著者
栗山 正明
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1162-1167, 1996-11-25
参考文献数
16

High power negative-ion sources and related technologies regarding neutral beam injection (NBI) system for plasma core heating and NBI current drive in a high density and reactor-grade large size plasma have progressed conspicuously, and a few hundreds keV- class negative-ion based NBI comes into a step of practical use. The 500keV negative-ion based NBI system for JT-60 at JAERI has completed in March 1996 and is increasing the beam power injected into the JT-60 plasma. Additionally the 180keV system for LHD at NIFS is under construction aiming at the completion in 1998. Furthermore, the R&D works of the MeV class negative-ion source and accelerator for ITER are also being progressed, and a high power NBI with MeV class beam energy has become realistic.
著者
山内 昌之 ERGENC Ozer KHALIKOV A.K GRAHAM Willi ERCAN Yavuz DUMONT Paul QUELQUEJAY C ALTSTADT Aud PAKSOY Hasan 福田 安志 内藤 正典 新井 政美 小松 久男 栗生沢 猛夫 坂本 勉 WILLIAM Grah PAUL Dumont CHANTAL Quel AUDREY Altst HASAN Paksoy
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

この共同研究が目指したものは、中東とソ連における都市とエスニシティの在り方を比較検討しながら、近現代の急速な都市化にともなう環境、人間と社会との関係、個人と集団の社会意識の変容を総合的、多角的に解明しようとするところにあった。当該地域におけるエスニシティの多様性と連続性を考慮するとき、これは、集団間の反目、矛盾が先鋭で具体的な形をとって現われてくる都市という生活の場においてエスニシティの問題を検討することであり、またエスニシティ、民族、宗教問題を媒介変数としてトランスナショナルな視角から都市の在り方と変容を検討することでもあった。本共同研究の参加者は以上の問題意識を踏まえ、まず第1に、タシケント、モスクワ等のソ連の都市と、イスタンブ-ル、テヘラン、カイロ、エルサレム等の中東の都市において現地調査を行なった。これらの諸都市での調査においては現地人研究者の協力を得た上で、都市問題の現状とエスニシティを異にする住民相互間の衝突、反目の具体的事例をつぶさに観察した。また現地調査と平行して、現地人研究者との間で意見の交換を行ない、当該地域での研究状況の把握、現地人研究者との交流に努め、さらに必要な資料の収集にも当たった。第2に、ソ連、中東世界での都市化にともなうエスニシティ、民族、宗教問題を分析した。モスクワ国家による都市カザンへの支配の実態を検証し、また経済開発によるソ連中央アジアでの居住条件の変化と、エスニシティ・グル-プの変容についての相関関係を検討した。さらにイスラエルにおいては、ソ連からのユダヤ人移民にともなうユダヤ都市の拡大・拡散による、アラブ人とユダヤ人の文化接触の問題を取り上げた。次いで都市を基盤とした民族主義イデオロギ-の形成・展開の側面についても検討を加えた。トルコにおけるトルコ民族主義の展開過程とその周辺トルコ系地域への影響を、歴史的事実を踏まえつつ分析した。同時にソ連中央アジアにおける非ロシア系民族の間での民族意識の形成過程を検証し、イスラ-ムや、アルメニア正教、ギリシャ正教の復興が民族的アイデンティティに及ぼす影響を検討した。またアゼルバイジャンでの文学活動が民族意識の形成に与えた影響を分析した。これらの事例研究によって、中東とソ連における都市問題とエスニシティをめぐる問題の相関関係を明らかにし、また都市化にともなう社会意識の変容を解明することに努めた。第3に、経済と都市間ネットワ-クの側面から都市のエスニシティの問題を検討した。アレッポの都市経済におけるアルメニア人、クルド人の役割を検討した。またドイツへのトルコ人労働移民の問題を取り上げ、出稼ぎ者、帰還者双方が引き起こす都市問題が、二地域の関係の中で明らかにされた。さらにイラン諸都市とイスタンブ-ルの間の絨毯交易に従事していたアゼルバイジャン人に注目しながら、当該地域におけるエスニシティと都市経済、都市間の関係を把握した。アラビア半島諸都市における通商活動も取り上げ、アラブ世界の都市間通商ネットワ-クにおけるインド人、ペルシャ人の役割を分析した。次いでイランや中央アジアからのメッカ巡礼を分析することを通し、宗教的側面からも都市間ネットワ-クの検討を行なった。これらの研究により、当該地域における経済と宗教を軸とする都市間ネットワ-クとエスニシティの連続性を明らかにすることに努めた。第4に、総合的、多角的研究の必要性から都市とエスニシティ問題の持つ普遍的な性格に着目し、研究交流の空間的幅を広げ、中東、ソ連の現地研究者はもちろんのこと欧米諸国の研究者との間でも共同研究や比較研究を行なった。さらにストラスブ-ルにおいて日本とフランスの研究者を中心に、ソ連と中東の民族問題に関する国際シンポジウムを開催するなど、これまでの研究成果に基づいた研究者相互間の交流を推進した。この共同研究は、湾岸危機やソ連邦の解体など当該地域をめるぐる急激な変動の渦中に実施されたにもかかわらず、比較の手法を用い都市という場におけるエスニシティの問題を解明し、都市の在り方と変容を明らかにする上で大きな成果をあげることができたと確信している。
著者
広庭 基介
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, 1958-10
著者
大塚 吉道
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.53, pp.13-18, 1999-09-16

