著者
猿山 雅亮
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

異なる半導体を接合させたヘテロ接合では、各相間でキャリアが移動することにより、電子とホールの波動関数の空間的な位置を制御することができる。本研究では、高効率光触媒や太陽電池への応用に向け、光励起により空間的な電荷分離状態を形成すると考えられるCdS/CdTeタイプ-II型ヘテロ構造ナノ粒子の合成を行った。CdSナノ粒子のSアニオンを部分的にTeアニオンにアニオン交換させることでCdS相とCdTe相が異方的に相分離したヘテロダイマー型のナノ粒子を選択的に得ることに成功した。CdS相はウルツ鉱型、CdTe相は閃亜鉛鉱型の結晶構造を持ち、この違いが自発的な相分離を誘起したと考えられる。反応温度が高くなる、もしくはCdSナノ粒子のサイズが小さくなると、Te前駆体の反応性や比表面積の増大により、アニオン交換速度が大きくなった。原子分解能を持つSTEMによってCdS/CdTeナノ粒子の観察を行い、CdTe相がCdSに対してエピタキシャル成長している様子や、ヘテロ界面の詳細な構造(結合様式、極性など)を明らかにした。アニオン交換反応の経過を追跡したところ、CdS上のCdTeセグメントがCdS上の最も安定な面に一か所に集まることで、ヘテロダイマー構造が形成するメカニズムを示唆する結果が得られた。また、CdS/CdTeナノ粒子内での光誘起自由キャリアダイナミクスを明らかにするため、過渡吸収測定を行った。CdTe相のみを励起できる600nmのポンプ光を用いた過渡吸収スペクトルでは、CdSのバンドギャップエネルギーでの吸収のブリーチングが観測された。このことは、CdTe相からCdS相への電子移動を示すものである。今回の合成手法で得られるCdS/CdTeナノ粒子は、粒子内に一つしかヘテロ界面を持たないため、電子移動が一方向となり、太陽電池への応用が期待できる材料である。
著者
中島 賢治
出版者
佐世保工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、ラグビー競技の中で起こる接触プレイを工学的に解析し、その衝突力学モデルを構築することである。そのため、小型慣性センサを実際の選手に装着し、実践的なスキル(タックルとサイドステップ)について、運動特性を計測した。センサから得られる電気信号を運動解析に有用なデータへ加工するため、(1)姿勢回転行列の適用、(2)電気的ノイズ除去、(3)スパン誤差補正(ドリフト誤差修正)を施した。実験においては、本校のラグビー部員を対象として、計測・検証を繰り返した。科研費助成期間の研究で、ラグビー選手の実践的スキルにおける運動特性を数秒間計測することに成功した。衝撃力と運動軌跡の計測結果を実際の値(真値)と比較したところ、ほぼ5割の確率で計測が可能であった。
著者
近藤 康生
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.64, pp.54-60, 1998-07-20
被引用文献数
1

Transgressive-regressive cycles, or depositional sequences can serve as fundamental units for taphonomic, paleoecololgical and evolutionary analyses of fossil assemblages. For benthic animals, formation of a depositional sequence means temporal changes of substrate condition, that is, erosion, condensation and rapid deposition. These are critical environmental attributes controlling colonization by benthos. Characteristics of the fossil assemblage are closely related to the stratigraphic and geographic position within the depositional sequence. This means that characteristics and patterns of change in composition of the assemblage, as well as taphonomic processes are predictable from the stratigraphic position within a depositional sequence.
著者
野田 利弘 浅岡 顕 中野 正樹 中井 健太郎 澤田 義博 大塚 悟 小高 猛司 高稲 敏浩 山田 正太郎 白石 岳 竹内 秀克 河井 正 田代 むつみ 酒井 崇之 河村 精一 福武 毅芳 濁川 直寛 野中 俊宏
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

日本の重要な社会資本は,沖積平野や海上埋立人工地盤といった地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されている.本研究では,特に沿岸域に立地する社会基盤施設を対象に,長周期成分を含み継続時間が数分にも及ぶ海溝型巨大地震が発生した際の耐震性再評価と耐震強化技術の再検討を実施した.既往の被害予測手法は地震時安定性評価に主眼が置かれ,地震後の長期継続する地盤変状を予測することはできない.「地盤に何が起こるかを教えてくれる」本解析技術による評価を既往手法と並行して実施することで,予測精度の向上とともに,被害の見落としを防ぐ役割を果たすことを示した.
著者
瀬古 秀生 阿部 新一 波津久 文芳 和田 学
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.14, pp.9-12, 1959-12-08

