著者
伊藤 雅之
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

研究は研究実施計画に沿って行い、ヒト中枢神経系の発達異常におけるアポトーシス発現を検索した。検索した対象は、周産期に多くみられる低酸素性虚血性脳症(HIE)と橋鈎状回壊死(PSN)とし、標本材料は我々の施設にある脳バンクを利用した。HIEあるいはPSNと診断された在胎21週から生後3ヶ月の小脳および脳幹部を用い、ヘマトキシリン・エオシン染色、in situ tailing reaction法により、アポトーシスの組織形態学的評価を行った。また、Bcl-2、Bcl-x、Bak、CPP32、GFAPの各抗体による組織学的検索およびWestern blotによる評価を行った。その結果、HIEでは、アポトーシスの変化は在胎21週から30週の未熟かつ重症仮死例かつ受傷後1日から2日の症例に多く観察された。また、Bcl-2とCPP32の過剰発現が観察された。PSNでは、アポトーシスの変化は在胎21週から25週の未熟児出生で、生存期間が1日から4日以内の症例に多く観察された。また、Bcl-xとBak、CPP32の過剰発現をみとめたが、BCl-2の発現には変化がなかった。これらの結果から以下のことが考察された。1.HIEやPSNの病態形成にアポトーシスが関与し、bcl-2familyやcaspaseがその役割を担っていること。2.未熟脳ほどアポトーシスに陥りやすいこと。3.病態の違いによってアポトーシスに関わる因子が異なっていること。前年度の研究から、ヒト脳の発達過程においてアポトーシスが関与していることがわかっている。発達期脳循環障害においてもアポトーシスが関与をしていることが推察された。今後、これらの違いを明らかにし、分子遺伝学的解析を加え、周産期脳循環障害におけるアポトーシスの機構を明らかにすることが、病態解明とその予防に重要である。
著者
伊藤 雅之
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

脳形成過程において、周産期にうける物理的あるいは循環動態的変化は、その後の発達に重要な影響を与える。本研究では、周産期脳循環障害におけるアポトーシスの関与を調べ、その病態解明を検討し、その予防および治療の可能性を探ることを目的とした。昨年度の結果から、周産期脳循環障害にアポトーシスがみられたが、caspase3(CPP32)のmRNAの発現には対照群と差がなかった。今年度では、成熟児と未熟児の7ポトーシスのメカニズムの違いを調べた。周産期脳循環障害に多くみられる橋鈎状回壊死(PSN)について、成熟児と未熟児とに分けて分子病理学的に検討した。1.臨床病理学的検索:神経病理学的にPSNと診断された症例と正常対照を、臨床的に低血糖を伴う群と在胎21週から30週の未熟児群、31週から40週の成熟児群にわけて、ヘマトキシリン・エオシン染色、in situ taillng reaction(TUNEL)法により、アポトーシスの形態学的および量的評価を臨床病理学的に調べた。その結果、未熟児群で優位にアポトーシス細胞が多く観察された。未熟神経細胞ほどアポトーシスによる変化をきたしやすいものと思われた。2.遺伝子病理学的検索:PSNの未熟児群と成熟児群および正常対照の橋核のサンプルを用いてcDNAを合成し、RT-PCR法により細胞内シグナルトランスダクションに働く遺伝子群の発現を比較検討した。その結果、PSN症例ではFADD(FASassociateddeathdomainprotein)が優位に高発現していた。特に、未熟児群で高発現であり、Fasを介するシグナルが発達期の神経細胞死に重要な役割をしている。これらの結果から、ヒト発達期の脳障害にFasを介したアポトーシス発現が関与し、脳の未熟性が危険因子であることがわかった。
著者
関根 理敏 野崎 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.134, pp.31-36, 2008-07-10
参考文献数
8

ユーザが近距離無線通信機能を有する携帯端末を利用して,ゲーム情報,ロコミ情報,また興味情報などを交換するPocket Switched Network (PSN)が新たなネットワークサービスとして想定されている.このようなサービスでは,ユーザは限定的な範囲のみならず,住宅地,オフィス,また商業施設などの広い範囲を移動し,携帯端末がデータをホップバイホップで中継する場合もある.PSNではリンクの切断が長時間継続し,ネットワークトポロジーの変動が大きいため,効率的にデータの交換を行うことが重要になる.そこで本稿では,広域におけるユーザの移動モデルを想定する.そしてノードがお互いに無線リンクにおける配送遅延に関する情報の収集し,その情報を利用して複数ホップに渡ってデータを効率的に交換する方式に関する検討を行う.
著者
卯田 昭夫
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