2000年からBSデジタル放送が始まる。わが国のBSデジタル放送は、国際的に割り当てられた8チャンネルの電波を用いて行われており、現在はこのうち4チャンネルの電波でアナログ放送が行われている。2000年からは残りの4チャンネルの電波を用いてデジタル方式の放送が始まる。既に、放送事業者の割当が決まっており、放送に向けて着々と準備が進められている。BSデジタル放送では1チャンネルの電波でハイビジョン2番組を放送することを基本とする。また、映像・音声に加えて、文字や図形、静止画やコンピュータデータなど各種の情報データも放送することが予定されている。このようなデータを活用することにより、様々な新しい機能をもつ放送サービスが可能となる。例えば、いつでも最新のニュースや天気予報が見られたり、番組に関する詳しい情報を表示したりすることもできる。高画質なハイビジョン放送をベースに各種データ放送サービスを取り込んだBSデジタル放送は、21世紀のマルチメディア放送にふさわしいものになるでしょう。ここでは、下記の内容で、BSデジタル放送についてチュートリアルな解説を行う。なお、地上デジタル放送については、今回は触れず、別の機会に譲ることとする。
著者
三友 仁志 鬼木 甫 樋口 清秀 太田 耕史郎 実積 寿也 田尻 信行
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、わが国企業の情報化投資が当該企業あるいは産業のみならず、市場メカニズムを通じて消費者に対して及ぼす影響を理論的に解明し、併せて実証的統計的に分析することにある。平成17年度~19年度の研究期間を通じて、内外の研究動向の把握、専門家との意見交換、分析のための仮説モデルの構築、実証分析に用いるためのデータ収集、実証分析による仮説の検証、実証研究からのインプリケーションの抽出を遂行した。研究の遂行に当たっては、具体的には以下のようなテーマを取り上げた。(1)情報化が企業に与える便益のメカニズムの解明に関する研究の総括(2)情報化が消費者に与える便益のメカニズムの解明に関する実証研究(3)情報化と消費者保護に関する研究(4)通信と放送の融合にともなう市場メカニズムの変化に関する研究(1)については、企業部門における情報化投資メカニズムに関する研究の成果のまとめと総括を行い、情報化が消費者に与える影響の研究との関連を明らかにした。(2)については、情報化が消費者に与える便益のメカニズムの解明について、特に行動経済学から得られる知見を用いてこれまでの伝統的なミクロ経済学では分析しえなかった消費者行動(たとえば定額料金制度に対する選好など)に関する分析を行った。(3)については、情報化時代における消費者保護の問題について、主として個人情報保護法下における情報通信技術の活用とセキュリティ対策について研究を行った。(4)については、2011年に実施されるアナログ放送の停波とそれに伴うデジタルテレビへの移行に関して、企業並びに消費者に与える影響について研究を行った。
著者
大槻 麻衣
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

