著者
越井 剛 大崎 佑紀 高木 真一 小舘 亮之 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.630, pp.53-58, 2003-01-28

本橋では,高精細ディジタル画像人力のためのビデオモザイク方式の実現を目標とし,ズームとスキャニング撮影によるモザイク化方式を提案する.これによって,ユーザは被写体全体を高精細を生成,もしくは興味領域のみの部分的な高精細化した画像を生成することを可能とする.被写体全体を含む画像を基準画像として用い,撮影位置・撮影カバー面積情報を用いた各フレームの低解像度変換処理により,各フレームと基準画像との解像度の相違による処理の破綻の回避,被写体全体を含む画像との差分パラメータを推定することにより累積誤差の低減を実現する手法について検討する.
著者
田島 俊彦 中村 敏郎 黒田 貴紀
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.37-46, 1995-02-25
被引用文献数
3

回転円筒水槽実験で観測される定常傾圧波動の基本的構造は、低圧性・高圧性の渦、渦の間を蛇行する上層(東向き)・下層(西向き)ジェット流と境界層でできている。この構造をもとに、最近、菅田・余田は円筒水槽内の流体粒子のラグランジュ運動を数値的に調べた。彼らの結果に刺激されて、数滴の赤インクをジェット流叉は渦に注入する回転円筒水槽実験を行い、ドリフトする波と共に回転する座標系で観測した。流体中に現れたインクの三次元模様は渦の内部を明らかにした。即ち、渦の内部は中心層とその外部の遷移層から成っている。中心層はどちらかと言えば孤立層に近く、さらに上層と下層に分離している。遷移層では流体粒子はその外部と行き来をし、中心層にはめったに行かない。低圧性渦の下に起こるエクマンパンピングと思われる現象のようないくつかの興味ある現象についても又ここで示す。
著者
緒方 正名 當瀬 美枝 山田 寛子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.19-32, 1997
被引用文献数
1

本調査においては, 在宅介護者の介護負担度を探るために, 高齢者の介護をしている介護者の負担感を半定量的に評価する指標として開発されたCostofCareIndex(CCI)を導入し, 老人福祉法に位置付けられている老人ホームヘルパー(194名)と実際に自宅で家族の一員を介護している在宅介護者(270名)を調査対象にして, その負担感に焦点を当て両者の差異を比較検討した.そのCCIの5項目の制約について, 単純集計の結果から両群の差異を得点のメディアンで比較すると, (1)社会的制約のある人は, 在宅介護者が約46%, ホームヘルパーが約48%, (2)健康については, いずれかの形でホームヘルパー, 在宅介護者の約40%がそれを損ねていること, (3)介護に対する意欲では, ホームヘルパーの約2倍以上の在宅介護者が失っていること, (4)被介護者の態度については, ホームヘルパーの約2倍以上の在宅介護者が不愉快さを感じめいること, (5)介護に必要な費用については, 在宅介護者の約1.4倍以上のホームヘルパーが高いと考えていること(ホームヘルパーの値は推定値である), が明らかにされた.また, 各項目において単純集計の結果における訴えの比率について両群の差異をκ2検定で調べた.そして, ホームヘルパーと在宅介護者の差異の多い質問について両群の統計的有意差の見られた項目を中心に各群別のクロス集計を行った.その結果, 両群の介護者共に(1)健康を損ねると被介護者に対する不愉快さが増すこと, (2)社会的制約が増すと被介護者に対する不愉快さが増すこと, (3)介護に対する意欲の有無は, すべての負担度に直接影響を及ぼさないこと, が認められ, また在宅介護者では, その38.3%が, 社会的制約に基づいて健康を損ねていること, などが明らかになった.終りにあたって, 本調査の結果が, ホームヘルパーと在宅介護者の負担感を軽減するための方法と現状の福祉政策の課題を提示するための基礎資料となり, 在宅介護者の負担の軽減を目的としたホームヘルパーの確固たる位置付けと在宅福祉の推進に活用されることを期待していることを述べた.
著者
牧野 亮哉 高橋 哲郎 野嶋 栄一郎 柳本 成一 梅澤 章男
出版者
福井大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

