著者
吉野 純
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,独自開発した大気-海洋-波浪結合モデルと台風渦位ボーガスを用いることで,伊勢湾における現在・将来気候における可能最大高潮の力学的評価を行った.現在気候においては,伊勢湾台風時の太平洋上の海水面温度29.0℃を設定することで,紀伊半島上陸時の可能最低気圧は930hPaとなり,名古屋港での可能最大高潮(潮位偏差)は4.5mとなることで,伊勢湾台風時に観測された潮位偏差3.55mを大きく上回ることが明らかとなった.また,将来気候においては,2099年9月(A1Bシナリオ)の太平洋上の月平均海水面温度30.2℃を設定することで,上陸時の可能最低気圧は905hPaとなり,名古屋港における可能最大高潮は伊勢湾台風の倍近い6.5mとなるとこと明らかとなり,現状の計画潮位を大きく上回る可能性が示唆された.
著者
ジョハン エルニ 松枝 直人 逸見 彰男
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 第51回 粘土科学討論会発表抄録 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
pp.94, 2007 (Released:2008-02-02)

We synthesized TiO2-Zeolites nanocomposite from pure chemical reagents. The synthesis product was applied for acetaldehyde gas adsorption. The result indicated that adsorption and decomposition of acetaldehyde occurred when UV (365nm) irradiation was introduced. The decomposition is due to photocatalytic activity of TiO2.
著者
津田 敦 道田 豊 齊藤 宏明 高橋 一生 鈴木 光次
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、DMSなどの生物起源ガスを計測するグループに海域の生物学的な情報を提供し、その変動機構を推測する一助となった。また、台風通過を再現する培養実験により、台風通過時には大型植物プランクトンである珪藻が卓越し海域の炭素循環や食物網構造を変えることを明らかにした。クロロフィルセンサー付きアルゴフロートは、台風には遭遇しなかったが幾つかのアノマリーを観測している。知見の少なかった亜熱帯の動物プランクトンに関しては、極域で特徴的にみられる、季節的な鉛直移動が亜熱帯種においても多く観察され、台風など時空間的に予測できない高い生産が、亜熱帯の生物生産を支えている可能性を示唆した。
著者
加藤 照之 松島 健 田部井 隆雄 中田 節也 小竹 美子 宮崎 真一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

北マリアナ諸島のテクトニックな運動を明らかにするためのGPS観測と2003年5月に噴火活動を開始したアナタハン島の地質学的な調査を実施した.GPS観測は2003年1月,同年7月及び2004年5-6月に実施,以前の観測データとあわせて解析を実施した.今回は,1回のみ観測が実施されていた北方の3島を中心とした観測を実施した.西マリアナ海盆の背弧拡大の影響が明瞭に見て取れるものの,北方3島については,繰り返し観測の期間が短いせいか,必ずしも明瞭な背弧拡大の影響は見られない.アナタハン島噴火の調査は2003年7月及び2004年1月に実施した.2003年7月の調査では,噴火はプリーニ式噴火から水蒸気爆発に移行し,一旦形成された溶岩ドームが破壊されたことが分かった.2004年1月調査で計測した噴火口は,直径400m,深さ約80mであり,火口底には周囲から流れ込んだ土砂が厚く堆積し,間欠泉状に土砂放出が起きていた.2003年7月には最高摂氏300度であった火口の温度が2004年1月には約150度と減少し高温域も縮小した.カルデラ縁や外斜面には水蒸気爆発堆積物が厚く一面に堆積しているものの,大規模噴火を示す軽石流堆積物層等は認められない.このため,アナタハン島の山頂カルデラの成因は地下あるいは海底へのマグマ移動であると推定される.この噴火についての地殻変動を調査するためにGPS観測を強化することとなった.火口の西北西約7kmに位置する観測点では,連続観測を開始したほか,2004年1月には島の北東部に新たな連続観測点を設置して観測を行っている.2003年1月と7月の観測データの比較では,水平成分がほとんど変化せず沈降約21cmが観測された.観測された地殻変動は主に噴火によるマグマ移動によって引き起こされたと考えられ,マグマ溜まりが噴火口の直下よりも島の西端にある可能性を示している.
著者
石川 裕彦 植田 洋匡 林 泰一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

