著者
細矢 良雄 伊藤 知恵子 伊藤 知恵子
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

電波伝搬の研究は, 無線通信回線設計の基本である. 信頼性がありかつ経済的な無線通信回線を設計するには, 事前に当該地域の気候などを考慮して伝搬特性を推定する必要がある. 本研究では, 特に降雨時の伝搬特性につき, 全世界的に入手可能な地域気候パラメータを用い世界的に適用できる精度良い推定法の作成を目指し, 熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載降雨レーダデータを用いた解析を行い, 全世界的に入手可能な雷雨率が, 降雨時伝搬特性推定法に用いる有望なパラメータであることを明確にした.
著者
高橋 義行 高田 正司 小田中 芳次 井園 佳文 長岡 広行 沼田 京太 藤田 俊一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.378-382, 2002-11-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

宮崎県佐土原町の圃場において, キャベツを定植した灰色低地土の緩斜面圃場(A1 : 1.7°, 5a)で1997年5∿7月の梅雨期に地表水の流出が計13回観察された.この圃場にダイアジノン粒剤の定植時処理(a.i. 300 g/10 a), その55日後にTPN (400 mg/l)とジメトエート(430 mg/l)の混用液(239 l/10 a), その8日後にTPN, ダイアジノン(400 mg/l)とジメトエートの混用液(224 l/10 a)を散布した.表流水によって流出したTPNの96%(流出直後)から47%(終了直前)は, 浮遊物質(SS)とともに流出した.一方, ダイアジノンとジメトエートはそれぞれ33∿44%および1%とほぼ一定の割合でSSとともに流出した.また, 同年9∿10月の台風時期にはA1圃場の傾斜を1.15°に調整した圃場(A2)と黒ボク土の圃場(B, 5 a, 傾斜1.15°)にダイコンを播種して地表水の流出頻度を比較した.その結果, 灰色低地土では4回, 黒ボク土では台風時の降雨によって2回の地表流出が認められた.灰色低地土のA1圃場では平均降雨強度5 mm/hr前後以上で, A2圃場では10 mm/hr以上の降雨によって, また黒ボク土のB圃場では20 mm/hr以上の降雨によって地表水の流出が生じた.さらに, 人工降雨装置を用いた屋内小規模地表流出試験系でも灰色低地土からは黒ボク土よりも容易に表流水が発生した.
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2009-08-28

2009年度日本建築学会大会(東北). 平成21年8月26日~平成21年8月29日. 仙台市.
著者
大野 邦夫 デウィヘラワティ 須藤僚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.114, pp.57-64, 2008-11-20
被引用文献数
1

情報技術の急激な進展を背景として雇用形態が変化しつつある。かつての終身雇用から転職が当たり前の社会になりつつある。そのような状況において職譜詣力を提示するには、履歴書で自己のキャリアを主張する能力を必要とする。ジョブカードはまさにその趣旨に合致する制度と言えるであろう。本報告では先ずジョプカードについて紹介する。次に米国で普及しつつある雇用関連の規定である HR-XML と非公式教育の国際標準として企画されている ISO / 10232 について紹介する。さらに、我々自身の研究として UML によるジョブカードのモデル化、インドネシアからの看護師受入プロセスのモデル化についての検討経過を紹介する。Situation of employment is changing according to the rapid information technology development. Though lifetime employment system was essential for major Japanese companies, job change has become very common recently. Under such a situation, vocational ability means career development ability to write his or her vocational history as resume or CV (Curriculum Vitae). Job Card seems suitable system for those social background. In this paper, Job Card System is explained at first, then HR-XML System which becomes popular in US is introduced, and the work of ISO/TC232 which plans to standardize non-formal education is also introduced. After those, our activity ofmodeling Job Card System based on UML and modeling the process of Indonesian health care worker acceptance is described.
著者
森内 浩幸 有吉 紅也 大沢 一貴
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ベトナム中南部で2222組の母子を対象とする出生コホートで、種々の母子感染の研究を行った。先天性サイトメガロウイルス感染を0. 54%、(非流行時に)先天性風疹感染を0. 13%に認めた。母体のB型肝炎キャリア率は12. 5%、既感染も加えると58. 8%の高率であった。2歳児の調査ではB型肝炎キャリア率は1. 9%に認めた。2011年初頭の風疹流行に続いて先天性風疹症候群の発生が増えており、これまでに36名の患児の疫学・臨床的解析を行った。
著者
酒井 滋 山川 達郎 石川 泰郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.2635-2639, 1991-10-01
被引用文献数
7