12年度の研究から神経性ショック前後の心拍RR間隔周波数解析パラメーターの特徴は明瞭化できた。しかし、Mem Calc^【○!R】による周波数解析には数時間から短いものでも数10分を要し、モニターとしての有用性に欠けていた。13年度は心拍RR間隔収集装置(メモリー心拍計LRR-03^【○!R】)を購入し、Tarawa/winシステム^【○!R】を用いパーソナルコンピューターと接続し、リアルタイムに解析結果をモニタリングした。本研究の目的・内容を理解し、同意の得られた患者を対象とした。神経性ショック予防モニター実用化のため、周波数解析より得られたパラメーターの有用性を、臨床応用から検討した。全身麻酔覚醒時には非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬として、抗コリンエステラーゼ薬あるエドロホニウム(エド)やネオスチグミン(ネオ)が用いられる。しかし、アセチルコリン受容体の反応には運動神経伝達をつかさどるニコチン作用と、副交感神経(PSN)刺激症状を示すムスカリン作用があるため、一般にPSN遮断薬である硫酸アトロピン(アト)が併用される。自律神経への作用機序が明らかなこれらの薬物を投与した時のRR間隔を周波数解析し、低周波帯域(LF)、高周波帯域(HF)、LF/HFおよびエントロピー(ENT)(理論上最もランダムなものを100%、等間隔なものを0%と規格化)の表す意義・有用性について検討した。その結果、1.アト投与により、HF減少の持続、LF/HF一過性の上昇を認めた。2.エドおよびネオ投与によりすべての症例で心拍数が減少した。心拍数の減少とHFの上昇に明らかな関係はなかった。3.ENTはHFの増加に同調し、アトによって低下したことから、PSN活動を反映することが示唆された。しかし、頻脈時は低値を示し、その解釈には、今後さらなる検討が必要である。これまでの研究から、神経性ショック前は過度の交感神経緊張状態(LF/HFの上昇)が観察され、ショック状態では逆にPNS亢進(HF上昇)(ENT上昇?)することが判明した。つまり、LF/HFを観察すれば神経性ショックの予防は可能ということになる。しかし、RR間隔の周波数解析から得られる数値は個人差が大きく、評価の基準が現在無いのが現状である。今後、ホルター心電図を用いた24時間正常値、負荷試験による変動観察、あるいは術中の変化率など、個人の評価をどのように行なうかの指標が発見されれば神経性ショックを予防するモニターが実用化できると思われる。
著者
金 章圭 吉野 嶺一 茂木 静夫
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.492-499, 1975-12-25

Experiments in order to know the possibility of leaf blast forecasting by investigation of the number of trapped spores and the wetting period of leaves were conducted. The number of spores which was presumed to penetrate into leaves was calculated from the following equation by investigating the number of trapped spores, wetting period of leaves, leaf area, plant height and wind velocity in the experimental field. PSN=DSN×RA×MIP×RI DSN=CSN×C×LA/GA PSN: The number of spores which was presumed to penetrate into leaves DSN: The number of spores which was presumed to deposit on leaves RA: The rate of spores which formed appressoria MIP: The maximum rate of appressoria which succeeded in penetration under the most favourable condition RI: The ratio of penetrated appressoria to MIP in each day which was calculated by using the wetting period of leaves and the mean temperature during the wetting period CSN: The number of trapped spores was corrected corresponding to wind velocity and plant height C: Correction coefficient LA: Leaf area GA: Cover glass area As a result of calculation, the largest number of spores which was presumed to penetrate into leaves per plant was 3.95 on July 26 and the next was 3.70 on June 29. On July 23 the largest number of spores trapped in the period of investigation, however, the number of spores which presumed to succeed in penetration was only 0.85. The numbers of lesions which were estimated by adding PSN in order of date almost coincided with the numbers of lesions occurred actually in the experimental field. These facts indicate that the degree of leaf blast severity can be forecasted one week before lesion appearance by investigating the number of trapped spores and the wetting period of leaves.
著者
前田 知己 後藤 一也 古城 昌展 前田 知己
出版者
大分医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

