著者
白井 啓一郎 池原 雅章 岡本 正行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.275-284, 2011-04-01

暗所での撮影の問題点としてノイズの増加が挙げられる.フラッシュ撮影によりノイズを減少させることは可能であるが,フラッシュにより画像中のスペキュラ光が増して色彩が失われる問題がある.また,長時間露光によってもノイズを低減できるが,対象物またはカメラの動きに敏感となりぼけを生じやすくなる問題がある.本論文では上述の問題を解決するため,ノンフラッシュ画像の色彩と陰影をフラッシュ画像の成分に反映する手法を提案する.色彩については,色線形性画像特徴の概念に基づき,フラッシュ画像の局所的な色分布をノンフラッシュ画像の色分布に投影し,色変換を行う.陰影については,光源位置によって画像間にオクルージョン領域が生じるため,オクルージョンに対応したフラッシュ画像の局所的な輝度をノンフラッシュ画像の輝度に投影する手法を示す.
著者
中林 智之 佐々木 敬泰 大野 和彦 近藤 利夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.646-656, 2011-04-01

近年,モバイル端末等の消費エネルギーの増大が問題となっており,低消費エネルギーと高性能の両立が要求されている.そこで我々は,その要求を満たす手法の一つとしてVSP(Variable Stages Pipeline)を提案している.VSPはパイプライン段数を動的に変化させることで低消費エネルギーと高性能の両立を目指す手法である.また,LDS-cellという特殊なセルを導入することでパイプラインステージ統合によって増加する回路内のグリッチを削減している.しかし,LDS-cellはグリッチを低減するためにクロックを供給する必要があるため,クロックトリーの消費エネルギーが増大する危険性がある.そこで本論文ではLDS-cellの駆動によるオーバヘッドを低減する手法として,LDS-cellへのクロックゲーティング適用と,高性能セミスタティックTSPC DFFをベースとした改良型LDS-cellを提案する.更に,二つの提案手法を併用した場合に発生する問題点を解決する手法も提案する.提案手法を実装し,評価を行ったところ,従来VSPから18%消費エネルギーが低減できた.
著者
柴田 誠也 本田 晋也 冨山 宏之 高田 広章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.657-670, 2011-04-01

組込みマルチプロセッサシステムの設計空間探索を効率化するためのシステムレベル設計環境 SystemBuilder-MPを開発した.本環境は,新規開発したマルチプロセッサ対応実装合成機能と複数の外部ツールを組み合わせ,設計から評価までのシステムレベル設計全体を支援する.実装合成機能は,プロセッサや専用ハードウェアへの割当を考えない高い抽象度で記述された機能記述と,ハードウェアアーキテクチャ,及び機能とハードウェア間のマッピングを入力として,組込みマルチプロセッサシステムの実装記述を自動合成する.合成結果は,SystemBuilder-MPが生成する外部ツール用設定ファイルを用いることで,手間なくシミュレーションやFPGAプロトタイプ実装により実行することができる.プロセスのマッピング変更,実装及び評価の繰返しを容易化することで,要求を満たすマッピングを探索する期間を短縮する.本環境を用いた設計の効率の高さを,MPEG-4デコーダの設計事例により示す.
著者
酒井 文雄 江頭 信二 小池 茂昭 水谷 忠良 竹内 喜佐雄 奥村 正文 長瀬 正義 矢野 環
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

