著者
折田 明子 吉川 厚 山本 秀男
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2010-EIP-50, no.30, pp.1-7, 2010-11-18

本稿は,Web サイト炎上事件を題材に,筆者らが教育目的で作成したマンガ教材を用いたプライバシ教育の実施と評価について報告する.マンガ教材は,文章と絵の組み合わせによる読みやすさから,初学者向けの教材として用いられてきたが,本稿で報告する事例は,描画に読み取られるべき教育主題を埋め込み,気づきを以て問題を発見し,問いと組み合わせたクラス設計によって意志決定のシミュレーションの実現を目的としている.教材を用いたクラス運営では,教材・問い・ファシリテーションの組み合わせにより,背景の異なる社会人学生および大学院生から多様な観点を引き出すことが出来た.
著者
松下 翔太 東 剛秀 田中 貴章 杉田 裕次郎 白沢 竜馬 亀澤 健太 山之上 卓 下園 幸一 小田 謙太郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2011-IOT-12, no.9, pp.1-6, 2011-02-21

ミニブログが注目を集めている.ミニブログは気軽であるがゆえにユーザの意図している以上のレベルで個人情報が流出していることが考えられる.本論文ではミニブログの代表である Twitter の投稿記事から個人情報を推定する方法を挙げ,ユーザーが自身のプライバシーを制御する方法を提案する.個人情報の推定方法としてデータマイニング手法を適用し,Twitter ユーザ向けのアンケートの実施及び試作を行い,推定する属性と投稿時刻には相関があることを明らかにした.これにより投稿文脈を手がかりとしてユーザ属性を推定する一つの基準を立てることができた.
著者
竹内 要
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.85-94, 1984-03-31
著者
正木 宏長
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、昨年度に続き、水道事業の民間化について研究を行った。日本では水道事業の民間化に際して、委託等の行政契約が用いられている。水道法に定めのない従来型業務委託のほかに、水道法による包括業務委託も存在する。こういった水道事業の委託手法について他の民間化の手法も取りあげつつ、その特徴と法律問題について研究した。研究の際には、委託契約を活用している自治体への実地取材を行い、自治体行政の現実を明らかにすることに努めた。研究の結果、水道事業において、広範な委託が行われていること、他に様々な手法で水道事業の民間化が行われていること、民間化に際して、自治体の規程や国の通達類が重要な機能を果たしているとの知見を得ることができた。現在水道の民営化の議論がなされているが、本研究は、このような議論に法学の面から貢献しうるものであると考える。また、委託契約の実態を明らかにすることで、行政契約の議論の充実にも寄与することができるだろう。成果は論文「水道事業の民間化の法律問題」として立命館法学に掲載が決定している。また、一昨年度の研究成果が、書籍『分権時代と自治体法学』のうちの「都市の成長管理と水道」として刊行された。これは、水道水給水拒否が都市の成長管理手法となっていることを比較法研究によりあきらかにするものである。
著者
河井 良浩 石山 豊 植芝 俊夫 高橋 裕信 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.291-292, 1994-03-07

これまでのビジョンシステムは受動的で、与えられた環境のみを観測・認識していたが、ロボットの眼として考えた場合、システムが能動的・計画的に注視点を変えたり、ズームアップすることの必要性と有効性が認識され始めている。例えば、複雑な形状をもつ物体を扱う場合、全体像だけでは得られない細かな部分の情報は、その部分をズームアップして得る必要がある。またハンドアイロボットでは、視覚によって操作する物体の位置・姿勢の認識、ハンド操作のビジュアルフィードバックと操作ミスの発見が重要な課題となるが、ハンドの作業内容によって注視点を計画的に変えなければならない。そこで、3次元情報を能動的に測定できるステレオカメラシステム-パタパタ-を開発した(図1)。本システムには、3台のテレビカメラに電動ズームレンズが取り付けられ、ズーム, フォーカス, アイリスの制御がコンピュータで制御可能となっている。各カメラはそれを支持する雲台にのり、輻輳制御が可能である。またこれら3台の雲台を支える支持台は別の雲台の上に掲載され、首振り(パン、チルト)制御が可能となっている。これらもコンピュータ制御される。この機能により、対象の形状、位置、移動に応じた柔軟性のあるステレオビジョンが可能となっている。基本的には2台のカメラで行なうが、3眼ステレオに対応できるように、3台をカメラ有している。[figure]
著者
桜井 智野風
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

