著者
国分 紀秀 中澤 知洋 渡辺 伸
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ガンマ線を用いた天体観測における観測限界感度を大幅に引き上げ、新世代のラインガンマ線天文学を開拓するため、ガンマ線を集光することが可能なガンマ線レンズの開発と、集光したガンマ線を高感度で観測する検出器の開発を行った。ガンマ線レンズの試作機を用いた基礎特性の測定と、人工衛星搭載用焦点面検出器のプロトタイプの開発を行い、性能実証を行うことが出来た。
著者
日本農薬株式会社開発部登録センター
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.655-657, 1986-11-20

各種毒性試験を実施し, ブプロフェジンの安全性評価を行なった.本剤のラット, マウスにおける急性毒性は弱く, 普通物に相当した.眼および皮膚に対する一次刺激性もきわめて軽度であった.亜急性および慢性毒性試験においては, 高薬量群で体重増加抑制, 中・高薬量群で肝の重量あるいは体重比の増加, 肝細胞肥大が認められた.これらの変化は化合物を代謝分解するための肝機能亢進像と解釈される.また本剤は変異原性を有さず, ラット慢性毒性試験においても本剤によると思われる腫瘍発生は認められなかった.さらに, 催奇形性も認められず, 胎仔や次世代にも悪影響を及ぼすことはないと考えられる.本剤は, 昭和58年12月に, イネ, ムギ類, キュウリ, ナス, トマト, カンキツ, チャの対象害虫に対して登録を取得し, 登録保留基準値は, コメ; 0.3 ppm, ムギ・雑穀; 0.3 ppm, 果実(ナツミカンの外果皮を除く); 0.3 ppm, ナツミカンの外果皮; 2 ppm, ヤサイ; 1 ppm, チャ; 5 ppmと設定された.ブプロフェジンは定められた使用基準を遵守すれば, 安全性が高い薬剤であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.
著者
松澤 孝男 河原 永明 長本 良夫 山本 茂樹 森 信二 添田 孝幸
出版者
茨城工業高等専門学校
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1995

我々の勤務する茨城工業高等専門学校は、日本原子力研究所東海研究所の研究用原子炉群や、日本原子力発電(株)の発電用原子炉、原研大洗研究所の材料試験炉、高温ガス炉、動燃大洗工学センサーの高速増殖試験炉「常陽」、原研那珂研究所の核融合試験炉JT-60に囲まれたひたちなか市に存在する。本校の学生の就職先として、“地場産業"であるこれら原子力関連企業や研究所を選ぶ者も多い。ところが、本校の学生の放射性同位元素や放射能に関する興味・関心は低い。学生及び教職員に環境中の自然放射能の存在と量を認識させることを試みた。CR-39というプラスチック板を固体飛跡検出器とするラドンガスモニター(ラドトラック)を学内の様々な居住空間に吊しラドン農業を測定した。算術平均29.7Bq/m^3、幾何平均21.3Bq/m^3であった。ラドン農業の分布は対数正規分布であった。次に、茨城県全域に点在する本校の学生の自宅178軒の学生の寝室のラドン濃度の測定を同じラドンガスモニターでおこなった。ラドン濃度の分布は学校と同じく対数正規分布であったが、幾何平均10Bq/m^3、幾何標準偏差2で、放医研の全国データや本校の居住空間のデーターのラドン濃度の1/2ないし1/3であった。このようにして自然放射線の存在を実感(認識)させた後、更に学生が自ら進んで放射線や放射能・原子力のことを調べることができるよう助言を与えた。(A)政府機関が情報公開やPAのため無料で公開している次のパソコン接続によるデーターベースへの接続方法の説明と検索結果を示した。[1]JOIS(NUCLEN、原子力情報)[2]アトムネット、(財)(NUDEC)、[3]原子力百科事典ATOMICA(B)学生に、放射線測定機器の無料貸出しの紹介を行なった。シンチレーション式サーベイメーター(はかるくん)、放射線計測協会(C)各種資料館の紹介、[1]茨城原子力センター展示館、[2]動燃展示館(アトムワールド)、[3]日本原電東海発電所展示館(東海テラパーク)、[4]見学バス(D)外国旅行する学生・教職員へ線量計による自然放射能の計測依頼(タイ、中国、南極)(E)RI教育用のビデオテープの購入・視聴(「アイソトープとは」日本アイソトープ協会)(F)新聞・テレビ報道に現れた放射線・原子力関連の事項の紹介と説明(FBR,もんじゅ)
