著者
緒方 和博
雑誌
科学研究費補助金研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-5, 2009-04-10

証明支援系とモデル検査器を効果的に利用できるよう、定理証明向きのシステム仕様をモデル検査向きのシステム仕様に自動変換する方法を考案した。変換により、モデル検査向きのシステム仕様が大きくなりすぎて効果的にモデル検査ができなくなることを防ぐための工夫を行った。提案した変換方法の有効性を確認するため、電子商取引プロトコルiKPとMondexの検証実験に適用した。また、変換を支援する変換ツールの拡張性の高い実装方法も提案した。この実装方法では、複数の変換規則をモジュラーに組み入れることを可能にする。
著者
金森 正雄
出版者
京都府立大学
雑誌
西京大学学術報告. 農学 (ISSN:03709329)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.86-97, 1953-01-25

甘藷の護國種についてこれを7∿17℃に貯藏してゐる間に於ける水分, 糖類, ascorbic acidの消長を定量してその相互関係について考察した。(1) 農林2号種を10月25日, 11月10日, 11月27日收穫のA, B, C区に分つて15°内外で地窩貯藏庫に貯藏し, その間1ケ月毎に可食部の各種成分を定量して, その間に於ける諸成分の消長及び夫々の相関関係について考察した。(2) 1年貯藏した旧甘藷と新甘藷とにつきその成分を比較して貯藏法並に品質について考察した。(3) 農林2号種は護國種に比して耐貯藏性も含有成分も共に優れていることを認めた。(附記, 本実驗Iは1943年10月より1944年5月迄及び実驗IIは1944年10月より1945年9月迄の貯藏実驗結果であつて, 一部は1944年4月6日京都大学及び1946年4月5日果実及蔬菜貯藏の研究290頁に発表記載し1946年5月29日農藝化学会例会にて発表した)里芋5種について, その普通成分を定量比較し, これを12月上旬より約6ケ月室温に貯藏して1ケ月毎にascorbin酸を定量して貯藏中に著しく減少しないことを明にした。本実驗について御指導御鞭韃を賜つた恩師京都大学近藤金助教授に深甚の謝意を表し, 併せて実驗試料の入手に特別の御配慮を願つた京都大学松本熊市教授に深謝する次第である。
著者
経塚 雄策 梶原 宏之 柏木 正 中村 昌彦 磯辺 篤彦 濱田 孝治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究では特に水車の起動トルクを大きくするために回転軸にサボニウス形水車を取り付けることを試みた。サボニウス形水車は、半円形のバケットを複数個組み合わせた水車でバケットの抵抗が流れの方向によって変化することを利用する。起動トルクが大きいので、ダリウス形水車と組合せることによって低回転から高回転までの広い範囲で良好な性能を期待できると予想された。はじめに半円形バケットの流力特性を求めるために風洞実験により、半円形バケットの定常流中の揚力、抵抗およびモーメント係数を求めた。次に、回流水槽において、流れの中でサボニウス形水車を回転させてトルクを計測した。さらに、サボニウス形水車とダリウス形水車を組合せて回流水槽で実験を行った。サボニウス形水車により低回転域では起動トルクが大きくなり起動特性は改善されたが、一方、ダリウス形水車が高性能を発揮する高回転域においてはダリウス形水車単独の方が高性能であることが判明した。これは、サボニウス形水車を付加することによって水車周りの流れが変化するためであると考えられ、結局は起動トルクをとるか、水車効率をとるかの選択になるものと思われるが、無回転では水車効率はゼロとなるので我々の場合にはサボニウス形水車を付加することを選択した。最後に、曳航水槽において48極コアレス発電機(1KW)によって発電実験を行い、発電量から最終的なパワー係数を求めたところ最大で約0.2を得た。これは、発電機効率が0.7くらいとみられるので、水車効率としては約0.3であり、良好な性能であると思われた。この実験結果を用い、長崎県生月大橋の橋脚横で実海域実験を行うプロトタイプのダリウス-サボニウス形水車を製作し設置を行った。
著者
砂田 寛司 堀越 哲郎 榊原 学
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.65-75, 2009-03-31

これまでの研究でヨーロッパモノアラガイの成体(殻長21 〜 26 mm)を用い,嫌気状態下での呼吸行動を1回のKCl 提示により減少させるone-trial conditioning を行うことにより長期記憶が形成されることと,オペラント条件づけにおいて,モノアラガイの捕食者であるザリガニの溶出物(crayfish effluent: CE)を含むザリガニ飼育水中で,条件づけを行うと,pond water(PW)下でトレーニングを行ったときと比較し,長期記憶の保持時間が延長されることが報告されている(Lukowiak et al., 2008).本研究ではCE 環境のone-trial conditioning に対する長期記憶の形成と,延長の効果を成長段階で呼吸様式の変化がある幼生(殻長12 〜 16 mm)と成体に分けて検討した.長期記憶の形成に伴う電気生理学的な活動の変化を,呼吸行動の中枢リズム発生器(CPG)であるRPeD1 と,RPeD1 を抑制的にシナプス結合する殻引込みの介在ニューロンRPeD11 から記録した.その結果,幼生においてPW 環境でトレーニングしても長期記憶は形成されないが,CE 曝露後に行うトレーニングにより長期記憶が形成された.また成体ではCE 曝露後のトレーニングでは長期記憶の保持時間は延長した.またRPeD1 で見られる電気生理学的な活動の減弱は,少なくともRPeD11 がもたらす興奮性増大の影響を受けていることが示唆された.
著者
根津 朋実
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

