著者
吉田 文
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.178-189, 2020 (Released:2020-09-30)
参考文献数
33

本稿は、1991年の大綱化以降の30年間に及ぶ大学の教育改革に関して、1.文部(科学)省の政策(審議会答申と競争的資金事業)、2.それに対する大学の反応(改革の実施率と大学教育関係学会)、3.この両面から大学教育改革がもたらした意味を考察することを目的とする。分析の結果、次第に改革が手段ではなく目的化し、改革に関する大学の自由裁量の余地がなくなったこと、大学はそこから抜け出せない現実があることが明らかにされた。
著者
西成 典久 斎藤 潮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.907-912, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
26
被引用文献数
1

歌舞伎町及びコマ劇前広場は戦災復興期に石川栄耀によって設計された。本研究の目的は、石川の言説とコマ劇前広場及びその周辺空間との関連を精査することにより、石川の広場設計思想およびコマ劇前広場創出の背景を明らかにすることである。結論は以下の3点である。1)石川は日本に広場がないことを指摘し、「広場は民主社会の表現であり、文化の進んだ都市が持っている」としたが、広場の社会的機能(市民交歓)においては、西欧の広場と日本の商店街に共通性があることを見出している。また、将来的に日本の市民交歓は広場の形態に移ると考え、コマ劇前広場はその為の布石であったと考えられる。 2)石川は計画案において自身の設計論を広場に反映したが、 GHQの建築統制により計画案が頓挫し、広場に盛り込まれた石川の設計手法(Terminal vista)は実施案において実現されなかった。3)広場を導入するにあたり、石川は単純に西欧広場の形態を模倣したわけではなく、広幅員街路のネットワークの終端部に広場を布置することにより、歌舞伎町の土地利用や街路ネットワークと有機的に関係した広場を歌舞伎町において実現しようとした、と考えられる。
著者
林 智絵 佐藤 大樹 二河 成男 根田 仁
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.57-65, 2023-11-01 (Released:2023-12-02)
参考文献数
35

マツカサタケは,長らくAuriscalpium vulgareと同定されてきたが,担子胞子の形態はA. orientaleの特徴と一致した.また,nrDNA ITSおよびLSU領域の塩基配列を用いた分子系統解析ではA. orientaleのクレードに含まれた.さらに,マツカサタケはA. orientaleと同じ基質嗜好性を示した.これらの結果から,マツカサタケは中国から記載されたA. orientaleであると結論づけた.
著者
山田 実
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.12-19, 2020 (Released:2020-08-26)
参考文献数
22
著者
鈴木 孝男
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.374-377, 2021-03-30 (Released:2022-03-30)
参考文献数
3
著者
岡田 正実
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.53-64, 1982-03-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

Monthly distribution of major shallow earthquakes (M≥7.5) in and near Japan is investigated using earthquake catalogs including pre-instrumental data. Major shallow earthquakes off Hokkaido and Sanriku districts are concentrated in spring, and those along the coast from Miyagi prefecture through Shikoku district occurred more frequently from August to December, as Mogi has pointed out. We suggest with some consideration that these variations are statistically significant at a 95% confidence level. In the other region the records on major earthquakes are not enough to discuss the seasonal variation. But it is able to show that large earthquakes with magnitude 7.0 or over occurred more frequently from March to September in the inland regions where no effect of the major earthquakes on the Pacific coast is expected. It seems that the decrease in the weight of water on land and lowering of the mean sea level trigger the occurrence of major earthquake between the oceanic and continental plates, when the strain accumulates closely to the limit. It is also considered that the increase of ground water in the fault zone has an influence on the occurrence of large shocks inland in their critical states.
著者
朝倉 こう子 濱﨑 俊光
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.235-245, 2015-07-25 (Released:2015-10-25)
参考文献数
10
著者
城山 英明 村山 明生 梶村 功
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.149-158, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

米国の航空事故調査は, NTSBが主導し事故原因の究明と再発防止を図っている.NTSBは,関係当事者から専門的知見を集めるパーティー・システムに基づく調査,実効性の高い勧告システムを特徴とするほか,事故犠牲者や遺族に対する一元的支援も実施する.米国では,航空事故への責任追及の手段としては,個人への刑事訴追は極めてまれであるが,懲罰的損害賠償(民事責任)や高額の民事罰(行政処分)が,本来刑事の有する処罰機能を代替し,航空会社やメーカーなど組織への制裁手段として機能している.日本においても,米国の実態の全体像を踏まえた,航空事故調査体制の充実や法的責任追及のあり方に関する議論が行われることが期待される.
著者
永井 幸寿
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.326-329, 2016 (Released:2019-08-01)

昨年11 月に安倍総理大臣は災害を理由に憲法に 緊急事態条項,すなわち国家緊急権を設けることを 国会で明言した.私は,阪神・淡路大震災で事務所 が全壊して以来,21 年被災者支援活動を行ってき た者として以下に災害の現場に基づく意見を述べさ せていただきたい.
著者
畠山 薫 貞升 健志 甲斐 明美
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.238-243, 2011-05-20 (Released:2015-04-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

