著者
河本 正次
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、米由来のα-グルカンが生体防御能の調節を介して日本人の健康増進に一役買っているのではないかとの仮説を検証することを目的とした。米由来のデンプン含有食をアレルギー性鼻炎モデルマウスに自由摂食させたところ、著明な鼻炎症状の進展抑制が認められた。一方、米デンプンの摂食は本モデルの獲得免疫応答には影響を及ぼしていないことが明らかとなった。この抗炎症作用はもち米由来デンプンよりもうるち米由来デンプンにおいてより顕著であり、同機能性を担う主要なα-グルカン構造単位がアミロースであることが示唆された。更に米デンプンの摂取量調節により当該機能性を必要に応じて発揮させうる可能性を見いだした。
著者
高西 淳夫 石井 裕之 橋本 健二 大谷 拓也
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

本研究は,既存の人型ロボットのエネルギー効率が低いという問題を解決するため,人間の身体構造および運動を参考に,『ロボット身体内保存力学的エネルギー活用運動』およびそれに適した身体構造により全身運動時の消費エネルギーを低減させることを目的とする.具体的には,力学的エネルギーの3形態変換を伴う消費エネルギー最小運動生成法を確立し,脱力・弾性の発揮が可能な高出力関節メカニズムおよび動力伝達機構を用いた人間規範軽量四肢構造,さらに消費エネルギー低減運動に最適化した等身大の人型ロボットを開発し,提案手法をロボット実機で評価する.
著者
星野 太
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究課題「偽ロンギノス『崇高論』の研究:言葉とイメージによる共同体の「媒介」の問題を中心に」の二年目である平成21年度においては、主に17世紀および20世紀における「崇高」概念の研究を行った。本年度の前半は、18世紀から19世紀にかけてのイギリス美学史研究、とりわけエドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』(1757)の研究を論文として、学会誌『美学』に発表した。その後、ニコラ・ポワローによる偽ロンギノス『崇高論』の仏訳(1674)、およびその注解についての研究を2010年7月4日の表象文化論学会第五回大会にて口頭発表した。また、年度の後半には、20世紀後半の戦後美術における崇高概念についての研究を公にした。特に、アメリカの美術批評家ロバート・ローゼンブラムの著作「抽象的崇高」、『近代絵画と北方ロマン主義の伝統を、クレメント・グリーンバーグをはじめとする同時代のテクストと比較検討し、この成果を論文として発表した。国外においては、まず第18回国際美学会において、ジャン=フランソワ・リオタールの崇高概念についての発表を行った(北京大学、2010年8月13日)。次いで、国際会議ICCTワークショップにおいて、カントの啓蒙思想、および20世紀のフランス哲学(フーコー、デリダ)におけるその批判的検討を扱った発表を行った(北京大学)。いずれの発表も、大幅な加筆の上、論文として受理されている(前者は国際美学会の記録集に掲載予定、後者は発表済)。
著者
日下部 徹
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

肥満 2 型糖尿病モデルマウスを用いて、脂肪細胞由来ホルモンであるレプチンと GLP-1 受容体作動薬であるエキセナチドの共投与は、各単独投与と比較してより強い摂食抑制作用、体重減少作用を示し、かつレプチンが持つ異所性脂肪蓄積の減少作用の増強、GLP-1受容体作動薬が持つインスリン初期分泌促進作用の増強など、互いの作用を増強することが示された。 今回得られた結果は、レプチン/エキセナチドの共投与が肥満 2 型糖尿病に対する有用な治療薬になり得ることを意味する。
著者
重松 伸司
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