米作日本一表彰会の昭和33隼度競作において,九州ブロックの全州審査で反当収量5石以上のもものが2点あつたが,このようなことは同会始って以来(昭和2毎年)初めてのことである。両者とも山間部から出品されたものである。平坦部農家でも5石を夢みて努力を重ねて来た人が多数あったと考えられるが,何れも収穫顛かなり前から稲を倒したようである。.この年の秋の如く,台風も強雨もないのに倒伏の甚だしかった年次は珍らしい。この現象は全国的であったようである。従ってこれは農家の施肥,管理の失敗のみではなく,共通的な遠因があるものと考えられる。昭和32年度はこれに反して倒伏した水稲はほとんで見られなかった珍らしい年である。33,32,31年度の稲作と倒伏に関して簡単な考察を加えて今後の参考としたい。
著者
中林 一樹 池田 浩敬 饗庭 伸 市古 太郎 澤田 雅浩 薬袋 奈美子 福留 邦博 米野 史健 石川 永子 ハイリエ センギュン
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

災害からの復興の仕方は、国や地域によって異なる。被災した地域の文化、社会経済状況、地域社会構造、法制度の特徴が反映されるからである。1999年マルマラ地震では、トルコの災害法の規定に基づき、震災復興の第1段階は、全壊した住宅と事業所を、郊外に新規開発した復興住宅団地に「移転復興」させることであった。この段階は、地震の直後から取り組まれ、2000~2004年に約43千戸の恒久住宅と約1000戸の復興個人事業所の建設・供給によって基本的に完了した。一方、被災市街地での現地復興については、安全性に配慮して、地盤条件に対応させて個別耐震基準の遵守とともに都市計画による建築階数規制がダウンゾーニングされ、建物の階数制限が強化された。被災した6~8階建の建物が、再建にあたっては2~4階建以下に制限された。それは郊外に移転復興する住宅と事業所の空間量を差し引いた被災市街地の再建空間計画であった。しかし、郊外に移転した事業所の営業はふるわず、被災市街地の中心商業地域では2階建の仮設店舗が再建され、賑わいを取り戻しだしたのが2003~2006年頃で、これが復興第2段階である。一方、これらの郊外に供給された復興住宅・事業所を獲得する権利は借家層にはないこともあって、全壊しなかった損傷程度の建物は修理して使い回されるようになっていった。本研究の成果では、上記のような復興過程に引き続き、2007-2009年を研究期間とし、第3段階の被災市街地の復興実態を明らかにした。空地が増えていた被災市街地では、商店街での現地再建が急速に進展しはじめた。主要な被災都市であるアダパザル市とデールメンデレ市の中心市街地を事例都市として、定期的な現地踏査による市街地の復興過程と街並み景観の変化をデータ化し、階高不揃いの街並み再建の実態を明らかにした。同時に、この時期にトルコの地方自治体制度が改定され、大都市自治体制度に移行し、被災市街地の復興から大都市圏整備計画としての都市開発に移行している現状を明らかにした。さらに、被災市街地での再建および新築建物の階高制限にもかかわらず、全員合意の区分所有制度は改定されず、被災建物の再建復興は、個人あるいは企業が、区分所有者の権利を買い集めることによって個人建物として再建が進んでいることを明らかにした。こうした都市復興の理解と同時に、10人の被災者への詳細なインタビュー調査を実施し、被災者の生活再建過程について都市部では復興への関わり方を通して、被災者の個々の復興過程の多様化の実態を明らかにした。
著者
井上 耕治
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

レーザー3次元アトムプローブを用いて、MOS構造におけるドーパントの3次元空間分布やhigh-kゲート酸化膜構造について調べた。MOS構造やhigh-kゲート酸化膜構造の3次元アトムマップを得ることができた。ドーパントの種類による違い(ドーパントの偏析の有無やゲート酸化膜への侵入の有無)について明らかにした。high-kゲート酸化膜構造については傾斜構造を得ることができたが、今後詳細について検討していく。
著者
秋山 進午 田 広金 高浜 秀 山本 忠尚 宮本 一夫 大貫 静夫 TIAN Guangjin 郭 治中 郭 素新 谷 豊信 岡村 秀典
出版者
大手前女子大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

