著者
三好 弘子 奥田 豊子 小林 紀崇 奥田 清 小石 秀夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.165-170, 1987 (Released:2010-02-22)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2

5人の健康な若年成人男子を被験者として, 白米食と玄米食を比較することにより, 米繊維のミネラルの出納, およびみかけの吸収率に対する影響を検討した。体重当たり1.2gのタンパク質を含んだ玄米食, 白米食をそれぞれ2週間与えたが, 食物繊維としては, 玄米食は白米食の約2倍含んでいた。摂取ミネラル量は, 白米食, 玄米食ともミネラル必要量を充足していたが, 玄米のほうが白米よりミネラル含量が多く, とくにK, P, Mgの摂取量が玄米食で多くなった。糞中排泄量は玄米食で白米食に比べて, K, P, Mgが有意に多くなり, 摂取量を反映していた。また, Na, Caにおいても玄米食で糞重量が約2倍と有意に多かったことを反映して糞中排泄量が多くなる傾向がみられた。しかし, これから計算される吸収量においてはK, P, Mgとも有意差は認められなかった。みかけの吸収率ではK, Pで摂取量が多かったにもかかわらず, それ以上に糞中排泄量が大きく, 玄米食で有意に低下した。その結果, 出納をみると, 各ミネラルとも白米食と玄米食の間に有意差は認められなかった。血漿ミネラル濃度ではNa, K, Cl, P, Ca, Mgのいずれの項目にも白米食と玄米食で有意差はみられなかった。
著者
田中 敦士
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
Asian Journal of Human Services (ISSN:21863350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.72-85, 2014-10-30 (Released:2014-10-30)
参考文献数
12

In this research was investigated that trainers’ attitude toward people with intellectual disabilities during driving license exam, through questionnaire survey on 79 specific driving school in Chiba and Okinawa. As a result, it is clarified that there is a lack of consideration for training and no cooperation between people with intellectual disabilities and trainers. Therefore, putting systems for understanding of each other, getting support by family and making up economical support systems from government are all needed in order to people with intellectual disabilities getting license and make it better for safe driving after obtention. Consequently, next problems are to develop special textbook, to support for examination, to analyze risk of car accidents, to put insurance systems and laws of economical help and to investigate of best way to cooperate with everyone around people with intellectual disabilities to rise the chance to obtain the license.
著者
Hong Fu Kaibin Zhu Daliang Zhou Yongbin Guan Weimin Li Shidong Xu
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
pp.19-059, (Released:2019-10-31)
参考文献数
41
被引用文献数
14

Coronary heart disease (CHD) is a prevalent and chronic life-threatening disease. However, there is no reliable way for early diagnosis and prevention of CHD so far. The precise molecular pathological mechanism of CHD remains obscure. Therefore, developing novel biomarkers is urgently needed.In order to evaluate the potential of untargeted plasma metabolomics in biomarker discovery for characterizing CHD, plasma metabolites from patients newly diagnosed with CHD and controls were profiled using liquid chromatography quadrupole time-of-flight mass spectrometry. Differential metabolites were identified using both univariate and multivariate statistical analyses. Metabolites with significant changes were subjected to binary logistic regression analysis, and a CHD prediction model was established. A total of 28 differential plasma metabolites were identified, of which the concentrations of 11 increased significantly and those of 17 decreased significantly in patients with CHD compared with controls. The altered metabolic pathways included reduced phospholipid metabolism, increased monoglyceride metabolism, and abnormal fatty acid metabolism. Furthermore, binary logistic regression showed that nine metabolites could be used as potential plasma biomarkers for the diagnosis of CHD. The prediction model based on these nine metabolites was then tested with an independent cohort of samples (area under the curve = 0.929).Our plasma metabolomics study not only yielded fundamental insights into dysregulated metabolism in CHD but also presented a combinatorial biomarker that might support the clinical diagnosis of CHD.
著者
牧野 恵美
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
巻号頁・発行日
2016

2015年度名古屋大学学生論文コンテスト佳作受賞
著者
梅村 浩
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

微分ガロア理論は,1次元加法代数群のなすHopf代数のmodule代数の理論とみなすことができる.この立場から,Hopf代数の専門家は余可換Hopf代数を作用域とする可換環上の線形方程式のガロア理論を一般的に扱うのに成功した.これを非可換化すること,つまり量子化することは困難な問題であった.我々は非戦形微分方程式のガロア理論の研究から生じたガロア鞘の概念を用いて,定数係数の線形方程式の一般の量子ガロア理論を確立した.