(1)研究代表者酒井文雄は射影平面の巡回被覆の第1ベッチ数に関するザリスキーの定理を代数曲面の巡回被覆で被覆次数が素数べきで、分岐曲線が可約の場合に拡張した。また、奇数次の平面曲線で単純特異点のみを持つものの総ミルナ-数の評価を改良する結果を得た。(2)研究分担者奥村正文は複素射影空間に埋め込まれたCR次元(n-1)/2のCR-部分多様体のスカラー曲率について調べ、この部分多様体が奇数次元の球2個の直積のS商多様体であるための十分条件をスカラー曲率に関する不等式で与えた。(3)研究分担者竹内喜佐雄はモジュラー群SL_2(Z)の部分群Γで符号(o;e_1,e_2,e_3)を持つものをすべて分類し、各Γに対して、その標準生成系を具体的に行列の形で与えた。(4)研究分担者小池茂昭は制御集合が状態に依存する場合のBellman方程式の解の意性のための充分条件を示し、その条件が満たされない場合の反例を挙げた。また、退化した係数を持ったHamilton-Jacobi方程式の半連続粘性解の-意性と表現定理を示した。(5)研究分担者江頭信二はコンパクト多様体上のC^2級余次元1葉層の拡大度は典型的な増大度しか取らないこと、およびそれは葉のレベルと弾性葉の存在性によって分類されることを示した。
著者
石川 莞爾 中村 安夫 鍬塚 昭三
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.127-134, 1977-05-20
被引用文献数
1

室内試験により, 除草剤ベンチオカーブの水溶液および土壌からの揮散について研究した.^<14>C-ベンチオカーブ水溶液に太陽光を照射すると, 水溶液中の放射能は水分の蒸発量に比例して減少した.水溶液中に土壌を添加すると, ベンチオカーブは速やかに土壌層へ吸着移行し, 放射能の揮散は顕著に抑えられた.非湛水土壌の表面に散布したベンチオカーブの揮散は湛水土壌からの消失に比べると, はるかに少なかった.太陽光照射時に水溶液から揮散する放射性物質の半分以上はベンチオカーブ自身であり, 残りは, 生成したP-クロルベンズアルデヒドなどの揮発性の光分解生成物として揮散した.
著者
廣瀬 明
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

以前にわれわれが提案したWalled LTSAはその開口面での壁面が、導波管を単純に切断したものと同等であった。そこに、次の2つの新構造を導入した。(a)開口端の方形終端形状を自由な曲線とし、特に漸近的な開口として等価的な開口面積の増大を図る。(b)金属壁に溝(トレンチ)をつけ曲線開口と滑らかにつなぐ。これらの構造によって、8-12GHzの広い帯域にわたって5dB程度以上の直接結合の低減を実現した。またアンテナのスケーリングによって、同様の構造がさまざまな周波数帯における直接結合低減に役立つことも示した。
著者
日野 実 村上 浩二 水戸岡 豊 平松 実 西山 俊一 細川 和幸 金谷 輝人
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 = The Journal of the Surface Finishing Society of Japan (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.476-481, 2007-08-01
被引用文献数
1 3

This study examined the effects of alloying elements on zincate treatment and adhesion of electroless Ni-P coating onto various aluminum alloy substrate. Surface morphology of zinc deposition from the single zincate treatment and its adhesion were changed, depending on the alloying element. The zinc deposition from the double zincate treatment became thinly uniform, and the adhesion between aluminum alloy substrate and Ni-P coating was improved irrespective of the alloying element. However, the adhesion of A7075P aluminum alloy was inferior to that of other alloys.
著者
細井 厚志
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2008-02

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2575号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2008/3/15 ; 早大学位記番号:新4734
著者
田中 博通 藤原 広和
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

