著者
藤野 陽三 SONG Myung-Kwan SONG MYUNG-KWAN
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本研究では,超高速Maglev列車・ガイドウェイ相互作用を考慮した新しい完全3次元有限要素解析モデルを提案し,単径間単純支持PC Box girder橋梁に対して数値例題解析を行い,考察して,次のような結論を得た.1)本解析システムは,3次元ガイドウェイ構造物の模型化,入力及びコンピューターによる計算において,多くの時間を必要とするが,詳細な動的挙動分析が可能である.NFSシェル要素を使用して,模型化することで,ガイドウェイの側壁はりと,下部構造物との連結部に対する効率的な模型化が可能になり,ガイドウェイ構造物を構成する具体的な構造要素等の動的挙動に対する正確な有限要素解析が可能になった.2)既存の3次元皇族鉄道橋梁・列車相互作用解析方法においては,時間領域での橋梁と列車間の相互作用力を考慮した解析が,反復解析なしで行うことが可能となった.3)単純支持PC Box girder橋梁の解析結果から,移動荷重としてのみ扱うによる解析結果と超高速Maglev列車・ガイドウェイの相互作用を考慮した解析結果は,有意な差があることが示された.今後,超高速Maglev列車のガイドウェイ構造物の架設時に,本研究で開発された有限要素解析システムを適用すれば,架設する橋梁の動的挙動の特性,把握,使用性,及び安全性などの分析,疲労寿命の分析などを遂行することができる有力なシステムと考えられる。
著者
田辺 誠 小宮 聖司
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

地震時に鉄道車両が軌道構造上を高速走行すると、車両と軌道構造間で激しい連成振動・衝撃現象が生じる。本研究では、地震時の高速走行車両と軌道構造間の連成振動・衝撃現象を、有限要素法とMultibody Dynamicsを用いて数値的に解くためのシンプルで効果的な力学モデルと数値計算法が提案される。具体的には、地震時の車体、台車、輪軸間の衝撃現象を考慮した車両の運動方程式、地震時の繰り返し荷重によってひずみ-応力関係が履歴依存となる軌道構造の力学モデル、および高速走行車輪のレール上での飛び上がり、接触衝撃や脱輪の現象を表現する車輪とレール間の接触衝撃の力学モデル等が明らかにされ、地震時での軌道上の高速走行解析で必要となる,大規模な車両と軌道構造の非線形運動方程式を効果的に解くための数値計算法が開発された。また本研究で得られた力学モデルと、連結車両と軌道構造の非線形運動方程式を効果的に解くための数値計算法にもとづき、地震時の高速走行連結車両と軌道構造間の連成振動・衝撃解析のシミュレーションプログラムが開発され、実際の地震波を入力して、高速走行連結車両と軌道構造間の連成振動・衝撃解析を行い、与える地震波や走行速度によって生じる、車輪のレール上の飛び上がり、接触衝撃、脱輪や、軌道構造損傷の発生・発展のメカニズムが数値的に解明された。
著者
北川 智大 西谷 隆夫 小松 広昭 加藤 博憲 小元 規重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.438, pp.103-108, 2008-01-17
参考文献数
7

マルチビーム衛星を利用した,地上波デジタル放送の再送信について考察を行った.今回の検討は通信と放送の融合を狙った衛星チャンネルの効率化である.番組チャンネルとCMを含む民放チャンネルを切り替え,キー局放送分の共用化を行って,放送の空き時間をインターネットの利用に割り当てる.番組/CMチャンネルの切り替えを正確に行うため,常時すべてのテレビ信号を流す方式を採用する.番組チャンネルの非表示区間は静止画とする.この部分が余分な情報を発生しないように静止画をH.264符号化に基づいた工夫を行った.衛星上の情報切換が正確に行える様にバッファの使用量の少ないVBRを採用した.高知工科大学のSCOPE実験設備を用いて実測した結果も報告する.
著者
近森 高明
出版者
日本女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、1920年代東京における地下鉄の導入過程について、テクノロジーに内在化される論理と都市の多重的リアリティとの接合という観点から考察した。(1)早川徳次の構想が高速鉄道網の策定と結びつく経緯、(2)路面電車の導入過程との比較、(3)デパートとの連携と地下鉄ストアの設立、という三点の検討をつうじて、統計的都市のリアリティに準拠する一連の知と想像力が地下鉄の構想と連接し、新たな都市的現実が生み出されてゆく動態を照らしだした。
著者
宮本 昌幸 高原 英明
出版者
明星大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