〔研究成果概要〕我々は中国内蒙古文物考古研究所(代表:田広金)と共同して、内蒙古涼城県にある湖"岱海"において"遊牧騎馬民族文化の生成と発展過程の考古学的研究"を行った。"岱海"は内蒙古の南東部に位置し,万里の長城の北,僅か10Kmにある。いわゆる"内蒙古長城地帯"のただ中である。湖の南岸の丘陵上には仰韶文化遺跡,北岸には龍山文化とオルドス青銅器文化遺跡が並び,農耕文化と牧畜文化が入り交じる"農牧交錯地帯"である。我々はこの,研究テーマに対する絶好の地点を選び,中国で最初の"地域研究"を行った。[平成7年度]初年度には先ず仰韶文化後期の「王墓山上遺跡」の発掘調査を行い,住居址15基ほかの遺構と土器,石器,骨角器など多数の遺跡を発見した。調査によって,この原始聚落が層位的に2時期に分かれ,また,遺物の研究によって,第2期をさらに前・後に細分することが出来た。[平成8年度]二年目には石虎山I・II遺跡の発掘調査を行った。石虎山遺跡は仰韶文化前期の遺跡で,黄河流域の仰韶文化が北方へ拡大して,この地に初めて農耕をもたらした重要遺跡である。発掘調査によってII遺跡から14基の住居址や多数のピット,墓等を発掘し,後岡一期文化期の聚落の状況を初めて明確にした。II遺跡では聚落を巡る環濠とその中から多数の獣骨を発見し,当時の生活環境研究に貴重な資料を得た。[平成9年度]三年目には飲牛溝遺跡においてオルドス青銅器文化期の墓地を発掘し26基の土坑墓を発掘し,副葬品や犠牲畜骨を発見した。併せて龍山文化期の板城遺跡の考古測量調査と住居址2基を発掘した。以上のように,3か年の調査期間において,この地域における農耕の始まりから,その展開過程,続いて牧畜を主たる生業とするオルドス青銅器文化の牧畜民への交代の様相を追求することが出来た。発掘調査と平行して,東は遼寧省から西は寧夏回族自治区,甘粛省に到る万里の長城に沿って関係遺跡と遺物の調査を行い,研究資料の蓄積に務めた。
著者
望月 茂徳
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

コンピュータ映像処理のみならずセンシングデバイス、ユビキタス技術などを包括する先進的なデジタル技術を基盤とした芸術表現であるメディアアートの制作手法をマルチモーダルでインタラクティブな乳幼児向けのデジタル玩具開発へと応用することにより、乳幼児が自発的な身体運動を引き起こすと同時に養育者が高い関心をもって育児を行えるようなデジタル玩具開発方法とその役割について知見を得ることができた。
著者
Astuti Dwi Azuma Noriko Suzuki Hitoshi Higashi Seigo
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
Zoological science (ISSN:02890003)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.191-198, 2006-02-25
被引用文献数
25

Blood and tissue samples of 40 individuals including 27 parrot species (15 genera; 3 subfamilies) were collected in Indonesia. Their phylogenetic relationships were inferred from 907 bp of the mitochondrial cytochrome-b gene, using the maximum-parsimony method, the maximum-likelihood method and the neighbor-joining method with Kimura two-parameter distance. The phylogenetic analysis revealed that (1) cockatoos (subfamily Cacatuinae) form a monophyletic sister group to other parrot groups; (2) within the genus Cacatua, C. goffini and C. sanguines form a sister group to a clade containing other congeners; (3) subfamily Psittacinae emerged as paraphyletic, consisting of three clades, with a clade of Psittaculirostris grouping with sub family Loriinae rather than with other Psittacinae; (4) lories and lorikeets (subfamily Loriinae) emerged as monophyletic, with Charmosyna placentis a basal sister group to other Loriinae, which comprised the subclades Lorius; Trichoglossus+Eos; and Chalcopsitta+Pseudeos.
著者
Astuti Dwi Azuma Noriko Suzuki Hitoshi HIGASHI Seigo
出版者
社団法人 日本動物学会
雑誌
Zoological science (ISSN:02890003)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.191-198, 2006-02-25
参考文献数
36
被引用文献数
25

