著者
平野 聖
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.200-201, 2009-06-20

A purpose of this research is to find the feature of the design development of Japanese home electronics by studying history with the design of electric fan. We considered about the design development case of the electric fan in Panasonic ecology systems at the Showa latter period, and noticed the following things.The shape of the electric fan of each company had almost become same, so they aimed at the quality of the wind. For the purpose of reproducing "natural wind", their electric fan has evolved in "the wind of the 1/f shake" via "the rhythm wind" and "the random wind". They changed the form of their electric fan body to appeal for the innovation of their new "natural wind".
著者
石村 真一
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

家庭電化製品の普及については、1950年代後半より内閣府によって調査が行われて統計化されている。しかし、それは家庭における使用率を単に示しただけで、具体的な使用場面について言及しているわけでもない。また、家電製品の技術革新について触れているわけでもない。本研究においては、戦後に製作された映画の家電製品に関する使用場面を通して、技術革新をどのように生活者が受容したかを探ることを主たる目的としている。使用したVHS、DVDの映画は400本程度である。特に、洗濯機、扇風機、テレビといった大衆の必需品となっている製品を中心に、映画の中から使用場面を摘出した。こうした使用場面を時系列に整理し、使用場面の増減について統計処理を行った。次に、過去の文献史料、フィールド調査等で得た日本の家電史のデータと比較し、技術革新と製品の形態、製品の変化生活での対応という点を考察した。その結果、電気洗濯機は自動化が進み、乾燥まで含めた完全自動化を生活者も望んでいることが読み取れた。扇風機は脚の短い台置き型から、脚の長さを可変するタイプに一部移行するが、それほど大きな変化がないと読み取れた。テレビについては、技術革新が最も顕著に見られ、ブラウン管の変化から液晶、プラズマと変化する中で、テレビの形態も大きく変化している。しかしながら、居間にて家族がテレビを観るという家族での行為は、現在も継承され、一種のコミュニケーションの場になっている。すなわちテレビも含め、家庭用電化製品の技術革新は、常にユーザーの受容があって、成り立っているということになる。映画の場面は、著作権の問題があり、論文を紙媒体で扱う場合は、著作権法32条の引用で対応可能ですが、電子ジャーナル化には許諾が必要になります。この許諾には高額な費用がかかることから、現状では電子ジャーナルへの掲載は極めて難しいようです。
著者
神野 耕太郎 佐藤 勝重 佐藤 容子 酒井 哲郎 山田 幸子 廣田 秋彦
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

神経電位活動の光学的測定法は、中枢神経系のシステムレベルでの“機能"や“機能構築"の研究で新しい強力な実験手段とストラテジーとなってきている。ところが、この方法は、二次元計測に限られ、「三次元計測」が出来ないことが一つの大きな難点となており、それを克服するための新しい方法の開発が緊急性を要する重要問題になっていた。このような状況を背景にして、本研究は、「中枢神経系におけるニューロン活動を光学的シグナルとして三次元的に計測する方法を開発し、確立する」ことを目的として行われた。この研究を推進するに当たっては、これまでわれわれのグループで開発してきた「ニューロン電位活動の光学的多チャンネル二次元計測システム」をベースにして、「三次元計測法」をハードとソフトの両側面から検討し、その開発とその適用についての研究を進めた。(1)光学切片法の基本的手法の開発:原理的には光学顕微鏡による三次元画像法に準じる方法で、「形態画像の鮮明度」を「光学的シグナル」に置き換えて処理する。対象標本を光照軸(Z軸)に沿って移動させて焦点面をずらしながら光学切片を作る。各々の切片(焦点面)から光学シグナルを多エレメントフォトダイオードを用いて同時記録し、フォトダイオードに対応する二次元平面(x,y)とZ軸方向に沿って得られるシグナル系列をもとにして、ニューロン活動領域の三次元像を求める手法を開発した。これを主として脳幹に適用し、舌咽神経核、迷走神経核、三叉神経脊髄路核などに対応するニューロン活動領域の三次元像を再構成する方法を導いた。(2)共焦点レーザ走査蛍光顕微鏡を用いる方法:共焦点光学系では合焦点位置と光学的に共役な位置(共焦点面)にピンホールを置き、焦点面を移動させて、厚みのある組織標本を光学的にスライスすることにより、複数の焦点面からシグナル系列が得られる。この方法により、特に脳皮質の層構造に対応するニューロン活動の三次元像を再構成する方法の開発を手がけたが、まだ未完成であり、今後も続けて検討することになった。
著者
浦谷則好
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.1119-1125, 1989-09-15
被引用文献数
1