昨年度に引き続き以下を行った。1.資料調査・データベースの構築 2.聞き取り調査 新幹線の技術開発にあたった当事者、関係者に5分野のインタビューを行い、証言記録として整理した。3.データ分析 聞き取り調査の結果と資料調査の結果について、整合性をとるための検証作業を行い、新幹線を完成させるために必要であった個々の要素技術を分析し整理した。最終年度なので以上得られた成果をまとめて以下の目次の報告書(300頁)を70部作成し、関係箇所に配布した。1.はじめに2.研究の目的3.研究の方法4.東海道新幹線の経緯4.1東海道新幹線以前の技術動向4.2東海道新幹線計画の具体化4.3東海道新幹線の着工から完成まで5.東海道新幹線の技術系譜5.1計画5.2軌道5.3分岐器5.4土木5.5車両5.6電力5.7集電5.8信号5.9その他5.10まとめ6.聞き取り調査記録6.1全体・車両:田中眞一氏6.2軌道:渡辺偕年氏6.3車両:石澤應彦氏6.4信号:遊佐 滉氏6.5電力:三浦梓氏6.6集電:織田修氏・滝澤伸一氏6.7土木:仁杉 巌氏6.8分岐器:佐藤泰生氏7.日本の技術開発7.1技術者に望まれること7.2世界との関連7.3現場の技術力の重要性7.4他分野技術の応用8.あとがき参考文献、新幹線関連雑誌記事調査リスト
著者
森本 裕二 MARSOLEK Ingo
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

人工呼吸に特化している医療法人井上病院におけるリスクマネージメントの現況の人間工学的分析を行った。トップダウン式の管理方法ではなく、ボトムアップ方式による安全管理が行われているかどうかを検討した。スタッフレベルによる勤務交代ごとの人工呼吸器チェックリストによる確認の徹底、インシデント・アクシデント発生時の速やかなレポートとその提出頻度を調査した。チェックリストマニュアルに従った点検は守られており、リスクマネージメント会議における、インシデント・アクシデントレポートの提出数も20-30/月と、約60床の人工呼吸器病棟からの提出頻度としては高いものと考えられた。また、インシデント・アクシデントレポートの情報も会議および院内LANにより情報開示されていた。人工呼吸関連肺炎を予防するための、気管吸引マニュアルの整備、積極的監視培養(active surveillance culture)がスタッフレベルで実施されていた。標準感染予防策(standard precaution)の徹底は医師・看護師のみならず患者介護に関与する看護助手にも浸透していた。業務プロセスの改善に関しては業務改善委員会を通じて、温度板の大幅な改訂が行われ、看護師の記録記載業務の効率化が図られると同時に、物品請求業務と連動し、請求漏れの防止効果も見られた。この温度板改訂も委員会で作成したプロトタイプを現場の病棟スタッフが実際に試用し、意見を委員会にフィードバックし、改訂を重ねるボトムアップ方式が取られていた。MRSA・多剤耐性緑膿菌の保菌患者は3年前に比べ減少していた。抗生物質の使用量も減少しており、ボトムアップ方式の感染管理が効果を挙げていると考えられた。北海道大学病院においては麻酔科による術前評価外来でのプロセス分析を施行した。外科系病棟から術前外来への患者・資料の流れは必ずしも効率的とは言えず、時間分析において不要な待ち時間が多いことが判明した。今後、北海道大学病院での改善材料となるものと思われた。
著者
安部 泰弘 中島 一樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.95-102, 1998-01-31
参考文献数
12