第三年次の研究を遂行した結果、以下の知見を得ることができた。1.2005年4月以降、月に1〜2回の頻度で、小学校低学年に対し25人程度学級を実施している埼玉県志木市の一小学校において、観察調査を実施した。今年度は、1年生の24人学級を観察した。年度内に10回程度の終日観察を実施した結果、生活面の諸指導において、就学前の「痕跡」、および担任による「痕跡」の消去を、それぞれ認めることができた。就学前の幼稚園等における規律は、施設により実に多様であるため、入学後ごく初期の段階で再提示される必要が生じていた。すなわち、入学直後から「班」は明確に組織されず、むしろ、列の作り方、テストの受け方、給食の配膳の仕方等、学校生活の基本的な部分を担任が丁寧に指導する場面を頻繁に目撃した。担任からの聴きとり結果をあわせて考えると、一学級あたりの人数が少ないことは、こうした生活面での指導の容易さに直結すると結論できる。2.昨年度実施した志木市教育委員会による大規模な質問紙調査の結果を分析し、結果を関連学会で発表するとともに、分担執筆の著書にまとめた。この調査は、志木市内低学年保護者・低学年担任・中学年児童(低学年での少人数学級経験児童)を対象とした、大規模の悉皆調査であった。分析の結果、教科学習において、算数以外に実技系教科を中心に少人数学級の有効性が認められていること、児童の速やかな学級適応に効果があると考えられていること、保護者と担任教員との間に認識の相違があること、および児童は学年進行にともなうクラスサイズの拡大を希望していることが、それぞれ見出された。この結果は、導入から日が浅い少人数学級の教育効果を実証的に示した点で、きわめて注目に値する。
著者
向井 信彦 中川 真志
出版者
武蔵工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、血管の変形と血管を傷つけた際に発生する出血を同時に実現して性能評価を行うと共に、単体の計算機だけではなく複数の計算機をネットワーク結合した手術シミュレータシステムを構築して、処理の高速化に関する検討を行った。さらに、従来の血管モデルでは血管径を一定とした変形にしか対応できないため、血管径の変化も考慮したモデルを考案し、大動脈手術のような血管そのものの手術にも対応できるモデルと変形手法を構築した。
著者
高野 文雄 谷口 汎邦 山口 勝巳 石田 有作
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.485, pp.107-116, 1996
被引用文献数
4 4

We defined the unit called "the Research Organization Unit" as basic unit consisting of staffs and students for research in the faculty of engineering. This study is analyses of the area of rooms, the formation of members and the evaluation of the area of the research organization units. The results are as follows; 1) 0ne third of the research organization units prossess the rooms for common use with other units. 2) The staffs of 80% research organization units are dissatisfied with the area of their rooms. 3) In case of the area per person is under 16 m^2, the rate of the research organization units whose staffs are disssatisfied with the area is over 50%. It is necessary that the area of research organization units are claimed based on a number of menbers.
著者
熊谷 英彦 玉置 尚徳 鈴木 秀之 山本 憲二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1.(1)大腸菌γ-グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)の転移活性を利用して、γ-グルタミル-DOPA、γ-グルタミル-リジン、γ-グルタミルグルタミンを酵素合成した。この結果、γ-グルタミル-γ-グルタミル-DOPA、α位またはε位がγ-グルタミル化されたリジン、γ-グルタミル基が3重につながったグルタミンの合成が明らかになった。(2)大腸菌GGTの低温(20℃)での高発現について、その機構の解明を試みた。その結果、低温でのmRNAの発現量が高くまた低温でmRNAの安定性が高いことが明らかになった。(3)大腸菌GGTのX線結晶構造解析を行いその主鎖構造を明らかにした。(4)大腸菌でのグルタチオン代謝においてGGT反応によってペリプラスムで生成するシステイニルグリシンは、細胞内に取り込まれそれぞれの構成アミノ酸へ分解されること、その際ペプチダーゼA、B、D、Nのいずれもが作用することを明らかにした。ペプチダーゼBについては精製しその性質を解明するとともに、遺伝子のクローニングを行った。2.(1)ビフィズス菌β-グルコシダーゼの遺伝子を大腸菌にクローニングし、大腸菌のβ-グルコシダーゼ高発現株を得た。本高発現株からβ-グルコシダーゼを結晶状に精製し、本酵素が加水分解反応の逆反応(合成反応)を触媒することを発見した。(2)本酵素の固定化カラムと活性炭カラムをタンデムにつなぎ、連続的に合成反応を行い、ゲンチオビオースとフコシル(β1-6)グルコースを合成した。このフコシルグルコースを用いて、ビフィズス菌、乳酸菌、その他種々の腸内細菌による資化性テストを行い、ビフィズス菌9種のうち8種が資化することまた他の細菌類は資化しないことを確認した。(3)ビフィズス菌のα-ガラクトシダーゼが誘導的に生合成されることを明らかにし、単離精製した。本酵素の性質を明らかにするとともに、大腸菌α-ガラクトシド資化能を利用して本酵素遺伝子のクローニング株を取得し、その高発現に成功した。
著者
表 弘志
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)はV-ATPaseがATPの加水分解によって形成するH+の電気化学的勾配を駆動力とし、グルタミン酸を小胞内に輸送するトランスポーターである。この研究ではVGLUTによるグルタミン酸輸送の分子機構を明らかにすべく、VGLUTを含むSLC17型ファミリートランスポーターの輸送機構を速度論的に解析した。
著者
江頭 健輔
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本は超高齢社会を迎え、重症虚血性疾患が激増している。現行の医療の治療効果は限界がある。本研究の目的は、我々が開発した「血管内皮細胞選択的ナノDDS技術」を活用して、重症虚血性疾患に対する革新的治療的血管新生療法を開発することである。研究成果に示したように、ヒト細胞実験と複数のモデル動物(マウス、ウサギ、サル)において有効性と安全性を明らかにした。今後は、実用化を目指して橋渡し研究を推進する。
著者
高柴 将太
出版者
九州大学法政学会
雑誌
学生法政論集
巻号頁・発行日
vol.4, pp.33-46, 2010-03-23
著者
伊藤 清繁 大倉 浩嗣 田坂 修二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.313, pp.37-42, 2004-09-09