西太平洋上で発生し日本付近まで北上してきた台風は、中緯度の大気の傾圧性の影響を受け、その構造が徐々に変化する。この過程で、さまざまなメソ擾乱が発生し、災害発生の原因となることが多い。本研究では、数値シミュレーションにより台風を再現し、その構造変化、メソ擾乱の発生、気象災害との関連を調べた。不知火海の高潮災害や豊橋の竜巻等の災害をもたらした1999年の台風18号は、日本海で一旦弱まった後再発達をとげたが、この様子を数値モデルで再現することに成功した。そして、再現結果を解析することにより、最盛期の台風の上層に形成される負渦位偏差が台風衰弱に重要であること、再発達期には対流圏上層のトラフにともなう正の渦位とのカップリングが生じ、これが再発達の要因となっていることを解明した。さらに、豊橋市付近で発生した竜巻に着目した数値計算を行い、竜巻発生場所の周辺で、対流潜在位置エネルギー(CAPE)とストーム相対ヘリシティ(SREH)との積であるエネルギーヘリシティ示数(EHI)が大きな値を持つことが示された。これは、将来、台風に伴う竜巻発生を予報できる可能性を示唆した者である。近畿地方、特に奈良盆地に大きな強風害をもたらした1998年の台風7号に関しては、消防署等も含むさまざまな期間から集めた気象観測データを解析し、台風に伴う地上風を詳細に調べた。これらの強風は、台風の背面で発生していること、強風域はバンド状のメソ降水系に対応していることを明らかにした。さらに、この強風域は台風の循環と中緯度の西風との号流域にから発生していることが数値実験で示された。秋に襲来する台風にともないしばしば観測される時間スケールの短い急激な気圧低下(pressure dip)に関しても、その発生頻度や性状を観測データからあきらかにするとともに、その発生メカニズムを数値シミュレーションで明らかにした。
著者
大泉 宏
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

小型歯鯨類の食性研究のため胃内容物調査を行い、ツチクジラ合計32頭、マゴンドウ4頭、ハナゴンドウ11頭、ハンドウイルカ5頭、マダライルカ3頭、スジイルカ1頭、イシイルカ43頭の胃内容物標本採集を行った。この他タッパナガ22頭の胃内容物記録を行った。江ノ島水族館と共同でカマイルカの代謝および餌消費量実験を行なった。得られた標本については現在分析中であるが、イシイルカとタッパナガはそれぞれトドハダカとスルメイカを多く捕食していることが示された。カマイルカの実験では、約5800-9100kcal/dayの酸素消費率が示された。また、鯨類の餌14種について熱量分析を行った。中層性魚類耳石80種についてデジタル画像化を行った。胃内容物標本採集は平成11年度から継続して行ってきており、情報の蓄積が進んできたところである。これまでの調査でツチクジラの調査頭数は67頭になり、この他にも多くの鯨種について胃内容物標本が入手されるようになった。解析はまだ途上の部分が多いが、今後の進展が期待できる。技術開発的要素として行ってきた魚類耳石の形態に関する研究は、日本周辺のハダカイワシ類主要36種に加え、東北沿岸で定置網や着底トロール漁獲される魚類、三陸沖合城で中層トロールにより採集されたハダカイワシ類以外の中層性魚類80種の採集を行い、デジタル画像化した。さらなる種数の充実化やデータベース化は今後の作業である。また、海洋生態系におげるエネルギーフローの研究の基礎情報とするため、餌生物中の熱量を分析した。種類はタラ類を中心としたもので、主にツチクジラの餌を想定しているが、これも今後標本入手の機会があれば種類を充実化させていく。カマイルカを用いた代謝実験は予備的実験が終了し、研究用データが取れ始めたところである。
著者
小西 哲之 時松 宏治
出版者
社団法人 プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.1192-1198, 2002 (Released:2005-12-08)
参考文献数
7

Energy model analysis estimates the significant contribution of fusion in the latter half of the century under the global environment constraints if it will be successfully developed and introduced into the market. The total possible economical impact of fusion is investigated from the aspect of energy cost savings, sales, and its effects on Gross Domestic Products. Considerable economical possibility will be found in the markets for fusion related devices, of currently developing countries, and for synthesized fuel. The value of fusion development could be evaluated from these possible economic impact in comparison with its necessary investment.
著者
天野 雅男 魚住 超
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

