著者
高嶋 吉浩 三浦 正博 舛田 誠二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1071-1075, 1995-05-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

箸刺入による外傷性頸部食道損傷の1例を経験した.19歳の女性.1993年7月食器運搬中に転倒し箸が右頸部から刺入し,抜去することなく来院.内視鏡にて食道損傷と確診した.箸摘出,食道縫合閉鎖術にて治療した.本邦の外傷性食道損傷35例および箸刺入傷23例を検討した.外傷性食道損傷の死亡例は保存的治療3例中2例(66.7%),手術的治療31例中1例(3.2%)だった.24時間以内に1期的閉鎖術となった11例では縫合不全は1例(9.1%)のみだったが,24時間以降の場合,1期的閉鎖術5例中4例(80%)が縫合不全を来し,ドレナージ術12例中3例(25%)が再手術を要した.よって,本外傷には早期手術的治療を行うべきである.箸刺傷23例中17例が単純抜去されたが,うち10例は遺残先端の摘出術を要し,完全抜去された7例中2例は消化管損傷のため手術的治療を要した.完全抜去されないもの,消化管損傷を伴うものでは保存的治療は妥当ではないと推察された.
著者
橋本 令子 中牟田 成美 澤村 薫 村田 光範
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.153-160, 2006-03-31

本年6月、食育基本法が成立し、食育の重要性が認識されてきている。食育とは、知育・徳育・体育と並ぶ教育の柱である。また、人々の生活習慣の中で特に食生活が注目されており、近年の健康ブームとともに管理栄養士の業務も幅が広がってきている。そこで病院においても、小児科を中心に食育の実施が期待される。これまで小児科医が中心で行なってきた小児健康フォーラムにおいて、今回は管理栄養士が中心となった食育を実施した。その結果、幼少期から適正な食生活を確立することの必要性を食育を通して参加者に理解させることができた。さらに子どもだけでなく保護者の食生活に対する関心の高さが感じられ、病院における小児健康フォーラムを介した食育の実施は効果的であった。
著者
岡林 秀樹 大井 直子 原 一雄
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.127-133, 1995
被引用文献数
1

Thls study examined the changes in college students' view of life through three periods: the 1960s, 80s, and 90s. Approximately 3000 students at a liberal arts college responded at least once during the periods to a questionnaire with 13 descriptions (13 Ways to Live; Morris, 1956). Factor analyses, with principal component analysis and varimax rotation, found four factors that were common to the three subject groups. An examination of factor scores revealed that the first factor, "Sympathy and Service, " decreased while the fourth, "Comfort and Variety, " increased in the 80s and 90s, suggesting that an individualistic yet conforming tendency became more prominent in the latter periods than the 60s. While the third factor, "Active Action, " increased during the four college years in the 60s, it decreased in the 80s. These changes may have reflected the campus unrest in the 60s and the subsequent student apathy in the 80s. A recent increase in the fourth factor, especially among sophomores, seems to reflect the current characteristics in college students' view of life, namely a "moratorium" tendency.
著者
谷川 清隆 河鰭 公昭 相馬 充
出版者
国立天文台
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

申請者らは、四庫全書から順次天文史料を抜き出し、史料をパソコンに蓄積した。史料は漢書から明史におよぶ。一部は国立天文台報において印刷中である。地球自転鈍化パラメータΔTと月運動の鈍化パラメータを紀元前700年から紀元1000年までの期間で精度よく決定した。日本の天文史料は新たに2つの日食を今江廣道氏の協力を得て史料に加えた。日本の天文史料の信頼性は時刻制度の検討とともに行った。また紀元前188年と紀元873年の日食同時観測データであることを発見した。2003年8月には箱根において「授時暦合宿」を行い、そこでの合意の下に、藪内清・中山茂の授時暦研究ノート、建部賢弘の授時暦議解をデータベースにする作業を始めた。打ち込みは終了し、校正の段階に進んだ。研究成果は2003年8月シドニーにおけるIAU総会、2003年9月サンクトペテルブルグでのシンポジウムにおいて発表した。そのほか、慶應大学、科学博物館において一般講演を行い、2003年6月には京都コンピュータ学院主催のシンポジウム「歴史を揺るがした星々」において招待講演を行った。申請者らの成果は一般の注目するところとなり、朝日新聞2003年5月31日夕刊の14面、京都新聞2003年6月29日26面、および毎日新聞2004年2月7日科学欄で紹介された。
著者
吉田 忠
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