著者
気賀沢 保規 高橋 継男 石見 清裕 神鷹 徳治 櫻井 智美 高瀬 奈津子
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は6世紀から9世紀頃の中国南北朝後期隋唐期における石に刻まれた文字資料の「集成・データベース構築」とそれによる「地域社会文化」の研究を目的とした。今日、当該時代の墓碑や墓誌など石刻資料が第一次資料として注目される、しかし資料の系統的、網羅的な整理・把握とその情報の共有化の態勢が不十分である、その反省に立ち、資料の収集・整理・データベース化とその考察に努めた。以下のような具体的成果をあげることができた。(1)およそ7千点にのぼる唐代墓誌の所在を整理して『新版唐代墓誌所在総合目録』を刊行した。このことで内外の学界関係者から評価され、この時期の墓誌研究を前進させるために貢献できた。(2)唐代に先立つ時期の墓誌を初めて全面的に集約した「隋代墓誌所在総合目録」(483点)・「北朝墓誌所在総合目録」(779点)を刊行した。あわせて北朝から階代の関中(陝西省)の民族問題を石刻資料から論じた馬長寿著『碑銘所見前秦至隋初的関中部族』(全111頁)を、関連石刻も補って翻訳し、石刻による「地域社会」研究を進めた。(3)石刻関係資料の系統的入手と整理発信を長期的に可能にするため、東アジア石刻文物研究所(於明治大)を設署し、機関誌『東アジア石刻研究』創刊号を刊行した。並行して貴重石刻拓本の収集、新出・新報告資料の把握に努め、それら収集資料の一部は毎年、「解説」を付して展示公開とシンポの準備をした(次年度以降毎年開催)。(4)石刻資料研究では現地調査が必要で、三度にわたり院生・若手研究者を帯同して山東・河南・河北一帯の遺跡と文物所蔵機関を調査し、調査結果と情報を研究会で報告し、2本の報告論文にまとめた。(5)石刻をめぐる研究分担者の成果は「中国石刻史料をめぐる諸問題」と「石刻史料から探る北朝隋唐仏教の世界」の2セミナーで報告し、それを『中国石刻資料とその社会』論集に集約して、「地域文化」研究に繋げた。
著者
小島 智恵子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.研究内容本研究は、原子力の民事利用開発の中でも高速増殖炉(以下FBR)を事例とし、日本とフランスのFBR開発を歴史的に分析することを目的としている。本研究では一次資料の収集に最も重点をおいた。特にフランスのFBR開発に関する一次資料に基づいた歴史研究はこれまで日本では殆ど行なわれていないので、同一次資料をフランス原子力庁アーカイブス,フランス国立図書館,パリ国立高等鉱業学校図書館等で可能な限り収集した。本研究ではさらにオーラルヒストリーの手法を導入し、FBR研究に貢献したフランス人研究者へのインタビューを実施した。日本よりも早くFBR開発が進められたフランスでは、その中心的役割を果たした研究者の方々がご高齢になられていることもあり、最優先でインタビューを行った。以上の資料をもとにFBR開発の歴史をまとめその中で日本とフランスのFBR開発の歴史的特徴、日仏研究協力の歴史的変遷を総括した。2.研究の意義・重要性これまでの原子力開発史に関する研究は主にアメリカの研究を対象としていたが、本研究では日本とフランスのFBR開発を中心に歴史分析をするという新しい視点を導入したことに意義がある。少なくとも日本では本研究が日仏FBR開発の通史としては初めての試みである。この研究の中で、初期のフランスのFBR開発においては米仏協力が重要な役割を果たしていたこと、FBR開発では国際協力が大きく貢献していたこと、初期の日本のFBR開発においてはフランスが指導的立場であったこと等を明らかにした。フランス人研究者へのインタビューの回答では、フランスではタブー視されている内容も含まれており、またフランス人的観点による日本のFBR開発に対する建設的な批判も得た。本研究のテーマは、日本人の研究者だからこそ扱うことができたという点においても重要であると考える。
