著者
今井 哲朗 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.524, pp.35-42, 1997-02-20

基地局アンテナを周辺建物より低い位置に設置して構成するストリートマイクロセル内の伝搬損失を精度良く推定する方法にレイトレース法がある。この方法は送受信間の幾何学的なトレースを求めるだけで比較的容易に電界強度を推定できるが,建物数が増大すれば処理時間が激増するためエリア推定システムとして実用化するには処理の高速化が不可欠であった。本稿ではレイトレース法を用いて高速処理を可能とする伝搬路モデルを提案する。また,提案したモデルに基づいて開発したエリア推定システムSMAP(Street Microcell Area Prediction system)の概要について述べる。
著者
田ヶ谷 浩邦
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

慢性不眠症における睡眠状態誤認のメカニズムを明らかにするため、睡眠圧の高い条件(高睡眠圧)と睡眠圧の低い条件(低睡眠圧)において、主観的睡眠時間について検討した。被験者は若年健常男性7人(21-23歳)で、実験は室温・湿度・照度・騒音レベルを厳密に統制して4日間に渡って行った。被験者は、第1日目の夕刻に来所し、0時より7時まで適応睡眠をとったあと、第2日朝から第3日昼にかけて28時間の断眠を行った。断眠中は室内の照度は150luxに保ち、運動は控えさせた。第3日の12時より21時まで、高睡眠圧条件での睡眠をとり、第4日の12時より21時まで低睡眠圧条件での睡眠をとった。高睡眠圧および低睡眠圧条件における9時間の睡眠ポリグラフ記録(PSG)を90分ごとの6睡眠区間に分割し、それぞれの区間で睡眠段階2の時に覚醒させ、構造化面接を行い、主観的睡眠時間、主観的時刻、主観的入眠潜時を聴取した。それぞれの面接は照度5lux以下で行い、2分以内に終了させ、直ちに消灯した。PSGは国際判定基準に従って判定し、客観的睡眠時間、入眠潜時を求めた。統計解析には分散分析、Spearman順位相関を用いた。合計84の睡眠区間のうち、高睡眠圧条件の41区間、低睡眠圧条件の38区間で、1エポック以上の睡眠が記録され、この79区間を解析した。主観的睡眠時間は両条件下で客観的睡眠時間より有意に長かった。その他の客観的睡眠指標は条件による違いがなかった.主観的睡眠時間は低睡眠圧条件で高睡眠圧条件より有意に短かかった。主観的睡眠時間は客観的覚醒時間(分)、客観的覚醒時間(%)、面接施行時刻と有意な負の相関を示した。しかし、客観的睡眠時間(分)とは相関を示さなかった。主観的睡眠時間は低睡眠圧条件において高睡眠圧条件より短く、客観的睡眠時間ではなく、客観的覚醒時間と相関を示した。
著者
深津 文雄
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.26-42, 1978-10-01
著者
室 雅巳 庄野 秀明 庄野 真由美
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