研究実績の概要は下記の通りである。1.多点風速計と超音波風速計を使用して自然風を観測した結果、以下の知見を得た。(1)平均風速の鉛直分布は対数分布となった。地表から1〜2mまでは、地表の粗度の影響を受けて乱れ強さは増加するが、地表から離れるにつれ測定した10mまでは風速が増加しても乱れ強さはほぼ一様な分布となった。(2)鉛直断面における変動風速の横相関係数C(r)は、r=9.5mの場合でも0.6以上の値となり、自然風はかなり大きなスケールであるといえる。(3)水平方向風速と鉛直方向風速の乱れ強さは、水平方向の平均風速が大きくなると増加する特性がある。2.リンゴ果樹の枝のヤング率について、様々な枝の付き方があることから、今回は直接現場で引張り試験を行った。その結果、以下の知見を得た。(1)枝のヤング率は枝の高さや枝の勾配や枝の太さに関係なくほぼ一定になった。(2)リンゴの枝のヤング率の平均値はE=3.3×10^7gf/cm^2となり、柿の枝のヤング率と同程度となった。3.自然風によるリンゴの揺れは、2台のCCDカメラでステレオ撮影し、それを画像処理して求めた。その結果は下記の通りである。(1)自然風によるリンゴ果実の変動は、前後の変動が大きく、上下・左右の変動はそれに比べ小さい。(2)自然風によるリンゴ果実の変動は、風速の大きさよりも、風速の変動の大きさに関係する。(3)風速が強い時は枝は大きく揺れないが、風速が弱まったとき力が解放され揺れる。従って、枝揺れやそれにともなうリンゴ果実の振動は風の息に関係する。(4)防風ネット背後でのリンゴ果実の変動は、風速の強弱、変動に左右されない。
著者
安藤 耕平 禹 哲漢 大森 隆広 田尻 道彦 小倉 高志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.807-811, 2009-09-15 (Released:2009-12-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は58歳,女性.人間ドックで胸部X線写真を撮影し,右自然気胸を指摘された.左自然気胸の手術歴があり,弟,長男,長女にも自然気胸の既往があった.胸部CT検査では両側に多発する肺嚢胞を認めた.顔面に線維毛包腫(fibrofolliculoma)を疑う病変と,線維性疣贅(acrochordon)を認めた.以上の所見から,Birt-Hogg-Dube症候群(以下,BHD症候群)を疑った.右気胸の根治を目的に手術を施行し,肺底部に今回の気胸の原因と思われる2cm大のブラを認め,これを胸腔鏡下に切除した.術後,BHD遺伝子の核酸配列解析を行い,BHD症候群と確定診断した.BHD症候群は,常染色体優性遺伝の皮膚疾患であり,多発肺嚢胞・自然気胸,腎細胞癌を合併することがある.気胸の家族歴があり,多発肺嚢胞を有する症例は,BHD症候群を疑う必要があると考えられた.

1 0 0 0 OA 知の統合

著者
舘 〓
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.10_66-10_69, 2010-10-01 (Released:2010-12-16)
被引用文献数
3 1
著者
久保田 尚浩 田中 孝 島村 和夫
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-20, 1980

ブドウ樹の生育と地温条件との関係を明らかにするために,接ぎ木1年生の鉢植えMuscat of Alexandria(H,F、台)について,新しょう伸長期にあたる4月4日から5週間、室温を16℃以上に保ったガラス室内で地温を6段階(12,15,20,25,30,35℃)に調節し,樹体各部の生長および数種の体内養分含量に及ぼす地温の影饗を調査した. 1)新しょう伸長は25,30℃の両区で最もすぐれ,処理終了時の伸長量は約150cmであった. 一方,12,15,35℃各区の生長は処理開始直後から著しく劣り,40~50cmの伸長量であった. 2)葉,茎および新根を合計した新生部分の生体および乾物重は25,30℃両区で最も多いのに対して,12,15,35℃の各区では著しく少なく,前者の1/3以下であった. とくに,12,15℃両区の新根発生量は極めて少なかった. 旧根の乾物重は20℃以下の地温区よりも生長のすぐれた25,30℃の両区で少なく,またその乾物率(乾物重/生体重)も低かった. 3)N含量は葉では地温が高いほど,また葉以外の茎,新根および旧根では25℃区で最も低かった. P含量は葉では25℃以上の区で低く,旧根では30℃以上の区で高かった. K,Ca,Mgは地温が高いほど新根での含量が高く,一方,葉のCa,Mg含量は35℃区でとくに低かった. 葉におけるこれら各養分の総含量(含量X乾物重)は25,30℃の両区で最も多かった. 4)新根の全糖およびデンプン含量は25℃区で最も高く,これ以上の地温区において低かった. 30℃以上の区では旧根のデンプン,全糖ともに少なかったが,12℃区ではデンプン含量が著しく高いのにくらべて全糖が低かった。
著者
宮崎 真悟 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.71, pp.133-140, 1997-05-26

1997年4月1日から4月4日までチューリッヒのIntercontinentalホテルにおいて開催された第4回ACM計算機・通信セキュリティ国際会議について報告する.