著者
ホーンズ シーラ 丹治 愛 丹治 陽子 アルヴィ 宮本なほ子 矢口 祐人 土田 映子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

2001年度-04年度までの科学研究費(基盤B「19世紀末英米文学における都市の表象に関する新歴史主義的研究」)の成果をもとに、英米におけるユートピアニズムに関するテクストと実践を研究することを目的とした.海外の研究者らと共同して、文化地理学、空間理論、マテリアル・カルチャーなどの知見を援用しながら、ユートピアニズムの表象を政治批評的に研究することで、この英米の思想史における重要な概念を、きわめて国際的・学際的な視座で考察することができた.
著者
五十嵐 大 千田 浩司 柴田 賢介 山本 太郎 高橋 克巳
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.2, pp.1-8, 2010-02-25
参考文献数
23

2009 年 10 月に開催された CSS2009 では,2 パーティ秘匿回路計算システムを用いた行動分析実験が行われた。従来秘匿回路計算は計算コスト等の課題から,実用的な利用報告がほとんどされてこなかった。これに対し本稿では,数百人規模となった CSS2009 における上記実験を利用例として報告し,秘匿回路計算及び上記システムの実用性を示す。In CSS2009, convened in October, 2009, an experimental trial on a behavior analysis using a 2-party secure circuit evaluation system was conducted. In the past, there had been very few practical utilization reports of the 2-party secure circuit evaluation, due to its high computational cost mainly. In this paper, we report the above trial as an example of the technique's utilization, and show the utility of the technique and our system above.
著者
山本 太郎 畑島 隆 谷本 茂明 高橋 克巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.20, pp.103-108, 2009-02-26
参考文献数
5

ブログは炎上する.ブログなどCGMが隆盛を極める裏側で,記述内容や意見の衝突,果ては他のメディアでの発言などにより炎上やプライバシ暴露などのトラブルが発生し続けている.被害はネット世界だけに留まらず,現実世界にまで及ぶ例も少なくない.我々はそれらトラブルの軽減を目的とし,150件のCGMトラブル事例を予備調査した上で,トラブルの発生から収束または発散に至るシーケンスの仮説の構築と各シーケンスにおける原因や問題種別など要素の整理を行った.本件では,これまでのまとめと今後実施予定の本調査手法について紹介する.There are so many troubles in CGMs such as blog flaming. Troubles break out from contents, clash of opinions, comments on another media and some bring about violations of privacy. To decrease and soften those troubles, we start investigating 150 troubles as preliminary research. We set up a hypothesis of trouble sequences and analyzed collected troubles. We describe our current work and our future investigation method.
著者
吉村 昇 長谷川 誠一 鈴木 雅史
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

有機系絶縁材料は,電気的・機械的特性が優れているため、無機系材料に代わって配電機器材として広く使用されている.しかし有機絶縁材料は,トラッキング劣化やトリ-イング劣化などの有機系材料特有の絶縁劣化と絶縁破壊現象を起こすことが知られている.特にトラッキング劣化は,有機絶縁材料の信頼性と寿命特性を検討する上で非常に重要である.一方で,環境問題として公害の悪化,汚染物質の長距離越境輸送などによる酸性雨問題が注目され,これが屋外で使用される有機絶縁材料に及ぼす影響が懸念されている.本研究では以上の点を考慮し,有機絶縁材料の耐トラッキング性に及ぼす酸性雨の影響,劣化過程を総合的に検討し,その劣化機構を解明することを目的とした.その結果,酸性雨は有機絶縁材料の耐トラッキング性を大きく低下させることを示し,酸性雨が汚染物質としての外的要因で作用する場合と,荷電時の電解液として作用する場合の双方の影響とその劣化過程を明らかにした.また,それぞれのパラメータの経時変化を実験的見地から検討し,それぞれの劣化機構を明らかにした.
著者
山中 玲子 西野 春雄 伊海 孝充 宮本 圭造 橋本 朝生 表 きよし 小秋元 段 小秋元 段 橋本 朝生 表 きよし 竹本 幹夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

4年間の全国的な調査により、従来知られていなかった資料を含む多くの能楽関係資料の伝存を確認し得た。これらの資料から収集した能楽関係記事を比較分析することで、諸藩の能楽が従来知られていた以上に多様な担い手によって支えられていたこと、お抱え役者に対する藩の全面的な管理とサポートの様態、藩の所有する能面・能装束の管理の実態など、江戸時代の能楽の具体的な姿を明らかにし、今後の能楽史研究を大きく進める基盤を築くことができた。
著者
安田 一郎 日比谷 紀之 大島 慶一郎 川崎 康寛 渡辺 豊
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