複数のモダリティからなる情報が同時的、あるいは継時的に提示される時、学習者はどの情報モダリティで与えられる情報を取捨選択するのかという問題、すなわち学習者の認知的な情報処理過程については、これまで組織的な研究がなされてこなかったテ-マである。本研究によって得られた主な成果を以下に記す。1.映像教材の情報処理過程、特に映像と音声の交互作用過程を調べるための方法論的検討を行った。映像教材が学習者に取込まれていくプロセスを、その入力段階において測定するためにアイカメラを利用することを試みた結果、アイカメラで測定される映像の見方が学習者の理解を反映することを示唆するものであった。2.映像と音声の時間的タイミングを実験的に操作して、音声が映像に先行する教材と後行する教材及び同時に提示される教材を作成した。先行と後行のどちらが理解を阻害するかを調べた結果、音声の後行がより理解を阻害するという知見が得られた。映像情報の理解が音声情報に大きく依存していることを示唆する結果である。3.比較的授業に近い場面におけるアプロ-チとして、LL教室のレスポンスアナライザを用いた測定システムを開発した。教材を提示しながら学習者に質問を行い、それに対する回答をアナライザとそれに接続したマイコンにより測定、収集、蓄積するシステムで、これにより時々刻々の学習者の変化を追跡することが可能になった。4.マイコンのグラフィックス機能を利用して、図学授業における説明図を板書図やOHP図に代わる形で提示することを目的として、そのCAI教材化を試みた。開発した教材内容は次のものである。(1)角錐・円錐・角柱・正多面体、線織面等の立体の投像及び直線と各種立体の交点、多面体同士の相貫、曲面体同士の相貫。(2)三角錐・円錐・傾斜三角柱・傾斜円柱・球・ねじれ面・傾斜六角柱等の各種立体の展開図及び測地線の作図。
著者
井口 雅保 三浦 克介 中前 幸治 藤岡 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, 1994-09-26

最近の大規模化・高密度化したLSIのテスト効率を高める新しい技術として、CADリンク電子ビームテストシステムが注目されている。このテストシステムでは、CADデータベースのレイアウト、 回路接続を示すネットリスト、回路図、及び実デバイスのレイアウトが相互にリンクされている。しかし、テストの実行に際してレイアウトデータだけしか入手できない場合がしばしば生じている。我々は先に、このような場合の故障診断手法として、CADレイアウトからの逐次回路抽出によるVLSI自動故障追跡法を提案した。このアルゴリズムでは、トランジスタレベルの回路データを逐次抽出しながら故障信号線の上流配線の故障追跡が行われる。この際、回路機能の認識が効率的な診断のために重要となる。本報告では、逐次回路抽出アルゴリズムを利用してCADレイアウトからSPICE形式の回路データとして抽出し、それからゲートレベルの回路データに自動変換する手法について報告する。
著者
白井 寿海 十川 清己 山本 和充 児島 健次 藤岡 弘 牧田 浩和 中村 康彦
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.172-177, 1993
被引用文献数
7 40

