著者
長塚 隆
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, 2001
被引用文献数
1

インターネットの普及により,データベースの種類および提供・利用範囲が急速に拡大している。特に,従来の著作権法で保護されてきた「創作性」のあるデータベースのほかに,個人別電話帳,不動産情報,ゲノム情報,さらに競馬情報あるいはオークション情報など,データを蓄積したファクト(事実)データベースが社会のあらゆる場で,ますます利用されるようになっている。「創作性」のあるなしにかかわらず,一定の投資がなされているデータベースを保護する「新たな権利(sui generis right)」を規定したECデータベース指令の特徴とその後の各国での国内法の整備状況,最近の訴訟例を紹介した。データベースの法的保護について,米国,ヨーロッパ,日本での歴史的な変遷を俯瞰し,今後のあり方を提起した。
著者
青山 真人 駒崎 孝高 杉田 昭栄 楠瀬 良
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.241-250, 2003-05-25

ウマ同士の社会行動にともない顔や体に現れる特徴の意味の把握は,ウマがヒトに対しても同じ行動を取ることから,現場でのウマの取り扱いにおいて重要な情報になると考えられる.そこでわれわれは,日常的にウマに接している者(ウマ取扱者)およびウマに接する機会が少ない者(非取扱者)を対象に,互いに社会行動をしている2頭のウマの写真からその社会的関係を推察し,さらに判断の手がかりとして注目した部位を回答させるアンケート調査を行なった.ウマ取扱者189名の正解問題数の平均は6.01問(全11問 ; 正解率54.6%),非取扱者53名のそれは5.26問(正解率47.9%)であった.両群とも,無作為に回答した場合よりも有意に高い正解率であったが,ウマ取扱者のそれは非取扱者のそれよりも有意に高かった.ウマ取扱者が回答の際に注目した部位については,耳が38.0%でその頻度がもっとも高く,次いで体全体33.5%,顔全体 23.9%の順であった.非取扱者による注目部位は,高い順に耳29.6%,顔全体20.6%,目15.6%であった.一方,回答者を7問以上正解者(7以上群)と6問以下正解者(6以下群)に分けて比較すると,ウマ取扱者については耳(ただしP=0.091)および顔全体において,非取扱者では首の向き・角度および体全体において,7以上群の方が有意に高い頻度でこれを注目した.各問題の回答を解析すると,一方のウマがその耳や首をもう一方のウマに向けている状態(社会的に劣位のウマが耳を上位のウマに向けて気にしている様子など)が正解の手がかりとなった状況については,ウマ取扱者と非取扱者の正解率や観察の仕方は類似した.しかし,ウマの耳や首がもう一方のウマの位置と関係なく特異的な状態になる場合(耳を後方へ倒す威嚇の表情など)は,ウマ取扱者と非取扱者の観察の仕方は異なり,ウマ取扱者の正解率が高かった.ウマに接して来た経験をもとにウマの耳および首の向き・角度に注目することは,ウマの社会的な状況を推察するのに有効であると示された.
著者
SATO Sho ITSUMURA Hiroshi
出版者
デジタルリポジトリ連合; SPARC Japan/国立情報学研究所
雑誌
DRFIC2009 発表予稿集
巻号頁・発行日
pp.78-83, 2009-12

Research Papers in Economics (RePEc) is a subject repository to promote scholarly communication in economics. It provides bibliographic information and links to full text of online economic materials including 240,000 working papers (WPs). Some Japanese institutions have added their contents to gain more repository users.The authors analyzed usage logs of WPs in Hitotsubashi University Repository (HERMES-IR) and Academic Research Repository at the Institute of Developing Economies (ARRIDE) to reveal RePEc’s impact on the use of WPs in institutional repositories. The analysis revealed that the use of WPs which were added to RePEc was double that of not added. In particular, the use of papers written in English increased significantly and many of their users were from abroad. However, papers written in Japanese did not gain much use from RePEc. RePEc has a strong impact on English papers and users from abroad, and a little impact on Japanese papers and Japanese users.
著者
橋本 賢 森井 沙衣子 照井 真紀子 村上 洋子 奥村 万寿美
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-98, 2006-03-31