I.平成17年度(第三次)の研究目的として、以下の研究課題についての補充調査を設定する。1.ペナンに拠点を置き、明治後期に横浜・神戸に在住したアルメニア人実業家A.M.Apacar氏について、その交易ネットワークと形成過程の資料・実地調査。2.シンガポールのアルメニア人コミュニティについて、文書記録の収集と墓碑銘の補充調査。II.上記の研究課題について、平成17年度には以下の現地調査、資料調査及び共同研究を行った。1.マレーシア・ペナンにおける旧アルメニア街の家屋配置とその遺跡保存の実地調査(平成18年1月7日〜1月9日)。なお、この調査はNPO「奈良町づくりセンター」主催の国際シンポジウム「アジアの町づくりを考える」(タイ、マレーシア、ミャンマー、英国、アメリカ、日本など約30名参加)に随伴して旧アルメニア街の実地調査に参加した。本調査では上記課題1の資料は確認できなかったが、新たにアルメニア街の実測と一部家屋の保存調査を行った。2.シンガポールのアルメニア教会における墓碑銘調査及びシンガポール国立公文書館における旧在アルメニア人の聞き取り調査記録の補足調査(平成18年3月12日〜3月16日)。本調査では、まずアルメニア教会内に現存する全アルメニア人墓地(後列18基、前列16基、風化約5基)の全墓碑銘について写真収録、アルメニア国花Vanda Miss Joaquimの発見者Agnes Joaquimの墓碑銘及び事蹟に関する資料同定を行った。3.シンガポール国立公文書館所蔵の文書資料Communities of Singapore (Part 1)-Oral History Interviewsに収録されたアルメニア人3名の聞取り記録の複写・分析を行った。4.以上の調査に関連する口頭報告としては、トヨタ財団助成式記念シンポジウム「隣人を知るプロジェクト」の招聘講演(平成17年10月2日)で調査活動の一部を報告した。5.また、ペナン在住のアルメニア研究家Clement Liang氏および東南アジアの日本人街研究家大場昇氏と共同で「マレーシアにおける日本人街・アルメニア人街」の講演会を行った(12月7日)。
著者
勝間 進
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

変異ウイルスライブラリーを用いた行動スクリーニングから、新たな行動関連遺伝子arif-1を同定した。この遺伝子に変異をもつBmNPVは、ほとんど徘徊行動を起こさない。arif-1欠損ウイルスは培養細胞では顕著な表現型を示さないが、感染カイコにおいては全身感染が起こりにくく中枢への感染が遅れることで、徘徊行動が低下することが明らかになった。一方、ウイルス感染脳を用いたRNA-seqにより、徘徊行動時に発現が変動する宿主遺伝子を数10個同定することに成功している。現在、それらの機能解析をするために、遺伝子組換えウイルスの作成を行っているところである。
著者
藤見 俊夫
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では,洪水ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因について検証した.その結果,災害リスクについて楽観的であること,防災への関心が薄いこと,マップの閲覧が面倒であること,水害のリスクへの不安を回避すること,避難への自己効力感が低いことが,ハザードマップの閲覧を妨げる心理的要因であった.ハザードマップの閲覧を促すナッジ政策として,閲覧の手間を促すナッジは有効であった.被験者に社会規範や水害のリスクを強調するナッジ政策は,いずれもメッセージへの納得度が高い人については効果的であった.メッセージに納得しない人は閲覧を避ける傾向があった.
著者
長田 啓隆
出版者
愛知県がんセンター
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

小細胞肺癌等の高悪性度肺癌では、神経内分泌分化と増殖とが密接に関連していると考えられる。本研究では、このような肺癌の分子特性に注目し、神経内分泌分化の癌発症・進展における意義を検討すると共に、この神経内分泌分化を標的とするRNAi法を用いた新規肺癌治療法の開発を目指した。神経内分泌分化のマスター遺伝子ASCL1に注目し、ASCL1の発現を肺癌細胞株パネルで検討したところ、神経内分泌分化を高頻度に示すことが知られている小細胞肺癌や大細胞肺癌で高発現が見られた。又、最も多い肺腺癌でも低頻度ではあるが高発現が見られた。一方、正常肺では殆ど発現が無く、発現パターンからASCL1は癌治療の標的となり得ると考えられた。このASCL1遺伝子を強制発現したところ、神経内分泌分化マーカーの誘導が起こることが確認されると共に、細胞周期の負の制御因子群の発現が抑制される結果が得られ、ASCL1が転写抑制により細胞周期を促進的に制御している可能性が考えられた。又、RNAi法によりASCL1発現を抑制することで、細胞周期停止及び細胞死が誘導され、ASCL1を発現する肺癌細胞特異的に著明な細胞増殖抑制作用を示すことが判明した。更にこのASCL1-RNAiを臨床応用へと発展すべく、アデノウイルスベクターを用いたASCL1-RNAiシステムを作成し、増殖抑制効果を現在検討している。このようなRNAi法を用いた癌遺伝子治療は癌細胞に特異的で、副作用の無い安全な治療法となり得ると考えられ、本研究は癌治療に非常に大きな貢献をすると期待される。
著者
尾崎 まみこ 針山 孝彦 永田 仁史 綾部 早穂 金山 尚裕 小早川 達 大坪 庸介
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-07-18