正期産児35人を対象としたポリグラフ記録において、第一静睡眠期と第2静睡眠期の持続時間に有意差は認めなかった。RR間隔は第2静睡眠で497.2±59.5msecで、第1静睡眠478.2±49.0secに比し有意に長かった。RR間隔時系列について自己回帰モデルを用いスペクトル解析を行い、低周波成分(LF)、高周波成分(HF),パワー,LF/HF比を求め検討した。LHパワーLH/HFは有意差を認めなかったが、HFは第1静睡眠4-1±0.8msec2,第2静睡眠4.5±1.0msec2で第2静睡眠が有意に大きく、第2静睡眠における副交感神経緊張が不された。29人の正期産児を対象として驚愕反射の出現頻度の検討を行った。静睡眠期におけるミオクローヌスの分布、啼泣の有無によって驚愕反応の強度を3区分した。驚愕反応出現前後1分のRR間隔時系列についてスペクトル解析を行い、驚愕反応出現前後の交感・副交感神経緊張の変動を検討した。平均驚樗反応出現頻度は0.18/分であった。驚愕反応出現に伴いLFパワー、HFパワー、LF/HF比はいずれも増加したが、驚愕反応強度によってパラメーター前後値はいずれも差異を認めず、個人差が大きかった。自律神経機能から乳幼児突然死症候群に関連する事象をとらえられるか検討したが、個人差が大きく、また、乳幼児突然死症候群の症例は無く、正常対象の症例数も多くないので、明らかな結論は得られなかった。今回の検討を基礎データーにして、乳幼児突然死症候群危険因子の有無による違い、体位による違いなどを検討を続ける予定である。
著者
Kosono S Kataoka M
出版者
The Society for Actinomycetes Japan
雑誌
Actinomycetologica (ISSN:09145818)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.12-22, 1996
被引用文献数
1

pSN22, an 11 kb multicopy conjugative plasmid from Streptomyces nigrifaciens, promotes chromosome recombination in Streptomyces lividans. Five genes have been identified to be involved in plasmid transfer and pock formation: traB is essential for plasmid transfer; traA for pock formation; spdA and spdB are concerned with pock size; and traR, which corresponds to a kor gene in a kil-kor system, encodes a repressor of traR itself and the traA-traB-spdB (tra) operon. Studies on the interaction of TraR with promoter regions suggest that the negative regulation of transfer-related genes by TraR is achieved by two mechanisms, i.e. promoter hiding and roadblock. The predicted ATPase activity and the membrane localization of TraB suggest that the protein plays a direct role in ATP-driven DNA translocation. TraB is also thought to be involved in intra- and intermycelial transfers of pSN22.
著者
佐々木 成人 岡 美恵子
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

ネコをパネルに向かって立たせ、パネル中央に投射した光点を注視させた状態から、光点を視野周辺に向かってスッテプ状、ramp-hold状に移動させ追跡させた。移動刺激に対して、ネコはまず頭を60ー150msの潜時でゆっくり動かし、この時眼球はVORで逆方向に動き、視線は空間内で固定される。次にサッケドとそれに続く速い頭の運動が起り、視線はターゲットを捕らえる。移動刺激からスッテプ刺激に変えると指向運動の潜時の著明な延長と頭の運動速度の低下が起ることから、ステップと移動刺激により誘発される指向運動は異なることが分かり、前者を位置誘導型志向運動、後者を速度誘導型指向運動と呼ぶことにした。更に速度誘導型指向運動は光点の移動速度からその到達位置を予測して、光点が移動中に動き始め、視線と光点がほぼ同時にターゲットに到達する予測指向運動と、光点の速度と位置情報の両者を手がかりにして光点がターゲットに到達してから指向する速度・位置誘導型指向運動に別れた。両者は以下の点でも異なった。頭の速度の刺激速度依存性は予測指向運動では見られたが、速度・位置誘導型ではほとんどなかった。光点を移動中に短時間消すと、後者ではではターゲットに正確に到達できたが、前者はできなくなった。ステップ刺激では予測志向運動を行っていたネコは短潜時または長潜時の位置誘発型に移行したが、速度・位置誘導型指向運動からは長潜時の位置誘導型指向運動に移行した。脳幹網様体には、頸の指向運動と関係して2種類のニューロン、phasic sustained neuron(PSN)とphasic neuron(PN)、がある。PNは指向運動のサブタイプとはあまり関係せず発火したが、PSNは速度誘導型指向運動と良く一致した。この結果は上位中枢がPSNを選択的に制御することにより異なるサブタイプの指向運動を発現していることを示唆した。
著者
Kim Jin-Soo Kim So-Jung Kim Ho-Gi LEE Duck-Chool UCHINO Kenji
出版者
社団法人応用物理学会
雑誌
Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers & short notes (ISSN:00214922)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.1433-1437, 1999-03-15
参考文献数
16
被引用文献数
16