Blood and tissue samples of 40 individuals including 27 parrot species (15 genera; 3 subfamilies) were collected in Indonesia. Their phylogenetic relationships were inferred from 907 bp of the mitochondrial cytochrome-b gene, using the maximum-parsimony method, the maximum-likelihood method and the neighbor-joining method with Kimura two-parameter distance. The phylogenetic analysis revealed that (1) cockatoos (subfamily Cacatuinae) form a monophyletic sister group to other parrot groups; (2) within the genus Cacatua, C. goffini and C. sanguinea form a sister group to a clade containing other congeners; (3) subfamily Psittacinae emerged as paraphyletic, consisting of three clades, with a clade of Psittaculirostris grouping with subfamily Loriinae rather than with other Psittacinae; (4) lories and lorikeets (subfamily Loriinae) emerged as monophyletic, with Charmosyna placentis a basal sister group to other Loriinae, which comprised the subclades Lorius; Trichoglossus+Eos; and Chalcopsitta+ Pseudeos.
著者
波多野 純 野口 憲治 フォラー マティ
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、ライデン国立民族学博物館所蔵の、1830 年頃の日本の町家模型を通して、近世の町家に関する従来の理解を、西欧人の目という新たな視点から見直し、再構築することを目的とする。模型は、実際の町並みを切り取ったのではなく、代表的な町家を組み合わせていた。つまり出島の西欧人は、特徴的な町家に着目し、生業・職種により町家の形式や生活空間が変化することを正確に理解していた。
著者
KODAMA Fumio HONDA Yuikichi
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.65-74, 1986
被引用文献数
1

研究開発活動のダイナミックスに関する数学的モデルを構築し,産業毎の数学モデルの統計学的検定を行った.その結果,いわゆる,ハイテク産業の研究開発のダイナミックスは他の産業と,統計学的に区別できることが判明した.研究開発活動のダイナミックスを探索段階から開発段階への移行課程として把握する.探索段階の研究投資額は小さく,開発段階の投資額は大きいので,研究開発活動の動きを研究投資額の動きで表現することができる.一方,研究が失敗する確率を考えれば,探索段階の失敗率は高く,開発段階のそれは低い.研究開発が失敗した場合には,研究投資は放棄されるので,研究投資は失敗が明らかにならない限りは増加する.そこで,探索段階の研究で成功の見通しがたったものだけが,研究投資の増加を続け開発段階に移行していくと仮定することにより,一種の生存モデルを基にして,研究開発活動のダイナミックスを,研究開発投資額と投資破棄額との関数関係として数学的に定式化できる.1970年から1982年までの総理府統計局「科学技術研究調査報告書」所載の「産業,製品分野別社内使用研究費」をデータとして用い,主力製品分野以外の各製品分野の研究投資額の頻度分布を計算した結果,指数が多分布であることが明らかになった.そこで,上記のモデルを,非線形最小自乗法を用いて,統計学的にあてはめることにより,産業毎に,研究開発投資額と投資破棄率との関数関係を推定した.この結果,産業毎の研究開発の構造上の相違が明らかになり,「医薬品」,「機会」,「電気機械」,「通信・電子」,「精密機械」の5 つの産業がほかの産業と統計学的に区別することが可能となった.この研究開発の構造を,ハイテク産業の定義として採用することにより,いくつかの政策論を展開した.
著者
児玉 文雄
出版者
研究・技術計画学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.65-74, 1986

