著者
安藤 英由樹 渡邊 淳司 稲見 昌彦 杉本 麻樹 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.2025-2033, 2004-11-01
被引用文献数
18

これまで,指先に皮膚触覚情報を提示する手法についての研究が数多く成されている.しかし,これらの研究においては,指の腹側から触覚提示を行う方式が採用されているため,実環境からの触覚情報にバーチャルな触覚情報を重畳することは困難である.そこで,指の腹側ではなく,爪の側から振動を加えることによって,指のなぞり動作時に実環境ヘバーチャルな凹凸感を重畳可能な触覚提示デバイスを提案する.本デバイスは,指先で物体をなぞるときに指先に振動が加わると,振動ではなく凹凸といった知覚が生じることを利用している.本論文においては,そのなぞり動作時に指腹部で起きている圧力変化について調べ,その知覚が生じるメカニズムについて考察した.そして,心理物理実験によって任意のバーチャルな凸状幅を提示するための振動タイミングを特定した.
著者
美馬 正司 上田 昌史 岡田 仁志 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.490, pp.39-43, 2008-02-13

我が国は地上デジタル放送への移行を進めているが、その進捗は十分でなく、新たなデジタル・ディバイドが生じる可能性がある。ディバイドは、地域、所得、年齢、身体的制約等に起因しており、移行の進展度合、享受するサービス、便益等に違いが生じる。本稿では、このような新たなデジタル・ディバイドの可能性を明らかにし、その対応策を検討する。
著者
美馬 正司 上田 昌史 岡田 仁志 Sonehara Noboru
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.123, pp.79-84, 2008-07-03

我が国は地上デジタル放送への移行を進めているが、その進捗は十分でなく、移行を支援する公共政策が必要である。支援政策には移行期間の延長と経済的支援の二つが大きく想定されるが、移行の遅れに結びついている地理的要因、経済的要因、身体的制約要因等を考慮することで、支援対象を限定することが可能である。本研究では、移行期間の延長、経済的支援、及び両方の組合せという三つの支援政策について、定量的な評価を行い、今後の移行支援政策の在り方について考察を行った。
著者
Shiraki Hiromitsu Kimura Takayuki
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.391-397, 2003-03-01

Conventional CCD registers for full frame or frame transfer scheme image sensors have disadvantages such as low light sensitivity due to light absorption in electrodes, high dark current generated at Si-SiO_2 interfaces, and small charge handling capability that results from the surface pinning mode of operation. To solve these problems, we proposed CCD register driven through a barrier in February 2000. The register cell was an inverted version of the photo-diode with a vertical overflow drain that is used as the driving electrode. In simulating the register's characteristics in back illumination mode, we found that all the above-disadvantages disappeared, but the characteristics were rather sensitive to the height, width, and location of SiO_2 film required to isolate electrodes. Therefore, some difficulty remains in fabrication processes. This paper proposes a new version of DTB-CCD where a specific-feature SiO_2 layer covers a part of the barrier surface. This layer not only helps to minimize the structure sensitiveness of performance but also makes it possible to employ the conventional overlapping poly-Silicon electrode process. A thin SiO_2 layer between electrodes and optimized width and thickness of the SiO_2 layer on the barrier minimizes potential barrier height in channels and thus improve transfer efficiency. The simulated charge handling capability of the improved DTB-CCD was 3〜4 times greater than that of a two-phase CCD register driven by surface pinning mode.
著者
浜中 真志
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.1-60, 2002-10-20
被引用文献数
2

