著者
佐竹 正夫 大東 一郎 東田 啓作 柳瀬 明彦 斉藤 崇 松八重 一代
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は最終年度であるので、各自の研究成果の公開とこの課題に関心を持っている若手研究者との交流を目的として、以下のような活動を行った。1. 公開シンポジウム平成20年9月16日(東北大学)発表者東田啓作"The Determinants of International Trade in Recyclable Materials and the Effects on Welfare-Theory and Evidence-"斉藤崇「国際資源循環と国内廃棄物処理・リサイクル制度」中谷隼*「使用済ペットボトルの国内リサイクルと日中間リサイクルの比較分析」*東京大学工学研究科助教2. 研究会平成21年2月2日(明治大学)この課題に関心を有している若手研究者*を招いて、特に理論の面での研究会を開催した。*栗田郁真(京都大学大学院生)、赤石秀之(法政大学大学院生)、南部和音(明治大学非常勤講師)、菊地徹(神戸大学准教授)、山重芳子(成城大学准教授)3. 成果発表会平成21年3月13日(東北大学)新熊隆嘉関西大学教授を招いて、公開の研究会を中に入れて、最終の成果報告会を開いた。研究成果は5月に報告書を発刊する予定である。4. 研究会、シンポジウムなどへの参加この課題はまだ結論が出るような問題ではないので、引き続き他の研究機関が開催する研究会などに積極的に参加すると同時に自治体や企業への聴き取りを行った。参加したシンポジウムは次のようなものである。・廃棄物処理等科研費研究班主催「PETボトルのリサイクル効果に関する公開セミナー」・国立環境研究所研究会主催「適正な国際資源循環を構築するための枠組みについて」・廃棄物学会主催「資源確保競争下での国際資源循環のあり方を考える」
著者
平野 薫
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

嚥下運動(飲み込むこと)時の大脳皮質の脳血流変化について、嚥下障害の改善に有効とされる嚥下法施行時および嚥下誘発手技施行時の大脳皮質の脳血流変化について調査を行い、それぞれの脳活動部位の傾向が明らかとなった。また、側頭筋の受動的・能動的筋活動が近赤外線分光法データへ与える影響について検討し、いくつかの知見を得た。
著者
八田 達夫 海蔵寺 大成 竹澤 伸哉 唐渡 広志
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

八田:東京のオフィスビルの容積率緩和がもたらす発生交通量の増大が引き起こす東京主要道路の混雑率の増加を測定し、その金銭換算を行った。さらに、これを容積率緩和のもたらす便益の増大と比較した。海蔵寺:「土地市場におけるバブル崩壊のメカニズム」を研究した。次ぎのことがわかった。(i)バブルは、限られた地域の土地(丸の内周辺など)に投資資金が集中し、地価分布の歪みが拡大してゆく現象であること、(ii)少数地点の地価が極度に高騰してゆく結果、利用可能な投資資金の大半が限られた土地に吸収されてしまい、高値を維持できなくなることからバブル崩壊が起きること、(iii)バブルの崩壊は、土地価格分布のジニ係数の時間的変化をモニターすることで予測可能であることがわかった。竹澤:2005年から2006年は、スポーツ設備における不動産開発とJREITに関する予備的研究を行い、学会で発表した。また、不動産開発プロジェクト等のデータベース(Bloomberg,PACAP,Deloitte-Touche,等のデータベースを使用)の構築を完成させた。さらにJREITに関する分析が完了し、論文"Beneficiary Rights in the Japanese REIT Market"(Nobuya Takezawaと共著)日本ファイナンス学会の2007年度大会で発表した。また、同論文のアップデート版が、アジアファイナンス学会で2008年7月横浜にて発表することになった。さらに、ウエスタン経済学会から、論文"Default Analysis of Golf Courses in Japan"の研究発表の許可を得た。