1950 年代に東京都内で分離された狂犬病ウイルス 10 株と日本の狂犬病固定毒株である小松川株,高免株,西ヶ原株ならびに動物用ワクチン株 RC-HL 株および世界各地の狂犬病ウイルス 86 株の核タンパク(N)遺伝子領域における系統樹解析を行った.東京都で分離された株は,2 グループ (Tokyo 1,Tokyo 2) に分類された.2 グループとも,ヨーロッパ,アフリカ,アジア,アメリカからなる広域クラスターに属していた.Tokyo 1 グループは,1930 年代,40 年代にアメリカ合衆国西海岸のイヌから分離された株とサブクラスターを形成し,Tokyo 2 グループはロシアハバロフスクの racoon dog やバイカル湖地域の stepped fox から分離されたウイルスと同じクラスターを形成する小松川株と近縁であった.これらのことから,1950 年代に東京都内で流行していた狂犬病ウイルスは,ロシアおよびアメリカ由来のウイルスと関連性があったものと推測された.
著者
伊藤 章吾 中村 俊博 麻生 明見 野原 夢 小村 聡一朗 井上 寛子 森 隆宏 竹中 克彦 森 超夫 沼口 宏太郎 佐藤 真司 冷牟田 浩司
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.917-924, 2014 (Released:2015-07-13)
参考文献数
10

症例は42歳の女性. X年9月, 自宅で急に動悸と眼前暗黒感が出現したため, 近医へ救急搬送された. 搬入時心電図で心拍数 (HR) 210bpmのwide QRS tachycardiaを認め, 電気的除細動で洞調律 (SR) へ復した. 後日再度動悸が出現し, 同院の心電図で同じ頻拍を認めた. このときはATP 40mg静注により頻拍は停止した.  精査加療目的で電気生理検査を行った. 高位右房ペーシングで減衰伝導特性を持つ副伝導路を認めたが, 室房伝導は房室結節のみであった. 心房期外刺激で発作時と同一のwide QRS tachycardiaが誘発された. 頻拍中, His束不応期での心房単発刺激に対して三尖弁輪前壁~側壁でのみ頻拍リセットを示した. また, 頻拍中QRSに先行する右脚電位を認めた. 頻拍はMahaim線維 (atrio-fascicular fiber) を介するantidromic AVRTと診断した. 洞調律時に三尖弁輪前側壁にMahaim電位を認め, 同部位での高周波通電にてMahaim線維の伝導は消失し, 頻拍は誘発不可能となった.  詳細な電気生理学的検討によりMahaim線維の特徴的所見を捕らえ, これによるantidromic AVRTを診断・根治し得たので報告する.
著者
宿久 洋
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.24-31, 2013-06-01 (Released:2014-09-01)

統計的仮説検定は不確実性の下での意思決定において非常に有用な方法である。本稿では,統計的仮説検定に関する諸概念および重要な性質を数学的に定義し,それらに基づき検定について解説する。合わせて,その成立における歴史的背景や典型的な誤用についても述べる。本稿の目的は,統計的仮説検定を改めて再考し,統計的有意という用語の真の意味について考えることである。
著者
由利 禄巳 兼田 敏克 東 泰弘 由利 拓真 田中 歩
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-3, 2023-08-29 (Released:2023-09-05)
参考文献数
7

本研究の目的は,地域在住高齢者の買い物能力を評価する買い物工程分析表の内容妥当性を検証することである。COSMINに基づき関連性,包括性,分かりやすさを検討した。協議者は地域在住高齢者に携わる経験10年以上の作業療法士とした。結果,買い物準備から物品収納までの4工程10項目判定基準5段階からなる観察評価尺度を作成し,内容妥当性について合意を得た。今後は信頼性や妥当性を検討する予定である。
著者
日髙 聡太 川越 敏和 浅井 暢子 寺本 渉
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.95.22051, (Released:2023-12-25)
参考文献数
33

Our sensory functions decline with age. Older people have been reported to compensate for sensory deficits by using auxiliary equipment, medical treatments, and sensory mechanisms such as multimodal integrations. To the best of our knowledge, there has been no systematic surveys research for sensory problems of older people in daily life. Through an online survey, we investigated what kind of sensory problems exist and how these problems were coped with by older people (60─70 years old), with middle-aged people (40─50 years old) data. Frequency and text-mining analyses found that problems of hearing and body movements were reported more frequently for older people due to aging. Visual problems were reported by all age groups and were attributed to aging, but coped with by using auxiliary equipment and medical surgeries in older people. The 50’s age group reported visual problems most frequently. Our findings suggest that sensory problems subjectively felt in daily life are attributed to aging but are not necessarily remarkable in older people.
著者
古本 佳代 近藤 千晶 村尾 信義 前田 憲孝 神田 鉄平 糸井 崇将 古川 敏紀
出版者
一般社団法人 日本動物看護学会
雑誌
Veterinary Nursing (ISSN:21888108)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.43-50, 2020 (Released:2021-08-04)
参考文献数
28

地域猫活動を参考に大学キャンパス内のノラネコの管理に取り組んだ。ノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素について考察するため、個体数、不妊去勢手術済み数、遺棄個体数、新規個体数、譲渡個体数、失踪個体数、死亡個体数、学内教育動物病院への治療依頼数、活動メンバー数、活動経費を算出し分析した。譲渡、失踪、死亡による数の減少が繁殖、新規参入、遺棄による数の増加より上回り、大学キャンパス内のノラネコ数は縮減し、ゼロとなった。管理したノラネコの約半数は失踪あるいは死亡したが、約半数は新しい飼い主に譲渡され、キャンパス内のノラネコ数の縮減に一定の成果を上げることができた。6年間の活動期間中の活動メンバーおよび活動資金は安定的に確保できた。TNR(trap-neuter-return)活動と新しい飼い主への譲渡を組み合わせた取り組みと、活動の効果発揮のための組織作りがノラネコ数の縮減と長期的な活動継続の要素となったことが示唆された。