自律神経活動と運動能力の関係を調べるために、2名の被験者に月曜日から木曜日まで自転車エルゴメータによるトレーニングを9週間与え、毎週金曜日にランプ負荷実験を行なった。そして運動負荷時および回復時の心拍数-呼吸数の関係と自律神経活動の変化を解析した。比較のため運動者7名と一般者7名のランプ負荷実験も行った。%RR50はトレーニングにより10%より大きな数値を回復時に長時間持続するようになった。回復時前半に見られたHF/LFのピークはトレーニングとともに減少した。また運動負荷時後半のピークはトレーニングとともに半値幅を狭めた。心拍数-呼吸数の関係において、トレーニング開始前の被験者2名および一般者7名中5名は時計回りのヒステリシスを示し (9名中7名)、9週間のトレーニング後の被験者2名および運動者7名中5名は反時計回りのヒステリシスを示した (9名中7名)。トレーニングを行った2名の自律神経活動と運動能力は、一般者のものから運動者のそれへと変化した。
著者
丸山 喜久
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,人工的に盛土・切土された改変地(人工改変地形)が地震動強さやそれに伴う構造物被害に与える影響を定量的に評価することを目的としている.2007年に発生した新潟県中越沖地震で被害を受けた新潟県柏崎市を対象に,空撮画像を用いた写真測量を行い地震前後の数値表層モデルを作成するなどの検討を行った.さらに,1995年兵庫県南部地震の際に多大な被害を受けた兵庫県西宮市の上水道管被害に関しても同様の検討を行い,人工改変地形と地震被害の関係性を検討した.
著者
Takegawa Yasuhiro Deguchi Kisaburo Keira Takuro Ito Hiroki Nakagawa Hiroaki Nishimura Shin-Ichiro
出版者
Elsevier
雑誌
Journal of Chromatography A (ISSN:00219673)
巻号頁・発行日
vol.1113, no.1-2, pp.177-181, 2006-04-28
被引用文献数
114

Isomeric oligosaccharides and isomeric glycopeptides are sometimes difficult to separate on normal-phase (NP) and reversed-phase (RP) columns. A zwitterionic type of hydrophilic-interaction chromatography column with sulfobetaine groups (called ZIC-HILIC column) was first applied to the separation of 2-aminopyridine derivatized (PA) N-glycans and tryptic peptides of human serum immunoglobulin G (IgG). It is shown that the ZIC-HILIC column has high capability for structural recognition of isomeric N-glycans as well as high selectivity for glycopeptides. The former feature (i.e., structural recognition) was proven by sufficient separation of neutral PA N-glycan isomers, which are usually difficult to separate on NP and RP columns. In addition, it is noteworthy that IgG glycopeptides consisting of isomeric N-glycans and the same peptide sequences can be sufficiently separated on a ZIC-HILIC column. The latter feature (i.e., selectivity) was also demonstrated by easily separating two peptide groups with/without N-glycans. Thus, we note that the ZIC-HILIC column is highly promising for a simple analysis of N-glycans and N-glycopeptide samples. (c) 2006 Elsevier B.V. All rights reserved.
著者
田中 毅弘 後藤 滋
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-6, 1991-10-25
被引用文献数
1

