著者
宮田 伸一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

昨年までに,カンキツグリーニング病を罹病させたニチニチソウの主脈を用いて、Cα. L. asiaticusの濃縮画分からの抽出DNAを用い,ゲノムDNA増幅キットによってゲノムDNAの増幅の後,プラスミドベクターにショットガンクローニングして塩基配列決定を行った。今年度は本クローニング手法を繰り返し実行し,その結果,第1段階スクリーニングによってα-プロテオバクテリア由来の配列に分類されるクローンを選抜し,さらにPCRによる第2段階スクリーニングを行って陽性クローンについては全塩基配列を改めて決定した。これらの陽性クローンの塩基配列情報を元に疎水性領域をもつものを探索したが,膜タンパク質のようにトランスメンブレンドメイン(疎水性領域と親水性領域が咬互に存在する)を持つものは見つからなかった。またドメインデータベースに対して検索を行ったところ、細胞外にSecシステムやABCトランスポーターによって輸送されるようなシグナルドメインをもつものも存在しなかった。しかし細胞外からの熱・浸透圧・イオン濃度などの刺激を受容して遺伝子発現制御を行うシグナル伝達系である二成分制御系因子の受容体であるSensor Kinase候補が存在したため,今後は全長配列の決定に向けてTail-PCR法やGenomic Walker Kitなどによる隣接領域の取得を試み、さらにペアとなるReceiver Domainの候補遺伝子の探索に取り組む。
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.418, pp.466-467, 1921-08
著者
植村 隆文
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、単一分子の発光現象の観測・制御を目標として研究を行った。走査トンネル顕微鏡を用いて単一分子を観測しながら、単一分子からの非常に微弱な発光を検出可能にするために、プラズモン増強効果による発光増幅効果を応用し、単一分子からの発光現象の観測に成功した。また、この結果を応用し、将来のディスプレイ・照明デバイスとして期待される有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に成功した。
著者
姫川団体研究グループ
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.64, no.756, pp.431-444, 1958-09-25
被引用文献数
5 1
著者
薛 佑佳 福島 康裕
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.129-137, 2010
被引用文献数
3

To strategically discuss how steel should be produced, used and recycled, understanding of current and future flow and stock of steel is of high importance. Because steel is used in the society for many years, records in the relevant industries including import and export from the past years are crucial as well as the current up-to-date statistics when illustrating flow and stock of steel in a year. Following the pioneering national flow and stock figures developed in Japan, this paper presents Taiwanese 2006 and 2007 versions of illustration of iron and steel flow, stock, and recycling, as well as list of data sources, estimation method for missing data, prediction method for the future flow and stock and recommendation for future refinement. The methodologies were modified basing on the Japanese method, due to differences in data availability, collection methods and social background of the data. Using a bottom-up approach, stock and obsolete scrap flows are estimated for three major household appliances, <i>i.e.</i> washing machine, refrigerator, and air conditioner. From comparison of the 2006 and 2007 versions, increasing importance of scrap materials in Taiwanese crude steel production and increase of importance of external market can be seen. Increasing the number of steel products covered by bottom up approach and its combination with top-down approach is recommended, as well as the refinement of assumptions from accumulating recorded data to increase completeness of the future versions.
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次 坂本 邦昭
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.317-327, 1998-12-28
被引用文献数
4

1995年4月3日, 1996年4月28日および同年5月24日にハリビユ種子をそれぞれ, 17.8, 26.7および26.7g/aの量で播種した後, トウモロコシ(品種:Pioneer 3352)を666本/aの密度で播種した。リビングマルチとしてイタリアンライグラス(品種:タチワセ) をトウモロコシと同時に0.3および0.6kg/aの量で播種, または, アトラジン+アラクロールを10.0+10.8 a.i.g/aの量で土壌散布した。播種後5.5-11週に, トウモロコシとハリビユを定期的に刈り取り, リビングマルチ区および除草剤区の両草種の生長およびトウモロコシの窒素吸収の推移を無処理区と比較した。また, トウモロコシ収量と収穫時のハリビユの生長を同様に比較した。4月3日播種トウモロコシでは, リビングマルチは競合によりハリビユを十分に抑制したが(Fig. 1), 同時にトウモロコシとも激しく競合し, トウモロコシの生長は有意に減少し, トウモロコシの葉の窒素含有量も低下した(Fig. 2, Table 2, 3)。4月28日播種トウモロコシでは, リビングマルチは一定のハリビユ抑制効果を示し (Fig. 1), トウモロコシの生長と葉の窒素含有量にもほとんど影響を与えなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。5月24日播種トウモロコシでは, イタリアンライグラスが出芽後の高温により十分に生長しなかったため, リビングマルチはハリビユを抑制できず(Fig. 1), また, トウモロコシの生長や窒素吸収に影響を与えることはなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。いずれの播種日のトウモロコシも, 生育期の純同化量(NAR)は, いずれの調査日においても有意な雑草防除処理間差が認められず, イタリアンライグラスと激しく競合した4月3日播種におけるリビングマルチ区のトウモロコシにおいても, NARの明確な低下は認められなかった(Table 3)。リビングマルチ区トウモロコシの収穫時には, 4月3日播種ではハリビユが全く認められず, 4月28日播種ではハリビユが認められたものの, その密度と重量は無処理区に比べ有意に小さく, 5月24日播種ではハリビユの密度と重量は無処理区とほぼ同等であった(Fig. 4)。トウモロコシ収穫時の無処理区のハリビユの密度と重量は, 4月28日および5月24日播種において4月3日播種よりも小となった(Fig. 4)。リビングマルチ区のトウモロコシ収量は, 無処理区に比べ, 4月3日播種で34-40%, 4月28日播種で11%減少したが, 5月24日播種ではリビングマルチ区と無処理区の間に有意な差は認められなかった(Fig. 5)。アトラジン+アラクロールの土壌処理は, トウモロコシの生長, 生長期の窒素吸収および収量を低下させることなくハリビユを十分抑制できた(Fig. 1-5, Table 2, 3)。イタリアンライグラスリビングマルチは, 若干の減収を前提とすれば, 4月下旬に播種するトウモロコシにおいてハリビユの防除のために利用が可能であり, また, 有機物の連続的な投与により土壌処理剤の効果が不十分な圃場では有効な技術となりうると考えられた。
著者
井上 英夫
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