Atiyah-Drinfeld-Hitchin-Manin (ADHM)構成法とは,任意のインスタントン解を与える強力な構成法の一つである.この構成法はNahmによってモノポール解の構成に応用された.これをADHMN構成法あるいはNahm構成法と呼ぶ. (両者をまとめて,この記事ではADHM/Nahm構成法と書く.) ADHM/Nahm構成法は,インスタントン/モノポールのモジュライ空間とADHM/Nahmデータのモジュライ空間との1対1対応(双対性)を利用したもので,様々な応用がある.この記事ではまず可換空間上のADHM/Nahm構成法の詳細について一通り述べ,背後に潜む双対性を明らかにする.そしてその双対性の起源を, 4次元トーラス上のゲージ理論を用いた議論(Nahm変換),およびある配置に置かれたD-brane複合系のゲージ理論を用いた議論から考察する.このD-brane解釈により,数学的な概念だと思われていたADHM/Nahm構成法に物理的意味が与えられ,逆にADHM/Nahm構成法の中にMyers効果, Solution Generating TechniqueといったD-brane力学解明へのヒントが隠されていることが明らかとなった.さらに非可換空間上のゲージ理論とADHM/Nahm構成法についても簡単に紹介する.非可換空間上のゲージ理論は背景B場(磁場)中のD-brane上のゲージ理論と等価であることが知られているが, ADHM/Nahm構成法を用いると,それが顕著に見て取れる.この記事はADHM/Nahm構成法の,物理の人向けの包括的解説である.
著者
スウィウェク・ リピゴルゴソン ノルハヤティ・ アリ 芳澤 宅實
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.95-101, 2003
被引用文献数
9

タイ,パキスタン,バングラデッシュからわが国に輸入された白米を汚染するアフラトキシン(AF)の分析を,モノクローナル抗体を用いた直接競合ELISA 法ならびにイムノアフィニティーカラムとHPLC(IAC-HPLC)法により行なった.ELISA(検出限界2.8 μg/kg)では,分析した20 検体からアフラトキシンB<sub>1</sub>(AFB<sub>1</sub>)は検出されなかった.しかし,IAC-HPLC(検出限界0.1 μg/kg)においては,20 検体中5 検体(タイ3検体,パキスタン2検体)から0.1 - 0.3 μg/kg のAFB<sub>1</sub> が検出され,またAFB<sub>1</sub> 0.3 μg/kg で汚染したパキスタン米からはAFB<sub>2</sub>(0.1 μg/kg)も認められた.輸入米のAF 汚染レベルはわが国の基準値(10 μg/kg)に比べきわめて低いレベルであったが,アジア地域の主食としてのコメのAF 汚染はヒトのAF 暴露を精確に評価する上で重要な課題である.
著者
太田 弘毅 若菜 弘充
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.595, pp.123-127, 2005-01-20

地上デジタルTV放送が開始されて一年を迎えた.固定受信向けにスタートしたものであるが, 携帯端末・移動体受信向けのサービス開始は2005年末を目標に準備が進められている.当機構では, デジタル放送を利用した携帯端末・移動体向けのサービス検証に活用すべく, 地上波デジタル放送テストベッドを整備している.放送規格の信号を生成する機能を有しており, 携帯端末・移動体サービス向けの限定受信モード(1セグメント)の機能を構築している.現在のシステムの概要と現状について述べる.
著者
長山 格 赤松 則男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.3127-3138, 1997-12-25

文字認識において, 文字輪郭はしばしば用いられる重要な特徴であり, その抽出には輪郭の追跡処理や微分オペレータ等の n×n マスクによるフィルタ処埋が用いられる. しかし, これらの処理には多くの演算が必要であり, 特に大容量画像や大量の画像を処理する場合は処理時間が長くなる要因となる. これに対して本論文では, フィルタ演算を用いることなく高速に文字画像の輪郭を抽出する手法 (DTB; Double-Threshold Binarization) を提案する. すなわち, 濃淡画像として得られる文字画像の濃度こう配に注目し, 異なる二つのしきい値による2値化処埋と XOR 演算により文字輪郭を簡単に抽出することができる. 二つのしきい値を決定する方法としてニューラルネットワークを応用する. DTBの実際的な評価を行うため, ノイズが混在する手書き郵便番号画像に適用し, 輪郭追跡法および微分オペレータ, Sobel オペレータ等の従来用いられている輪郭抽出フィルタと比較検討した. その結果, 処理の高速性, ノイズに対する頑健性, および抽出された文字輪郭の品質などの点において DTB の特長が明らかになった. 更に, より高速な処理を実現するために提案手法の高速化アルゴリズムを示し, 従来手法と比較して最大1/20以下の処理時間で文字輪郭の抽出が可能であることを示す.
著者
今村 浩一郎 濱住 啓之 渋谷 一彦 佐々木 誠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.23, no.39, pp.1-6, 1999-06-21
被引用文献数
7