rights: 研究・技術計画学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110003774891/研究開発活動のダイナミックスに関する数学的モデルを構築し,産業毎の数学モデルの統計学的検定を行った.その結果,いわゆる,ハイテク産業の研究開発のダイナミックスは他の産業と,統計学的に区別できることが判明した.研究開発活動のダイナミックスを探索段階から開発段階への移行課程として把握する.探索段階の研究投資額は小さく,開発段階の投資額は大きいので,研究開発活動の動きを研究投資額の動きで表現することができる.一方,研究が失敗する確率を考えれば,探索段階の失敗率は高く,開発段階のそれは低い.研究開発が失敗した場合には,研究投資は放棄されるので,研究投資は失敗が明らかにならない限りは増加する.そこで,探索段階の研究で成功の見通しがたったものだけが,研究投資の増加を続け開発段階に移行していくと仮定することにより,一種の生存モデルを基にして,研究開発活動のダイナミックスを,研究開発投資額と投資破棄額との関数関係として数学的に定式化できる.1970年から1982年までの総理府統計局「科学技術研究調査報告書」所載の「産業,製品分野別社内使用研究費」をデータとして用い,主力製品分野以外の各製品分野の研究投資額の頻度分布を計算した結果,指数が多分布であることが明らかになった.そこで,上記のモデルを,非線形最小自乗法を用いて,統計学的にあてはめることにより,産業毎に,研究開発投資額と投資破棄率との関数関係を推定した.この結果,産業毎の研究開発の構造上の相違が明らかになり,「医薬品」,「機会」,「電気機械」,「通信・電子」,「精密機械」の5 つの産業がほかの産業と統計学的に区別することが可能となった.この研究開発の構造を,ハイテク産業の定義として採用することにより,いくつかの政策論を展開した.Based on the observation made on the Japanese data of R&D expenditures, we built a dynamic model of an R&D program. In this model, the concept of the cancellation rate function was introduced and three different function types were chosen for curve fitting.By use of the non-linear least-square method, for each industry, one of the three types was selected as the best fitting type. On this basis, sectoral identification was made in terms of the dynamic characteristics of R&D activities. All the industrial sectors are classified as one of the three patterns: traditional pattern, science-based pattern and high-tech pattern.Through this exercise, high-technology industry was identified as industry which is structurally different from traditional industry and from science-based industry in terms of the dynamic nature of its R&D investment. Thus, we were able to derive several tentative policy implications which are not yet well-known and have not yet been discussed.
著者
永井 由佳里 ゲオルギエフ ゲオルギ 田浦 俊春 森田 純哉
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A03, 2007 (Released:2007-06-09)

グラフィックデザインでは,作品からどのような意味を想起させられるかが重要である。本発表では、グラフィックデザインの事例として,ロゴに焦点を当てた研究を示す。我々の研究では,良いロゴから想起される意味は,よく構造化されているという仮説を設定する。そして,ロゴの持つ意味構造と好ましさとの関連を検討した調査結果を示し,調査の結果からロゴに意味構造を付与するデザイン支援の方法論を論じる。我々は調査参加者にロゴを提示しそれぞれが想起した意味をできるだけ多く記入させる調査を行った。その後,それぞれのロゴの好ましさを5段階で評定した。得られたロゴの意味の相互の関連を,概念辞書を用いて測定した。その結果,ロゴから想起される意味間の関係が集束している場合,良いものと判断されていた。結果に基づき,意味の構造化に焦点を当てたグラフィックデザインの支援方法を提案する。視覚的な形状と言語によるラベルを対応づけるデータベースを用い,ロゴを言語化する。そして,概念辞書を用い,より上位の意味構造を抽出する。抽出された意味構造は,ユーザに提示される。そのことで,意味のない形状,誤解を与える形状,などの生成を防ぐことができると考える。
著者
ユ ゼグン
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では室内環境に適するサービス用ロボットに単眼ビジョンセンサを用いて特徴地図を作成し、自己位置を推定しながら自律走行を実現するのが目標である。まず、1年次に行った単眼カメラの視野角を改善した多視点単眼カメラ(Multi-View Single Camera)と高速ガウスぼかしフィルタ(Fast Gaussian Blurring Filter)を本VSLAM(Visual Simultaneous Localization and Map-Building)のアルゴリズムに適用し、アルゴリズムとロボットシステムの最適化を行った。単眼カメラと距離センサにより構築された特徴点地図とトポロジカル地図を用いてロボットの経路計画と自律走行を実現するためにGNP-SARSA(General Network Programming-State Action Reward State Action)を導入した。GNPは遺伝的アルゴリズムと遺伝的プログラミング,進化的プログラミングを元に作られた進化的計算手法である。また、そのGNPアルゴリズムのなかに決定プロセスを強化するためにSARSA学習手法を加えてロボットの走行シミュレーションを作成した。本研究を通して一般的な経路はトポロジカル地図によるノードで繋がれる全体的な経路を設定し,ロボットの精密な走行の際には特徴点地図によって制御されることが可能となり、また、ロボットの走行の際に静的・動的障害物を油然と回避することが可能になった。