遅発性筋痛発生時および治癒過程において、筋内に発生する物質の動態には不明な点が多い。本研究では,骨格筋損傷発生および治癒過程において筋内で発生する発痛関連物質を観察し,それらの物質動態と遅発性筋痛との関連性の解明を試みた。その結果、筋損傷および治癒に関連が深い一酸化窒素(NO)と発痛関連物質の動態に関連性が観察された。NOは損傷細胞の炎症と修復に関与することから、NO発生の遅延が筋痛の遅れを生み出しているものと考えられた。
著者
森本 浩一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

虚構としての表象・表現は,現実としての表象・表現と「区別」される限りにおいて,固有の認知的役割を演じる。従って虚構論は,現実性の本質を扱う存在論と不可分の関係にある。この点については,過去の補助金研究(「文学的虚構の基本性質に関する研究」(2000〜2001年度)課題番号12610568)においても一定の検討を行ったが,これを踏まえつつ,本研究では,虚構の認知的特性とそれが現実認識との関係において持つ役割について考察した。1 虚構の認知的効果。近年,認知科学において,表象内容が真として妥当する範囲(スコープ)を限定する表象機構,いわゆる「メタ表象」の研究が進んでいるが,虚構は,世界に関する直接的な信念形成からの「分離」を特徴とする点で,メタ表象の典型である。虚構は「分離」のもとでの表象の試行・探索を可能にし,それが美的な報酬感を伴うとも考えられる。虚構のメタ表象的メカニズムとその効果について検討した。2 虚構の社会的機能。現実認知を構成する多くの表象は,百科事典的知識や報道・伝聞に基づく公共的表象であり社会的な信念システムであり,個々の表象は多くの場合,確からしさの程度を伴うスコープ付き表象であり,神話的信念や信憑性に乏しい虚構的なものも混入している。解釈を通じた虚構作品の直接的影響を含め,現実認識の構成において虚構や虚構的なものが果たす役割について検討した。3 虚構の現実性。虚構の本来的な「現実性」は,作品の還元的解釈においてではなく,むしろその「部分」消費の過程においてこそあらわになる。詳細は今後の課題であるが,「レイヤー構造」分析の方法論を提示することで,この問題に関する端緒的な検討を行った。
著者
荻原 正雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.3-4, 2005

私の論文を書く前に, 今は過去の人となった気管支学の創始者で気管支ファイバースコープを開発された名誉教授の池田茂人先生を始め, 山口豊先生, 武野良仁先生など立派な業績を残していかれた. 数多くの立派な先輩たちが気管支学の基礎を作られ, 最近気管支学会が一歩大きく発展し, 日本呼吸器内視鏡学会となり喜ばしいことである. 慢性気管支感染症は現在では, 高年齢の男性にみられる数少ない疾患となった. 病理学的に慢性分泌腺の肥大と上皮化成を伴っている. すなわち, 長期(6ヶ月以上にわたり)多量の喀痰と咳の症状を訴え, 初診時の諸検査で炎症がみられ, 連続して喀痰の中に多数の非特異的細菌がみられる. 胸部X線像で肺炎様所見はない. 病因:高年齢の男性に多い, 大気汚染, 喫煙, 細菌, ウイルス感染, 粉塵, 化学物質に従事する職業に多く, 副鼻腔炎が誘因となる. 慢性気管支感染症, 分類 1)浮腫型 浮腫を示し, 寛解時には消退する. 喀痰と咳嗽が続き(6ヶ月前後), 非特異性細菌が多数検出される. 組織像:慢性カタール性気管支像を示す. 2)肥厚型 長期間に及ぶ炎症のため, 粘脹な分泌液が多量にみられ, 発赤腫脹を示し, 分泌腺は開大する. 組織像:混合性, 浮腫, 軽い円型細胞浸潤.
著者
池添 由技子 高橋 聡子 伊藤 則博
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-42, 1990-03-12