(1) 全国各地の図書館において関連文献の調査・収集につとめたが、殊に大谷大学図書館、国立天文台図書館、横浜市立大学図書館などにおいて関係資料を採訪した結果、内通、円煕、介石以後の論者たちの文献を調査・収集することができた。(2) 幕末の神道家賀茂規清が有名な天文学者間重富から聞いた話では、円通は老齢になっても須弥山説の講釈を行っていたという。事実彼が1817年三重県津市一身田専修寺で行った講釈の記録ノートが現存している。そこでは孔子君子の暦法が仏暦と同じだと述べているが、こうした表現は一般大衆の共感を喚ぶにきわめて有効な言い回しであったろう。(3) こうした講義記録は、円通の弟子達、たとえば2大弟子である信暁(1837,1855)、環中(1854,2点)、また円煕のそれが残っている。しかし、どういうわけか、円通の場合も含めて、『立世阿毘曇論日月行品』に対する講義が多くを占めているのは注目してよい。(4) 幕末から明治初年の護法運動は、中国伝道プロテスタント宣教師たちの書物による地球概念と地動説の普及を警戒し、須弥山宇宙論の観点から批判した。佐田介石らの運動も、この一連のコンテクストの中で考える必要があることを明らかにした。(5) 介石らの努力にもかかわらず、須弥山説運動が明治中期に衰退するのは、明治の学校制度の整備による科学知識の普及の結果、これが仏教関係者の間だけの論争に終わったことによることを指摘した。
著者
柳本 高秀
出版者
北海道旭川北高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、小学生・中学生・高校生の基礎的な天体運動に関する理解度を調査し、また、この調査を受け、空間概念の形成に関係する単元として、小学校では「月の満ち欠け」、中学校では「金星の満ち欠け」、高校では「惑星の視運動」に関する系統的な学習プログラムを開発することである。研究方法では、小学生に基本的な天文現象や「月の満ち欠け」、中学生に「相対運動」、ならびに高校生には「月食」に関する質問紙調査、面接調査を行い、児童・生徒があらかじめ持つ理解の特質を明らかにした。また、空間概念を形成する具体的内容として、アメリカやイギリスの理科カリキュラムに見られる「観察活動」、「光とかげ」、「相対運動などのモデル化」を導入した授業(小学生には「月の満ち欠け」、中学生には「金星の満ち欠け」、高校生には「惑星の視運動」に関する内容)を開発、試行した。授業後、その評価を行い、児童・生徒の空間概念の変容について調査した。小・中・高校生の基礎的な天体運動に関する調査からは、多くの児童・生徒に太陽-月-地球の三者の相対運動の概念が欠如し、天体運動に関する空間的な認識に問題があることが明らかとなった。また、空間概念を形成する具体的内容である「観察活動」、「光とかげ」、「相対運動などのモデル化」を導入した授業として、小学校では月の満ち欠け現象に関して「2種類のかげ(影、陰)」に着目した授業実践を行った。2種類のかげの内容を中心に、観察活動やモデル化などを密接に関連させた授業展開を行った結果、1割程度だった月の満ち欠けに関する理解度が、授業後には、約60%へと大幅に増加した。加えて、中・高校生への「金星の満ち欠け」ならびに「惑星の視運動」に関する授業実践からも、かげの違いやモデル化を密接に関連づけることで、多くの生徒に、相対運動を1つの視点だけでなく、多視点で見る視点移動能力の発達傾向が見られた。
著者
荒川 博
出版者
公益社団法人日本航海学会
雑誌
航海 (ISSN:0450660X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.45-46, 1971-12-20
著者
舟橋 整 赤毛 義実 竹山 廣光 毛利 紀章 若杉 健弘 寺西 太 早川 哲史 福井 拓治 田中 守嗣 真辺 忠夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1601-1605, 2001-11-01
参考文献数
9