平成8-10年の三年間にわたり,漁船,イルカウオッチング船の協力で,タッパナガの回遊を知る目的で目撃情報を収集した.その結果,7,8月に三陸沖に現れ,9,10月には北海道南岸まで分布を広げるが,その後南下し,1から4月ごろまで三陸沖から姿を消すことが判明した.毎年,7月から9月に三陸沖,室蘭沖でタッパナガ群の直接観察調査を行った.行動調査では,タッパナガは日周的な行動パターンを示さず,一つの行動パターンが長時間連続する傾向が明らかとなった.個体識別用の写真は,現在解析中であるが,予備的な解析から,群れ間でオトナオスの割合に5-12%と変動があり,オトナオスが群れ間を移動している可能性が示唆された.また,子連れのメスの割合は15-21%であり,従来の報告より高いことが見いだされた.吸盤タグによる潜水行動の調査では,6時間にわたる潜水データが得られ,コビレゴンドウの潜水行動を初めて明らかとすることができた.装着個体は,日中は浅い潜水を行っていたが,日没後,100mを越える潜水を繰り返していた.多くの潜水は200秒以下に保たれており,また,深度と持続時間の関係が200秒付近を境に変化することから,代謝に関係するなんらかの制限がこのあたりに存在すると考えられる.潜水プロファイルは二つのパターンに分かれることが明らかになり,タッパナガが異なった潜水パターンを使い分けていることが示された.鳴音調査では,同じグループで同じ音(コール)が頻繁に聞かれる一方,群れ間では同じコールが聞かれないことから,個体または群れの識別機能を持った音声の存在が示唆された.
著者
中原 史生
出版者
常磐大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

ハクジラ類における鳴音の個体群変異を明らかにすること、個体群に特徴的な音響パラメーターの特性を把握することを目的として、北海道室蘭市沖、千葉県銚子沖、東京都小笠原諸島父島周辺海域、アクアワールド茨城県大洗水族館、沖縄美ら海水族館において鳴音調査を行った。野外では鯨類の遭遇頻度が低く、十分な調査を行うことはできなかったが、飼育個体から多くのデータを得ることができた。昨年度までに蓄積したデータにバンドウイルカ、ミナミハンドウイルカ、オキゴンドウ、コビレゴンドウ、マッコウクジラの鳴音データを加えて解析を行ったところ、バンドウイルカ、ミナミハンドウイルカ、コビレゴンドウのホイッスルにおいて個体群間で差異がみられた。判別分析の結果、各種とも70%以上の正答率で判別が可能であった。上記をふまえ、平成15年度に数値解析プログラムMATLABを用いて作成したプロトタイプ鳴音判別プログラムの再検討を行った。鳴音判別プログラムを用いた種判別はかなりの精度で行えるようになったが、個体群判別という点では、まだまだ十分な信頼性を得ることはできなかった。今後さらに判別精度を高めるために、継続して研究を行っていく必要がある。これまでの研究成果について、日本動物行動学会、海洋音響学会「声を利用した海洋生物の音響観測部会」において発表を行った。また、これらの成果はFisheries Science誌、Marine Mammal Science誌へ投稿準備中である。
著者
首藤 伸夫 今村 文彦 越村 俊一
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

大洋を伝播して沿岸部に来襲する遠地津波の予報精度向上を目指し,本研究グループは,(1)外洋から大陸棚に入射した遠地津波の多重反射と津波エネルギーの捕捉・減衰特性の解明,(2)リアルタイム観測情報を用いた津波波源域の推定,(3)津波伝播途上における波数分散効果の解明の3点について,研究を行った.(1)では,外洋から陸棚斜面に入射した津波の伝播・減衰特性を理論的に解析した.岸沖方向に有限な陸棚斜面を想定し,沖合からの任意の入射波形に対する斜面上の津波伝播を表す理論解を求め,さまざまな入射条件において得られた理論解を整理し,特に斜面上における津波の多重反射現象に着目し,津波の捕捉・増幅・減衰特性に関する知見を得た.(2)では,従来からの地震波解析から得られる震源過程の情報に加えて,観測される津波の波形から津波波源域の空間的な諸量をリアルタイムで推定する手法を開発した.地震波解析から即時的に得られる震源要素は,震央位置,震源深さ,マグニチュード,メカニズム解である.これらの情報に加え,津波の解析を行うためには断層面の空間的な広がりを知る必要があった.従来までは余震観測により断層面の空間スケールを決定していたが,これでは津波の量的な予報には間に合わない.断層の空間スケールが発生する津波の波形に反映されることに着目し,津波の観測波形から断層面の幅と長さをリアルタイムで推定することにより,最大でも20%以内の誤差で波源推定が可能であることを示した.(3)では,特に遠地津波の予測に重要な波数分散効果を,津波発生域から遡上までのすべての伝播過程において評価できる数値モデルを開発し,日本海中部地震津波の再現を試みた結果,従来では困難であったソリトン分裂による津波増幅を良好に再現できることが分かった.
著者
中村 俊久 黒橋 禎夫 長尾 眞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.47, pp.89-96, 1994-05-27
被引用文献数
2