唐渡:1991年から2001年の期間を対象にしてGISのポリゴンデータより土地利用変遷をデータ化した。これを利用して、事務所および住宅家賃関数の推定を通じて都心部の土地利用の非効率性の費用を計測した。また、用途変更パターンを観察しWheatonらの再開発定理を検証した。マンション価格のrepeat sales dataを開発し、品質変化の調整をおこなった不動産価格指数を測定した。代表的な価格指数Case&Shiller型の問題点である、住宅の経年変化による指数推定値のバイアスを取り除くための計量経済学的手法を提案した。不動産価格のマイクロな構造を分析するためのヘドニック・アプローチの理論と応用についてとりまとめた。さらに空間計量経済分析により地価関数の空間相互依存性を検証するための検定手法を提案した。
著者
山田 明
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

身体障害者療護施設における介護ー被介護場面の観察調査をした結果以下のような諸点が研究成果として確認された。1)身体介護場面における精神的(心理的)側面の重要性介護を要する重度障害者に対して起床、摂食、排泄、入浴、その他の介護が行なわれているが、身体的介護としてだけで実行されている場合が少なからずある。食事介助場面を例にとると、食事をただ口に運ぶだけになっていて、楽しい食事の雰囲気づくりなどに留意されていない場合が過半であった。介護福祉士の養成教育でも事故防止などのための技術は学ぶが、被介護者との介護場面におけるあたたかい精神的関係づくりの方法などを学ばせていない。介護技術の最重要点のひとつがここにあるだけにないがしろにできない問題であろう。2)言語活動過程における指示・抑圧的特徴介護職員が介護場面で発する言葉は「早くしなさい」「がんばって食べて」などの指示的言語であったり、「〜しないで」などの禁止、抑止言語である場合が多い。その反対に「そうね,いたいんだよね」などの共感語は少ない。言葉を出す声のト-ンも冷たくて固いものが多く、やわらかくてあたたかいものが少ない。これは被介護者の心理的活力を減少させるものとなっている。3)非言語活動としての身体表情の非共感的特徴介護者の被介護者を見るまなざしも指示・抑圧的であったり非共感的である場合が多い。身体の表情、動作の表情も全体に固く、非受容的、非共感的である場合が多い。パ-ソナルスペ-スは大きくなりがちで、意識的なアダチメントやアイコンタクトも少ない。パ-ソナルな近親性に乏しい。これが被介護者の孤立感、無力感をつよめていることが考えられる。
著者
中村 伸枝 武田 淳子 伊庭 久江 林 有香 遠藤 巴子 日高 倫子 兼松 百合子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.67-73, 2003-03

本報告では,看護職が養護教諭と連携して,小学校3年生の1クラス31名(男子17名,女子14名)に対し,万歩計を用いた身体活動に焦点をあてた「学童とその親の生活習慣改善プログラム」を作成・実施した内容を報告する.プログラムでは,クラス全体に対するものと従来養護教諭により行われてきた個別指導を合わせて実施した.また,歩数が増えるほどキャラクターが成長する万歩計と,1年間通して使用できる「生活とけんこうを考えよう」と題したファイルを作成して各人に配布し,教材として利用した.1年間の実施の中で,万歩計の歩数が増えキャラクターが成長していくのを楽しむ学童は多く,運動に関することを生活目標にあげ,がんばったとした学童が多かった.1学期と3学期の肥満度は,男子では有意な増加(p<0.05)が認められたが,女子は有意差はなく学期毎にわずかに低下していた.1学期と3学期の間で肥満度が5%以上増加していた学童は,万歩計を用いた身体活動が有意に少ない傾向がみられた(p<0.05).また,自由研究で「万歩計による1日の運動量調べ・食事調べ」を行った中等度肥満の女子では,運動だけでなく食事についての理解も深められていた.従って,万歩計を用いて運動に焦点を当てたプログラムは,小学校3年生に対し効果が期待できると考えられた.看護職と養護教諭が連携して活動していくことで,学童とその親に対する活動を深めることができたと考えられる.