著者
中川 丈久
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

最初の2年間(平成15年度及び16年度)の研究調査の成果は,次のとおりである。第1に,行政法の伝統的な教育が,主として行政官(すなわち国の行政職員)を念頭に,国法体系及びその執行を教授するものであったこと,またそれを克服しようとして提唱された新しい行政法教育が,主として地方行政職員の視点にたつものであったことを踏まえて,法科大学院においては,こうした行政機関の視線ではなく,法曹の視線から行政法教育を行う必要性があるという観点から従来の行政法教育を組み替えるための基礎的研究を行った。第2に,行政訴訟と民事訴訟の通約可能性,憲法論と行政法理論との共通言語化作業、民刑事実体法と行政法(個別法の仕組み)の間の共通言語化作業を行って異なる領域をシームレスに考察するための理論的環境整備である。最終年である平成17年度においては,これらの理論的成果を法科大学院における教育に応用するべく,教材として成果を結実させた。すなわち,法科大学院・における公法系の「実務と理論の融合」のための教育教材案を作成し,授業で試用した。その教材は,政上の紛争が実際に生起し,解決されるプロセスに即して,教材を組み立てて授業を行うというものである。この教材においては,とりわけ,紛争の発端における原告側及び被告側の弁護士の役割及び裁判所の役割という視点を明確に分けて,それぞれの立場において,憲法や民事訴訟とあわせて,行政法・行政訴訟の理論がどのように実務家にとって有効であるのかを示したものである。同時に,実務への導入教育ともなっている。平成18年度においては,この試用経験をもとに,さらに教材案を改定した。
著者
末岡 淳男 井上 卓見 松崎 健一郎 高山 佳久 劉 孝宏
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

高速増殖炉ヘリカル伝熱管深傷プローブの振動によるセンサノイズの原因とその対策を,モックアップによる実験と数値シュミレーションによって明らかにした.得られた結果は以下のようにまとめられる.(1)ECT(Eddy current testing)プローブを静止させて蒸発管内で圧縮空気だけを流しても,プローブには振動は発生しないが,プローブの圧送時には振動を生じる,すなわち,プローブの振動の原因は流体力ではなく,蒸発管内壁とプローブにあるフロートとの間の摩擦と考えられる.(2)ECTプローブの挿入過程では,挿入距離の増大に伴ってプローブの振動が激しくなる.ヘリカル管の中間部を過ぎると,約20HZの卓越した振動数で振動し,それに伴ってRF(Remote field)ノイズも大きくなる.そのとき,ECTプローブは軸および径方向に連成振動をしており,RFセンサは尺取り虫的な動きをする.一方,引戻過程では,卓越した振動数を持つ振動は発生せず,振動レベル,RFノイズとも挿入過程よりも低い.(3)挿入時には,ECTプローブはヘリカル伝熱管の内径側に張り付き,引戻時には,逆に外径側に張り付くように圧送される.したがって,挿入時および引戻時で,ECTプローブにはそれぞれ張力および圧縮力が作用している.(4)ECTプローブの搬送速度を高くするほど,圧送用の空気量を多くするほど,ヘリカル直径を小さくするほど,ECTプローブの軸および径方向振動もRFノイズも大きくなる.(5)ECTプローブの径方向の振動は,先端にいくほど大きい.また,RFノイズは励磁センサと検出センサの径方向相対振動の大きさと相関があるが,軸方向振動とは相関がない.(6)RFノイズを最小化するためには,6m以上で,曲げ剛性が比較的低い先導プローブを持つECTプローブを構成することである.(7)伝達影響係数法を適用して,大規模なプローブ列を対象とした流体による搬送力を含む摩擦振動を解析した結果,モックアップの実験結果とほぼ同様な数値計算結果を得ることができた.