In a relay station of SFN (Single Frequency Networks) for DTB (Digital Terrestrial Broadcasting), a coupling effect between transmitting antenna and receiving antenna should be reduced to an allowable level in order to avoid distortion and oscillation problem. Therefore, we have already made a basic report of the coupling canceler using reference signals such as SP (Scattered Pilot) contained in QAM-OFDM signals. In this paper, we propose a method of calculating transfer function of the coupling paths for the PSK-OFDM modulation schemes without SP, and applied the proposal method to the coupling canceler on some computer simulations. The simulations have shown the usefulness of the proposed method.
著者
樋口 幸男 北島 章好 荻原 勲 箱田 直紀 志村 勲
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.744-748, 2000-11-15
被引用文献数
2 1

異なる温度条件下におけるプリムラ・オブコニカのプリミン分泌状況を調査し, 幼苗期におけるプリミン検定の可能性について検討した.1. 'Crystal Apricot'では子葉展開期からプリミンの分泌が認められたが, フリー品種の'Libre Light Salmon'では認められなかった.2. 'Crystal Apricot'を低温(昼温20℃, 夜温13℃)および高温(昼温30℃, 夜温23℃)下で育苗し, 個体別および葉位別にプリミン分泌率を調査した.低温下で育苗した場合は, 第1葉展開期にはすべての個体がプリミンを分泌していた.さらに, 低温下では下位葉のプリミン分泌率も高く維持された.一方, 高温下で育苗したところ, プリミン分泌の開始が遅れ, 一度分泌したプリミンの消失も早かった.また, 育苗温度に関わらず最上位葉の一つ下位の葉においてプリミン分泌率が高かった.3. プリミンを保有している'Crystal'シリーズ4品種について葉位別のプリミン分泌率を調査した.プリミン分泌の早晩には, 品種間差異が認められたが, 各品種とも低温下では第1葉展開期の子葉において, また, 高温下では第5葉展開期の第4葉においてプリミン分泌率が100%であった.4. 幼苗期に毛じの形態からプリミン分泌の有無を判定するには, 低温下では第1葉展開期の子葉を, 高温下では第5葉展開期の第4葉を調査すればよいことが明らかとなった.
著者
志村賢範
雑誌
日外会誌
巻号頁・発行日
vol.86, pp.1618-1624, 1985
被引用文献数
3
著者
藤田 広志 志村 一男 白石 順二 西原 貞光 東田 善治 山下 一也
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.1685-1703, 1993-09-01
被引用文献数
16

This professional Committee's report describes the results of the activities made by the Task Group for ROC Analysis in Digital Radiography in 1992. Beginning with interpreting the basis of ROC analysis, explanation is made of ROC curve fitting and ROC curve's statistically significant difference test. Next, explanation is made of LROC and FROC with the development from FROC to AFROC, as well as "continuous confidence method" (provisional designation) as the recent progress in ROC analysis, including its brief experimental results. Finally, report is made in the actual condition of ROC analysis in DR system and the investigational results of ROC analysis of CAD.
著者
志津木 健 小川 郁 井上 泰宏 神崎 仁
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.242-249, 2000-08-31
被引用文献数
7
著者
Suzuki Keisuke
出版者
流通経済大学
雑誌
流通經濟大學論集 (ISSN:03850854)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.33-62, 1983-02