著者
中村 伸枝 林 有香 伊庭 久江 武田 淳子 石川 紀子 遠藤 巴子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,日常生活習慣上の問題の程度に関わらず、より健康な生活をするためのアプローチが可能である学校の場を利用して,養護教諭とともに学童と親を対象とした日常生活習慣改善のために楽しく、親子で、段階的に行うプログラムの試作と検討を行うことを目的としている。研究の対象校は,平成10年度に実施した学童とその親に対する日常生活習慣と健康状態に関する調査で協力が得られた岩手県内の2つの小学校であった。小学校3年生1クラスと小学校5年生1学年(3クラス)で実施の協力が得られ,平成12年度には前回の調査結果と,学校内の協力体制,身体計測や学級活動等のスケジュール,体育や理科,家庭科の学習内容などを考慮して「学童と親の日常生活習慣改善プログラム」を試作した。平成13年度にプログラムを実施し,平成14年度にプログラム前後で行った生活習慣の変化,プログラムの満足度や家族の参加と反応,プログラムで学童が学んだことを視点に評価を行った。その結果,食習慣についてのプログラムを中心に実施した小学校5年生では,「好き嫌い」「野菜の摂取」「夕食時間」「排便習慣」と,「近くに出かけるときには歩く」項目でプログラム前後に有意な改善がみられた。また,学童はブレーン・ストーミングやグループワークを取り入れた学習に積極的に参加していた。運動習慣についてのプログラムを中心に行った小学校3年生では万歩計を用いた学習に学童は強い興味を示し,生活目標や,がんばったこととして運動に関することを最も多くあげていた。また,いずれの学年も,1年間通して使用した「健康ファイル」を家庭に持ち帰り,家族と共に健康目標を立てたり,学校での学びを家族にも伝えていた。健康ファイルは,肥満学童の保護者面談の資料としても用いることが出来た。看護職者と養護教諭の連携による学童と親への健康教育の有効性が示唆された。
著者
佐藤 悦子 遠藤 みどり
出版者
山梨県立看護大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2000

平成14年度研究目標:平成12・13年の研究から「在宅療養者および訪問看護師の在宅でケアされること、ケアすることの体験には『ずれ』が生じている」ことが明らかになった。さらに対象を広げ、その信頼性を高める。研究方法:1)研究対象:本研究の趣旨を了解し協力が得られた在宅療養者9名訪問看護師8名2)データ収集方法:半構成的面接法を用いインタビューを1名に対し2回行なった。在宅療養者には「訪問看護を受けていること」を、訪問看護師には「看護を提供していること」をそれぞれ自由に語ってもらった。承諾を得てメモやテープレコーダーに記録し、それをデータとした。3)データ分析方法:データから体験している世界をできる限り忠実に読み取り、研究者が読み取ったものを再度対象者に返し、それを新たなデータに加え分析することで客観性を高めた。研究結果および考察:在宅療養者全員が、「来てくれることで安心」という体験をし、訪問看護師も「訪問が安心感をもたらしている」という体験をしていた。また、ストーマ造設療養者は「細かなところまで教えてもらっている」という体験や疼痛のある療養者は「痛くないように援助してもらっている」という体験をしていた。訪問看護師は療養者が語った看護ケアを提供している体験に加え、変調を予測した予防的な看護ケアやよりよい生活を思考し提供している看護の具体的なケアについての体験もあったが、在宅療養者から語られることはなく、そこに「体験のずれ」があった。目に見える医療処置や疼痛への専門的看護技術の提供は、両者の体験として語られ、両者の明確な自已決定の一致が存在する。しかし、「体験のずれ」は両者の自己決定のずれを表し、それは、看護職者が提供している自己の看護ケアの意味を在宅療養者に語ることの不足に起因していると考える。
著者
川崎 登志喜
出版者