食事摂取量調査は,管理栄養士にとって患者の食生活を把握する上で非常に重要な項目である.しかし,分析する者の経験や能力の差により正確な値との間に誤差を生じる.そこで食事摂取量調査の技術向上のために,どのような教育の実施が望ましいかを検討するために,IT (Information Technology) を用いた摂取量解析のプレテストを行った.管理栄養士養成施設の3年生男子10人,女子76人を対象とした.5cm方眼のランチョンマットに配膳された「ごはん,鮭の塩焼き,肉じゃが,ほうれん草の胡麻和え,若布のみそ汁」をデジタルカメラで撮影し,その画像から食材と分量の読み取り分析を実施した.また画像からの食事摂取量の評価で難しかった点(問題点)と技術習得のための改善点を学生に提示させた.その結果,食材の分量を全体的に過少評価し,また総エネルギー量を実際のエネルギーより少なく見積もる方向性が認められた.さらに調味料分量においても同様の結果が認められた.塩分量においては,実際の塩分量と比較して,メニューの目分量,またそれぞれの料理の材料分量を栄養価計算した塩分量と比較して,多く見積もる方向性が認められた.さらに学生が難しかったと申告した項目を分類したところ,難しかった点には,使用食材の分量を把握することが一番多く,次いで調味料の分量を把握すること,食器から重量を推定すること,食材名(分類や部位)を判別するが上位を占めた.一方,問題を改善するための今後の課題としては,スケールを用いた食材量測定が最も多く,次いで1食あたりの食材分量,調味料分量%を把握する,およびレシピであった.撮影画像から食事摂取量調査を行うにあたり,食材料自体の分量の把握と常用量の把握が重要であると考えられた.また,2次元画像から材料の大きさを立体的に把握する技術も必要となることが示唆された.
著者
山下 倫央 幸島 明男 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.26, pp.7-13, 2007-03-14

論文では,一日の電力消費を平滑化するためにエネルギー消費機器の運転時間を動的に変更・制御し,省エネルギー・二酸化炭素排出削減を実現する協調省エネを提案する.協調省エネの機器制御の対象として,消費電力が大きく,かつ運転時間が外部的に決定されてもユーザの負担が少ない家電である全自動洗濯乾燥機と食器洗い乾燥機を想定し,利用時間をシフトさせる.協調省エネ家電の利用時間の変更がなされた結果 どの程度の省エネルギーが達成されたかを数値実験を通して検証する回数値実験の結果に基づいて,協調省エネが達成したi)ピーク時の消費電力の削減比率と,ii)総消費電力量の削減比率,が実際にはどの程度の省エネルギーに匹敵するのかを確認した.In this paper, we propose "cooperative energy saving", which dynamically changes the op erating time of devices consuming electric power to smooth power consumption of a day and to realize energy saving and reduction of carbon-dioxide emissions. The degree of energy saving with cooperative energy saving is calculated through a numerical experiment that the operating time of a washing and drying machine and a dishwasher in households are shifted from noon to midnight. As a result of our numerical experiment, we evaluate that the degree of energy saving in real world from the point of view of i) reduction ratio of a peak of electric power consumption, and ii) reduction ratio of total electric power consumption.
著者
十河 卓司 石黒 浩 トリベディ モーハン M.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2567-2577, 2000-12-25
被引用文献数
16

本論文では, 複数の全方位視覚センサを用いた実時間人間追跡システムを提案する.このシステムは, 複数の全方位視覚センサによって得られる周囲360度を映した全方位画像から, 従来の3眼ステレオ視を拡張したN眼ステレオ視によって, 画像特徴を用いることなく複数の人間の位置を実時間で推定し追跡を行う.N眼ステレオ視においては, 人間のモデルの誤差と人間の方位角の観測誤差, 及び全方位画像に基づくステレオ視における位置推定精度の問題を考慮し, 更にそれを簡略化して種々の誤り補正を行うことで, 実時間でのロバストな位置推定を可能とする.この手法を用いてシステムを試作し, 人間の追跡実験を行うことでその有効性を確認した.
著者
宮崎 美穂 橋爪 真理 中井 明美 北浦 多榮子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.17-25, 2006-02

