著者
大下 誠二 後藤 常夫 大塚 徹 槐島 光次郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.15-22, 2011 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

本研究は,東シナ海におけるウルメイワシの成長や成熟特性を求めたものである。月別の体長組成から年齢毎に正規分布を仮定して平均体長を求め,成長曲線を推定した。その成長式は BLm=244.8[1−exp {−0.10(m−0.55)}] で表された。ただし BL および m は被鱗体長とふ化後月数である。鱗による年齢査定と耳石による日齢査定からも本結果を裏付けた。生殖腺を組織学的に検討し,産卵期間は 12 月から 6 月であり,産卵期間中に複数回の産卵を行うことが明らかとなった。成長式と体長・成熟率の関係から推定して雌雄とも満 1 歳から産卵もしくは排精することがわかった。
著者
三浦 和起 日野 英逸 村田 昇
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.9, pp.1-6, 2010-12-09

時系列の予測は古くからある重要な問題であり,特に株価の予測は経済動向の予測や資産運用の指針として需要が高い.コンピュータ性能の発達と共に,学習理論を用いた経済時系列データに関する研究が活発に行われているが,株価のメカニズムを捉えることは依然として困難な問題である.本稿では,単一の予測モデルにより株価を一点で予測するのではなく,複数の予測モデルの学習を行い,各モデルに適切な重みを付けることで予測値の分散を低減する手法を提案する.基礎となる予測モデルは遺伝的プログラミングを用いて構成する.各予測モデルの重みは,学習用データと予測モデルの出力値とのクロスエントロピーが最小となるように定める.提案した予測手法の有用性を,人工データ及び日経平均株価の 1 分足の予測によって検証する.Prediction of time series data is a long standing important problem. Especially, prediction of stock price is much in demand for forecasting the economic trend and guideline for asset maintenance. Although there are growing number of studies on learning theory based time series prediction, the prediction of stock prices is still being very difficult task. In this study, the stock prices is predicted not only using one predictor, but using a set of predictors generated by the method of Genetic Programming (GP). Each element predictor is given non-negative weight, and the weight is optimized to minimize the cross entropy between the true learning stock prices and the weighted sum of predicted values. The proposed stock price prediction method is evaluated using both an artificial data and real-world stock price data.
著者
白木 顕介 坂根 裕 杉山 岳弘 竹林 洋一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第18回 (2004)
巻号頁・発行日
pp.181, 2004 (Released:2006-02-11)

DJ(Disc Jockey)と観客の音楽コミュニケーションを活性化する新しいクラブ環境をデザインした.観客のノリをDJに伝え,DJが豊かな演奏表現でそれに答えられる音楽環境をデザインすることで,DJと観客のインタラクションを活性化する.
著者
近藤 和彦 石井 康之 伊藤 浩司 沼口 寛次
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.60, pp.50-53, 1994-03-11
被引用文献数
1

春播き(4月5日播種)および秋播き(1O月1日播種)のベントグラスにおいて,冬期の乾物生長に対する生長調節剤処理の影響について検討した。生長抑制剤バウンティ散布区(B区),蒸散抑制剤ミドリテール散布区(M区)および対照区(C区)を設け,B区は11月中旬に1回のみ,M区は11月中旬より2週間間隔で,春播きは計8回,秋播きは計上0回処理した。地上部乾物重は,処理後4週間目ではB区が最も小さかったが,春播きでは2月11日以降,秋播きでは1月7日以降B区の地上部重が他の2区よりも大きくなった。秋播きの刈株乾物重および葉身重比率は,B区が一貫して他の2区よりも有意に大きかった。茎数は,生長抑制剤処理により増加し,その処理の影響は秋播きの方が大きいことが示された。これは処理開始時までの茎数が,秋播きでは少なく,茎数増加期に相当していたことによると推察された。したがって,地上部重の区間差は、主に茎数の差によっていた。クロロフィル濃度は宇B区の値が他の2区より高く維持された。M区の生長経過はC区に比べて優ることはなかった。以上により,冬期における生長の抑制と葉身の退色を緩和するには,秋における生長抑制剤の散布は有効であると推察された。
著者
小泉 孔二 入江 恭子 横山 仁 保坂 恭子 竹崎 徹 小山 敏雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.652-655, 2008-07-20
被引用文献数
2

67歳,女性.近医での膀胱鏡にて膀胱癌を疑われ,2003年4月5日当科を紹介受診.膀胱鏡にて栂指頭大広基性乳頭状腫瘍を認めた.2003年4月22日TUR-Btを施行.病理はUC,G3,pTlであった.その後膀胱内に再発は認めなかったが,2006年11月CA19-9およびCEA高値を指摘され当科再診.CTにて骨盤内リンパ節腫大を認めたため2006年12月5日開腹生検を施行.病理診断はmicropapillary patternを有するUCであった.小骨盤腔に放射線照射60Gyを行い画像上CR,マーカーも正常化した.2007年7月時点では再発を認めず経過観察中である.
著者
田崎 和江 長谷川 香織 松本 和也
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.87-104, 2002-03-25

