著者
片山 卓也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.99, pp.13-16, 2007-06-14
被引用文献数
1

我々の社会は、非常に多数の相互に関連した法律により規定されている。それらは社会の組織や構造、目標や目的を記述すると同時に、組織における活動や手続きを定めており、われわれはその法律に従って社会活動を行っている。したがって、法律が適切に作られており、それが社会のなかで正しく運用されていることは、社会の安心性の基本である。これは、社会というシステムを考えたとき、法律がこのシステムの仕様の役割を果たしていることを意味している。本稿では、このような観点から、法律の作成および法律を実現する情報シメテムの構築に対して工学的アプローチを提案し、その研究課題などについて展望する。
著者
桜井 芳生 サクライ ヨシオ SAKURAI Yoshio
出版者
鹿児島大学
雑誌
人文学科論集 (ISSN:03886905)
巻号頁・発行日
no.71, pp.1-19, 2010-02

日本戦後社会における格差と教育について一つの仮説を提起する。昨今よく議論される格差社会の問題、とくに、格差と教育に関して、学知的コミュニケーション圏ではほとんど言及されていないとおもわれる一つの仮説を提起した。すなわち、「教育ゲームにおける、学力の主観的認知完了による勉強期待」仮説、である。もしこの仮説が成立していると、時代が経るにつれて「収入・職業威信などを統制したうえでの、本人学力→子供への教育意識」の影響力の強さは増加する、という反証可能な予測をたてることができる。SSM95データにより、この影響力の強さがどう変化するかを分析した。予想に即した結果を得た。最後に、主に二点にわたって、このアプローチの今後の課題を指摘した。
著者
山下 仁 津嘉山 洋 若山 育郎 川喜田 健司
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.136-140, 2009 (Released:2009-09-15)
参考文献数
9

来る2009年6月12日、 "腰痛症に対する鍼灸治療効果のエビデンスの現状"と題して、 埼玉で第2回JSAM鍼灸国際シンポジウムが開催される。 このシンポジウムのテーマの背景と、 議論になると予想されるポイントについて概説する。 シンポジウムでは、 (1)腰痛に対するRCTの現状、 (2)日中韓におけるデータベースに基づいた腰痛治療法の紹介、 (3)Sham鍼、 という3つのセッションが設けられている。 EBMの枠組みの中で鍼灸の腰痛に対する有効性を検討する場合、 次のような議論が予想される。 1) 偽鍼の治療的効果:プラセボ効果は区別できるのか? 2) 偽鍼によるマスキング:ダブルブラインドは可能か? 3) 具体的な治療テクニック:鍼灸施術の優劣に影響する因子は何か? 招待発表者の多くは、 RCTや偽鍼開発で世界のトップジャーナルに鍼の論文を掲載している。 今回のシンポジウムで、 EBMの時代における他の医療職種との連携や医療政策への反映など、 今後の鍼灸の発展ために取り組むべき課題がより明確になることを望んでいる。
著者
森 信介 土屋 雅稔 山地 治 長尾 真
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.48, pp.93-99, 1998-05-28

本論文では、確率的モデルによる仮名漢字変換を提案する。これは、従来の規則とその重みに基づく仮名漢字変換と異なり、入力に対応する最も確率の高い仮名漢字混じり文を出力とする。この方法の有効性を確かめるため、片仮名列と仮名漢字混じり文を有するコーバスを用いた変換実験を行ない、変換精度を測定した。変換精度は、第一変換候補と正解の最長共通部分列の文字数に基づく再現率と適合率である。この結果、我々の提案する手法による再現率は95.07%であり、適合率は93.94%であった。これは、市販の仮名漢字変換器の一つであるWnn6の同じテストコーパスに対する再現率(91.12%)と適合率(91.17%)を有意に上回っており、確率的モデルによる仮名漢字変換の有効性を示す結果となった。In this paper, we present a kanji-kanji converter by a stochastic model. Given an input this method returns the most probable kana-kanji character sequence. For its evaluation, we converted kana sequences of a corpus containing kana-kanji sequences. The criterion we used is the ratio of the length of longest common subsequece. The recall and precision of our method are 95.07% and 93.94% respectively. This result is much better than that of Wnn6 (recall: 91.12%; precision: 91.17%).
著者
平鍋 健児
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.235-241, 2002-03-15
被引用文献数
1