綿、羊毛、アクリル、ポリエステル繊維からなる4種類の布に付着させた4種類の汚れについて、家庭一般で使用されている市販洗剤を用いて洗浄実験を行い、得られた洗浄効率、汚れの脱離性を比較した結果、下記の所見を得た。1)水溶性のコーヒー汚れとしょうゆ汚れは、4種類全ての繊維において、市販洗剤での洗浄効率、汚れの脱離性は高く、除去しやすいことがわかった。2)牛乳汚れは、牛乳に含まれる水溶性タンパク質が変性すると除去困難となるため、付着した場合は出来るだけ早く洗うことが望ましいと考えられた。3)リキッドファンデーション汚れは、湿式洗濯では水により汚れが広がり、市販洗剤を使用した除去効果は低かった。4)市販洗剤を使用して洗浄した場合、経時変化による汚染除去効果を検討すると、コーヒー汚れとしょうゆ汚れは時間が経過しても、比較的除去が容易であった。リキッドファンデーション汚れの場合、綿と羊毛での差異はみられたが、除去が困難となった。
著者
江崎 浩 松澤 茂雄 茂木 章善 永見 健一 神明 達哉 勝部 泰弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.215, pp.43-48, 1996-08-20
被引用文献数
5

従来のルータ機能にATMセルスイッチ機能を持つセルスイツチルータ (CSR) について, アーキテクチャ・導入形態を謙論し, さらにプロトタイプシステムの概要を述べる. セルスイッチルータのカットスルー転送機能が有効に動作することを実測したパケットフローから示すことができた. さらに, 試作したセルスイッチルータプロトタイプシステムにおいて, 大容量のパケット転送 (トータル2.6Gbps) を実現させ, エンドエンドに高速なデータ転送 (TCPで90Mbps以上) やリアルタイム動画転送を提供可能であることを確認することができた.
著者
守屋 康正
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜経営研究 (ISSN:03891712)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.357-373, 2004-03

1970年代前半,ラジカセやポケット電卓が市場にでまわり,電子機器のポータブル化が浸透を始めていた.当時急速な進化を遂げつつある半導体技術の賜物であり,その中核は情報技術を劇的に進化させるマイクロプロセッサである.マイクロプロセッサはまさに産業の米ともいえる存在で,それまで空調設備の備わった快適な部屋に鎮座していたメインフレームの存在を脅かし,一方では人の目に触れずに電化製品や産業機器の中へと浸透を開始した.しかしながら,人々が今日のように携帯電話を持ち歩き,ワイヤレスでかつてのメインフレームの何万倍もの処理速度をもつパソコンを利用する姿を,当時誰が想像できたであろうか.いつの世にも将来の予測は極めて難易度が高い.バトラー・ランプソン,チャック・サッカー,ボブ・メトカルフ,アラン・ケイをはじめとするゼロックスPARCの著名な研究者たちは,30年以上も前に今日の情報化社会を展望し,自らの夢の実現に向けた研究成果としての技術的な礎を築いた.これらが技術の進化の過程であるとするならば,米国西海岸のシリコンバレー型モデルとでもいうべき新しい産業構造の興隆が,情報技術の進化にもたらした影響も計り知れない.シリコンバレー型モデルとは,半導体,コンピュータ本体,周辺機器,OS,アプリケーションソフトウエア,ネットワーク基盤,ネットワーク機器,ネットワーク管理ソフトウエア,各種サービスプロバイダなど,コンピュータやネットワークのアーキテクチャを構成するベンチャー企業の固有技術を統合するマルチベンダ型の事業モデルをさす.すなわち,メインフレーマとその傘下の企業が提供するクローズドなシングルベンダシステムの対極である.このシリコンバレー型モデルに参加する企業群は,デファクトスタンダードに沿ったオープンシステムの一翼を担うだけではなく,各層内での競争と協調を繰り返しながら,情報技術の進化を加速した.インターネットを中心とした情報技術分野では,市場受容への適合の力学が存在する.すなわち,優れた技術が市場に適合するとは限らず,市場内の顧客数の閾値,判りやすい商品技術の訴求力,あるいは市場操作能力が適合の条件となる場合が多い.インターネットが商用公開された当時には,多くのプレーヤーがポータルポジションの獲得のためのワンストップ化にしのぎを削り,外部の技術とコンテンッを呑み込んで質量を高めるブラックホールさながらの様相を呈していた.ユビキタスな社会環境が浸透し始めた今日ではこのようなココンペティションの激しさが増している.本書では,このようなユビキタスの技術と事業の相関と競争原理の考察に関する報告である.
著者
青井 哲人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.518, pp.237-244, 1999
被引用文献数
1

This paper tries to focus on the construction of Taiwan Shrine (a Shinto shrine) 1899-1901, besides the reformation of urban area inside the Taipei Fort, as a project that played a significant role in the reorganization of Taipei into a Japanese colonial city. The site for the shrine was kept away out of the fort and raised halfway up Mt. Chientan because the shrine required both pure natural landscapes and the correspondence with the urban area. The shrine was connected with the newly planned government quater in the fort by the Chokushi-Kaido, an approach road to the shrine, and closely related by the shrine rituals.
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.43-45, 2009-11