自然言語処理において、形態素解析はべた書き文からあらゆる可能な単語を抽出しなければならないので、日本語単語の高速辞書検索は必要不可欠なことである。そこで本検索法では、まず登録する単語を部分文字列にわけ、それぞれわけられた文字列に単語の長さ情報をもたせて登録していくことを考えた。これにより辞書検索を部分文字列で行なうことができ、素早く単語の長さ情報を得て目的とする単語までスキップすることができるので、むだな辞書引き動作をなくすことができた。したがって、部分文字列を利用する簡単なシステムとなり、データ構造にはパトリシアを用いてまたデータの検索・挿入・削除にはハッシュ法を用いた高速な検索方法を提案する。なお、本検索法を用いた日本語形態素解析システム(MAN?)で、従来のシステム(MAN?m)との解析処理時間を比べると、かなり高速化できたことを確認した。It is important to realize high-speed retrieval method, because all possible words must be extracted from solid Japanese written sentences in Japanese morphological analysis. We intend to separate words to partial character string, then record them in the dictionary with character length information. It is possible to extract words quickly by using character length information, and remove useless retrieval action. For estimating this method, we build a simple retrieval system which makes use of partial character string information. In this system, we used Patricia as the data structure, and hashing for retrieval, registration, and deletion of words. JUMAN-NK, which uses our hi-speed retrieval system, can do Japanese morphological analysis 2.7 times as fast as the current system JUMAN-mcc.
著者
平尾 和洋
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究完成年である2003年度については、2002年度までに行った(1)チョデ・カンポン・ロモマゴンカンポンの80年代以降の改善経過、(2)中心的建築家グループの活動内容、(3)現在の住民属性・行動観察・近隣関係・住宅改善意識調査の結果を踏まえ、a)全体の研究の取りまとめ・論文の完結・そのための再調査、b)今後の改善運動への指針の明確化、c)未だ曖昧であるロモマゴンとその協力者(以下RMGと呼称)の活動が現在の居住環境改善に如何に影響を与えたかを明らかにするための再調査、以上3点の作業を行った。具体的には下記の内容が03年度研究実績である。1.論文:2000以降の調査結果をチョデカンポンの概要、カンポン改善経過と住民属性、教育・コミュニティー活動と近隣関係、居住空間と改善意向の4つの観点から取りまとめ、日本建築学会計画系論文集に査読・発表した。査読過程で指摘をうけた、ロモカンポン調査結果とチョデ川流域カンポン全体調査のデータ比較を新に行い、ロモカンポンの空間・経済・就労・学歴面での貧困さ、ならびに今なお残存するアーバンインボリュージョンの特性をもっていることを明らかにした。2.改善活動指針:住宅の改善プロセスを類型化し住民意織との対応から、調理室・寝室・リビングの順に今後改善すべきことが明らかとなった。また集落としてのゴミ収集・トイレ整備が必要であることがわかった。3.RMGの活動に対する住民評価の実態:学歴・職業・モラル・治安面での改善影響のあるなしに関する全50世帯に対する対面式アンケートを実施した。その結果、治安と学歴改普でRMGの影響を7割以上の世帯が指摘していることがわかった。またモラル・職業改善についても4割以上の世帯に影響のあることを明らかにした。
著者
薄田 千穂
出版者
熊本大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