著者
小郷 直言 米川 覚
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-63, 1992

われわれはかねてより,「もんじゅ」と呼ぶ協働支援システムを構築し,相互学習法による学習・授業の支援に利用してきた。しかし,コンピュータシステムとしてTSSをベースとしていた関係上,リアルタイム性には限界があった。本稿では,もんじゅのLAN上への移植と,リアルタイム性を十分に発揮したグループライティングについて述べる。リアルタイム・グループライティングでは複数の利用者が共有ウィンドウにいつでも,自由に書き込め,しかも,十分な応答性能とWYSWIS環境を提供することができた。
著者
斉藤 和雄 Lecong Thanh 武田 喬男
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.65-90, 1994 (Released:2006-10-20)
参考文献数
25
被引用文献数
7 7

紀伊半島、尾鷲付近での降雨の集中に対する地形効果をみるため、3次元山岳地形を越える流れの場を非静水圧ドライモデルを用いて調べ、観測された降雨量分布との比較を行った。 北東~南西方向に長軸を持つ楕円で単純化した地形に対する数値実験では、南東の一般風が弱い場合、山岳風上側下層の上昇流域は、斜面上と海上に2つのピークが見られた。海上のピークは、ブロッキングによる2次的な上昇流で、山岳前面最下層の逆風を伴っていた。それぞれのピークは一般風が小さいほど風上側に生ずるが、一般風が強く (あるいは安定度が小さく) ブロッキングが生じない場合は、海上の2次的な上昇流は見られない。紀伊半島地形の特徴的な湾曲は、南東風時のブロッキングの効果を高める働きを持つ。 1985年の紀伊半島での降水事例を解析し、尾鷲では潮岬に比べ雨量が多い事と大雨は東南東~南の下層風向時に生じている事を確かめた。紀伊半島の現実地形を用いた数値実験では、東~南のいずれの風向時にも尾鷲付近と紀伊半島南部に下層の上昇流域が見られ、榊原・武田 (1973) で示された紀伊半島の年平均降水量分布の極大地点と良い一致が見られた。ブロッキングにともなう海上の2次的な上昇流は南西~西の風向時には生じなかった。 大雨時に観測された一般場を用いた数値実験でも同様な傾向が見られ、シミュレーションで得られた下層の上昇流域は観測された降水分布に概ね良く対応していた。また、いくつかのケースでは、尾鷲の北東で観測された地上の降水域に対応する場所に山岳波による風下側中層の上昇流域がシミュレートされた。 実験結果は、実際の降雨分布と一般風の大きさの関係-弱風時の海岸域と強風時の内陸域-に対応している。また、弱風時にしばしば見られる紀伊半島風上側海上での対流性降雨バンドの発達に、紀伊半島の地形のブロッキングによる下層の水平収束が影響している事を示唆している。
著者
吉岡 斉
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、次の3つである。(1)冷戦終結後の世界の核エネルギー研究におけるリストラクチャリングの動向を概観すること。(2)リストラクチャリングにともなう研究資源(研究者、研究施設、研究資金など)のコンヴァージョンを促進するための主要国の政策について概観すること。(3)日本におけるリストラクチャリングおよびコンヴァージョン政策の在り方について、批判的分析を行うこと。コンヴァージョン政策が重要である理由は、2つある。第1は、リストラクチャリングの副作用を抑えること。第2は、コンヴァージョンの受け皿を用意することによって利害関係者の抵抗を弱めること。なお本研究では主として、民事利用の分析に力点を置いた。それは第1に、軍事利用分野に関しては世界的に調査が進んでいるからである。また第2に、日本の場合は軍事利用事業自体が存在しないからである。研究成果の相当部分はすでに出版されており、そのリストは報告書にある。代表的な3点のみを裏面に記す。主な研究の知見は次の3点である。(1)欧米諸国では周到なコンヴァージョン政策が不在であるにもかかわらず、リストラクチャリングは比較的順調に進んでいる。(2)それとは対照的に日本では、従来からの基本政策の見直しがいまだ実現しておらず、リストラクチャリングは限定的なものにとどまっている。その主要な原因は、日本の政策的意思決定機構の閉鎖性にある。そこでは当該政策の所轄官庁の利害が、過剰に保護されるのである。(3)リストラクチャリングを進めるためには、政策的意思決定機構の抜本的な改革が絶対的に不可欠である。それと同時に、適切で効果的なコンヴァージョン政策の立案が重要である。
著者