第1報では,遠隔監視システムの概要,解析データと調査概要,警報発生の状況における建物用途・規模別,月・曜日・時刻別,原因・設備別などの解析を多面的に行い,定性的な傾向と特徴を明らかにした.そこで,本報では,初期故障の概念とその評価方法を提案し,具体的な事例として,既報のフィールドデータのうち,幾つかの建物を対象に初期故障の解析を行い,初期故障における発生推移状況,原因・設備別の解析結果を示す.これらの結果は,遠隔監視システムによる建築設備における初期故障の取扱いについての一つの提案と実証を行うものである.
著者
原 美弥子 林 陸郎 鈴木 牧彦 飯田 苗恵 小林 万里子
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は1)在宅心臓病患者を対象に気功(採気体操)・太極拳による運動プログラム介入の安全性および有効性を検証する、2)地域支援型心臓リハビリテーション展開の基盤として運動継続の場を地域に設定することを目的とした。目的1)では調査研究機関の前橋赤十字病院研究倫理委員会において研究許可を得て、調査を開始したところである。研究対象者は急性心筋梗塞で、入院期間に不整脈等の合併症がなく200m歩行負荷を終了した患者を選定基準とした。退院後12週間の介入前後に心循環応答、ホルター24時間心電図による自律神経活動、包括的健康度(健康関連QOL尺度:SF-36)等を評価する。平成21年5月現在、研究協力者1名(68歳、男性)を調査介入中である。今後の研究継続により研究参加数を増やし、非監視型心臓リハビリテーションとして本研究運動プロブラムの有用性を明らかにしていく。目的2)では群馬県立県民健康大学および前橋市商工会議所との共同企画事業の一環として平成19年より地域住民を対象に「気功・太極拳教室」を開始した。平成20年は12回開催し、その教室卒業者を母体に地域住民が主体的に気功・太極拳を行う場を地域の自治会館内に設定し、グループ活動(1回90分/週)を開始した(平成20年7月発足)。その中で研究協力者16名に採気体操ビデオ(DVD)を配布し自宅での12週間継続状況を調査した。研究協力者は平均年齢64.9歳、男2名、女14名、服薬加療中は8名(高血圧・心臓病・糖尿病・高脂血症・メニエール病)、運動習慣ある5名、運動習慣ない11名であった。グループ活動中断者2名(腰痛悪化、仕事の都合)を除く参加者14名の体操実施は84日に対して平均36.4日実施率43%で、100%、98%実施者が各1名だった。今後は実施率の低い者に対する認知行動科学的介入方法を検討する必要がある。
著者
富永 哲欣 倉本 昇一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

電子機器を雷サージから防護するためには, その時間応答を含めた回路解析が必要である. 回路解析用としてSPICE(Simulation Program with Integrated Circut Emphasis)があり汎用性に優れたソフトウェアであるが, 時間領域の解析を行うためには, アレスタ等を含む電子機器のモデル化が重要である. 本報告では, SPICEを用いた解析法の妥当性を確認するために, 雷防護回路として良く知られているバイパスアレスタ回路のモデル化を行い, その応答をSPICEを用いて解析し, 実際の応答と比較した.
著者
藤目 ゆき 大越 愛子 南田 みどり 古沢 希代子 今岡 良子 津田 守 深尾 葉子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

四カ年を通して、北はモンゴルから南は東ティモールにいたる北東及び東南アジアの全域を射程として、現代女性史に関する調査・研究を実施した。日本国内はもとよりモンゴル、中国(大陸)、台湾、韓国、ベトナム、カンボジア、タイ、ビルマ、フィリピン、インドネシア、東ティモールにおいてフィールドワークを行い、資料を収集した。軍事主義が女性に与えて影響を明らかにするための研究計画に基づいて、戦争・軍事政権・外国軍隊の駐留のインパクトを調査した。第一に朝鮮戦争・ベトナム戦争、またベトナムとカンボジアの紛争、カンボジア内戦・フィリピン内戦といった戦争下における女性の経験、第二にタイ・ビルマ・インドネシア・台湾などの軍事政権が女性に与えた影響、第三に駐韓米軍・在日米軍・米比一時駐留協定・モンゴルにおけるPKO訓練基地をめぐる地域女性史に焦点をあてた。これらの調査を通して、戦争・軍事政権・外国軍隊の駐留といった状況が女性に対する性暴力を構造化させ、人身売買・性的搾取構造を確立させていった過程を明らかにした。また、このような軍事主義的・暴力的構造に対してアジアの女性たちがんなる受動的な被害者であったのではなく、果敢に抵抗し、人権と平和が尊重される秩序を構築するために力を発揮したことをも明らかにした。このような研究成果を発表するために研究代表者・研究分担者はそれぞれに機会あるごとに学会における発表、学術誌への投稿、図書の刊行などに取り組み、また研究組織として『アジア現代女性史』全十巻の刊行に取り組むとともに、年報『アジア現代女性史』を日本語版・英語版で創刊し、それぞれ四号まで発行した。
著者
高槻 成紀 三浦 慎吾 玉手 英利
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