1990年5月29日から1991年2月までの約10か月間に教室を受診した胆嚢摘出術を要した患者は91症例あり,このうち56例(61.5%)が腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応となった.この56例の全てに本法を試み,52例(92.9%)が本法による胆嚢摘出に成功し,残る4例(7.1%)は術中に開腹術に変更された.開腹術に変更された理由は急性胆嚢炎1例,胆嚢管・胆嚢動脈の剥離困難1例,胆嚢周囲の高度の大網癒着2例であった.開腹術となった急性胆嚢炎の症例ではクリップが充分かからず胆嚢動脈が断裂したためであった.一方,本法の適応から除外された35例の理由は,総胆管結石の合併,急性胆嚢炎,上腹部の手術既往,胆嚢管の閉塞,Mirrizi症候群,胆道奇形,胆嚢結腸瘻等であった.本法を施行する外科医は合併症を防ぐために術中対処困難な事態が生じた際は,開腹術へ変更することを躊躇すべきではない.
著者
伊木勝道
雑誌
兵庫医師会医誌
巻号頁・発行日
vol.43, pp.26-28, 2000
被引用文献数
8
著者
橋本 哲男 石田 健一郎 稲垣 祐司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

フォルニカータ生物群は嫌気環境に生育する鞭毛虫からなる系統群であり、環境DNA解析から多様な生物種の存在が示唆されている。これまでに調べられたいずれの生物も、酸素呼吸を行う典型的なミトコンドリアをもたず退化型のミトコンドリアをもっているため、ミトコンドリアの縮退進化を解明する上で適切なモデル系と考えられる。しかしながら、実際に単離・培養されているフォルニカータ生物の種類は必ずしも多くないため、自然環境中から新奇フォルニカータ生物を見出すことを目的として研究を行った。これまでに数種のフォルニカータ生物を含む10種以上の新規嫌気性真核微生物の単離・培養株化に成功し、一部については記載を行った。
著者
天野純司
雑誌
外科 Mook
巻号頁・発行日
vol.52, pp.85-96, 1989
被引用文献数
64
著者
柴崎 徳明 蓬茨 霊運
出版者
立教大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

超強磁場中性子星が発見されたので、その研究をミリ秒パルサーの研究に優先させ行い、以下のような成果を得た。X線、ガンマ線を爆発的に放射する天体がある。今までに4例見つかっており、Soft Gamma Repeaters(SGR)と呼ばれている。私たちは、1998年の4月と9月、X線天文衛星「あすか」でこの内の一つSGR1900+14を観測した。その結果、定常的なX線放射を検出し、その強度が5.16秒の周期で振動していることをみつけた。このパルス周期は1.1×10^<-10>ss^<-1>の割合で伸びていた。さらに、X線のスペクトルはベキ型であることも見い出した。これらの観測事実をもとに考察、検討を重ね、つぎのようなことが明らかになった。(1)パルス周期とその伸び率から、バルサーは〜10^<15>Gという超強磁場をもつ中性子星(マグネター)である。(2)解放される中性子星の回転エネルギーは少なく、定常X線成分を説明できない。エネルギー源はたぶん磁場そのものであろう。(3)定常X線成分は、中性子星表面からの熱放射ではなく、たぶん磁気圏からの非熱的放射であろう。中性子星が誕生する際、その回転がたいへんに速く周期がミリ秒程度のときは、ダイナモメカニズムが強くはたらく。その結果、磁場は〜10^<15>Gぐらいまで成長し、マグネターができると考えられる。私たちはマグネターの磁場の進化および熱進化について調べ、次のような結果を得た。(1)コアの磁場は、ambipolardiffusionにより10^4年ぐらいで一様にはなるが、大幅に源衰することはない。(2)中性子星全体としての磁場の減衰はコアとクラストの境界あたりでのジュール損失できまり、減衰のタイムスケールは10^8年以上である。(2)解放されるジュール熱により、中性子星の表面温度は10^6年から10^8年以上わたって、〜10^5K以上に保たれる。
著者
水野 正朗
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 : 日本教育方法学会紀要 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-12, 2009-03-31

本論文では,文学テクストを教材とした国語の授業において,児童生徒から提出される多様な解釈をどのように扱うべきかという問題を,現代文学理論や記号論を手がかりに理論的に検討した。その結果,イーザーの読書行為論から,文学テクストは多様な解釈への潜在的な可能性を持つが,その可能性の幅はテクストに内在する戦略によって一定の幅に制限されていること,エーコの記号論から,文学テクストは文化的・社会的共同体における間主観的な合意の原理によって意味が規定されること,フィッシュの「解釈共同体」の理論から,解釈間の相互規定関係が重要であることが示唆された。さらに,スコールズの文学教育理論から,広義の「読み」のプロセスの中に「読むこと」「解釈」「批評」という3層が含まれ,それらが相互にかかわり合いながら,読みを動的に発展させていくことが示された。学級という学習共同体のなかで営まれる読みにおける個人思考と集団思考の関係は,必要となる読みの課題の特性によって動的に変化しつつ発展する。児童生徒と教師が,多様な解釈の可能性を前提にして討論することで,個々の認識を包含しつつ高いレベルで調和した読みが社会的に構成される。そして,その共同体内で開示され共有されたテクストの経験が,学習者の経験の蓄積に組み込まれることで,学習者それぞれの自己発見や自己変容を誘い,一人ひとりの主体的な読みを開くのである。
著者
宇山 智彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中央アジアに関してはこれまで国単位の研究とコミュニティ・レベルの研究が主流であったが、本研究ではその中間である州レベルの史料を集め、分析した。中でも特色ある地域としてタジキスタン東部のパミールとカザフスタン西部の旧ボケイ・オルダに注目し、両地域における諸文化の交流や共存の様相を明らかにした。また、タジキスタン内戦やクルグズスタン革命において地方意識が持った多面的な意味を分析した。
著者
山元 隆春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.49-57, 1996-01-10