宮崎 慶次 浜田 勝彦 井上 正二 堀池 寛 折田 潤一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、高い安全性を確保しつつ高速増殖炉の経済性の向上を図るため、中間熱交換機と蒸気発生器を一体化して簡素化する独自案AIHX(Advanced Intermediate Heat eXchanger)の展開研究である。本科研により昨年度に制作した長尺加熱装置を試験部本体として熱媒体ガリウムを追加し、本年度に購入した液体金属ガリウム循環ポンプおよび液体金属循環装置用架台を付加して昨年度の自然循環実験に引き続いて、中間熱媒体ガリウムの強制循環(Pe【less than or equal】500)熱伝達実験を行った。(1)新型中間熱交換機(AIHX)内の液体金属Gaの強制循環熱伝達特性加熱ヒーター群側では熱伝達特性はSubbotinの式(Nu=5+0.025Pe0.8)と比較して、中流速領域(100【less than or equal】Pe【less than or equal】500)では高い熱伝達を示し、Nu=5+0.05Pe0.8となる。ヘリカル状冷却管側ではHoeの式(Nu=0.43+0.228Pe0.67)に比べて高く、中Pe領域で6.34+0.256Pe0.67となった。これらの結果については、尚、精査し確認を要するが、良好な熱伝達特性を示す結果である。(2)温度揺らぎの測定と局所的な流体移動・伝達メカニズムの解析経路が単純形状の加熱側では、相互相関による局所流速は電磁流量計流速と一致する。温度揺らぎのRMS値は流速増加とともに一旦増加してから減少する。これは発生メカニズムが加熱面近傍の温度勾配に流れの乱れが加わって発生することを示している。(3)高速増殖炉実用化への適応性の検討強制循環させれば優れた熱伝達特性が得られるが、実機のような長尺では自然循環でも「もんじゅ」同等以上の特性が期待される。実験結果を精査して、詳細検討を行い、結果は学会誌に発表の予定。
著者
栗山 佳恵 山本 勝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.737-746, 2008-09-30
参考文献数
15

1988年から2006年の寒候期(11月から3月)において,那覇では「吹き出し開始初期から厚い北風層が卓越し,それが維持されるもの(N型)」と「吹き出し開始から下層の北風層が徐々に発達するもの(S型)」の2つの寒気吹き出し構造が見られた.そこで,その経年変化や特徴的な気圧配置を明らかにし,海面水温(SST)や冬季モンスーンの経年変化と那覇周辺域の寒気吹き出し構造の関係を調べた.寒候期平均のNINO3海域SST平年偏差は1000hPa南北風と相関が高く,00/01年までの降水量とも相関が高い.また,那覇周辺海域のSSTは海面気圧や1000hPa比湿と相関が高く,北極振動指数は900hPaの相対湿度と相関が高い.さらに本研究では,総観規模の気象解析もおこなった.寒気吹き出し初期の500hPaの太平洋高気圧の張り出しがS型とN型の構造を決定づける.また,エルニーニョと関連して東シナ海上空500hPaの南風が強い冬季では,S型が卓越する.
著者
鷹取 昭 後藤 範章 中泉 啓
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

科研費の交付を受けての研究の最終年度にあたる本年度は、(1)埼玉県戸田・与野・八潮の3市を対象とする大量調査とケース・インタビュー、(2)東京・福岡・札幌その他の大都市圏での資料の収集・ヒアリング・踏査を主とする現地調査、の補充調査を実施しながら、これまで進めてきた調査研究の成果のとりまとめ作業にあたった。(1)は、メトロポリタニゼーション(巨大都市化)が個々の地域社会に与える社会的効果を明らかにすることを、(2)は、巨大都市化の歴史的推移やメカニズムを、比較大都市園研究と交差させながら明らかにすることを、それぞれ目的としていたが、これらの調査研究によって実証的に分析・解明し得た主要な点は、次の通りである。I)巨大都市化は、とりわけ交通・通信ネットワークの整備・拡充と密接な関連性をもって進展してきた、ということ。II)交通・通信は、各都市・地域相互の時間・費用上の距離を短縮させることによって、その地理的・空間的距離を実質的に短縮させるばかりか、諸都市・地域を分かちがたく結びつけて、その社会的・文化的及び心理的な隔たりをうめていく効果をも有する、ということ。III)交通・通信ネットワークの結節点(ノード)となる都市は、社会的交流の結節点としての機能を高めて、一国内ばかりが、全世界の諸都市・地域との結びつきをも強めている、ということ。IV)その結果、交通・通信を介しての世界的なネットワーキングが進み、分化と統合を軸とした地球一国一地域(リージョン)の各サイズの垂直的分業体系の巨大で多段的な重層構造と機能連関が、現下の巨大都市化の推進力として強力に作用するようになっている、ということ。
著者
松本 正樹 松本 良樹 沖増 英治 雨村 明倫
出版者
福山大学
雑誌
福山大学附属内海生物資源研究所報告 (ISSN:09178147)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-10, 1991-10