前年度は,空間型操作を支援するポストWIMP型インタフェースの内,実世界と同様の感覚で,実物体に対して仮想的な描画が可能な筆型デバイスの開発を行った.本年度は,複合現実空間では実物体も仮想物体も同等に扱えることに着目し,仮想物体を対象としたデバイスの開発を行った.仮想物体を対象とした場合,描画対象に穂先が接触する際に生じる穂先のしなりや反力が無く,描画感に乏しいという問題がある.これを解決するために,力覚および視覚フィードバック機構を備えた新たな筆型デバイスの開発を行った.具体的には,力覚フィードバック機構として把持部の一部が可動する機構を,視覚フィードバックとして穂先を任意の方向・強度でしならせることが可能な機構を備えた試作デバイスを作成し,研究室内で運用した.試作デバイスではこれらの機構を駆動させるのにソレノイドを用いていたが,駆動量が調節できず,十分な解像度が得られなかった.そのため,DCモータを用いたデバイスへと改良し,より現実に近い描画感提示を実現した.上記と平行して,「空間への入力」という広い観点から3次元複合現実空間における仮想物体の分解・観察に適した操作法に関する研究を行った.ここでは,多数のパーツで構成された複雑な仮想物体をジェスチャ操作によって部分的に分解し,手元でその詳細を観察するという作業を想定し,誤操作を回避可能,かつ,操作の快適性・応答の心地よさを向上させる手法を提案した.具体的には,実世界と同様の感覚で操作が行えるよう,磁石や接着剤のように,簡単には外れないが,意図的に力を加えることで外れる方法で接合された物体の挙動や応答を模したものとした.これらの成果は2010年9月のヒューマンインタフェースシンポジウム,翌年1月にMR分野の専門家が集うSIG-MRにて口頭発表を行った他,日本バーチャルリアリティ学会論文誌に学術論文として投稿した(現在査読中).
著者
堀江 祐介 山崎 和彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.19, 2011 (Released:2011-06-15)

現在、電子書籍を使う人が増えてきている。電子書籍は機器ごとに使い方が違っている。そこで今回は電子書籍端末として様々なアプリが出されているiPadの電子書籍を対象にユーザビリティテストを行った。3つのアプリを対象に4人の被験者で実験を行った。もっともタスク実行時間が短かったのはiBooksである。次にi文庫HDで、最もタスク実行時間が長かったのはstanzaである。ユーザビリティ評価から以下の6つのことがわかった。1.ツールバーは常に表示する 2.メニューにはアイコンと文字の両方を使うことでわかりやすくなる 3.本のメタファーは適切に使用する 4.ユーザに適切なフィードバックを与える 5.視線の移動を少なくするUIにする 6.使用頻度に応じた情報構造にする
著者
永井 由美子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.6, 2011 (Released:2011-06-15)

本稿は2009年から行っている「写真を見ることのデザイン」授業実践を基にしている。授業では写真を楽しんでみるための道具のデザインを課題としており、学生自身の経験を基にデザイン案を提案している。ここでは次の7種類の表現を使っている。A作文を描く、Bシナリオスケッチを描く、C道具のアイデアスケッチを描く、E操作画面のシナリオスケッチを描く、F画面遷移図を描く、G機能リストを書く。これらの表現の難しいところは、次の3点である。1具体的な事例を描くこと、2自分の経験を描くこと、3シナリオスケッチを描き直すこと。ここで需要な点は、シナリオスケッチを描くことでありそこには、ユーザーの行為と思いが文字としても含まれている。これはスケッチなので何回も描くことが重要となる。
著者
桑原 伸夫
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

TV放送等の無線システムは電子機器等から放射される妨害波の影響を受けるため,各国で規制が実施されているmしかし,今後普及が進むディジタルTV に対しても同じ方法で規制を実施して良いのか明らかになっていないm本研究では,妨害波よりアナログTVとディジタルTV画像が受ける影響を評価して,ディジタルTVに対する妨害波レベルの適切な評価法を研究したm研究の結果,現在使用されている準尖頭値より平均電力やAPDで評価する方法が適していることがわかった.
著者
小林 康宏 知野 豊治 吉田 隆幸 松田 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.520, pp.13-17, 1997-02-14
参考文献数
8
被引用文献数
3