In order to prepare fine granules of sparfloxacin (SPFX), a new quinolone anti-bacterial drug that shows masking of the bitter taste of SPFX and dissolutes at a rapid rate, various film-coated fine granules containing 20% SPFX and 0-52% low-substituted hydroxypropylcellulose(L-HPC) in the cores, were prepared by a spray method. Mixtures of ethylcellulose (EC), hydroxypropylmethylcellulose (HPMC), titanium dioxide and sucrose stearate in weight ratios of X : Y : 2 : 1 (X+Y=6) were used as film materials.The degree of masking of the bitter taste by water-insoluble film, mainly consisting of EC and HPMC, increased by increasing the content ratio of EC to HPMC and the amount of films, but was also slightly affected by the amount of L-HPC in the cores, which were coated with either EC or EC/HPMC (4/2). On the other hand, the dissolution rate increased with an increased amount of L-HPC in the cores and with a decreasing ratio of EC to HPMC in the films. Increasing the amount of L-HPC in the cores, which induced a considerable expansion of the fine granules owing to their taking up of water from the dissolution medium, resulted in burstin of the film after a short lag time. The bioavailability of the film-coated fine granules containing 20% SPFX and 52% L-HPC in the cores and 10% EC/HPMC (4/2) in the coating film, which masked the bitter taste of SPFX and showed the optimal release characteristics, was equivalent to that of conventional tablets containing 100 mg SPFX in beagle dogs.
著者
嶋田 雄二郎 城所 銑一 花井 克之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.44, pp.1-6, 1999-05-21

ネットワーク管理のための有力な情報源の1つに,MIB?2やRMON/BMON2で収集するパフォーマンス/トラフィック情報があげられる.しかしながら,LANスイッチを導入した最近のネットワーク環境は,収集すべきMIB情報を飛躍的に増加させ,従来の手法では手におえない状況をもたらした.このようなネットワーク環境において有効なネットワーク管理を実現するには,膨大なMIB情報の効率よい分析手法の確立が必要である.本稿では,LANスイッチを導入したネットワークのトラフィック管理をRM0Nべースで行う上で,従来の手法の問題点を整理し,その問題点を解消する効率よいトラフィック分析手法の試みについて述べる.One of the effective resources for network management is information about network performance and traffic which are provided by SNMP MIBs such as MIB-II and RMON/RMON2. Recently many network environments have introduced LAN-switching technology and enjoyed its benefits. However, in an aspect of network management, this LAN-switching technology requires a large increase in MIB information to be collected, which results in overloading traditional approach for network management. In this paper, we summarize features of this problem and discuss on an effective approach for traffic analysis in network environment with LAN-switching technology.
著者
藤田 後輪 吉田 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.24, pp.41-46, 2008-05-01

我々はLANスイッチを主として構成されるLayer2ネットワークのトポロジを推測するアルゴリズムを提案し,機器間の接続関係を推測・表示するシステムを作成し利用してきた.現在本システムの運用環境である大分大学では,多数のベンダのLANスイッチを用いてネットワークを構築している.このような環境で,ベンダに依存せずに各LANスイッチの情報を取得するために,SNMPを用いている.しかし,SNMPを用いてMIB2の情報を収集しても,いくつかのLANスイッチでは機種に依存した特殊な手続きを取る必要があることがわかった.本論文では異なるベンダのLANスイッチが混在するネットワークにおける構成情報の収集について述べる.
著者
上東 太一 柳井 啓司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.42, pp.201-208, 2007-05-15
被引用文献数
1

近年、デジタル画像の爆発的な増大によって、実世界の一般的な画像に対する認識技術への要求が高まっている。そこで、本研究では、新しい認識の手法として G. Csurka らによって提案された bag-of-keypoints 手法を利用して、Web から収集した一般的な画像に対して画像分類実験を行った。Bag-of-keypoints 手法によって画像特徴量を抽出し、SVM によって分類実験を行った結果、100 クラスの分類において分類率 51.1%を実現した。Recently, need for generic image recognition is getting larger due to the explosive increase of digital images. Then, we have performed classification experiments for general real-world images gathered from Web employing the bag-of-keypoints method proposed by G.Csurka et al. In the experiments, we have obtained the 51.1% classification rate for 100 object classes.
著者
中曽根 祐司 松尾 唯史
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
計算力学講演会講演論文集 (ISSN:1348026X)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.275-276, 2005-11-17