4 0 0 0 OA 単語解

著者
橋本小六 著
出版者
竜曦堂
巻号頁・発行日
vol.初編, 1875
著者
吉田 真
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-40, 1986 (Released:2007-03-29)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

山地渓流上に張られたジョロウグモの網に円網を張るクモ3種が侵入し, その中に自分の網を張って餌を捕らえたり, 宿主の網にかかっている餌を盗んでいた。これらの種の侵入の目的を, 宿主の網での餌盗みと造網足場としての宿主の網 (とくに迷網) の利用の, 2点から考察した。
著者
大谷 道輝 野澤 茜 大谷 真理子 松元 美香 山村 喜一 江藤 隆史
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.123, no.12, pp.2263-2267, 2013-11-20 (Released:2014-10-30)

保湿剤の先発医薬品と後発医薬品の効果の差を健常人15名で乾燥皮膚モデルを用いて試験を行った.10%尿素製剤のクリームの先発医薬品と後発医薬品を1日2回10日間塗布し,角層中水分量を比較した.その結果,後発医薬品の1品目が他の先発医薬品および後発医薬品に比べ,有意に水分量が増加した.皮膚外用剤では後発医薬品の使用は先発医薬品と効果が異なることを考慮すべきであるが,尿素製剤では後発医薬品は先発医薬品と同等あるいはより効果が高い製剤があることが示された.
著者
岡田 衣津子 吉村 輝彦
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.138, pp.131-149, 2018-03-31

2016 年6 月に公表されたニッポン一億総活躍プランで,「地域のあらゆる住民が役割を持ち,支え合いながら,自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し,公的な福祉サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる「地域共生社会」を実現する必要がある」とし,厚生労働大臣を本部長とする「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が設置された.コミュニティの中で起こるさまざまな課題や問題を住民自らが自分事として捉え,役割を持ち,自分にできることをしていくこと,住民の主体性形成や主体的な活動への参加が必要である.そのためには,外部から足りないものを与えられる支援ではなく,自らの内にある真価に気づき高めていく個人のエンパワメントや,その一人ひとりの力を集結して形成されるコミュニティ・エンパワメントの概念が不可欠である. これらのエンパワメントを推進する第一歩は,対話や交流の場における当事者同士の相互の関わり合いや学び合いであり,当事者の学びや気づきが,コミュニティで他者とともに生きる自分自身の行動変容を可能にする. 現在,さまざまな内容の対話や交流の場がコミュニティの中で生まれている.その中でも,当事者同士の「学び」に着目した「ラーニングカフェ」の取り組みを事例に,参加者がともに集いテーマに沿った話し合いを行うことを通して,どんな気づきがあり,何を得ているのかを明らかにした.その結果,楽しいひとときを過ごす場ではなく,「ラーニングカフェはトレーニングの場」であると参加者は捉えており,対話することや他者と関わることが,相互に影響を与え合い,自己理解や他者理解を深め,得られた学びや気づきが日常生活における行動変容につながっていた.
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.491, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

11月号の特集は「日本の電子ジャーナル出版」です。今や電子ジャーナルは,研究成果の公表・流通手段として欠かせない存在となりました。誌面と同じイメージの単なるPDFファイルから,HTML形式での公開が進み,現在ではXML形式による機械可読なデータが提供されることも増えています。また,論文本体だけでなく,その根拠となった研究データの公開・共有も進められています。一方で国内においては,電子ジャーナル出版への意識はありつつも,様々な理由により困難さを抱えているジャーナル出版者(大学や研究機関,学協会等)も多いように思われます。研究成果を発信するための手段である電子ジャーナル出版を進めるうえで,今どのような対応が求められており,何ができるかを考える契機としたく,この特集を企画しました。はじめに,文部科学省 科学技術・学術政策研究所の林和弘氏に,日本の電子ジャーナル出版にまつわる現状を総括していただきました。宮川謹至氏をはじめとする科学技術振興機構(JST)情報基盤事業部の方々には,JSTが運用する電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」について,サービスの解説とともに,今後の取り組みについてご執筆いただきました。日本貿易振興機構アジア経済研究所の岸真由美氏には,ジャーナルの方針や目的に応じて,出版方法をどのように検討し,選定したのか,その経緯をご執筆いただきました。京都大学の設樂成実氏,天野絵里子氏,神谷俊郎氏には,紀要編集者にとって必要な支援や連携とは何か,「紀要編集者ネットワーク」の活動を通じて得られた知見をご執筆いただきました。国立情報学研究所の上村順一氏には,長らく国内ジャーナルの電子公開を支えてきた同研究所の電子図書館事業が,どのように始まり,どのような展開を経て終了に至ったのかをご執筆いただきました。電子ジャーナル出版に携わる方々にとって,この特集が新たな手がかりを得る機会となれば幸いです。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),稲垣理美,今満亨崇,大橋拓真,南山泰之)
著者
幸村真佐男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.74, pp.43, 1993-08-19