この研究は,調査を通じて北海道の障害児保育の実情と課題を明らかにし,子どもとその周りの全ての者が「共に育つ」には,どのような条件と方策が必要とされるのかについて考察することを目的とした。対象は,現在,障害児が在籍していると思われる北海道の幼稚園と保育園406園としたが,回収は316園,うち障害児は在籍228園,対象児童251名を今回の分析資料とすることができた。調査内容は大別して次の4点である。(1)受け入れ状況と園の体制,(2)保育内容と方法,(3)親・地域・専門機関との関わり,(4)保育者の考えと意識主な調査結果は次の通りであった。(1)保育形態では統合保育が多く,障害児の参加の仕方を工夫して保育している。(2)指導目標として基本的生活習慣・社会性が重点となっている。(3)統合保育による影響については,健常児は仲間を大切にする気持ち,障害児にとっては,他児への関心や模倣の現れがあげられた。(4)保育を行っていく上で健常児の親の理解が必須である。(5)保育方針に一貫性をもつためにも障害児の親,及び専門機関との十分な話し合い・連携が重要である。(6)統合保育の効果を認めるとともに,他方で疑問や現在の保育が不十分という回答もかなりあった。さらに,今後の課題として(1)障害児保育制度の確立,(2)障害児保育への財政的支援,(3)保育者の研修の機会とその必要性,が強調された。今後は,個々の事例に即して保育内容と方法を実践的に確かめていくことが課題となる。
著者
山本 隆司 伊藤 洋一 交告 尚史 斎藤 誠 仲野 武志 仲野 武志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

これまで国内法として発展してきた行政法が、ヨーロッパ規模で形成されるようになり、また国際化している。こうした状況を整序する理論枠組として、次の2つを提示できる。第1に、憲法諸原理に含まれる古典的要素と機能的要素のバランス。第2に、多元的な法秩序間の調整。研究においては、これまで日本に紹介されたことがほとんどない、北欧の行政法の基本制度も分析した。
著者
齋藤 智寛
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

伝・顔師古撰『玄言新記明老部』について、その作者問題と『老子』注釈史上の位置づけについて一定の見通しを得た。特に、科段説と章指についての見解から、『明老部』が六朝より唐初の老学史について、貴重な情報を提供する資料であることを確かめた。『明老部』によれば、斉・梁以来、『老子』注釈書は儒仏二教同様に科段を採用したが、該書はそれに反対しつつ、章序の意義を説く章指は温存する、過渡的性格を持つ注釈書である。
著者
新免 輝男
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.12-13, 1990-03
著者
市川 麻理子 元木 聡 柴田 昌明
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.126, no.6, pp.726-731, 2006-06-01
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

This paper proposes a visual servo control method for exploring motion of eye-in-hand robot to recognize a three-dimensional object. The CCD camera attached at the manipulator tip captures the images of the target object, and then the robot varies its own posture with referring the position transitions in the images of the feature points on the object. Our approach for optimal motion is based on the strategy in which the position estimation precision of the feature points in the captured images gets improved when the feature points move widely, and the optimal robot motion provides the widest transitions of the feature points per unit robot motion, so that the robot should be controlled to purse such motion. In the proposed method, the primary feature point is made located at the center of the image, while the other points are moved for achieving the optimal transition in the image. In addition, this paper describes the way to reduce calculation effort for the proposed method. The numerical and physical experiments have been executed with use of 3-DOF planar manipulator. The validity of our approach is confirmed in the several experimental results.