本報告では,IEEE 802.11gによる音声・ビデオ伝送時にBluetooth干渉がメディア同期品質に及ぼす影響を実験により評価している.実験では,Bluetoothによる送信がIEEE 802.11gのアクセスポイント及びメディア受信端末に干渉可能な擬似電波伝播環境を構築する.そして,アクセスポイント及びメディア受信端末に送信するBluetooth干渉の電波強度を変化させた場合,音声・ビデオのメディア同期品質にどのような影響を及ぼすかを測定する.その結果,Bluetooth干渉が大きいほど再送パケットやCRC誤りパケットが増加することにより,メディア同期品質が低下することを示す.また,メディア同期制御を適用することにより,メディア同期品質を改善できる.
著者
佐々木 長市 松山 信彦
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

客土をもつカドミウム汚染水田模型を作製し、湛水条件下で、すき床層(汚染土)が開放浸透で酸化層となる閉鎖浸透模型において、稲体のカドミウム濃度および水稲の生育収量を調査した。カドミウムの濃度範囲は、玄米で0.000~0.200mg/kgとなった。開放浸透層模型の値が閉鎖浸透模型より大きな値となった。浸透型の差により生育には大きな差異は認められなかった。穂数、玄米重は開放浸透模型より閉鎖浸透模型で上回った。
著者
桃井 昭好 佐藤 茂雄 中島 康治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.474, pp.37-42, 2004-11-20

ストカスティックロジックを用いた1000ニューロンハードウェアシステムの構築を行った。ストカスティックロジックは確率密度変調された1bitのデジタルパルス列を用いて演算を行う。そのため、バイナリロジックに比べて回路面積を小さく実現でき、さらにアナログ回路に比べて外部ノイズ耐性が高い回路を実現できる。また、確率的な動作に起因するノイズを利用することでネットワークの性能を向上させることができる。今回、我々は1000ニューロンシステムの詳細、及びシステムの測定結果についての報告を行う。
著者
小林 三衛
出版者
茨城大学
雑誌
茨城大学地域総合研究所年報 (ISSN:03882950)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-14, 2007

「水戸地方裁判所の決定」の検討である。「生命・健康に危険のない質の飲料水,生活用水を確保すること」を人格権と位置づけ,「法的に最大の保護に値する」とし,これが処分場から流出する汚水によって侵害される可能性がある場合には,差止めることが認められるとしており,高く評価される。ついで,処分場から排出される汚水が田野川に流入し,これによって,「水道水が汚染される可能性」を認め,「それを利用している債権者らの被保全権利の侵害の可能性を否定できない」として,「保全性があるものと思料される」と結論づけていることは,先駆的・画期的である,といえる。また,田野川の水を農業用水としている債権者らについて,「水質が害され,水利権が侵害される可能性が高く,その侵害の程度が深刻である場合には,その行為を事前に差し止めることも認められる」としている点も,重要であるが,「農業用水は,水道水のように直接汚染水そのものが人体に影響を及ぼすものではない」ので,「事前差止めまでを求める保全の必要性はない」と判断していることには賛成できない。なお,地下水の汚染の可能性はないとして,その汚染を認めていない点については,疑問である。