High-power piezoelectric materials are presently being extensively developed for applications such as ultrasonic motors and piezoelectric transformers. In this study, the piezoelectric and dielectric properties of Fe_2O_3-doped 0.57Pb(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3-0.43PbTiO_3 (hereafter 0.57PSN-0.43PT), which is the morphotropic phase boundary composition of the PSN-PT system, were investigated. The maximum dielectric constant (ε_<33>/ε_0=2551) and the minimum dielectric loss (tanδ = 0.51%) at room temperature were obtained at Fe_2O_3 additions of 0.1 wt% and 0.3 wt%, respectively. The temperature dependence of the dielectric constant and the dielectric loss was measured between room temperature and 350℃. With the addition of Fe_2O_3, the piezoelectric constant d_<33> and electromechanical coupling factor k_p were slightly decreased, but the mechanical quality factor Q_m was significantly increased. The highest mechanical quality factor (Q_m = 297) was obtained at 0.3 wt% Fe_2O_3, which is 4.4 times higher than that of nondoped 0.57PSN-0.43PT ceramics. The P-E and S-E loops of the samples at room temperature and at 1.0 Hz were measured at the same time using an automated polarization measuring system.
著者
横山 敦郎 安田 元昭
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究においては,歯根膜幹細胞の種々の細胞への分化に関する成長因子の同定および分化した細胞の遺伝子発現様式の差異を明らかにすることを目的に,以下の研究を行った.WKAウィスター系5週齢雄性ラットから,下顎切歯を抜去し,15%FBSおよび抗生剤を含むα-MEM中に静置し,2週後まで初代培養し,アウトグロースした細胞を歯根膜細胞として回収した.回収した細胞を,デキサメサゾン(Dex),アスコルビン酸(Asc),βグリセロフォスフェイト(βGP)を含む培地とこれらを含まないコントロールの培地の2種の培地で2週間培養し,骨関連タンパクであるオステオカルシンと歯根膜特有のタンパクであるXII型コラーゲンについてRT-PCRを行いmRNAの発現を検索した.XII型コラーゲンの発現は,コントロールとDexを含む培地の両者に同様に認められたが,オステオカルシンはDexを含む培地で著しく強く発現していた.この結果から,Dexで骨芽細胞に誘導される幹細胞が,採取された歯根膜細胞には含まれることが明らかとなった.この結果をもとに,Dexを含む培地,b-FGFを含む培地およびこれらを含まないコントロール培地の3種の培地で歯根膜細胞を3日培養した後,RNAを回収し,DNAマイクロチップで網羅的にmRNAの発現を解析した.その結果,mRNAの発現は,b-FGFを含む培地とコントロールの培地では,ほとんど差異が認められなかったが,Dexを含む培地とでは差異が認められた.この結果から,b-FGFは歯根膜幹細胞を分化させることなく増殖させ,またDexは,歯根膜幹細胞を骨芽細胞へ分化させることが示唆された.
著者
村上 弦 秦 史壯 佐藤 利夫 田口 圭介
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1 腹腔神経叢周辺のリンパ管(平成12〜13年度)通常ホルマリン固定人体標本を用いて,1)腹腔神経叢と腸リンパ本幹の位置関係,および2)膵頭後部リンパ節(No.13)及び総肝動脈リンパ節(No.8)から大動脈リンパ節(No.16)へ注ぐリンパ管の経路,について検討を行った。また,新鮮胎児の胸腹部内臓の準連続切片を作成し,腹腔神経叢周囲のリンパ管及びリンパ節の局在を検討した。これらの結果から,膵頭十二指腸を外科的に左腹側へ授動する手技(コッヘル授動術)の視野において,腹腔神経叢より浅いこの領域の所属リンパ系の大部分を郭清できる可能性が示唆された。しかし,主流ではないものの腹腔神経叢と横隔膜脚の間を通るリンパ経路は存在しており,その経路の中継点であるNo.16a2の術中生検には大きな意義があると考えられた。2 子宮基靱帯内部を通る自律神経(平成14年度)15体の女性人体骨盤標本(65〜86歳)を用いて,子宮基靱帯内部を通る自律神経の走行を検討した。その結果,1)基靱帯は骨盤内臓神経を含んでいないこと,2)基靱帯の底部及び背側縁には明瞭な靱帯構造が存在すること,3)骨盤神経叢は基靱帯の血管成分からは分離していること,が明らかになった。この結果から,自律神経温存広汎子宮全摘出術において子宮傍組織の拡大切除を施行しうる可能性が示唆された。
著者
Kuh Bong Jin Choo Woong Kil Brinkman Kyle KIM Jai-Hyun DAMJANOVIC Dragan SETTER Nava
出版者
社団法人応用物理学会
雑誌
Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers & short notes (ISSN:00214922)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.6765-6767, 2002-11-30
参考文献数
8
被引用文献数
4

