著者
戸次 大介
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

90年代初頭に登場した動的論理は、古典論理の意味論を差し替えることによって、文脈に依存した現象を構成的意味計算に落とし込むことに成功した。しかし同時に、古典論理を支えていた証明論との良好な関係(健全性・完全性)を失うこととなった。本発表では、型付きラムダ計算から構成できる動的論理を提示し、この問題への解決法を示す。同時に、この動的論理が自然言語の意味論における幾つかのパズルを解消することを述べる。
著者
Shigeki TOMINAGA
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
Japanese Sociological Review (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.509-523, 2000-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
33

フランス革命は近代の政治文化に大きな影響を及ぼしたが, とりわけ社会学にとって見逃せないのは, 1791 年に立憲議会が取った中間集団にかんする一連の法的措置である.すなわち同年 3 月にはこの国に伝統的に存在してきた同業組合が廃止され, 6 月には労働者の新たな団結が禁止されることは, のちの労働運動史に悪評を残しているが, これらほどには知られていないものの, 5 月と 9 月には「民衆協会」と呼ばれる市民の集会の活動を制限する法令も可決されていたのだった.このときの議会の内外の言説からうかがえるのは, 新たに再生した社会で中間集団が果たしうる役割への, 革命期の人びと (そしておそらくは近代人全般) の無理解ないし敵意にほかならない.個人と全体社会とのみで成り立つ彼らの社会観のなかに中間集団が占める位置はありえなかった.こうして旧来の共同体は完全に消滅すると同時に, 新しく模索されるべき公共空間への道はほとんど途絶えてしまう.この消失と途絶は間接的あるいはネガティヴな意味で 19 世紀以降の社会学の生成と展開の出発点を用意するものであった.もっとも, 社会学の出発点としてのフランス革命に注目する社会学者のうちには, 事実の誤認や規範との混同を犯している者も少なくない. 1791 年の中間集団の運命の根抵にあるものを明らかにし, そこから社会学史の認識に修正を加えることこそが, あらためて公共性の社会学を構築するためにぜひ望まれるのである.
著者
寺島 秀夫 只野 惣介 大河内 信弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1027-1043, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
67
被引用文献数
21

侵襲が加わった生体のエネルギー需要は、侵襲反応として供給される内因性エネルギー供給と栄養療法として投与する外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される。現在、内因性エネルギー供給を測定することができないため、外因性に投与する至適エネルギー量が算定できない状況にある。故に、栄養療法の立案に際してその基軸となるべき至適エネルギー投与量が決定できないために、最適化された栄養療法を実践することが困難となっている。従来の栄養療法は、侵襲下においても生体のエネルギー消費量を外因性にすべて供給するとした基本概念を採用してきたが、このエネルギー投与法は必然的に過剰エネルギー投与として作用して有害事象が発生するため、蛋白代謝の改善が得られないばかりか、栄養療法自体が有害、逆効果になり兼ねない問題を内在していた。こうした状況を踏まえ、侵襲下の代謝動態に基づくエネルギー投与法の考え方を提言して論証を行った。
著者
高島 永光 高本 徹也 斎藤 和行 新井 聖 阿部 隆夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.3-10, 2013-02-10 (Released:2013-02-13)
参考文献数
10

インクジェットプリンタに要求される重要課題の一つは,長期間において不連続に印刷を行った際にインクの吐出不良を生じないことである.ところが,コンシューマー用インクジェットプリンタにおいて,吐出不良が製品寿命より遥かに短い段階で見られ,商品の長期信頼性の観点から大きな問題を有していた.吐出不良の原因として,プリントヘッドのインク流路内に存在する小さなサイズの気泡が,インク流路内に滞留している間に大きなサイズに成長し,インク流路幅を狭めてインク流量が減少することが知られている.筆者らは,そのことがノズル穴から適正なインク滴の飛翔しない現象に結び付き,インクの吐出に悪影響を与えるだろうと考えた.この問題を解決するために,インク流路を構成する新たな樹脂材質と流路構造を開発した.材質として酸素と水蒸気ガスに対する高バリア性を付加し,流路構造として流路にバイパスとなる数個の溝と,小さいままの気泡を流路中心部へ導くリブを設置した.この解決策により,インク流量が長期間にわたって減少せず,気泡成長にかかる期間が長期化することを明らかにした.この手段により,吐出不良の発生が減少する.

4 0 0 0 ドンドン節

著者
沖縄県民謡
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1929-08
著者
小橋 康章
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.498-500, 2006 (Released:2008-11-13)
著者
長谷川 芳典
出版者
岡山大学環境管理センター
雑誌
環境制御 (ISSN:09171533)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.3-12, 1993-12-15

本稿は,B・F・スキナー(1904~1990)の徹底的行動主義(radical behaviorism)の流れをくむ行動分析学の立場から人間と環境とのかかわりの問題を論じることを目的とする。行動分析学は,ひとことで言えば,生活体と環境とのかかわりを客観的・機能的・実験的に分析することによって行動の原理が実際にどう働くのかを明らかにする学問である。行動分析学の研究がすすめば,個体や集団の望ましい行動を形成・維持するための環境変数を適切に整備できるようになると期待される。しかしこれまで行動分析学は,特に理工系の研究者には殆ど理解されず,むしろ誤解・曲解されてきたように思う。そこで,本稿では,まず主な誤解の解消をめざし,行動分析学は環境制御の問題にどのような新しい視点を与えられるのかを論じることにしたい。

4 0 0 0 OA 欧米女見物

著者
道家斉一郎 著
出版者
白鳳社
巻号頁・発行日
1930
著者
佐藤 祥一郎 園田 和隆 吉村 壮平 宮﨑 雄一 松尾 龍 三浦 克之 今中 雄一 磯部 光章 斎藤 能彦 興梠 貴英 西村 邦宏 安田 聡 小川 久雄 北園 孝成 飯原 弘二 峰松 一夫 日本医療研究開発機構「脳卒中を含む循環器病の診療情報の収集のためのシステムの開発 に関する研究」班
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10587, (Released:2017-12-12)
参考文献数
57
被引用文献数
3

脳卒中に対する合理的,経済的な疾病対策を行うためには,悉皆性と信頼性を合わせ持つ国家的な脳卒中登録事業が不可欠である.わが国の診療実態に即した脳卒中登録システムに必要な条件を明らかにするため,システマティックレビューを行った.2015 年12 月31 日までに発行された,脳卒中登録研究に関する医学文献を,MEDLINE および医学中央雑誌上で検索し,1533 編の文献から,51 の登録研究(国外38,国内13)を抽出した.レビューの結果から,日本における質の高い脳卒中登録事業に必要な条件として,医療ID 導入による既存大規模データベースとの連携と,それを可能にする法整備,行政による公的事業資金,学会や患者支援団体,企業の支援による安定的な資金確保,情報公開の重要性が挙げられた.