金華山では1966年以降初期は断続的に、最近10数年は毎年ニホンジカの個体数調査がおこなわれている。戦後減少していた個体数は1960年代までには500頭前後にまで回復し、安定状態にあったが、1984年に厳冬の影響で約半数が死亡した。これは密度非依存的な減少であるが、しかい半数は残ったので爆発崩壊型の変動パターンとも違う。1997年にも大量死亡が起きたが、このときは厳冬ではなかった。現一在は500頭前後で再び安定している。また一部の人慣れした集団は過去15年間、完全な個体識別により、全個体の年齢と母子関係がわかり、この間に死亡した個体の年齢も明らかになった。また全個体は原則として毎年春と秋に体重、外部計測などをおこなっている。またほとんどの個体は採血をすることによりDNA情報も確保されている。これらをもとに、いくつかの解析をおこなった。食性はイネ科に依存的で、最近ではシバへの依存度が高くなっている。全体に栄養不足であり体重は本土個体に比較して30-40%も少なく、骨格も小型化している。オスは5,6歳まで成長し、このうち20%がナワバリをもった。優位ではあるがナワバリをもてないのが10%、残りの70%は劣位であった。ナワバリオスは交尾の67%を独占した。メスは初産が4歳までずれこみ(通常は2歳)、60%は4歳までに死亡した。出産はほぼ隔年で妊娠率は50%であった(健康な集団では80%以上)。育児年の夏は体重が増加できなかった。父親が特定できた子の父親は交尾回数と対応して、半数以上がナワバリオス約1割が優位オスであった。遺伝子頻度の変動はおおむね機会的であり、選択は働いていないようである。
著者
阪東 恭子 BRAVO SUAREZ Juan Jose
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

平成18年度は、分子状酸素を利用した選択酸化反応に高い活性を示す担持Au触媒に関して、(1)プロピレン(PE)選択酸化によるプロピレンオキシド(PO)合成に高い活性を示すことが分かったAu-Ba/Si-TUD(メソポーラスアモルファスチタノシリケート担持Ba添加Au触媒)について、in-situ UV, XAFSを用いた反応速度論的解析を行い、反応機構を解明するとともに、(2)平成17年度に開発した新規プロパン選択酸化反応用触媒の更なる高性能化の検討を行った。(1)水素(H_2)と酸素(O_2)を用いたPEの選択酸化によるPO合成反応に高い活性を示すAu-Ba/Si-TUDにおいて、反応条件下でUVを測定すると、チタンサイト上の過酸化物(Ti-OOH)に帰属させる吸収が見られることをH17に見いだしているが、この吸着種が本当に反応中間体であるかどうか確かめるため、PE存在下と、PEなしの水素/酸素のみの条件下でのin-situ UV, XAFS測定を行い検討した。その結果、UVより、Ti-OOH種はH_2+O_2反応後PEの導入により速やかに反応し、消費されること、XAFSにより見られる4配位構造に帰属されるプリエッジピークの反応初期の減少速度から推定される反応速度が、PO合成の見かけの反応速度にほぼ等しいことから、Ti-OOH種は反応中間体であり、しかも、Ti-OOHとPEの反応によるPO生成過程が律速段階であることが分かった。(2)水素(H_2)と酸素(O_2)を用いた、プロパンの選択酸化についてさらに検討を行った結果、担体の種類によって生成物選択性が大きく変化することを見いだした。しかも、それらの反応が200℃以下の低温で効率よく進行することをさせることが可能であることを見いだし、より低環境負荷型の新しい選択酸化反応プロセス構築への知見を得ることができた。