消費者に従来のマーケティングが通用しにくくなった今、商品を売るために、時には逆転の発想が必要となる。最近のヒット商品や話題の商品を多数検証したところ、4タイプの「逆転発想」を浮き彫りにすることができた。商品特性を否定する、使われない時間を攻める、短所を強みに変える、高額商品こそネットで売る─である。
著者
江川 雅人 校條 由紀 粕谷 大智 加川 大治
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.334-352, 2009-08-01

鍼灸医学において、 皮膚は特別な意味を有する。 鍼灸医学における皮膚は診察と治療の場でもあると共に外界との情報交流を行う場でもある。 体表に現れる種々の所見は、 単なる皮膚の所見とは捉えず、 体内や外界、 心の状況を映し出すと捉えている。 こうした視点により、 鍼灸治療は鍼と灸というシンプルな刺激手段ながらも、 体表上の特定部位を刺激することによって治療効果を引き出し、 心身全体の機能をも調整することができる。 <BR> 本シンポジウムでは 「皮膚と鍼灸」 を、 具体的な皮膚疾患の鍼灸治療とその臨床的効果を通して見つめ直し、 鍼灸師として鍼灸と皮膚の関連性を再認識した。 <BR> 江川からはアトピー性皮膚炎について、 校條先生からは爪白癬について、 粕谷先生からは膠原病の皮膚症状に対する鍼灸治療の方法とその臨床効果を紹介した。 また、 加川先生からは、 鍼刺激の皮膚性状に対する影響に関する研究結果についても呈示した。 これらの研究成果から、 広く皮膚科領域、 美容領域、 アンチエイジングへの鍼灸医学の効果や可能性について討論した。 また、 鍼灸医学における皮膚 (体表) の考え方として、 皮膚が各内臓器官や心の現れであること、 皮膚を診ることを通して心身全体が関連していることを再確認した。 さらには、 体表を診察と治療の場とし、 皮膚と全身の機能を関連させる鍼灸医学の有効性・発展性、 その視点の意味するものについて検討した。
著者
加藤 恒夫 黒岩 眞吾 清水 徹 樋口 宜男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.136, pp.1-8, 2000-06-15
被引用文献数
6

話者クラスタリングは音響的に近い話者集合を作成する方法であり, 話者集合毎に音響モデルを学習することで特定の話者集合にチューニングされたモデルが得られる.従来の報告では少ない話者数(数十名から数百名)の音声を学習データとして用いているが, 多数話者の音声を学習データに用いれば, 1話者クラスタあたりのデータ量が増加しモデルパラメータの推定精度が向上すること, 任意の話者に近い話者集合の音響モデルを認識に利用できることにより認識性能の改善が期待できる.本稿では, 1, 000名規模の電話音声データベースを用いで話者クラスタリングを行い, 学習データの話者数の増加に伴い認識率が上昇することを確認した.また, 話者集合の作成が理想的に行われた場合の認識率を求めることを目的として, 従来の尤度に基づく方法に替えて, 認識対象の話者に対して高い認識率を与える話者のデータからモデルを学習したところ, 不特定話者モデルと特定話者モデルの性能差の約60%を改善可能であることがわかった.
著者
田中 大輔 大鐘 武雄 小川 恭孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.2133-2141, 1999-11-25
被引用文献数
39

同一チャネル干渉除去技術として基地局にアダプティブアレーを用いたSDMA方式を検討した.SDMA方式においては,所要の誤り率特性を得られない場合も起こりうるので,チャネルの割当可否を事前に,かつ容易に判断する手法が必要となる.ユーザからの信号が特定の到来方向を有する場合には,アレーの応答ベクトルによって与えられる空間相関を用いる手法が考えられる.本論文では,2ユーザ及び3ユーザにおけるチャネル割当基準を検討した.このとき空間相関値はそれぞれ一つまたは三つ与えられるが,2ユーザの場合は各ユーザの平均SNRと相関値が割当基準となり,3ユーザの場合は各ユーザの平均SNRと三つの相関値の積と2乗和の関係が割当基準となることが明らかとなった.また,3ユーザの場合に孤立セルにおいて呼損率特性を評価した結果,SDMAを用いない場合と比較して収容トラヒックはおよそ3.5倍まで上昇することが明らかとなった.