切除不能進行胃癌に対し腹腔動注併用化学療法が奏功した症例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.上腹部痛を主訴に来院し, 上部消化管内視鏡検査にてBorrmann IV型胃癌を指摘された.1999年6月手術施行するもT4, N3, P1, H0, M1, CY1:stage IVのため試験開腹とし, 左右横隔膜下にリザーバーを留置してmodified low doseCDDP+5FU regimenにて化学療法を施行した.9月にTh9/10のレベルでAorta内に動注用リザーバーを留置し, 以後外来通院にて腹腔動注併用化学療法を施行した.2000年4月食思不振にて再入院するまでQOLを損なうことなく外来通院にて腹腔動注併用化学療法が施行できた.
著者
高田 真吾 岡本 誠 柘野 浩史 原田 誠之 保﨑 泰弘 御舩 尚志 光延 文裕 谷崎 勝朗 新谷 憲治 原田 実根
出版者
岡山大学医学部附属病院三朝分院
雑誌
岡大三朝分院研究報告 (ISSN:09187839)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.68-72, 2001-02-01

播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併した全身性エリテマトーデス(SLE)を経験したので報告する。症例は73歳女性。64歳時慢性関節リウマチ(RA)と診断された。1999年1月食欲低下を訴え当科受診した。血小板減少、FDP高値、PT上昇等よりDIC発症を疑った。膠原病では凝固系の異常を認めるが、本症例では凝固系が完進しDICを来したと考えられた。本症例はリウマチ因子陽性であったが、朝のこわばり等典型的なRAの所見に乏しく他の膠原病の合併を疑い、腎障害、血小板減少、抗Sm抗体、抗核抗体陽性よりSLEと診断した。A case of disseminated intravascular coagulation (DIC) in a patient with systemic lupus erythematosus (SLE) was described. A 73-year-old female was diagnosed as havingrheumatoid arthritis when she was 64 years old. In Jan, 1999, the patient was admitted to our hospital with the complaint of loss of appetite. She was suspected of DIC because ofthrombocytopenia, increased fibrin degradation product and prolonged prothrombin test.Abnormality in coagulation system is recognized in collagen disease. In this case coagulation system was activated and DIC occurred.In this case rheumatoid factor was positive. But she was suspected of complicating other collagen disease because she was poor in typical characteristics of rheumatoid arthritis,such as morning stiffness. SLE was diagnosed on the basis of renal injury, thrombocytopenia, positive anti-Sm antibodyand positive antinuclaer antibody in this case.
著者
相原 玲二 大塚 玉記 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.440, pp.131-138, 2001-11-14
参考文献数
13
被引用文献数
7