H19年度においては、昨年度に引き続きロシア船を傭船し、約1週間(2007年8月下旬から9月上旬)にわたり千島列島海域の乱流計を用いた乱流直接観測を行うことができた。本年度観測では、昨年度機器の故障により十分な深さまで観測ができなかったブッソル海況西水道において1日連続観測を行うことができた。また、深い混合が予想されたブッソル海況東水道の1点、昨年度オホーツク海側で実施したウルップ海況太平洋側の3点、及び、ムシル海況4点で1日連続観測を行ったほか、重要な観測点で乱流・CTD観測を行うことができた。これらの観測により、千島列島海域には、一般的な中深層での乱流強度の約1万倍にも及ぶ1000cm2/secを越える鉛直拡散が起きていることが実証された。一方、1日の中でも潮汐流に応じて乱流強度は大きく変化すること、また、場所ごとに大きく変化することが明らかとなった。今後、さらに観測を行うとともに、長期観測データやモデルなどを用いてこの海域全体の寄与を明らかにしてゆく必要があることもわかった。また、これら乱流の直接観測データとCTDで取得された密度の鉛直方向の逆転から得られた間接的に乱流強度を比較した結果、乱流強度1桁の誤差範囲で間接的に乱流強度を見積もることができる手法を開発することができた。さらに、木の年輪から得られた長期気候指標北太平洋10年振動指数PDOに有意な18.6年潮汐振動周期を見出し、潮汐振動と気候との位相関係を明らかにした。これにより、日周潮汐の強い時期に、赤道域ではラニーニャ傾向、日本東方海域では高温、アリューシャン低気圧は弱い傾向になることがあきらかとなった。また、千島列島付近の日周潮汐が強い時期に表層の層厚が薄くなり、それが日本南岸まで伝搬することに関連して、本州南岸沿岸海域の栄養塩が上昇する傾向があることが明らかとなった。このように、千島列島付近および亜寒帯海域の潮汐混合は、広く北太平洋に大きな影響を与えていることが示唆された。
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.372, pp.1-22, 1917-12
著者
黒瀬 大介
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

日本各地のイタドリ群落において病原菌の探索を行った結果,さび病菌2種,及び斑点病菌1種が優先的に分布していることが明らかとなった.しかしながら,さび病菌2種については,異種寄生性あるいは英国産自生植物に対して病原性を示すことが判明した.一方,斑点病については年間を通した経時的な定点調査に基づき,病斑が初春から群落全体にわたり急速に形成され,梅雨時には激しい病徴を呈し,晩秋には全ての罹病葉が落葉することが確認された.本病原菌の系統分類学的な位置づけを詳細に解析し,新たにイタドリ斑点病菌Mycosphaerella polygoni-cuspidatiとして再記載するとともに,本属関連糸状菌1種を新種(M.shimabarensis)として提案した.さらに斑点病菌の生活環は不完全世代をもたず偽子嚢殻及び精子器のみを有し,群落内で完結することを解明した.子嚢胞子の形成はin vivoで認められず,菌糸体が感染能を示すことから種源としての利用の可能性が想定された.そのため斑点病菌菌糸体のイタドリに対する最適発病条件を提示するとともに,イタドリに特異的に病原性を示すことを実証した.これらの結果について取り纏め,論文発表を行った.また国内学会では、4月に平成20年度目本植物病理学会大会(松江),7月に日本微生物資源学会第15回大会(千葉),3月に平成21年度日本植物病理学会大会(山形)に参加した.また8月には9th International Congress of Plant Pathology(Torino,Italy)国際学会にも参加した。
著者
高田 啓一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1383, 1996-01-20
著者
白井 汪芳 宮田 清蔵 東原 秀和 八森 章 鳥海 浩一郎 梶原 莞爾 清水 義雄 白井 汪芳 中沢 賢
出版者
信州大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度から5年間の先進繊維技術科学に関する研究拠点形成について、研究業績、拠点形成、国際ネットワーク形成等についてまとめ、21世紀COE先進ファイバー工学研究教育拠点への移行を進めた。研究業績面では、8班による研究により、多くの研究論文、特許、事業化を行い、このような基礎研究がナノファイバーテクノロジーの開発、ハイパフォーマンス繊維の開発、新バイオファイバーの開発、オプトエレクトロニクス繊維およびデバイス化技術、環境・ヘルスケア機能繊維開発、特殊機能系、不織布およびそれらの生産システム開発、繊維生産ロボティクス、感性産業要素技術開発など新しい繊維総合科学技術に向けての実績を得た。本COE研究では、萌芽・基礎研究、応用研究から事業化・起業化へ向けての産学連携プロジェクト研究までを行ってきたが、開発研究を行う産学連携拠点としては研究交流促進法の全国で2例目になる、アサマ・リサーチエクステンションセンター(AREC)をキャンパス内に設置し、平成13年2月より稼動させ、5テーマの開発研究に着手した。さらに、国際ネットワークの形成としては、平成14年度は11月に第2回先端繊維上田会議、第2回アジア若手繊維科学技術会議、第1回日米欧3極会議を上田市内のホテルおよび信州大学繊維学部内で開催した。8月にはアジア繊維学会発会式を韓国大邱市嶺南大学で開催し、本拠点が事務局となることを決定した。
著者
井上 栄 彦坂 令子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.163-167, 2008-09-30 (Released:2008-11-11)
参考文献数
10