基板裏面に形成したガイド穴を用いた垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)とシングルモードファイバとの結合効率について計算による基礎検討を行った。我々はこれまでに4×3のVCSELアレイに対するガイト穴を用いたパッシブアライメントにより、マルチモードファイバとの結合において平均81.3%の結合効率を達成している。この結合方法をシングルモードファイバに適応する場合、計算の結果、80%の結合効率を得るためにはレーザと裏面ガイド穴との距離を100μm程度、アライメントのずれを±1μmにまでする必要があることが分かった。
著者
武田 珠美 青野 寛子 福田 靖子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1115-1125, 2000-12-15
参考文献数
27
被引用文献数
4

ゴマ種子を170℃, 200℃および230℃で5〜40分間焙煎し, 外観, 微細構造, テクスチヤー, 糖およびリグナン類への影響を検討した. 170℃で20分まで焙煎したゴマは表皮の着色や亀裂が少なく, 外観上優れていたが, 歯ざわりの評価が低かった. 230℃で5〜15分焙煎したゴマはいずれもよくふくらみ, 残存胚乳組織と子葉間に空間が観察され, 官能検査ではもろく, プチッと破断する感触が強く, 好ましい歯ざわりと評価された. しかし, 焙煎5分ですでに表皮の着色が濃く, 亀裂が目立った. セサモールは著しく生成した. 200℃で焙煎したゴマは, 230℃焙煎のゴマに類似していた. 遊離糖には, グルコース, フラクトース, スクロース, プランテオースおよびスタキオースが含まれ, スタキオースは比較的安定であったが, 他の糖は高温の焙煎ほど減少が速くみられ, これらの総量と表面色(L値)には高い相関がみられた.
著者
吉川 徹 川上 憲人 小木 和孝 堤 明純 島津 美由紀 長見 まき子 島津 明人
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.127-142, 2007-07-20
参考文献数
29
被引用文献数
6

職場のメンタルヘルス向上を目的とした職場環境等の改善のためのアクションチェックリスト(Mental Health Action Check List, 以下MHACL)を開発した.ストレス対策一次予防における職場環境改善等の進め方と意義について検討した.3つのステップによりMHACLを開発した.(1)文献レビューと改善事例の収集と分類,改善フレーズの作成とMHACLのひな型作成,(2)産業現場への適用と産業保健スタッフ等を含むワークショップによる試用,(3)改善フレーズの見直しと改善領域の再構成を行って,広く職場で使える改善アクション選定チェックリストとして提案した.文献レビューにより職場環境等の改善を支援する8つの改善技術領域が整理された.全国の84事業場から延べ201件の事例の職場のストレス対策に役立った改善事例が収集できたので,これら事例から代表的な改善フレーズを抽出し,40項目からなるMHACL原案が作成された.現業職場の職員105名を対象としたMHACL利用の参加型研修会により,MHACLを用いて多様な改善提案を引き出せることが確認された.産業保健スタッフを対象としたMHACL利用のワークショップでは,MHACLの使用者とその受け手の明確化,使用手順と職域でのリスクアセスメント方法のマニュアル化,使用言語の平易化,などが必要と指摘された.これらの経験から,最終的に30項目で構成されるMHACLが作成された.それらの項目は,技術領域としてA)作業計画への参加と情報の共有,B)勤務時間と作業編成,C)円滑な作業手順,D)作業場環境,E)職場内の相互支援,F)安心できる職場の仕組みの6つの領域にまとめられた.現場ですぐ取り組めるメンタルヘルス改善アクション項目からなる職場環境改善用のチェックリストを作成した.今後チェック項目を利用した職場介入経験者との意見交換を行って,使いやすいチェックリストと利用方法を検討していく予定である.MHACLの利用によるストレス対策一次予防の推進による成果が期待される.
著者
大久保 修平 長沢 工 平賀 士郎 田島 広一 萩原 幸男
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.325-359, 1992
被引用文献数
3

