4 0 0 0 OA 古琉球

著者
伊波普猷 著
出版者
郷土研究社
巻号頁・発行日
1922
著者
遠藤 匡俊
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.19-39, 2004-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
57
被引用文献数
2 2

本研究の目的は,1800年代初期におけるアイヌの社会構造の一端を示し,命名規則の社会的・空間的適用範囲を明らかにすることである.1800年代初期の厚岸(アッケシ),択捉(エトロフ),静内(シズナイ),高島(タカシマ),北蝦夷地東浦(南カラフト東海岸)の5地域では,社会的に他人へ従属する人々が多く,そのほとんどは主人の家に同居していた.特に北蝦夷地東浦では人口の48.8%が同居者であり, 79.2%の家が同居者を含んでいた.居住者名を照合した結果,非親族を同居者として含みながらも同一家内に同名事例はなく,集落や多数の集落を内包する場所という空間的範囲でみても同名事例は非常に少なかった.つまり1800年代初期のアイヌ社会には命名規則が存在していた.さらに,対象とした5地域は互いにかなり離れており対象年次もそれぞれ3~28年間の違いがあるものの,5地域間で居住者名を照合すると同名事例は非常に少なかった.命名規則の空間的適用範囲は蝦夷地全域に及んでいた可能性がある.
著者
村上 翔一
出版者
日本簿記学会
雑誌
簿記研究 (ISSN:24341193)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-10, 2019-04-30 (Released:2019-08-23)

近年,電子マネーを用いた取引は多く行われている。プリペイド型電子マネーは商品券が電子化されたものと理解されていることから,保有者において貯蔵品として処理される。しかし,IT 技術や決済サービスの発展により,単なる財・サービスの提供義務として電子マネーを理解することには疑念が残る。このような背景から,保有する電子マネーを貯蔵品勘定として処理する論拠,諸外国における電子マネーの議論,商品券勘定の理解を踏まえ,保有する電子マネーに対する会計処理を検討する。結論として,保有する電子マネーは現金との類似性があるため,費用性資産として処理する方法を棄却し,販売取引時に生じた営業債権債務を決済する権利義務として理解し,金融商品として会計処理することを私案として提示する。

4 0 0 0 将棋世界

出版者
日本将棋連盟
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, 1959-07
著者
野口 敬康 高橋 良樹 下山 克 奥田 真珠美 福田 能啓
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.1193-1199, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
26

【目的】炎症性腸疾患に対するアスペルギルス・オリゼーNK菌発酵穀物胚芽(A. oryzae NK菌麹)の防御効果を評価するため、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)惹起大腸炎の病状と大腸粘膜サイトカインに及ぼす影響を検討した。【方法】雌性 Balb/cマウスを4群(各群 n = 6)に分け、精製飼料、2%又は5% A. oryzae NK菌麹含有精製飼料を与えた。14日後、正常群を除く3群には3%(w/v)DSS飲料水を与え大腸炎を惹起し、6日後に大腸組織の病理学的所見と大腸粘膜サイトカイン濃度を調べた。【成績】A. oryzae NK菌麹の前投与は、DSS大腸炎マウスの体重減少、肛門出血、大腸長の短縮、大腸障害などを抑制した。大腸粘膜の IL-6、TNF-α、IL-1βの過剰産生を有意に抑制し、IFN-γ/IL-10比の低下を正常マウスのそれに近づけた。【結論】マウスの DSS惹起大腸炎に対してA. oryzae NK菌麹は有益な防御効果を示した。
著者
信田 裕 北村 謙 大井 衣里 西尾 利樹
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.375-379, 2021 (Released:2021-07-28)
参考文献数
29

症例1は78歳男性.回転性めまいを主訴に来院し,著明な腎機能障害を認めた.入院後に会話の辻褄があわなくなり,不穏が出現した.症例2は72歳女性.両側下肢の脱力と構音障害を主訴に来院し,症例1と同様に腎機能障害を認めた.2症例ともに腎機能障害の既往はなく,来院数日前に近医でバラシクロビル3,000 mgと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を処方されていた.頭部CT,MRIでは明らかな頭蓋内病変を認めず,これらはアシクロビル脳症であると考えた.バラシクロビル,NSAIDsを中止し補液を行ったが,2症例ともに腎機能障害および神経症状の改善を得られず第2病日に血液透析を開始した.その後,腎機能は改善し神経症状も消失したため透析を離脱した.腎機能が正常であっても高齢者ではバラシクロビルによって腎障害や神経症状が出現する場合があり注意が必要である.
著者
山本 浩二郎 前田 晃佑 原口 珠実 里岡 達哉 青山 瑛里子 横山 靖法 草薙 みか 大里 恭章
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.588-592, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
11