かつての鉱山活動は重金属を外界に排出し,今日でも水質や土壌汚染の原因となっている.岐阜県神岡町にある大規模なZn-Pb鉱山の一つである神岡鉱山は,神通川の重金属汚染源となってきた.Cd,Pb,ZnそしてFeなどの重金属が高原川-神通川水系に未処理のまま廃棄され,下流域の住民の健康に影響を与えた.重金属の中でも特にCdは,イタイイタイ病の病原物質と見なされた.Cd汚染問題は未だに解決されていない.消石灰を投入し,中和凝集処理された廃滓の沈殿池が神岡鉱山にいくつか存在する.廃滓や廃棄場から排出された汚染水は,神通川の上流の高原川に流れ込んでいる.本研究では,重金属を含む堆積物の特性を明らかにするため,高原川-神通川水系にある五つのダムの堆積物を採取した.ダム堆積物の鉱物的・化学的組成を明らかにするため,それぞれの試料についてXRD,ED-XRFによる分析を行った.その結果,神岡鉱山の上流域に位置する浅井田ダムの堆積物はCd,粘土鉱物そして有機物が少なく,神岡鉱山の下流域に位置する新猪谷ダム,神通川第一,第二,第三ダムにおいては,汚泥,スメクタイトそしてZn,Cdのような重金属が多く含まれていることが明らかになった.また,本研究では,水中の重金属の浄化能力を見積もるための実験を行った.その結果,バクテリアを使ったバイオレメディエーションは重金属の固定に効果的であることを示した.室内実験系においてバイオフロック中の糸状菌は,一週間で細胞壁の表面にPb,Zn,Cdを選択的に濃集した.バイオレメディエーションの能力を持つバクテリアは,鉱山地域における下流のダム堆積物中でも重金属を固定する重要な役割を演じている.
著者
田村 紘基 大喜多 鋼治 片山 則昭 古市 隆三郎
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.831-836, 1994-11-05
被引用文献数
1 7

土壌や底質の主要成分である酸化鉄(III)粒子と接触する自然水や汚染水の水質の理解とその変動の予測のために, 次の仮定の下で二価重金属イオンの吸着反応のモデル化を行った.1)重金属イオンと酸化物表面水酸基プロトンとの(1 : 1)及び(1 : 2)交換反応による表面錯体形成, 2)表面被覆率の増加に伴うGibbs自由エネルギー変化の線形増加による吸着抑制.モデルパラメーターとして表面錯体の安定度定数及び吸着抑制定数を決定し, イオンの吸着親和性を求めた.その序列はCo^<2+>&le;Zn^<2+><Cu^<2+><Pb^<2+>であった.これらのイオンの表面錯体の安定度定数とヒドロキソ錯体の安定度定数の報告値との間には, よい相関が認められた.これは, ヒドロキソ錯体と同様に, (格子)酸化物イオンから(吸着)金属イオンへの電子対供与を考える表面錯体モデルを支持する.
著者
太田 清久 AMIN Nurul Md AMIN Nurul Md.
出版者
三重大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

現在、バングラディッシュなどの一部の地域で問題となっている砒素中毒症は、主に地下水の砒素汚染に原因がある。したがって、バングラディッシュで主に燃料として利用されており、廃棄物である稲、籾殻、使用済みの茶葉、ココナッツの殻などを細かく粉砕してカラムに充填し、3価と5価のヒ素の吸着除去を試みた。ヒ素汚染水の浄化は、これまで様々な手法が試みられてきたが、簡便で実際にバングラディッシュの実用にあった手法はほとんどなく、現在も汚染した地下水を飲料用として飲み続けている状況である。本手法は、バングラディッシュで手に入れることができる廃棄物を利用して吸着除去を試みた。その結果、稲がヒ素除去を行うために有効なろ過材であることを見出した。現在、3価のヒ素の除去は比較的難しいため、5価に酸化してから除去処理を行っているが、本吸着除去では、3価のヒ素も5価と同様に吸着除去できることが分かった。さらに、それらに熱的処理を施すことにより、活性炭のような炭化処理を行い、除去効率の向上を図った。最終的には、吸着力の非常に高い浄化材として熱処理した籾殻が、バングラディッシュなどで問題となっているヒ素汚染された地下水の浄化に有効であることが分かった。酸化剤などを用いた処理を行うことなく、直接浄化処理を行って、ヒ素を取り除く手法を開発することができたため、砒素中毒症の改善が期待される。
著者
傅 暁宇 浦浜 喜一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.303-306, 2011-04-01

主要物体の形状を保って画像のサイズを変える重要度拡散リサイジング法において,重要度を複数の行や列に拡散させ,同時に画素値の色も拡散させる拡張法を提案し,重要度を両隣の行や列に拡散させるだけの方法よりも画素値の不連続や物体ひずみ,ジャギーなどが低減されることを実験で示す.