生物個体の境界である「第一の皮膚」。人間が社会的存在であることをシンボリックに表わす衣服は「第二の皮膚」である。微小化し、薄膜化しネットワークに接続される、これからのエレクトロニクス・メディアを、人々は衣服のように装置し、肉体に密着する「第三の皮膚」として位置づけられる。そしてそれはグローバル・ブレーンとしての新しい共同体意識の形成をうながす。
著者
枝川 宏
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.183-190, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツでは視力は重要である。しかし、スポーツと視覚の関係については、まだわかっていないことが多い。そのためスポーツと視覚の研究は様々な分野で行われていて、研究内容は多岐にわたる。なかでも、選手の視覚を解明しようとする研究は多い。 スポーツ選手の視覚の研究には脳の機能を中心に分析する研究と眼の機能を中心に分析する研究がある。眼の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は優れていて、視覚訓練で競技能力は向上すると考えている。我が国ではマスコミなどを通してたびたび紹介されている。しかし、脳の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は一般人とほとんど変わらず、視覚訓練で競技能力は向上しないと考えている。現在諸外国においては選手の視覚の研究は検査技術の進歩や眼の機能を中心に分析する研究に疑問点が多いことから、脳の機能を中心に分析する研究が主流になっている。 今回はこの2つの研究分野の違いとスポーツにおける視覚の重要性を説明して、今後眼科領域がスポーツ分野に果たすべき役割について考える。
著者
松沢 哲郎 山本 真也 林 美里 平田 聡 足立 幾磨 森村 成樹
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2016-04-26

人間を特徴づける認知機能の特性を知るうえで、それらが「どのように進化してきたか」という理解が必要不可欠である。本研究は、言語と利他性こそが人間の子育てや教育や社会といった本性の理解に不可欠だという視点から、①人間にとって最も近縁なチンパンジー属2種(チンパンジーとボノボ)とその外群としてのオランウータン、さらにその外群としてのウマやイヌを研究対象に、②野外研究と実験研究を組み合わせ、③知識や技術や価値とその社会的伝播や生涯発達に焦点をあてることで、人間の本性の進化的起源を明らかにすることを目的とした。チンパンジーの野外研究はギニアのボッソウの1群7個体、実験研究は霊長類研究所の1群13個体と京大熊本サンクチュアリの58個体が主な対象だ。ボノボの野外研究はコンゴの1群27個体、実験研究は熊本サンクチュアリに導入した1群6個体が対象だ。これに、母子だけで暮らす社会を営むオランウータンを外群とし、ボルネオのダナムバレイの野生群、マレー半島のオランウータン島で研究をおこなった。ポルトガルの野生ウマの研究が軌道に乗った。新しい研究手法の開発として、ドローンを利用した空撮で野生チンパンジーや野生ウマの研究を始めた。実験研究のトピックスは、研究代表者らが世界に先駆けて発見したチンパンジー特有の超短期記憶の研究、アイトラッカーによる視線検出、色の命名課題にみるシンボルの形成、チンパンジーには困難といわれる循環的関係の理解、感覚間一致、共感性の基礎にある同期行動などである。個体レベルでの認知機能の研究を基盤に、比較認知科学大型ケージを活用した集団場面での行動の解析を手がけた。野外研究では、チンパンジー、ボノボ、オランウータン、キンシコウ、野生ウマを対象として、毛づくろいや近接関係など社会交渉の解析を通じて社会的知性の研究を推進した。