コンピュータによる文書処理にとって文字列の照合は最も基本的な操作である.文書処理の高速化への寄与が大きいので 効率の良い照合手法が求められている.パターンが1つの場合にはBoyer-Moore法が最も効率の良い手法として知られているが この方法では複数パターンを同時に照合することはできない.複数パターンを同時に照合する方法としてはAho-Corasick法が有名であるが 効率は Boyer-Moore 法より劣る.筆者らは「パターンの後方からの照合」というBoyer-Moore法の基本的なアイデアと 「パターン照合機械による照合」というAho-Corasick法の基本的なアイデアを結合して FAST法(A Flying Algorithm for Searching Terms)を考案した.FAST法では複数のパターンを同時に効率良く照合することができる.この輪文ではFAST法の基本的な発想と具体的なアルゴリズムについて述べる.FAST法の効率についても考察し 実験による結果も示す.文字種が多いときやパターンが長いときには高い照合効率が得られることを確認した.例えば パターン長が2と短くても文字種が94のときには パターン数60以下ではAho-Corasick法より効率がまさっている.また この方法は多大なメモリを必要とする欠点を有しているが この軽減方法についてもふれた.
著者
江草 佐和子 坂田 宏志
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.273-276, 2009 (Released:2011-02-16)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

ヌートリアは,毛皮用の家畜として日本に導入された。本稿では,兵庫県における急激な分布と被害の拡大の過程について報告する。アンケート調査の結果,2007年には,兵庫県内の4195集落のうち2349 集落でヌートリアの目撃あるいは被害が確認されていることがわかった。有害捕獲等による捕獲数は,1007頭であった。捕獲努力量は,より深刻な農業被害をもたらすアライグマと比べると少なかった。
著者
中村 尚 本田 明治 高谷 康太郎
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.5-12, 2007-03-23

オホーツク海は大河が注ぐ中緯度の浅海で、その西方と北方をアジア大陸が囲むという地理学的特徴を有する。これを反映し、夏季には加熱される大陸との間に顕著な地表傾度が形成され、冬季にはその気温傾度は反転し、最南に位置する大規模海氷域となる。これら特徴的な地表の熱的状況とその変動が、半球規模の大気循環変動と如何に関連するかという観点から、冬季海氷域の経年変動が大規模な大気循環変動に及ぼし得る影響、並びに夏季の冷涼なオホーツク海高気圧の形成について、データの力学診断と数値モデリングに基づき解説する。
著者
平下 政美
出版者
金城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

【目的】最近体温の日内変動パターンが暑熱負荷様式の違いにより特徴的に変化することがラットを用いた実験で示された。本実験では冬期に一日一定の時間に繰り返し運動した後、熱帯地方へ移動することで12日間の連続的暑熱暴露を経験し、再び日本へ帰国したときの、基礎体温の経日的変化や、暑熱暴露経験前後の運動パフォーマンス(最大酸素摂取量:Vo_2maxと無酸素性作業閾値:AT)、体液量あるいは体温調節反応がいかに修飾されるかについて検討した。【方法】毎日一定の時間に持久的運動トレーニングを繰り返す被験者を用いて、日本とタイに合宿生活をさせ、この時の基礎体温、運動前後の安静時体温及び運動時発汗量を連日記録した。また暑熱暴露経験前後のAT(Vslope法)とVo_2max及び血液成分を測定・分析した。【結果と考察】基礎体温の経日的変動:日本における基礎体温は35.9℃であった。タイにおけるそれは36.4℃付近を推移し、再び日本に戻った2日で36.3℃と高いレベルを維持した。日本においては運動後の体温は運動前の体温に比べ常に低い値をしました。しかしタイではその逆であった。運動時発汗量は日本においてはおよそ700g/hを示したがタイで1400g/hと顕著に増加した。これに対して飲水量は日本では飲水量は観察されなかった。タイではおよそ500g/hであった。これらの結果からタイにおける基礎体温の上昇は慢性的な脱水の可能性が示唆された。また12日間の連続暑熱暴露経験後は血漿量が増加し、暑熱暴露前に比べて暑熱暴露後のVo_2maxやATは増加傾向を示した。この暑熱暴露後の運動能の上昇は血漿量の増加によるものと示唆された。
著者
松崎 健太郎
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

暑熱暴露により、ラット視床下部におけるBrdU陽性細胞数が顕著に増加した。さらに、暑熱暴露によって誘導されたBrdU陽性細胞の一部は抗NeuN抗体によって染色され、その数は暑熱暴露開始後33日から43日の間に顕著に増加した。これらの結果より、ラット視床下部の神経前駆細胞は暑熱暴露により分裂が促進されることが明らかになった。また、暑熱暴露によって分裂した神経前駆細胞は暴露開始30日以降に機能的な成熟神経細胞に分化することが推察された。長期暑熱馴化の形成に視床下部神経新生が関与する可能性を考えた。
著者
神鷹 徳治
出版者
明治大学図書館
雑誌
図書の譜 (ISSN:1342808X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.95-99,図巻頭1p, 2010-03
著者
塩出 貴美子 中部 義隆 宮崎 もも
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