マダイ,ヒラメ,アユ仔稚魚の餌料としてのワムシに光合成細菌の生菌,加熱死菌,圧力破壊菌をそれぞれ添加して飼育実験を行った結果,マダイでは光合成細菌の生菌,加熱死菌なちびに圧力破壊菌のすべてに成長促進,生残率向上の効果が認められた。アユについては加熱死菌添加の場合に成長促進,生残率向上の効果が認められたが,他の試験区は無添加区と変わらなかった。ヒラメでは飼育30日間において成長促進効果は認めちれなかったが,生菌,加熱死菌添加に生残率向上効果が認められた。
著者
鈴木 雅一 執印 康裕 堀田 紀文 田中 延亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1. 幼令スギ・ヒノキ林を対象に、斜面上部下部の蒸発散量、土壌水分、土壌呼吸量を計測するとともに、流域内の微気象の空間分布計測を行ない、斜面がもたらす不均一さを明らかにするための計測を進めた。1) 植栽された樹木の成長が斜面部位で異なることについて、谷を横断する側線約50mについて、樹高、幹直径、葉窒素含有量、土壌水分、地下水位、土壌溶液水質、土壌窒素量などが調べた。5年生のスギの成長が谷で旺盛であり、尾根部が劣る理由は、尾根部における水ストレスがもたらすものではなく、湿潤な谷部の土壌有機物の分解による窒素の供給が谷部の活発な成長に関わっているという結果をえた。2)レーザプロファイラのデータを用いて植栽された樹木位置と樹高を小流域単位で評価する手法について検討を進め、小流域の全域について樹高の分布が図化された。2. タイ国チェンマイ近郊のドイプイ山に位置するKog-Ma試験地(樹高約30mの常緑林)にある50mタワーにおいて取得された微気象データを解析し、斜面風の形成と樹冠上から林内の気温形成過程、風速鉛直分布の形成過程について、解析した。1)樹冠上から林内の気温形成過程に与える夜間斜面下降風の影響は、夜間に生ずる斜面下降風発生の発生、非発生は大気安定度の指標であるバルクリチャードソン数に関係している。夜間の放射冷却が弱いとき、気温鉛直分布における最低気温は林床近くで生ずる。放射冷却が強くなると、樹冠上部で最低気温が生ずる。そして、更に放射冷却が強くなると樹冠上を吹く斜面下降風が強くなり、再び林床付近で最低気温が生ずるという、3段階の気温鉛直分布形成機構があることが、明らかにされた。2)昼間の風速鉛直分布の形成過程は、夜間に比べて解析が困難であった昼間の風速鉛直分布について、大気安定度と鉛直分布の関係を解析した。
著者
植田 宏昭
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成17年度では、熱帯アジアモンスーン地域での気候変動について、日変化・季節変化・年々変動さらには地球温暖化を含む長期変動スケールの研究を行った。使用したデータは客観解析データ(GAME再解析,NCEP,ERA40)、衛星リモートセンシングデータ(TRMM,NOAA)などで、大気海洋結合モデル、海洋1.5層モデルなどの数値モデルと組み合わせて包括的な研究を実施した。個別の成果は下記の通りである:1)IPCC-AR4にむけた複数の地球温暖化数値実験(排出シナリオはSRESA1-B)の結果に基づき、モンスーン降水量の将来変化とその要因について、モンスーン強度、熱帯循環、水蒸気収支などの観点から調査した。解析には8つのモデルを用いた。地球温暖化時には日本を含むモンスーン域の降水量は広域で増える傾向にある。しかしながらモンスーン西風気流は弱くなっており、パラドックスが生じている。この理由として、モンスーン域への水蒸気輸送の増加の寄与が明らかとなった。2)ERA40、NCEP/NCAR再解析データを用いて、インドシナ半島における非断熱加熱の時空間構造とトレンドを調べた。インドシナ半島ではモンスーン期間の始まりと終わりの年2回、積雲対流が多雨をもたらす。雨は春よりも秋に強まる傾向があるが、いづれも風が比較的弱く東側からの水蒸気フラックスの流入がある時期であった。対照的に風が強い7〜8月には地面からの蒸発が顕著であった。どちらのデータを用いても気候学的な特徴は同様に見られたが、トレンドに関しては一貫性のある結果は得られていない。この原因のひとつにはモデルに含まれるバイアスが考えられる。3)インド洋の海面水温はENSOの影響を強く受け、全域で昇温することが知られている。一方、ダイポールモードと呼ばれる東西非対称の海面水温(SST)偏差の発生が指摘されるようになり、ENSOとは独立した存在だと考えられていた。我々は大気海洋結合モデル(CGCM)にEl Ninoの海洋温度を季節を変えて挿入するという実験を行い、夏にEl Ninoが現れた場合は東西非対称海面水温偏差を、一方秋に現れた場合は全域昇温することを証明した。このことからこれらの海面水温偏差の発生にはモンスーン循環とENSOの影響の季節的な結合過程が主因として考えられる。