Relaxor Pb(Sc_<1/2>Nb_<1/2>)O_3 (PSN) thin films without pyrochiore phase were proccssed from the modified alkoxide solution precursors. The preparation of single phase PSN thin films has a narrow processing window due to the appearance of an undesirable pyrochlore phase and volatility of PbO. Thin film processing has been improved through selection of precursor solutions, heat treatment and optimized deposition-condition are optimized. Especially, the effects of Pt substrates seeded with additional layers upper of TiO_2 and La_<0.5>Sr_<0.5>CoO_3 are investigated through the scanning electron microscopy (SEM) scanning of filmlelectrode interfaces. Dielectric behaviors of sal-gel derived PSN thin films on two different substrates are observed. They show the evidence of relaxor-like behaviors, i.e. the temperature dependence of the dielectric constant at different applied frequencies. Films on the TiO_2/Pt/TiO_2/SiO_2/Si substrates exhibit better dielectric properties, such as frequency saturation over transition temperature and much lower dielectric loss than those on the La_<0.5>Sr_<0.5>CoO_3/Pt/TiO_2/SiO_2/Si substrates. The differences of transition behaviors between PSN thin films and bulk ceramics are also discussed in relation to the processing temperature, interface phenomena between film and electrode, relatively small thickness and strain effect of films.
著者
足立 大樹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

Al-Zn-Mg合金にMnを過飽和に添加し、急冷凝固法を用いてアトマイズ粉末を作製し、773Kで脱ガス処理をすることによりサブミクロンオーダーのMn金属間化合物を高密度に分散させることが出来る。これを773Kで熱間押出することでMn金属間化合物の周囲に転位が高密度に導入される。通常の合金であれば不連続動的再結晶の一種である粒子促進核生成再結晶(PSN)が生じるが、今回はMn金属間化合物間の距離が非常に近いことからPSNは抑制され、連続動的再結晶が生じ、微細な等軸の動的再結晶粒が一部で生じた。動的再結晶率は30%強であり、未動的再結晶部分は押出方向に伸張していた。得られた押出しままの組織は押出方向、ED//<111>or<100>に強度に配向した押出し集合組織であったが、これを423Kという非常に低い温度で熱処理することにより未動的再結晶部分からも静的再結晶が生じ、全面に微細な結晶粒が得られた。非常に低温における変化であったため、静的連続再結晶の可能性が考えられたが、集合組織の変化を調べたところ、押出集合組織が緩和され、よりランダムに近い組織が得られていたため、低温熱処理中の静的再結晶は連続再結晶であることが分かった。ランダムな組織は押出効果が得られる押出集合組織よりも押出し方向の強度には劣るが、その他の方向に優れた当方的な組織である。以上のことから、動的再結晶組織に低温熱処理の条件を加えることにより、強度に一方向に配向した組織から、ランダムな組織まで、目的に応じて容易に制御することが可能であることが分かった。
著者
板倉 敦夫 水谷 栄彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

死産児、新生児死亡の病理解剖組織標本を神経病理学的、あるいは組織免疫学的に調べ、その児の臨床経過と対比させて、虚血-再還流による脳細胞障害の部位と程度について検討した。フリーラジカルによって産生される代表的な脂質過酸化物である4-hydroxy-2-noneal-protein(HNE)は、細胞内蛋白と結合し蛋白機能を障害することが明らかにされている。そこで死産児、新生児死亡の抗HNE-proteinおよびによる免疫組織染色を行い、発現を検討したところ、小脳、橋、海馬の神経細胞に発現が認められ、さらに脳虚血時に認められるpontosubicular neuron necrosisに陥っている細胞にその発現が強く認められた。またこの作用を生化学的に検討するために、胎児の血管内皮細胞を低酸素培養し、低酸素性脳障害の原因となりうる物質の変化を検討したところ、Angiotensin conuerting enzymeが、低酸素培養によって、血管内皮での産生が亢進していることが判明した。今後低酸素状態における血流調節におけるレニン-アンギオテンシン系の関与を検討する予定である。