6年度は、政治参加の実態について、主として東京の参政権保障連絡会(準)のメンバーを中心に調査した。その結果は、参政権保障連絡会ニュースにまとめてきたが、7年6月に『私たちの参政権-障害をもつ人々の立場から』として発行した。障害をもつ人々の参政権保障の問題点と改善点が、障害をもつ人々自身の声で語られているところが貴重であり、2年間にわたる実態調査と議論の成果である。とくに、従来ほとんど取り上げられなかった精神障害をもつ人に関する参政権保障の実態を患者自らの訴えとして、さらに知的障害をもつ人の「せんきょ たのしい がんばるよ」という声を掲載できたことは、大きな意義をもつ。6年度は、政治改革とりわけ選挙制度改革が障害をもつ人々の参政権に与える影響を検討してきた。とくに、6年6月20日に発表された、政見放送研究会報告書を検討し、その意義と限界、問題点について全日本ろうあ連盟機関誌『月刊みみ』、および日本手話通訳士協会機関誌に発表した。さらに、参政権保障の意義と現状について高齢者にまで拡大して検討した。7年度に、以上の成果を、研究成果報告書『「障害者」の参政権保障に関する総合的調査研究』としてまとめた。今後、「障害をもつひと」の政治参加と参政権保障制度の実態、さらには福祉制度とのかかわりをふくめた総合的調査を課題としたい。
著者
辻田 有紀 遊川 知久
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-127, 2008-05-30
被引用文献数
3

遺伝的多様性を確保しつつ野生植物の自生地復元を実施するためには、栄養繁殖ではなく、種子繁殖での個体増殖が望ましい。ところが、ラン科植物では、自生地に種子を播種し、個体を増殖することが困難である。ラン科の種子は、自然条件下での発芽に共生菌からの養分を必要とするため、生育に好適な共生菌のいる場所に播種しなければ発芽しない。しかし、自生地で共生菌が生育する場所を特定することは非常に難しい。共生菌が生育する場所を特定するためには、種子を入れた袋を地中に埋設し、定期的に回収することで発芽を観察する野外播種試験法が有用である。そこで本報では、絶滅が危惧されているマヤランとサガミラン(サガミランモドキ)を対象に、野外播種試験を行った。その結果、一部の試験区で多くの発芽が観察され、自生地における共生菌の分布を特定することができた。さらに、発芽に好適な深さや時期なども推定でき、野外播種試験法の有用性が示された。本手法は、ラン科植物の自生地内保全を行う上で実践的な技術となるばかりでなく、発芽の環境や種子休眠など、学術的な知見も得られる有用な手段として、幅広い応用が期待できる。
著者
上田 祐樹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.812-815, 2008-12-01 (Released:2008-12-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

本記事に「抄録」はありません。
著者
大久保 晋
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

スピンフラストレーション系では、相互作用が競合するためマイナーな作用が支配的である場合がある。スピンJahn-Tellerではスピン-格子相互作用により格子を歪ませることになる。本研究ではフラストレーション効果の解明のため、カゴメ格子やパイロクロア格子をもつ反強磁性体におけるスピンフラストレーション効果を、強磁場ESRを用いることで緩和の速いスピンダイナミクスを調べ、格子を変えてもスピンの揺らぎが強く残ることを明らかにした。
著者
太田 賢 渡辺 尚 水野 忠則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.618-619, 1997-09-24

携帯電話, PHSなどのワイヤレス通信には, 帯域幅が小さい, フェージングなどによるバースト誤りから転送の途切れが起こりやすい, 品質の変動が頻繁に起こるといった問題があり, 音声, 映像, 画像などのマルチメディア通信を実現するにはこれらを解決する必要がある。これに対し我々はこれまで, マルチメディア情報の各シーンの意味的重要度に基づく選択的マルチメディアアクセス方式SMAP (Selective Multimedia Access Protocol)を提案してきた。本稿では開発したSMAPのプロトタイプソフトウェアとその利用法について述べる。
著者
時得 紀子 田中 博之 村川 雅弘 無籐 隆
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日米小・中学校の研究先進校から抽出した優れた授業実践に、独自に設けた評価観点などを尺度として質的な分析を加えた。その結果、音楽と言語と身体の各活動がバランスよくかかわり合うことで、表現活動が活発化する傾向が見られた。また、音楽と言語が相互に作用することで双方の活動の質が高まることから、この往来の活性化をはかる手立てとして、言語が関わる演劇的表現や音楽と関わる身体表現活動などを関連させた活用型の学習が有効であることがわかった。