1999年に刊行された"Extreme Programming Explained: Embrace Change"以降,XPは軽量かつ拙速なソフトウェア開発手法として,プログラマはもとよりプロジェクト管理者,品質管理者,顧客,そして経営者からも大きな注目を集めるに至っている.本記事「前編:XP概要とその周辺」では,XPの概要とその基本的な考え方を解説して,その魅力の一端を明らかにしたい.また,その歴史や周辺にも触れてみたい.
著者
森 傑
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.595, pp.87-94, 2005-09-30

In making proposals for PFI project, we can see remarkable conduct as a specialist. Such conduct is quite different from the other design-communication, especially in housing environment design. And it is characteristic in their situated actions as "being the member." Ethno-design-method is inevitably working in such situated process practically. This paper aims to describe the ethno-design-methods which are found in their decision-making for programming, planning and designing facilities by participatory action research and analysis of conversations between members. Making proposals for PFI project develops through the collaborative practice by trial and error. The ethno-design-methods as collaborative practice were found as comprising (a) making agreeable responses to confirm explanation and intention, (b) interrupting except the end of utterance and (c) suggesting ideas or questions euphemistically.
著者
上原 哲太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.944-946, 1999-09-15
著者
谷村 勇輔 的野 晃整 小島 功 田中 良夫 関口 智嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.74, pp.223-228, 2008-07-29

ユビキタスコンピューティングの世界で用いられる"ucode"を管理するシステムに RDF-DB (RDF database) を利用するには,スケーラブルな RDF-DB を構築する技術の確立が必要である.そこで,我々は RDF-DB のバックエンドに分散ストレージと MapReduce フレームワークを用いた並列データ処理を利用することで,膨大なデータに対する多数の問合せに対応したシステムの構築を試みている.本稿では,まず MapReduce を実装する Hadoop において,データベースの結合演算を行うプログラムの性能を評価した.次に, Hadoop と RDF-DB のそれぞれの特徴に基づき,データベースの基本的なデータ格納手法である Vertical Partitioning,Horizontal Partitioning,Sorting をもとに, MapReduce フレームワークにおける RDF-DB に適したデータの分散格納方法を提案する.そして,約 274 万のトリプルに対して, 2 または 3 組の predicate を選択条件とし, subject に対する結合演算を行う問合せを用いて評価実験を行った.これらを通じて,最終的に構築しようとしているシステムの設計を行う上での基本的な知見を得た.Research for scalable RDF-DB (RDF database) is highly expected today, in order to construct the "ucode" management system in the ubiquitous world. Our approach is to use parallel data processing technology with distributed storage and MapReduce framework, as a backend of RDF-DB. In this report, performance of the JOIN operation in the database domain was evaluated on the Hadoop cluster, in which MapReduce framework is provided by Hadoop. Then data storing/distributing methods based on conventional Vertical Partitioning, Horizontal Partitioning and Sorting, are proposed so that they take advantages of the Hadoop behaviors and the RDF-DB features. The proposed methods were evaluated by the experiment with the query which selects the RDF triples by 2 or 3 predicates and joins the triples on the subject from 2.4 millions' triples. Through the examinations, the design principle of our developing scalable RDF-DB system was confirmed.
著者
梅本 孝
出版者
静岡産業大学
雑誌
静岡産業大学国際情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-7, 1999-03-31