一国内の各都市の人口をP,最大の都市人口から数えたその都市人口の順位をRとするとき,それらの間には,log P = -a log R+b (1)という関係が成立する(aおよびbは,パラメーターである)。これが,今日,一般に,「ジップの順位規模法則」とよばれている法則である。この法則の成立機構,性質,適用の可能性等については,すでに,これまで多くの研究がなされている。しかし,一国内でこのジップの順位規模法則が成立しているとき,その一国内の部分的地域内にある都市人口に対して,やはり,ジップの順位規模法則が成立し得るかどうかという問題についての研究は,まだなされていない(ただし,一国の部分的地域の都市人口へのこの法則の単なるあてはめは試みられている)。ここでは,この問題に対する検討をおこなった。検討の結果,『ある一地域(第k地域)内の都市人口P_kのもつその地域内の都市人口における順位R_k』と『その都市人口のもつ全地域(一国)内の都市人口における順位R』との間に,ほぼ R≒κR_k (2)という関係(ただし,κはある定数)があるとき,もしも,全地域内の都市人口が順位規模法則に従っていれば,第k地域内の都市人口もまた,近似的に順位規模法則に従うことが理論的に見いだされた。すなわち,一国全体の都市人口が,ジップの順位規模法則に従っているとき,同時に,その国の部分的地域の都市人口もまたジップの順位規模法則に従うことが可能であることを理論的に示すことができた。また,この事実をシミュレーションによっても示すことができた。ジップの順位規模法則のもつ上記のような性質-全地域内の都市人口と部分的地域内の都市人口が同時に順位法則に従うことができるという性質-を,筆者は,『ジップの順位規模法則の可分解性(decomposability)』と名づけた。さらに,検討の結果,いくつかの地域内の都市人口が,同様のジップの順位規模法則に従うとき,いいかえれば,第k地域における都市人口をP_k,その地域内の都市人口におけるO_kの順位をR_kとすれば,R_kとP_kとの間に,P_k=-a log P_k+b(k=1,2,…)(3)という関係が成立する(a,およびbは各地域共通のパラメーターである)とき,これらの地域全体の都市人口にジップの順位規模法則を適用し得ることが理論的に判明した。順位規模法則のもつこのような性質を,ここでは,「ジップの順位法則の可結合性(composability)」と名づけた。最近のわが国においては,わが国全体の都市人口に対しても,また,各種地域内の都市人口に対しても,ジップの順位規模法則が適用され得るが,このようなことが可能となった理由は,ジップの順位規模法則の可分解性,または,可結合性にあることが認められた。この研究の一部は,日本大学の1981年度における総合研究:『21世紀目本の針路』に与えられた研究資金によっておこなわれた。その研究結果は,鈴木啓祐:「地域的人口分布の動向」,黒田俊夫編:『21世紀日本の針路』東京,古今書院,1981年,159-193頁および,鈴木啓祐,黒田俊夫:"On the structure of the spatial distribution of recent urban population in Japan," NUPRI Research Paper Series, No.4,東京,日本大学人口研究所,1981,という形で公表されている。この研究をおこなう際,この研究に対して関心を示し,大きな刺戟を与えられた日本大学の黒田俊夫教授に謝意を表する。また,この研究の一部は,1981年に東北学院大学(仙台)で開催された日本入口学会の第33回研究発表会,ならびに,1981年に明治学院大学(東京)で開催された目本地域学会の第18回研究発表会において発表した。これらの発表の内容は,鈴木啓祐:"On the homogeneous structure found in the system of the population of cities in Japan,"『人口学研究』第5号,1982年,49-56頁,ならびに,鈴木啓祐:「ジップの順位規模法則の可分解性について」,『地域学研究』第12巻,1982年,35-52頁,という形で公表されている。これらの研究発表の際,有益なコメントを与えられた,宇都宮大学の大友篤教授,慶応義塾大学の高橋潤二郎教授,および摂南大学の岡崎不二男教授に対して感謝の意を表する。なお,この研究に必要となった重要な文献を閲覧する機会を与えられた成蹊大学の志村利雄教授および石井三郎教授に感謝を表する。さらに,また,この研究に必要な計算作業に協力された芙蓉情報センターの土屋政晴氏,蒲耕二氏,および藤原史之氏に対しても感謝の意を表する。