玉川大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1. 研究の概要本研究は先行研究を基に、イベント効果の中でもスポーツイベントに深く関わる「ダイレクト効果」「コミュニケーション効果」「直接的波及効果」「間接的波及効果」「パブリシティ効果」の5つの効果に、「運動生活に及ぼす影響」「市民生活に及ぼす影響」「地域住民によるオリンピックの評価」の3項目を加えた計8項目の大項目から導き出された質問項目を設定し、長野オリンピック開催1ヶ月前と閉幕1ヶ月後、閉幕1年後の計3回にわたって調査を実施し、長野オリンピックが地域住民に及ぼす効果を測定しようと試みた。2. 主な結果の概要(1) ダイレクト効果:すべての項目において、開催前に比べて認知度が増していることが明らかになった(P<0.001)。しかしながら、「はあてぃ長野推進運動」「オリンピックアンバサダー」「スノーレッツクラブ」の3項目は、多くの市民に認知されなかった。(2) 直接的波及効果:「スポーツ施設が充実した」は開催前(4.08)から閉幕後(3.94)と平均値が減少し、期待通りではなかったという市民の評価ではないかと思われる(P<0.01)。また、オリンピックの理念である「国際平和」「国際交流」についてはそれぞれ平均値が上昇し、オリンピック(大会理念)効果が現れたと思われる。(3) 運動生活に及ぼす効果:スポーツイベントがその他のイベントと最も異なる効果を期待したい運動生活に及ぼす効果については、最も効果があったのは「スポーツへの関心」であった。(4) 市民意識に及ぼす効果:「開催を誇りに思う」「街を他人に自慢できる」(P<0.001)など、長野市民としてのアイデンティティーの向上がみられた。
著者
野呂 影勇 落合 勲 井上 哲理
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究は、コンピュータを中心としたマシンへの人間の感情の働きかけ、マシンからのメッセージに対する人間の受けとめ方に関する研究であり、その調査では対人行動の分析、特に交流分析を援用して深層面接を行った。そして面接結果をもとにコンピュータ操作場面の分析を行った。分析から以下の知見を得た。1.コンピュータに対するさまざまな態度基本的には大人(A)と大人(A)の理性的な交流、自分をコンピュータに順応させていく(AC)ような交流をとっている。しかし、エラーや不測の事態が起こった場面では攻撃的な傾向、動揺して萎縮する傾向(AC)、成果がでた時には自然な感情表現(FC)ややさしい言葉をかける(NP)などのさまざま態度をとっていることがわかった。2.交差交流(くいちがい)が起こっている順応したこども(AC)からコンピュータを罵倒するなどの態度をとる、あるいは養育の親(NP)から「がんばって」といった働きかけをするなどの働きかけを行っても、コンピュータからのメッセージが理性的な大人(A)の立場から発せられているため交流にくいちがいがおこっていた。3.熟練者のマシンとのやりとりの特徴コンピュータの熟練者達は、マシンとの表面のメッセージ上の理性的な大人(A)と大人(A)のやりとりのみならず、子供(C)や親(P)の状態にメッセージを自分なりに置き換えて使用していることが分かった。これらの結果から、操作者の情緒や感性を誘発し、創造的な作業を可能にするためには、人間の自由な子供(FC)の引き出す養育の親(NP)や自由な子供(FC)部分をコンピュータにもたせることが必要であると思われる。
著者
木下 謙治 山下 祐介 吉良 伸一 坂本 喜久雄 米澤 和彦 篠原 隆弘 岩元 泉
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1. 九州の農業は、国内での農業生産のシェアを伸ばし、生産額も全国平均をかなり上回る数値をあげてきた。しかし、農外所得が低いために、農家所得は都府県平均の8割程度にとどまっている。2. 九州の各地で、佐賀県の代表的な水田地帯のようなところまで含めて、有力な専業農家は稲作への依存度を低めている。土地利用型農業の衰退化といえるが、それとともに、水田を如何に維持してゆくかが大きな問題となってきている。集落営農、機械共同利用組合、農作業センターなど様々な共同が必要となってきている。3. 南九州を中心とする畑作地帯では、茶、疏采園芸、花卉、畜産など多様な生産活動が展開しており、水田地帯よりも見通しは明るい。畑作地帯が有望となってきた背景には畑地潅漑が進展してきたことが大きい。いっそうの潅漑施設の整備が望まれる。゛4. 中山間地の農林業については、大分県上津江村でみたように、複雑な山間立地にみあった複合経営が必須である。そして、それを補うものとして、地場産業起こしが必要である。いわゆる、官民一体の地域づくりの運動の中に農林業を位置づけねばならない。5. 九州の農業を担っている中核的農家は、直系的家族である。家的な構成は、やはり、農家では今後とも維持されてゆくであろう。家=家父長制と考える必要はない。21世紀においても、農業の中心的な担い手は農家であると思われる。6. グローバルにみれば、九州農業は、日本農業と同じく零細な小農経営にとどまっている。むらに関わる共同は、なお、必要である。しかし、自治組織と生産組織との乖離は進んでいる。新しい農村コミュニティの形成も視野にいれなければならない。