ブリコラージュはフランス語で「素人仕事」などと訳されることばですが、人類学の世界でレヴィーストロースが「野生の思考」の中で専門用語として使っています。ブリコラージュは誤解を恐れずに言えば、近代科学に対する原始的科学、あるいは、科学に対する非科学、数学のような自然科学に対する文学のような人文科学、科学的分類に対する非科学的分類などと大いに関係を持っています。もっと単純化して言えばブリコラージュは「専門家ではない素人の(一見)単純な、素直な発想の仕方」と言えます。日本語や英語のことば使いを見る限り、このブリコラージュの発想法、或は、発想のレベルが専門家の発想法よりも大事なことがあります。以下にいくつか、その発想と関係がある例を挙げます。1-雷は上がらないで、「落ちる」。雷は実際には雲から発生した放電が地面に近づき、開けた平地では地面から2、3メートルの高さになったときに地面から上向きの放電が飛び出してくることが多いと言うことです。つまり、地表近くでは、雷は「落ちる」のではなく、「上がる」。しかし、「落雷」とは言っても「昇雷」などとは冗談でない限り言わない。このことから言えることは、言語は事実に基いているというよりは事実だと思っていることに基いていると考えるべきだということです。2-民間分類「雑草」などという分類の仕方は植物学の専門家が厳密な分類法に基いて、したものではないようです。そんな、項目は植物学の本には載っていません。。しかし、実際には「雑草」ということばはあるし、この項目は人々の生活の中で、有効な項目であると言えます。一般に科学的と言われる分類よりもこういった分類の仕方の方が、生活の役に立つこともあるし、直感に合っていることもあります。くじらはいわゆる科学的分類では魚の仲間ではないにも拘わらず、「さかな偏(へん)」を使っていることなどが思い起こされます。3-なぞなぞ (ア)「黒と白で、その上全体が赤いものなあに?」(イ)「かわけばかわくほどぬれるものなあに?」2つとも論理的に考えれば答えが見つかるはずがありません。しかし、論理的に考えてすぐ答えが見つかるようでは、なぞなぞとは言えません。又、なぞなぞというものを持ち出さなくとも、ことばの上で矛盾した使い方はいくらでも見つかります。例えば、「負けるが勝ち」、「甘い苦味」など。更に、諺(或はその類)どうしが矛盾することもよくあります。例えば、「渡る世間は鬼ばかり」と「渡る世間に鬼はなし」など。こういったことを考えあわせると、人間の認識の仕方や、それを反映していると考えられることばの使い方は理詰めで考えていくことは寧ろ、害になることがあります。
著者
小野沢 あかね
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1 戦時戦後の廃娼運動・売春反対運動・売買春の実態に関して、以下の史料収集・調査・執筆準備を行なった。(1)戦時売春問題・廃娼運動に関して、昨年に引き続き群馬県立図書館などで史料収集を行なうと同時に、『廓清』『婦人新報』などの戦前雑誌から関係史料を抽出・入力し、論文執筆の準備を行なった。戦時労働力動員を背景とした売買春の実態と戦後への連続性、新体制下の遊興取締の実態、廃娼運動の担い手と方面委員制度・社会福祉・国民精神総動員運動・大政翼賛会・優生学との関係、戦時における廃娼の主張の地域社会への拡大の回路などに関して新たな知見を獲得しつつあり、論文の構想を深めている。(2)戦後の沖縄県における売買春の実態に関して、バーの元経営者、元ホステスなどからの聞き取り調査を行なうと同時に、新聞史料調査を行なった。2 戦間期の廃娼運動・公娼制度政策に関して、以下の論文を執筆、学術雑誌に掲載した。「公娼制度廃止問題の歴史的位置-戦間期日本における勤倹貯蓄と女たち-」『歴史学研究特集 性と権力関係の歴史(I)』764号、2002年7月、2〜12頁。3 「女性史研究の運動と方法-1950〜60年代の可能性(仮)」というタイトルの論文執筆をすすめている。本稿は『展望日本歴史1 歴史学の現在と未来』東京堂出版(近刊予定)に執筆依頼されたものだが、近年の女性学研究が完全に見落としている1950〜60年代における日本の女性史研究の問題意識とその可能性を論じたものである。
著者
宮沢 厚雄
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.231-245, 1999-03-31

こんにちの図書館は技術的環境の高度化と社会的要請の多様化に直面している。そのために図書館サービスも一部では有償化されている。中小規模大学図書館の一事例をみても,第一にゼロックス=コピーやディスケットへのダウンロードのような媒体変換,第二に相互貸借や外部のコンピュータ=ネットワーク資源へのアクセスのような他館資料の利用時に,課金されている。さらに第三点として新たな著作権の設定がある。オンライン型資料は,複製や改変が容易であればこそ,ネットワーク上での無断流通や不正アクセスを防止していかねばならないからである。インターネットの時代にあっては,図書館資料の範囲をコンピュータ=ネットワーク資源にまで拡大解釈して利用は無償とし,利用者が望んで行なう媒体変換には課金する必要がある。そして図書館側で著作権使用料を負担する措置を経て,電子図書館サービスにおいても無料原則の確立が望まれる。