富美文庫所蔵の江戸時代の絵入本及び絵巻コレクションを調査し、その全容を明らかにした。同コレクションは絵入本10件27冊及び絵巻6件12巻からなり、その大半は奈良絵本・絵巻と通称されるものである。主題は古典、舞の本、お伽草紙、風俗に分類される。これらの全作品について、基礎データの収集、写真撮影、本文(詞書)の翻字、絵の分析等を行い、解題を作成した。また、一部の作品については個別に考察を加え、同主題の作品や様式的に近似する作品と比較した。
著者
土屋 正史 豊福 高志 野牧 秀隆 力石 嘉人
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,ゼノフィオフォアの餌資源利用形態や他の微小生物との生態的な関係を明らかにするために,分子系統解析,細胞な微細構造の観察,炭素・窒素安定同位体比分析を行った。現場培養実験では,炭素ラベルしたグルコースと窒素ラベルした珪藻(Pseudonitzschia sp. NIES-1383)を現場培養装置に添加し, 2日間の培養を試みた。その結果,ゼノフィオフォアは,突発的な沈降有機物に素早く反応し,餌資源を効率的に捕集し利用することで,急速な成長を促すことが示唆された。
著者
星川 保 豊島 進大郎
出版者
東海学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

加齢の動作の退行に与える影響を検討するために、歩行動作を対象として加齢による歩行動作の変化を平均年齢70.3±6.0歳の男子6名と、平均年齢79.8±9.3歳の女子5名を被験者とした3年間の高速VTR撮影,及び座標値変換法による測定から検討した。1. 1995年と1997年で男女共に統計的に有意な変化を示した測定項目2. 1995年と1997年で男女共に統計的に有意な変化を示さなかった測定項目
著者
小長井 一男 ヨハンソン ヨルゲン 田島 芳満 藤田 智弘 富安 由里子 野村 文彦 伊達 真生 片桐 俊彦
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.531-536, 2008

2008年6月14日, 岩手, 宮城県境(北緯39度01.7分, 東経140度52.8分)で発生したM7.2(気象庁暫定値)の地震では斜面災害が顕著であった.幸いにも死者を出す惨事にいたらなかった荒砥沢ダム湖北側斜面の崩壊は, その土量が7000万m<sup>3</sup>に達するとの推測もあるほど大規模なものでダム湖に津波を引き起こすなど, 当時の状況を推定しえる痕跡を随所に留めている.本報告は著者らが2008年6月15日~17日, 7月12~13日, 7月28日, 9月12日に行った現地調査の結果の一部を紹介するものである.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
竹森 繁 田澤 賢次
出版者
富山医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

現在の温熱療法の主流は誘電加温法であるが,癌局所のみを選択的に加温するのは困難である.一方,電磁誘導加温法では選択的な加温が可能である.過去に磁性体としてDextran Magnetite(DM),Thermosensitive magneto-liposome(TMs)を用いた方法を開発し,その特性・治療効果について報告してきた.TMsは内部に封入した抗癌剤などの薬剤を温度感受性に徐放する性質を有し,選択的温熱化学療法が可能であるが,粒子径が小さく塞栓作用が弱かった.この問題点を解決すべく,新たにDMアルブミンマイクロスフェア(DM-AMs)を開発し,誘導加温法を行い,その特性と新しい温熱治療法について検討した.DM-AMsの粒径は条件を変更することで任意に作製でき,今回の実験には粒径4-6μm,鉄含有量39.6%のものを用いた.前年度の実験で,出力7kW,周波数500KHzの誘導加温装置と,光センサー式温度測定装置を用いた計測では,in vitroではDM-AMsの濃度20mg/mlで6℃/3分,10mg/mlで6℃/7分の温度上昇,in vivoではラットの肝尾状葉に経動脈的に投与し塞栓後,誘導加温を行ったところ,肝尾状葉は43℃に加温された.直腸温は36.7℃であり,投与局所のみ加温された.組織学的所見では,肝尾状葉の類洞,肝動脈は塞栓され,腫瘍内へもDM-AMsが取り込まれていた.塞栓加温後3日目の肝臓の病理組織所見では,辺縁部の腫瘍細胞は粗な配列を示し,他の部分は壊死と繊維化が始まっていた.以上のようにDMアルブミンマイクロスフィアによる塞栓を併用した誘導加温法は,有意に肝実質を加温することが可能であった.抗癌剤を同時に封入することで,薬剤を徐放性に放出する性質を合わせ持つことが期待され,十分量を塞栓することにより腫瘍内組織のみを選択的に加温し,局所の温熱化学療法を行える可能性が示唆された.本研究結果については第14,15回日本ハイパーサーミア学会において発表した.