We carried out gravity measurements around the Kozu-Matsuda fault (KMF), Kanto, Japan. Improved Bouguer anomaly data confirm the existence of a low-angle dipping slab beneath the Ashigara Plain and suggest a thrusting fault motion on it. It is very likely that the Ashigara Plain is a sedimentary basin with Oiso Hill as an accretional prism.国府津-松田断層の周辺で288点の重力測定を実施した.同断層近傍ですでに重力値の得られている測定点をあわせて約3000点での高密度重力測定から,より精確なブーゲー異常図を作成した.得られたブーゲー異常データと3次元密度構造のモデル計算の比較から,国府津-松田断層が逆断層であることが推定された.また,足柄平野が相模湾に連なる堆績盆地であることも確かめられた.さらにフィリピン海プレートのもぐりこみにともなう低角逆断層のメガスラストが足柄平野直下に認められた.フィリピン海プレートの裂け目として想定される,相模湾断裂/西相模湾断裂については,それを積極的に支持する証拠は見つからなかった.
著者
西村 尚之 白石 高子 山本 進一 千葉 喬三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.31-36, 1991-07-25
被引用文献数
3 2

下層にヒサカキ等の常緑広葉樹が優占する成熟したコナラ林内に, 低木層を除去した区(L区)と低木層及びリター層を除去した区(C区)の地床処理区と無処理区(N区)を設け, コナラ実生の発生, 生残を3年間定期的に調査した。林床の相対照度はどの時期も地床処理区で高かった。実生の発生数はC区で最も多かった。無処理区での実生の発生は地床処理区に比べ約1カ月遅かった。どの区も早く発生した実生の初期死亡率は低く, 地床処理区では最終調査時のその生残率は遅く発生した実生に比べ高かった。発生当年の実生の生残率は無処理区で有意に低く, 翌年の生残率はL区, C区, N区の順で高かった。無処理区では発生後3年間ですべての実生が死亡した。分枝した実生の出現率は地床処理区で高く, 分枝個体の生残率は未分枝個体に比べ有意に高かった。本林分では自然状態の地床でのコナラ実生の定着はきわめて困難であるが, 低木除去の処理によりコナラ実生の生残に有利な環境が形成されることがわかった。
著者
北嶋 暁 森岡 澄夫 島谷 肇 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.1017-1029, 1996-12-25
参考文献数
15
被引用文献数
4

教育用CPU KUE-CHIP2を,各命令の意味を記述した要求仕様からRTレベルまで段階的に設計し,それをSFL記述に自動変換してハードウェア合成系パルテノンを用いて回路を得た.そして,その設計が正しいことを代数的手法に基づいた証明支援系を用いて完全に自動で証明した.自動で証明できた理由は,CPUでは,要求仕様も含め,各レベルの仕様が共通の基本関数(算術・論理演算,メモリの入出力)を用いて記述できる,CPUの正しさの証明では1命令ごとに正しく動作することを調べればよく,かつ1命令の実行では繰返しループを含まない,また,我々の開発した証明支援系では,項書換え,場合分け,整数上の論理式の恒真性判定などを一定の手順で自動実行する,扱う式の大きさが増大するのに対処した工夫をしている,などである.証明作業は,記述誤りに伴う再証明も含め2週間程度で行えた.CPUの命令数が増えても証明のための計算時間はそれに比例する程度ですむので,本実験の結果より,単一制御部をもつ非パイプラインCPUについては,本論文の手法により,その正しさの証明を,現実的な時間で自動で行うことが可能であると言える.
著者
粟井 郁雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.63, pp.23-27, 2008-05-22
参考文献数
6
被引用文献数
4

メタマテリアルは電磁気学的な構造体がマクロスコピックには連続体に見えることに依拠して媒質という扱いを受けている.そのために連続と不連続の接点で矛盾を生ずることがあり,時にはエネルギー保存則の侵犯にも対応する必要が起こる.又,普通の連続媒質の分子数はほぼ無限に近いのに対して,メタマテリアルは単位粒子(分子に相当する)が数個の場合ですら媒質であると考えることが多いので,有限と無限の矛盾にも遭遇する.これら矛盾の解釈法について考察する.
著者
吉沢 滋 中條 秀彦 秋庭 直樹 辻村 健一 長島 均 丸藤 貴史 木下 裕一郎 黒木 佳史 種市 修浩 千葉 豊治 坪井 則昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
4