(1).正期単胎妊娠の胎児心拍数基線における周期性を明らかにする目的で、合併症のない37〜39週の正常妊娠9症例を対象に3日間の連続胎児心拍数(FHR)収録を行った。得られたFHRデータから10分間の区画毎に胎児心拍数基線(FHRB)を同定、各症例毎に最大エントロピー法によって得られたピークスペクトルからFHRBの時系列データに内在するリズムの周期を抽出し、あてはめ曲線を描出した。得られた曲線の日内変動最低点および最高点を示す時刻を各症例毎に求め各々の分布について検討した。その結果、正常正期妊娠におけるFHRBの日内変動は約24時間と約12時間の周期のリズムをベースに持ち、更に各個体の状況や環境因子に伴う種々のリズムが複合され、その表現型が形成されていると考えられた。(2).双胎間の胎児基準心拍数(BFHR)の日内変動位相の同期性と位相差を解析し、一絨毛膜二羊膜性双胎(MD)と二絨毛膜二羊膜性双胎(DD)の特徴を抽出する目的で、妊娠35〜37週の双胎妊娠15例(MD7例、DD8例)に対して24時間双胎心拍数同時収録を施行。収録したデータから症例毎に各々の双胎のBFHRを5分毎に同定し1時間毎の平均値を算出、各胎児のBFHRの日内変動の有無を検定した(ANOVA)。各症例で双胎間のBFHR日内変動位相差を求めるために第1子のBFHR日内変動に対して第2子の日内変動位相を-3〜+3時間の間で1時間づつ移動させた場合の両者間の相関係数をそれぞれ算出。最大Rを示す位相差を症例毎に求め、膜性による特徴を比較した。その結果全ての双胎両児のBFHRに有意な日内変動を認めた(p<0.01)。双胎BFHR間に全症例で有意な相関が認められ、MD、DDの平均最大Rの間に有意差は認められなかった。DDでは8例全てでBFHR日内変動の位相が完全に同期していた。一方、MDでは7例中3例でBFHR日内変動位相は同期していたが3例で第2子が1時間先進、1例で第1子が3時間先進しており日内変動に位相差を示す症例が認められた。以上より双胎間のBFHR日内変動はMD、DD共に高い相関を示すが、DDでは完全に位相が同期しているのに対してMDでは位相差が認められる症例が存在する。MDでは胎盤内血管吻合等による双胎間の循環動態の差異から胎児日内変動に関連する母体因子の移行に不均衡が生じる可能性があると考えられた。
著者
小椋 たみ子 松尾 雅文 松嶋 隆二 常石 秀一 竹島 泰弘
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1.Duchenne型筋ジストロフィー児165名に対して知能、発達評価を行なった。(1)IQ69以下の精神発達遅滞は25,6%、IQ 70-89が39.6%、IQ 90-109が28.7%、IQ 110以上が6.1%で精神遅滞が1/4であった。知能(IQ, DQ)の平均は80.2であった。(2)PIQとVIQの差はWISC(94名)、新版K式(26名)においては有意差なし、WPPSI(45名)においてはPIQIQ(84.8)がVIQ(74.2)より有意に高かった。(3)下位検査の評価点はWISCでは類似問題が最低点(7.0)、迷路が最高点(11.0)、WPPSIでは理解問題が最低点(5.2)、迷路が最高点(9.1)であった。言語概念化能力と言語表出能力が低かった。(4)32名の1年以上後の再検査(平均26.6ヶ月間隔)でFIQ, PIQ, VIQとも有意差はなかった。進行に伴う知能の低下はないと考えられる。2.Duchenne型筋ジストロフィー児43名(平均7.1歳)にITPA言語学習能力検査を実施した。「ことばの表現」「ことばの類推」の評価点が低かった。3.サザンプロット法、PCR法、RT-PCR法、直接塩基配列解析法により遺伝子異常を同定した症例について、遺伝子異常と知能との関連を検討した。欠失・重複例(97名)と微小変異例(53名)で、IQの平均値の差はなかった。欠失・重複例と微小変異例について大脳、脊髄をコントロールするエクソン44と45の間にあるdp140のプロモーターと知能の関係をみると、両例とも遺伝子異常がイントロン44より上流にとどまる群はイントロン45より下流に及ぶ群に比べ、IQ、VIQ、PIQとも有意に得点が高かった。なお、欠失・重複例はイントロン45より下流に及ぶ群(65.4%)、微小例はイントロン44より上流にとどまる群(74.1%)で出現率に有意差があった。ITPAにおいてはdp140のプロモーターとの関係は見出されなかった。4.筋ジス児の言語音の有標性を検討するために構音検査を実施したが、誤構音は少なかった。
著者
今井 哲朗 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.96, no.533, pp.35-42, 1997-02-20

基地局アンテナを周辺建物より低い位置に設置して構成するストリートマイクロセル内の伝搬損失を精度良く推定する方法にレイトレース法がある。この方法は送受信間の幾何学的なトレースを求めるだけで比較的容易に電界強度を推定できるが,建物数が増大すれば処理時間が激増するためエリア推定システムとして実用化するには処理の高速化が不可欠であった。本稿ではレイトレース法を用いて高速処理を可能とする伝搬路モデルを提案する。また,提案したモデルに基づいて開発したエリア推定システムSMAP(Street Microcell Area Prediction system)の概要について述べる。
著者
平丸 大介
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

生体内では、現在の技術では作製することが不可能である複雑な機能を有した微小構造体である生体組織が多数存在しており、それらの工学的応用が期待されている。本研究ではそのような生体組織の代表的なものの一つである毛細血管に着目し、人工的に作製した微小流路構造と自己組織化により作製された血管構造を機能的に結合するμ-TASデバイスを提案した。このデバイス上の微小構造は、平面上に配置されたオリフィスを複数有する埋込流路であり、厚膜ネガレジストであるSU-8内部に形成されている。このような微小構造は通常の露光方法では作製することが困難であり、我々が提案した傾斜露光法を用いることで簡便に作製することが可能となった。そして、埋込流路に接続したオリフィスが配置されたデバイス平面上でヒト由来の内皮細胞の一種であるHUVECを特定条件下で培養することで自己組織化により毛細血管構造を形成し、平面上のオリフィスへと誘導することで毛細血管と埋込流路を、オリフィスを介して機能的に結合する。ランダムに配置される脈管構造の誘導において、昨年度は内皮細胞の誘引因子であるVEGFを含有したゲルビーズをオリフィスに配置することで脈管構造をオリフィスへ誘導を行ったが、ゲルビーズの除去が問題となっており、オリフィスからVEGFを拡散させる手法を検討している。また、毛細血管の形成期間を短縮するために特異な環境下での培養を行っていたため、本年度では一般的な医学分野で用いられる条件下での実験を行うための培養システムの構築を行い、一週間以上の長期培養下での毛細血管構造の誘導と埋込流路との結合を試みた。
著者
小竹 武 新井 仁之 板東 重稔 伊藤 秀一 高木 泉 加藤 順二 小野 薫
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

