を対象に質問紙調査とインタビューを実施し、総合型地域スポーツクラブに対する各種意識の把握を試みた。得られた知見は以下のとおりである。1)部活動顧問教師の総合型地域スポーツクラブに対する認知度は31.0%に留まっていた、2)部活動と総合型地域スポーツクラブの連携協力関係については、80.4%が肯定的であることがわかった、3)総合型地域スポーツクラブとの連携協力関係に肯定する者の意識は「自分自身の負担軽減に対する期待感」が強いことがわかった。逆に、連携協力関係に否定的な者は「部活動の教育的意味が薄れてしまう」との意識が強いことがわかった。
著者
川田 学
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

生後1歳~2歳代における役割交替模倣と自他認識の発達について,定型発達幼児と自閉症幼児を対象に検討した。研究は定型発達幼児を対象とした課題場面での横断的研究,自閉症幼児を対象とした課題場面および保育場面での参与観察研究で構成された。役割交替模倣を測定する課題としてサカナとタモ課題,自己鏡映像認知を測定する課題としてマーク課題,積極的教示行為を検討する課題として他者の課題解決困難場面提示課題を用意し,課題間の連関を検討した。その結果,定型発達幼児では,サカナとタモ課題の通過率は1歳半から2歳にかけて有意に増加した。また,サカナとタモ課題の通過は他の2課題を有意に相関していた。自閉症幼児においても定型発達幼児と類似した傾向が見られたが,他の2課題に対して自己鏡映像認知の成績がやや特異であった。総合して,役割交替模倣が自他認識の発達を調べる上での有益なマーカーとなりうることが示唆された。
著者
小浜 耕己
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.195, pp.78-83, 2009-07

今号から始まる本講座では,この先いつかプロジェクト・マネージャ(PM)を担当する(かもしれない)方,気が付けばPMの立場を任されてしまっていた方に向けて,「プロジェクト」とは何なのか,プロジェクトを運営する際の考え方や注意点は,といった基本的な知識やコツについて解説していきます。 とはいえ,プロジェクト運営に立ち会った経験の少ないPM初心者にとっては,いきな…
著者
佐藤 源之 渡邉 学 横田 裕也 ANDREY Klokov ZHAO Weijun 園田 潤 高橋 一徳 MAHFOOZ Abdel-Motaleb Hafez Salem 城戸 隆 園田 潤 ZHAO Weijun
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

強い不均質性媒質中の埋設物検知のためのレーダ信号処理技術について研究を行った。これを利用して人道的地雷除去を目的とした地中レーダ装置ALISを開発し、カンボジアの実地雷原での実証試験において70個以上の地雷検知に成功した。本試験は本研究終了後も継続中である。更に次世代の小型レーダ技術としてバイスタティック型レーダによる埋設物検知を行った。またレーダポーラリメトリ技術をボアホールレーダ、GB-SAR、航空機・衛星搭載SARなどのレーダに対して、特に防災・減災への発展的応用を行った。
著者
尾崎 俊治 伏見 正則 青山 幹雄 土肥 正 岡村 寛之
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは,最終製品としてのソフトウェアシステムの品質を確保する目的で,ソフトウェアテストの妥当性検証およびソフトウェアの信頼性評価を行う手法に関する研究を行った.具体的には,(i)ソフトウェアテストにおけるランダムテストをより発展させた準ランダムソフトウェアテストあるいはランダムテストに基づいたより効率的なテストケース生成手法の確立,(ii)(準)ランダムテストに基づいたソフトウェア信頼性評価技術の精巧化を行った.
著者
瀧井 正人 内潟 安子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

前思春期から思春期にかけて1型糖尿病を発症した女性患者は、後に神経性食欲不振症や神経性大食症のような重症の摂食障害を併発するリスクが高かった。摂食障害を併発すると血糖コントロールは著しく悪化し、糖尿病慢性合併症の早期の発症・進展につながる。さらに、1型糖尿病に併発した摂食障害の治療は特に困難であると言われており、成功したとしても概して多大なエネルギーが必要であり、改善までには長期間が必要なことが少なくない。ここで同定されたリスクの高い患者群に対しては、1型糖尿病発症早期から、摂食障害予防のための介入がなされることが必要である。
著者
小島 昌太郎
出版者
京都帝國大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.449-450, 1921-09-01
著者
谷口 善仁
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