植物性食品蛋白の9種必須アミノ酸組成は, 動物性蛋白と大きく異なる。我々は, 食品の必須アミノ酸組成が理想に近いものかどうかを見るために, 必須アミノ酸の “桶” の概念図をグラフ化した。理想的なアミノ酸組成としては, FAO/WHO/UNUが1985年に定めたアミノ酸評点パタンを基準とした。グラフ作成にあたって, 食品の各必須アミノ酸含量相対値として, 食品の全蛋白 (20種アミノ酸) 単位量当たりの各必須アミノ酸含量でなく, 9種必須アミノ酸含量の幾何平均値で各必須アミノ酸含量を割った値を用いた。このグラフを使って主要な植物性蛋白を比較すると, アミノ酸スコアの高い豆類・ソバ粉以外に, アミノ酸スコアの低い栗, カボチャ, ジャガイモもバランスの良い必須アミノ酸組成を持っていることが分かった。栗は縄文時代の三内丸山住民が食べていたものであり, カボチャは中米メキシコでトウモロコシ+インゲン豆とともに食べられ, ジャガイモは南米インカ帝国での主食であったが, それら植物性食品はエネルギー源のみならず蛋白源としても重要な食料であっただろう。
著者
板生 知子 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.730-739, 1999-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
27

ユーザの要求とコンテクスト(ユーザのおかれている状況)に応じて, マルチメディアネットワーク上のサービスを利用するための環境(サービス環境)を動的に構成する適応型ネットワーキングサービス環境DANSE(Dynamically Adaptive Networking Service Environment)を提案する. DANSEは, ハードウェアからソフトウェアまでのあらゆるサービス構成要素を統一的にネットワークリソース(NR)として扱い, サービス実行時にユーザ要求やコンテクストに応じて必要となるNRを探索し, これらを組み合わせてサービス環境に割り当てる. ユーザが要求するサービスに必要なNRがそろわない場合は, コンテクストに応じた代替案を提案する. これにより, ユーザは意識せずとも常にNRをコンテクストに応じて組み合わせたサービス環境を利用できるようになる. また, 従来ならサービス内容の実現をあきらめていた状況にあっても, 代替案を示すことでネットワークは可能な限りユーザの要求にこたえることが可能となる. 更に, DANSEの機構を利用すれば, 既存のNRを利用し, サービス実施手順を規定するだけでサービスを作成し, 提供できるようになる.
著者
竹村 和久
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、過程追跡技法などの心理学的方法論や数理計量的方法論を用いて、社会経済環境における判断と意思決定現象を解明し、社会経済現象を意思決定過程分析より明らかにすることであった。意思決定過程は、我々の社会生活や社会経済環境において容易に見出される現象であり、人々は、このような社会経済環境の中で意思決定を行っているのである。それ故、社会経済環境での意思決定過程に関する研究は、社会経済現象の理解にとって有用であると考えることができる。意思決定現象を説明する上では、効用理論が代表的な理論である。効用理論は、多くの意思決定現象を説明することに成功しているが、意思決定の記述の仕方や意思決定手順やその他の外的課題状況の影響による状況依存的意思決定を説明することには成功していない。例えば、トゥベルスキーとカーネマンが示したように、客観的には同じ意思決定問題であっても、その意思決定問題の記述が異なることによって、その心的構成が変化して、異なる意思決定の結果になるような現象が存在するのである。本研究では、まず第一に、なぜ効用理論の体系が状況依存的意思決定を説明できないのかを明らかにした。この効用理論には、ランク依存効用理論のような非線形効用理論でさえ含まれることを指摘した。第二には、社会経済環境における状況依存的意思決定を説明する新しい意思決定の定性的モデルを提案した。第三には、社会調査や面接技法や理論的分析を通じて、判断と意思決定に関する社会状況の基本的なタイプを明らかにした。第四には、いくつかの心理実験を通じて、社会経済現象における状況依存的判断と意思決定の定性的特徴と定量的特徴を明らかにした。第五には、過程追跡技法などを用いてリスク判断や意思決定の認知過程の定性的特徴を明らかにした。第六には、心理実験や社会調査の知見をもとに、ファジィ集合論を用いた心理計量モデルや社会経済環境における判断と意思決定を説明する数理モデルを作成した。これらの知見は、国際学会や国内学会で発表された。また、いくつかの知見は、学術誌において公刊されている。