多様体上の解析学としての大域解析が包括する研究対象は多岐にわたる。本研究では、種々の偏微分方程式の解構造の研究、力学系、関数微分方程式の摂動と安定性の研究、非線型解析の微分幾何学、数理物理学への応用等、解析学と幾何学、数理物理学との境界領域での研究の進展をはかるとともに、これら研究における解折手段として重要な調和解析および作用素の理論等の深化につとめた。以下、本研究において得られた新たな知見、成果の概要を記す。1. 偏微分方程式論に関するものとして、一般な正値ポテンシャルをもつシュレディンガ-作用素に対する固有値の漸近分布についての結果、およびリ-マン多様体上の熱方程式に対するヴィダ-型一意性定理の証明、更に、楕円型作円用素論の幾何学への対用として、ディラック作用素族の芸変指数についての研究、正則ベクトル束の除去可能特異点についての研究等が挙げられる。2. 力学系の分野では、可積分なハミルトン正準方程式系の特異点近傍での標準型への還元に関する研究、一方、遅れをともなう関数微分方程式に対する大域解の存在、安定性についての研究等がある。3. 非線型解析に関しては、拡散・反応方程式系について解の詳しい幾何学的研究がなされ、パタ-ン形成や将異点発生等について興味ある結界が得られた。4. 調和解析では、強擬凸領域上の〓〓調和関数の境界挙動に関するファトゥ型定理の証明がある。 2、作用素環の順序構造と正則完備化の構造との関係について新しい知見が得られた。5. バ-クマン核の研究では、領域がラインハルト領域のとき、核のトレ-スと境界のチャ-ン・モ-ザ-不変多項式との関係が明確化され、その応用として、複素球の大域的特徴づけが示された。
著者
森田 規之
出版者
京都府立医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

バーグマングリアの分化過程を、S-100β遺伝子プロモーター活性の可視化によって追跡するために以下の検討を行った。分与されたマウスS-100β遺伝子の5′上流領域からプロモーター領域の欠失系列を作製し、これらをプロモーターアッセイのためのレトロウイルスベクタープラスミドであるpIP300plusにサブクローニングした。同種指向性パッケージング細胞Ψ2にトランスフェクトしてウイルス産生細胞株を樹立し、細胞培養上清から組み換えレトロウイルスを調製した。プロモーター活性の可視化のために効率の高いプロモーター領域を、S-100βを常時発現する株化細胞ラットC6グリオーマを標的として検索を試みた。しかしながらプロモーター可視化の効率が極めて低く解析に困難を伴ったことから、プラスミドの再構築、パッケージング細胞への遺伝子導入方法の変更等を行い、最終的に異種指向性のパッケージング細胞PA317を用いて組み換えウイルスを調製して、解析を可能とした。現在、明らかとなったプロモーター領域の活性を初代培養バ-クマングリアおよび小脳培養スライスで解析中である。さらに、マウス成獣の小脳において、バーグマングリアがグルココルチコイド受容体免疫陽性であることを見いだした。用いた抗血清はラットグルココルチコイド受容体cDNAからGST-fusion法によって調製した抗原蛋白質に対するものである。この抗原はグルココルチコイド受容体の転写調節ドメインの一部、マウス配列と92%のホモロジーを有する領域である。イムノブロット解析からマウスにおいても単一のバンドを与え、また、胎生14日の小脳原基において既に発現していることを明らかにした。今後、バーグマングリアの起源、分化との関連性を分子形態学的に追求する。
著者
古屋 秀樹
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究では,対象地域として土浦・つくば周辺地域を取り上げ,TDM施策の1つであるコードンプライシングが実施された場合の影響を交通流動ならびに環境影響の観点から明らかにすることを目的とする.土浦・つくば地域の人口は以前増加が続いており,平成7年現在約29万人となっている一方,公共交通機関への依存度が低く,自動車分担率の比較的高い地域といえる.特に,土浦中心部では茨城南部の中心都市としての機能を有することや南北と東西を結ぶ道路ネットワークの結節点であることから,通過・進入する車両の増加で交通渋滞が深刻化している.その対応策として,土浦・つくば地域に流入する車両に対して課金するプライシングを取り上げ、その影響を把握した.プライシング実施にともなう交通抵抗の増加によって,コードンで囲まれる地域の集中交通量やこれら地域を目的地とする分布交通量の減少が予測される.しかしながら,特に分布交通量のモデルを用いた推計精度が十分高くないことなどから,プライシングが交通機関選択行動,経路選択行動に影響を与えるものと仮定して,プライシング実施前後における交通流動の変化を明らかにした.その結果,プライシング前後で自動車による汚染物質の排出量が改善され,交通渋滞の解消に加え,環境改善に効果があることが分かった.今後の課題として,発生・集中,分布交通量の変化を考慮した分析,道路交通流・排出原単位に対する検証,ドライバー・プライシング実施主体を含めた包括的な費用便益の把握,徴収料金の合理的支出に関する考え方の整理があげられる.
出版者
[ ]
巻号頁・発行日
1920