<誤読>が積極的な意味を帯びるのは、それが私たちの既存の価値観を揺さぶる時である。本稿においては、<誤読>を単に正しい読みに対立する概念としてではなく、代案としての様々な読みを示す営みを指すものとして捉えた。リチャーズやリファテールの読みの理論を批判的に捉えた上で、主としてスコールズの<対抗的に読むreading against>という考え方に依拠しながら、一次的なテクストに対するもうひとつのテクストを読者が産み出し、その営みを通じて読者としての主観性を形成することが、出来事としての読みを誘うことに繋がると論じた。
著者
大林 茂
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

仙台空港には電子航法研究所(ENRI)により後方乱気流の検出を目的としたドップラーライダが設置されている。我々のグループでは、仙台空港において実フライト機を対象とした後方乱気流の計測を過去3年間継続的に行ってきており、あらゆる条件下における後方乱気流の位置データを保有している。我々のグループでは、ライダ計測値からの後方乱気流の自動抽出法を開発しており、開発した自動抽出法を全ての観測データに適用することにより、後方乱気流移流データベースを構築した。このデータベースにより,減衰過程と気象因子との相関関係を得て、時々刻々変化する気象条件に照らし合わせて後方乱気流の挙動を事前に予測することができると考えられる。そのため、構築した後方乱気流移流データベースにデータマイニング手法を適用した。それにより、気温の影響により後方乱気流の垂直移動距離が変化することを示すことができた。また、我々のグループでは数値流体力学シミュレーション(CFD)を利用した後方乱気流の挙動解析をベースとした離発着効率化をこれまで検討してきた。これまでは,実際の運航に近い技術になるほどCFDシミュレーションの果たす役割は大きくなかった。その理由としては、CFDシミュレーションが理想状態の解析を得意とし、大気乱れを含むような実環境下における後方乱気流の挙動を予測することが困難であることが挙げられる。そこで、従来のCFDシミュレーションとは異なる初期値・境界値の設定方法を行うために局地気象予報モデルを利用したネスティングシミュレーションも行った。これにより、仙台空港周辺で特に卓越する海風中に発生する水平ロール対流の中での後方乱気流の挙動を再現することができた。
著者
サロインソン ファビオラ ベイビ 坂本 圭児 三木 直子 吉川 賢
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-20, 2006-08-31
参考文献数
15
被引用文献数
1 9

拡大しつつあるハチク林の動態を明らかにするため,落葉広葉樹二次林に隣接するハチク林で稈のセンサス調査を12年間継続した。落葉広葉樹二次林と接する部分では,稈の葉群が林冠木の樹冠より高い場合や樹冠と接する場合があり,ハチク林の拡大を可能としていると考えられる。ハチク林では,落葉広葉樹二次林へ稈を侵入させることによって,林分の稈密度と地上部バイオマスが増加し,最前線の稈の位置は落葉広葉樹二次林の方向へ12年間で7m距離を伸ばした。侵入している稈のサイズは,竹林内部の稈のサイズと異なっていなかった。一方,ハチク林拡大の過程で,ハチクによる被圧のため下層木の枯死が著しかった。
著者
八木 秀司 謝 敏カク 佐藤 真
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

中枢神経系の発生において神経細胞の移動と増殖に関与すると考えられたFilip分子とFilip相同分子の機能解析を通じ、神経発生における新たな調節系を明らかにすることを目的として本研究を行った。その結果、細胞骨格関連分子がFilip分子とFilip相同分子に結合することを見いだした。この結合を通じてFilip分子が結合分子の機能を調節していることを見いだし、神経細胞におけるFilip分子の新たな機能を同定した。
著者
望月 哲男 亀山 郁夫 松里 公孝 三谷 惠子 楯岡 求美 沼野 充義 貝澤 哉 杉浦 秀一 岩本 和久 鴻野 わか菜 宇山 智彦 前田 弘毅 中村 唯史 坂井 弘紀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ロシア、中央アジア、コーカサス地域など旧ソ連圏スラブ・ユーラシアの文化的アイデンティティの問題を、東西文化の対話と対抗という位相で性格づけるため、フィールドワークと文献研究の手法を併用して研究を行った。その結果、この地域の文化意識のダイナミズム、帝国イメージやオリエンタリズム現象の独自性、複数の社会統合イデオロギー間の相互関係、国家の空間イメージの重要性、歴史伝統と現代の表現文化との複雑な関係などに関して、豊かな認識を得ることが出来た。