広帯域IPv6インターネット上での高品質画像伝送を行うため、マルチキャスト等に対応するMPEG2伝送システムを開発した。高品質画像をリアルタイムに伝送するには、パケットロスや伝送遅延ゆらぎのないネットワークが要求されるが、現実には実現困難であり、前方誤り訂正(FEC)機能等を持つ伝送システムが必要となる。本稿では、開発したFEC機能を持つMPEG2 over IPv6システムについて述べる。また、アフリカ南部で観測された皆既日食のJGN回線などを利用した中継実験について紹介する。この実験では、全国9地点(広島を除く)および広島市内4地点へMPEG2画像をIPマルチキャストにて伝送し、合計700名以上の参加者が2時間にわたりその中継映像を観察した。その際得られた実測データをもとに、誤り訂正機能が極めて効果的に機能したことを示す。
著者
太田 陽子
出版者
聖学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、昨年度に実施した調査結果を分析し、整理してデータ化することと成果をまとめることに主眼をおいた。研究実施計画に挙げた、以下の1〜3の作業を通して、現在、4として総括を試みているところである。1.構文機能の実態調査昨年度に引き続き、シナリオ集や新聞コーパスを中心に、ハズダ・ニチガイナイ・カモシレナイの実例を収集・分析し、各表現の使用文脈と機能を具体的に記述、リスト化した上で、相互比較を試みた。2.教材分析これも昨年度に引き続き、主要教材(初級教科書15種・中〜上級教科書20種・文法書27種)の例文、練習、解説、場面設定を観察し、その傾向をまとめるとともに、文脈的観点(発話者や聞き手の資格、発話意図、場面設定など)の欠如による問題点などを指摘した。3.調査結果の分析昨年度に日本・中国・韓国・ベトナム・マレーシアにおいて実施した「文型使用意識調査」の結果について、それぞれの回答を、学習者の会話作成例、および意見文における運用例としてリスト化した上で、(1)会話場面での運用における問題点、および(2)文章構成上の位置づけの問題点という観点から分析し、現行の日本語教育における指導に欠けている視点を模索した。4.非断定表現の文脈化と教材化を通した文法記述方法の提案上記の1〜3の作業を通して得た結論を基に、現行教材や教育現場の問題点を補い、学習者の運用に不可欠な文脈情報を踏まえた文法の記述方法の提案を、現在試みている。

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著者
伊藤 尚子
出版者
近畿大学
雑誌
文学・芸術・文化 : 近畿大学文芸学部論集 (ISSN:13445146)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.42-37, 2005-07-20
著者
木下寂善 編
出版者
木下寂善
巻号頁・発行日
vol.第1回, 1922
著者
土井 光祐
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

国語史資料として利用し得る新たな密教関係伝授聞書類を発掘すべく関西を中心とする古社寺、各所蔵機関の実地調査を行い、書誌調書の作成、写真撮影、本文転写を行って、資料の成立背景についての基礎的な分析を行い、国語史資料としての性格を考察した。主な調査機関は、東大寺図書館、仁和寺、神奈川県立金沢文庫、随心院、高山寺である。密教関係伝授聞書類は、密教の師資相承の中で成立するものなので、この観点から成立背景を確認することは不可欠の作業となる。特に、高山寺、仁和寺については、これまで相当に研究が進められてきており、その成果を参照しつつ個々の調査資料をその中に位置付けていくことを並行させつつ考察を進めた。この為には同一の教学環境で成立する関連諸資料との関係を確認することが必要であって、「金剛界念誦次第」「胎蔵界念誦次第」等の「次第」類や、諸尊法の類の加点本も併せて調査した。この過程でいくつかの重要資料を発掘することができたが、中でも仁和寺蔵「金剛界注」鎌倉時代初期写本は金剛界念誦次第の注釈書であって、仁和寺中興の祖である守覚法親王の自筆になるものであり、特に注目される。注釈には片仮名交り文も使用され、非常に詳細な墨点(仮名、ヲコト点(円堂点)、返点、声点、合符)が加えられている。一般に密教事相関係書で字句の訓詁注釈を行うものは極めて稀であるが、本資料によって従来確認の困難であった事相上の術語の鎌倉時代初期における確実な訓法が初めて確認される場合も多く、又、片仮名交り文の中には「ドコ」「デ(格助詞)」等、平安時代には一般に稀な新語の使用も認められる。本資料については、『訓点語と訓点資料』第99輯(平成8年3月発行)に全文の影印、翻字及び解題を掲載した。
著者
樋口 聡
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第一部, 学習開発関連領域 (ISSN:13465546)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.9-15, 2003-03-28

This paper examines Richard Shusterman's ""Somaesthetics and Education"" from the viewpoint of learning theory. The points of the discussion are: (1) what is somaesthetics?, (2) three fundamental dimensions of somaesthetics, (3) educational value of practical somaesthetics, (4) somaesthetic exercise and school curriculum. Significance and capability of somaesthetics would be considered in three aspects in terms of the problems of learning and education: (1) rethinking the pragmatism in education, (2) new framework of the relationship between theory and practice, and (3) reconsidering the dualistic scheme of mind and body.