薬剤による重篤な有害事象の発生頻度は低く,患者の症状の変化が薬剤性であることを疑うには薬剤師の積極的な介入が有効である。薬剤による有害事象の1つである血管性浮腫は,舌・咽頭に発生すると気道閉塞を起こし重篤な転帰を招く可能性がある。八尾徳洲会総合病院(以下,当院と略す)では集中治療室(intensive care unit,以下ICUと略す)に薬剤師を配置し重症患者の薬物治療管理を行っている。今回われわれは急性の舌・咽頭浮腫により気道閉塞をきたし救急搬送された症例に対して,ICU常駐薬剤師が薬剤性を疑い,医師へ発症機序の説明,代替薬や必要な検査提案など積極的治療介入により診断に結びついた症例を経験したため報告する。また,ICUにおいて薬剤師が介入することで薬剤性の有害事象に関する情報提供をリアルタイムに行うなど,医師の診断と治療方針に大いに貢献し,救急・集中治療の充実を図ったので併せて報告する。
著者
橋田 光 田端 雅進 久保島 吉貴 牧野 礼 久保 智史 片岡 厚 外崎 真理雄 大原 誠資
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.48-54, 2014-01-25 (Released:2014-01-28)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

未利用なウルシ材を染色用途に利用するため,ウルシ材の織布への染色特性を検討した。ウルシ材フェノール成分の効率的な熱水抽出条件を検討した結果,炭酸ナトリウムの添加が有効なことを明らかにした。抽出液による染色特性を検討したところ,ナイロン,羊毛及び絹で良好な染色性を示した。また,炭酸ナトリウム添加抽出による染液に酢酸を添加することで,熱水抽出より効率的な濃染が可能であり,金属塩を用いた媒染においてもより濃色に発色することが示された。洗濯処理により,未媒染の染色布は大きく脱色したが,媒染や濃染により脱色の抑制が可能であり,特に酢酸鉄(II)を用いた媒染による抑制効果が高かった。また,ウルシ材による染色布は,黄色ブドウ球菌及び大腸菌に対し,明確な抗菌性を有することを明らかにした。
著者
諏訪 惠信 宮坂 陽子 原田 翔子 仲井 えり 谷口 直樹 塩島 一朗
出版者
日本臨床生理学会
雑誌
日本臨床生理学会雑誌 (ISSN:02867052)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.187-192, 2020-12-01 (Released:2021-03-14)
参考文献数
9

近年,心房細動患者の塞栓症予防に直接経口抗凝固薬が使用可能となったが,添付文書に従っていない不適切な減量(“off-label”under-dose)投与が及ぼす影響についての報告は少ない.そこで本研究は,2012 年から2015 年に当院で新規にリバーロキサバンが投与された非弁膜症性心房細動患者で,腎機能が保たれた連続患者を対象とし,塞栓症と心血管死の複合イベントと出血イベントを調査した.リバーロキサバン10 mg 投与患者を“off-label”under-dose 群(N =65)とし,15 mg の適正使用群(N = 235)と比較検討した.対象患者300 例の平均観察期間13 カ月中に,複合心血管イベント13 例,出血イベント22 例を認めた.Cox 比例ハザード解析で,“off-label”under-dose 群は複合心血管イベントの有意な危険因子であったが(ハザード比=3.86, P=0.03),出血イベントでは有意ではなかった.つまり,リバーロキサバンの“off-label”under-dose 投与患者は塞栓症と心血管死のイベントが有意に増加したが,出血の抑制は認められなかった.
著者
萩野 昇
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2421-2431, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

原因不明の発熱・不明熱患者の診療に際しては,感染症,膠原病・リウマチ性疾患,悪性腫瘍,その他,の4つのカテゴリーを念頭に置きつつ診察・検査を進める.膠原病・リウマチ性疾患の診断は特徴的な病像と臨床経過に頼る部分が大きく,感染症や悪性腫瘍の注意深い除外診断が必要になる.本稿では,リウマチ科医の視点から見た原因不明の発熱・不明熱診療について,リウマチ性疾患の診断に重点を置いて記載した.