○研究目的明治24年に創刊された第五高等学校龍南会発行の校友会雑誌『龍南会雑誌』『龍南』には、夏目漱石、厨川白村、村川堅固、下村湖人、犬養孝、大川周明、梅崎春生、木下順二など多数の著名人が寄稿しており、研究者の興味を引いてきた。近代の思想・文学研究、教育史研究などに資するため、目次のデータベース化、原本の収集などを行い、それをもとに龍南会雑誌等の五高史料公開を充実させる研究を行う。○研究方法龍南会雑誌の目次をもとに、原本及びコピーで内容を確認しながら掲載項目をデータベース化する。これにより発行回数や発行人、また編集委員や所属部の変遷など龍南会に関する基礎データをまとめる。○研究成果1、発刊ペース、頁数1891〜1898年10回・平均65P、1899〜1904年6〜7回・平均108P、1905〜1912年5回・平均102P、1913〜1931年4回・平均ll9P、1932〜1939年3回・平均107P、1940〜1942年2回・平均97P、1943〜年1回・平均94P2、発行人表記の変化および内容の変化について発行人の表示に変化がみられるのは、全国の高等学校社会科学研究会が強制解散させられ、思想の絞めつけが厳しくなっていた大正15年である。これまで雑誌部と称していたのが文芸部という名称となるが、昭和7年五高に同盟休校が起こった後は、再び雑誌部となっている。また、掲載記事の傾向は大正ころから、世相的なものは姿を潜め、文芸的なものが多くを占めるようになる。3、編集委員・所属部について毎年雑誌委員が選出され、編集にあたる。文芸の欄の執筆も担当し、雑誌委員は龍南会雑誌・龍南にとって重要な役割を担っていた。毎年度の最終号には雑誌委員の「擱筆の辞」が掲載されている。また、所属部も当初の5部から漸次増加し、報国団に改組される前年の昭和14年には18部となっている。
著者
平尾 和洋 高尾 克樹 瀬戸口 健 長谷川 豪
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.574, pp.105-112, 2003
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

This parper studies on an ideal method of residence improvement of kampung of Yogyakarta, Indonesia through general improvement progress of RMK(Romo Mangun Kampung). Major finding in this parper consist of following points. 1. RMK was a sqatter area until 70's. Resistance movement, improvement campaign of RMG developed into the right of residence recognition of inhabitants. 2. RMK is high density, the narrow residence, a low educational background district, but the young group is improved on both working and income side. Community activities are maintained as a place of argument among inhabitants, 3. Buildings of RMG design are narrow, and infrastructure of the area is unarranged. The enlargement of kitchen and living tend to be done by the front of a house in RMK. Voluntary improvement consciousness of inhabitants becomes high. 4. Satisfaction for residence environment and a domiciliation state are connected with encouragement of house improvement consciousness of inhabitants.
著者
松崎 学
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度および8年度ともに、7月末から8月はじめの1週間、何らかの問題を抱えた子どもちた(小学生)が、STEP(Systematic training for effective parenting)を用いてサポ-ティヴなかかわりをすることができるように訓練されたスタッフとともに過ごした。合宿経験を通して、自分が抱えている問題(ストレッサー)に対する認知的評価や対処行動がどのように変容するかを、特に内藤(1993a,1993b,1994,1997)によって考案されたPAC分析(Personal attitude construct)を用いて追跡検討した。その結果、研究成果報告書に示したように、母親がLD(学習障害)かもしれないという男児(小4)は、他の子どもと比較して他の子どもがわかることが自分にはわからないということに気づき、その悩みを抱えていた。その年のゴールデンウィーク以降不登校気味であったが、合宿後の2学期は、いったん登校するようになったものの、12月の風邪による欠席をもとに3学期は完全な不登校となった。しかし、その問題に正面からぶつかることとなり、結果的には一種の障害受容、ないしは、自己受容を果たし、等身大の自分の生き方を見いだした。そして、4月以降、元気に登校している。その他のケースでも、大半の子どもがストレスフルな状況におかれていて、しかし、子ども自身ではそれを乗り越えることができないほどのストレスであっても、合宿という中でのかかわりを一つの契機として子ども自身が若干の変化を見せ、それを感じた親や教師がその子に対するかかわり方に変化を見せ、本来のサポート関係をつくり出してくれると、子どもは自分の問題としてなんとか乗り越えていく姿を見せてくれると言えよう。そういうことの積み重ねが、ハ-ディネス形成につながっていくであろうと考察された。