TILLING法による遺伝子変異個体の作製は、数千個体よりなるランダムミュータジェネシスした変異ライブラリーから、目的の遺伝子に変異が導入されている個体を選別するという手順を経る。小型脊椎動物で手軽に扱えるモデル動物として注目を集めているメダカやゼブラフィッシュでは、すでにこの手法により数百種類の遺伝子破壊体が作られている。現在は、数千個体すべてについて目的遺伝子を直接塩基配列決定ないし温度融解曲線を使用する方法で変異探索を行っているが、変異の頻度が低いために効率が極めて悪い。そのために、変異をキャプチャーできるMuトランスポゾンをビオチンタギングし、変異を濃縮する方法を試みた。Muトランスポザーゼが結合するDNA断片を合成し、その末端にビオチンを結合させた。不要部位を後に切断除去するために制限酵素部位を導入した変異型DNAは、大腸菌で発現させたMuトランスポザーゼと結合し、タンパク-DNA複合体を形成した。すでにTILLING法で作製し報告済みのp53変異体と野生型のメダカよりそれぞれ変異部位を含むDNA断片をPCR増幅し、熱変性、アニールによりヘテロデュプレクスを形成させてMuトランスポザーゼ-DNA複合体を反応させたところ、転移反応が観察された。DNAを回収し、塩基配列を決定したところ、目的の部位以外にも転移するなど、感度、特異性ともに十分満足のいく結果が得られなかった。そのため、Muトランスポザーゼによる転移反応から、ビオチン化したオリゴヌクレオチドをT4リガーゼによりアダプターライゲーションする方法に変更した。Muで確立した手法によりp53ヘテロデュプレクスからDNA断片を回収して塩基配列を決定したところ、変異を含む断片が効果的に沈降されていることが確認された。現在イルミナGAIIxを用いた大規模シーケンスにより、変異部位の単離同定を進めているところである。
著者
手嶋 紀雄
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒトの呼気には,体内の代謝を反映した揮発性有機化合物(VOCs)が含まれているため,呼気分析は痛みを伴わない病態診断法として有用である。VOCsの内,アセトン・イソプレンは,脂肪の代謝に深く関係するため,有効なダイエット指標となる可能性が高い。本研究では,呼気アセトンの自動計測法を開発し,食事や運動による呼気アセトン濃度の変化をモニターすることに成功した。また,新規なイソプレンガスの計測法も開発した。
著者
河原 達也 松本 真治 堂下 修司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-8, 1994-01-25
被引用文献数
25

会話音声認識のための文脈自由(LR)パージングにおいて,単語対制約によるヒューリスティックを用いたA^*探索アルゴリズムを実現し,その評価を行った.本アルゴリズムは,全仮説に共通な単語対制約により求められる未探索部分の推定スコア(ヒューリスティック)を各仮説の評価値に加えながら,best-firstに探索を進めるものである.単語対制約は,計算量もそれほど大きくなく,A^*実行可能性条件を満たし,言語的にも強い制約であるので,優れたヒューリスティックとなる.種々の条件のビームサーチと比較した結果,本アルゴリズムは,最適解が得られることが保証され,認識精度が高く,またむだな仮説の展開が少なく,処理効率の点からも優れていることが示された.また,ビームサーチにおいても,このヒューリスティックを導入することが有効であると明らかになった.更に,A^*アルゴリズムの確率的文法への拡張も行い,その効果を確認した.
著者
高橋 美紀
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、薬物依存症の当事者自身によって運営と入所者へのケアが行なわれている、民間薬物依存症リハビリ施設ダルクにおける薬物依存症者の回復過程を明らかにして、後に続く薬物依存症者が回復過程を歩んでいくための道標となりうる、回復過程に関する仮説、および仮説モデルを、調査による裏付けのもとに得ることを目的として実施したものである。研究対象者は、3箇所のダルクで施設の代表者、もしくはそれに代わるスタッフから紹介を受けた、施設内でスタッフ研修生(無給)ないしはスタッフの立場で、何らかの役割を担っている薬物依存症者であり、研究対象は対象者らが辿ってきている回復過程そのものである。23名の研究対象者に研究者自身が継続的に実施した面接の記録を分析対象として、これをもとに個別の回復過程の再構成を試みた。再構成した23名の個別の回復過程をもとに、仮説を得るための質的・帰納的分析を重ねた。得られた仮説のうち、いくつかのネーミングを下記に挙げておく。(1)すべてを失ったときが回復の好機(2)回復の目的は自分自身のためという原則の徹底保持(3)薬物使用につながったような出来事や状況に処していく力の涵養他、20仮説は略す