The present study has applied Hori and Kameda's stress inversion method to the estimation of elasto-plastic stress distributions in Al-Mg polycrystalline materials. The method can estimate 2D elasto-plastic stress distributions from deformation distributions measured in a structure by using only the elastic moduli of the material of the structure. First, computer codes have been developed based on the present stress inversion method. Then, elasto-plastic 2D FEM analyses of stress concentration problems caused by elliptic holes and rectangular inclusions were made. Comparison of the results obtained by the FEM analyses and the stress inversion method showed that the stress inversion method can estimate elastic and elasto-plastic stress distributions from deformation/strain distributions with reasonable accuracy. Finally, the elasto-plastic stress distributions in Al-Mg were estimated by using deformation distributions measured by the digital image correlation method and it was found that stress concentration occurred near triple junctions of grain boundaries.
著者
金 宗根 亀田 壽夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.720-721, 1990-03-14

静的負荷分散問題は、分散コンピュータシステムの負荷分散問題、コンピュータネットワークの最適フロー割り当て問題、交通トラフィックの最適割り当て問題として、広い範囲の研究者たちによって研究されている。特に金と亀田はTantawiとTowsleyの単一クラスジョブの枠組を複数クラスジョブに拡張し、システム全体の平均応答時間が最小になるように複数クラスジョブを分散させる負荷分散アルゴリズムを提案した。本研究の目的は、金と亀田が提案したアルゴリズムの性能を、既存の著名な複数クラスジョブのアルゴリズムである、Flow Deviation方式のアルゴリズム及びDafermosアルゴリズムと比較検討することである。このために具体的なシステムモデルを考えて、各々のアルゴリズムを負荷分散問題に適用して数値実験を行い、最適解の計算のために必要な時間等を求めた。
著者
梅村 佳代
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.157-169, 2003-10-31

In the early Edo period, Nara had 6,000 families, a population of 35,000 and 3,000 houses. Minami Handa Nishi area in Nara was a small town, and it's population decreased from 130 to 70 in the Edo period. It's time of grand prosperity was in Genroku ages, and it gradually decreased in the number of houses and families. Minami Handa Nishi area had many religious sects, the most common religious sect was the Jhodo Sect. The second most common religious sect was the Jhodo-Shinsyu Sect. The third most common sect was the Yuuzuunenbutsu Sect. Other sects included the Shingon Sect, the Hokke Sect and the Tendai Sect. The Jhodo Sect had about 70 percent of the believers in this area, and the Jhodo-Shinsyu Sect had about 20 percent of the believers. In Nara, the number of families in each household increased. This happend because the Edo nation increased the amount of tax that each household was responsible for. Some people in the Minami Handa Nishi area were rich and controlled all other people. The names of their businesses were "Yoshinoya" and "Yamatoya " etc. In Edo period, Nara had many small familial organizations, and many nuclear families. The majority style of families was parents and one or two children. It had many families with no children. For example, the name of "Yoshinoya" had 15~20 family menbers and kept 4~5 employees about the middle Edo period, but each family of the "Yoshinoya" household had from 4~5 members.
著者
倉方 俊輔
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1879号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2004/3/4 ; 早大学位記番号:新3802
著者
鈴木 雅一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.115-125, 1985-04-25
被引用文献数
18

長期間にわたって水収支観測がなされている日本各地の森林流域の記録をもとに, 短期水収支法を用いて流域の蒸発散量とその季節変化を求めた。検討には桐生, 川向, 竜の口山, 釜淵, 去川の5試験地, 9流域のそれぞれ10年から40年間の日雨量, 日流出量記録が用いられた。短期水収支法では, 渇水による蒸発散低下は水収支期間内の最小流量に対応して生じ, 蒸発散低下をもたらす限界流量が流域ごとに定められた。渇水による蒸発低下の例を除外して求めた蒸発散量季節変化は, 植生が著しく変わらないとき集計期間が異なってもほぼ同様の結果となった。森林の伐採や山火事によって蒸発散量が減少する傾向は各流域とも同様であるが, その変化が通年にわたり生じた流域とおもに夏期に生じた流域があった。求められた蒸発散量とその季節変化は各流域の気象, 植生を反映する値として, 森林流域の蒸発散量推定式作成の基礎資料になるといえる。
著者
大窪 久美子 前中 久行
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.193-198, 1992-03-31
被引用文献数
2 4