デジタル磁気記録読出し波形を数ビット(bと略)毎に切出し、ニューラルネット(NNと略)に学習、認識させるニューロ弁別(この様に略)はNNの学習能力により、干渉波形を学習させる事で高密度弁別が可能となり、NNの未学習入力も認識する汎化能力により、記録密度変動にも強い特徴を持つ。この二つの特徴とその実現可能性はシミュレーションですでに示した。また、この方法は従来の1b波形中の1点の振幅或は位相で判断するのではなく、数bの波形全体で判断するいわば波形弁別なので、高周波正弦波雑音や、幅の狭いパルス雑音に強い特徴的な雑音弁別特性をも持つ。ニューロ弁別の学習は高密度波形と低密度波形の二つを学習させると、NNの汎化能力により、その中間及び、付近の範囲外も認識できる。しかし、高密度学習波形の記録密度、振幅の選び方は難しく、弁別限界(どこまで高密度波形を弁別できるか)に大きく影響する。アナログニューロ弁別で学習波形の振幅と密度を組合せた学習法を試み、従来を上回る弁別限界が得られたので、報告する。
著者
高田 良三 山崎 信 杉浦 俊彦 横沢 正幸 大塚 誠 村上 斉
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.59-65, 2008-02-25
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

わが国における肥育豚の飼養成績に及ぼす地球温暖化の影響を各地域の月平均気温の変動予測シナリオから推定した.肥育去勢豚(開始体重42.1±5.5kg)を用いて環境制御室において温度と飼養成績との関係を求めたところ,23℃時の日増体量に対して5%,15%,30%低下する時の気温はそれぞれ24.5℃,27.3℃,30.4℃であることが示された.同様に日飼料摂取量に対してはそれぞれ25.9℃,30.3℃,33.8℃であった.6~9月について,その気温域に該当する区域を日本地図上に図示するプログラムにより,肥育豚の日増体量に及ぼす地球温暖化の影響を解析した.「気候温暖化メッシュデータ(日本)」を将来の気候予測データとして用い,約10×10km単位のメッシュで解析を行った.その結果,2030年,2060年と年代の経過と共に日増体量の低下する地域が拡がり,また低下する程度もより厳しくなることが予測された.8月においては現時点ですでに西日本の沿岸部を中心に日増体量の低下が認められるが,2060年になると北海道の一部および標高の高い山間部を除いた大半の地域で日増体量の低下が予測され,特に関東以西では15~30%の厳しい日増体量低下が予測された.以上の結果から,今後予測される地球温暖化の加速化がわが国の養豚生産に大きく影響を与えることが明らかとなった.
著者
貝沼 やす子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.199-207, 2006-04-15
参考文献数
9
被引用文献数
4

1)米飯から調製する粥の物性には米飯の加水量の影響が大きく,米飯の保存方法の影響は小さかった.2)いずれの米飯粥も加熱時間が長くなるにつれて付着性は増加する傾向を示したが,粥飯粒自体は軟化傾向を,おもゆを含むとかたさは増加傾向を示した.3)加水量の多い米飯を利用した1.7倍粥では米飯の吸水率は少なく,分離液(おもゆ)の粘性は小さかった.かたさ,みかけの破断応力も低い傾向にあり,粥飯粒の外観は10分加熱ですでに過度に膨潤しており,崩れが観察された.4)加水量1.5倍,1.3倍の米飯から調製した粥は,1.7倍粥に比較してかたさ,みかけの破断応力,分離液の粘性は高い傾向にあり,粥飯粒の外観は米粥に似ていた.5)官能検査において,いずれの米飯粥も20分加熱で米粥に近い性状であると評価された.1.7倍米飯粥のみは20分加熱しても有意に水っぽいと評価され,物性測定の結果に対応していた.