野生草花の保全を目的とする半自然草地の管理を検討するため,クマイザサSosa senanensisの優占程度が異なる二つの群落において,時期を変えた刈取り実験を行った。刈取り区には6,7,8,9月刈り,無処理区を設け,二年続けて同じ処理を行った。その間,無言期に毎月一回追跡調査を行い,群落の動態を解析した。また,地域周辺でみられる主な植物について,フエノロジー調査を行った。マツムシソウ等の草本植物を庇陰してしまうクマイザサは,8,9月刈で再生を著しく抑制された。一方,野生草花の開花期は7月下旬から8月下旬に集中していた。刈取りの競合植物への影響が最大になる時期と野生草花への影響が最小になる時期とで刈取りの適期を議論した。
著者
"植松 章子 田中 昌昭"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.497-510, 2006

"スケジュール作成は,労力を要し,時間のかかる作業である.これは,法的な制約,勤務規程上の制約,あるいは個人の都合による制約など,多数の競合する制約条件の下で最適な解を探索しなければならないからである.本論文では,遺伝的アルゴリズムを用いて,臨床検査技師の日当直勤務割当て問題に取り組んだ.遺伝的アルゴリズムは,多くの組み合わせ最適化問題に適用されている探索アルゴリズムである. 川崎医科大学附属病院中央検査部は,一般,血液など13の部署に分かれ,総勢約80名の職員が勤務している.職員には,日勤の他に平日当直,土曜・日曜・祝祭日の日当直が割当てられている.副技師長は毎月勤務割当表を作成して病院へ提出することになっているが,その際,全部で8つのルールを考慮しなければならない.本研究では,それらのルールをペナルティとして適応度関数に取り込んだ. 本研究で考案した手法を用いて入念な実験を行い,2年間にわたって蓄積された過去の実績データとの比較を行った.その結果,本研究のアプローチは十分実用に耐えられることが示され,スケジュール作成エンジンとして日当直勤務割当て支援システムに組み込んだ. このシステムを利用することにより,ターンアラウンドタイムを50%短縮することができた.しかしながら,日当直勤務割当ての完全自動化を実現するためには,さらなる改良の必要がある."
著者
大野 浩之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.88, pp.63-66, 1998-09-25

分散システム運用技術シンポジウム'98では「Intranetの現状と将来」というタイトルでパネルディスカッションを行い,1998年5月開催の研究会では「イントラネットに明日はあるか」というタイトルで会場の参加者とディスカッションを行った.これらのディスカッションを通してさまざまな問題点が明らかになったが,イントラネットの問題点を体系化したいという著者の意図とはほど遠い状態にある.そこで今回も続編を実施する.今回は話の発散を防ぐために話題を「イントラネットは大規模災害を乗り越えられるか」にしぼりたい.そこで本稿では,大規模災害時にイントラネットをどうやって維持管理し復旧させるかという視点から,著者の研究室での実践例を報告し,ディスカッションの下敷とする.In the Distributed system Management Symposium '98 and DSM bi-monthly research group meetnigs at May, 1998, discussion sessions were held. On these sessions, we discussed about tips and techniques for our intranet management. However, the discussion ended without actual conclusions because we didn't have enought discussion time. Therefore, we have planed another discussion again at the research group meeting. This time, we would like to discuss about how we are prevent our intranet from disasters such as earthquakes, floods and fires. So, we introduce ohno laboratory's computer networks and our emergency plans for disasters. This is for the purpose of providing baseline of the discussion. The actual discussion at this research group meeting should be succeeded with new good ideas for all intranet system administrators who are fighting with disasters.