「赤ちゃんの匂いはいい匂い」とは、経験的によくいわれてきたが、これまで科学的に証明されたことはなかった。私たちは生後、数時間から数日の20名の新生児の頭部からストレスフリーで非侵襲な方法で採集し、そのうち19名の匂いを個別に分析した。19名のうち16名の匂いは相互によく似た成分構成を示し、残りの4名の匂いは、1,2の成分の含有量が他と異なっていた。この結果から、新生児の頭部の匂いには、“標準的な”化学成分構成が存在することが示唆された。化学分析結果をもとに、含有量の上位を占める20成分を使って19名の匂いを再現する調香品をそれぞれ作成した。それらの調香品の匂いについて、20名の学生(男女10名ずつ)から、匂いに関連する50のタームへの当てはまり度を回答する心理学的感覚評価の結果を得た。この回答のスコアに対する因子分析を行うため、スクリープロットから妥当と考えられる3因子解を求めた。得られた第1、第2、第3因子は、それぞれ、「快い情動を引き起こす匂い」に関与する因子、「快い質の匂い」に関与する因子、「不快な情動を引き起こす匂い」に関与する因子であり、寄与率は順に0.32、0.13、0.11であった。ちなみに「不快な質の匂い」に関係の深い13タームはいずれも極めて低いスコアしか獲得していなかったので、あらかじめ因子分析の対象から除外した。このように、本研究から、化学―心理学的な根拠を示すことにより、「赤ちゃんの匂いは快い情動を引き起こす匂いである」ことを、世界で初めて証明することができた。最後に、学生による調香品の匂いの評価と父母などによる本物の赤ちゃんの匂いの評価を同じ感覚評価テストで比較したところ、およそ矛盾の無い結果が得られた。
著者
赤嶺 由美子
出版者
琉球大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は,UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A4の遺伝子多型がラモトリギン体内動態に与える影響を明らかにし,副作用発現予測を可能とすることを目標に,以下を遂行した。はじめに,本研究ではラモトリギン服用患者を対象として,本剤と主代謝物であるN2-グルクロン酸抱合体の体内動態解析を行うため,その体内動態同時測定法の開発を行った。臨床現場でよりルーチン業務に適した高速液体クロマトグラフィーを使用し,高感度に検出を行うために最適な分析カラム,使用溶媒を決定した。また,短時間での作業を可能とするため,血漿からの抽出方法はフィルトレーションシステムを利用した直接ろ過法とカラムスイッチングを組み合わせる方法とした。これにより,迅速,簡便,かつ高感度にラモトリギンと主代謝物の同時測定を行うことが可能となった。次に,琉球大学医学部附属病院薬剤部所有の全自動遺伝子解析機器を用いて,UGT1A4の遺伝子変異検出系の構築を行った。Qprobe法を用いて,酵素活性低下を示すと考えられている142T>G変異を有するUGT1A4*3の検出系を確立した。現在,これら測定法・遺伝子変異検出系を使用して,被験者のラモトリギン体内動態をUGT1A4遺伝子多型別に比較し,副作用発現との関係を解析中である。また,本研究の成果は今年度(平成24年度)の第22回臨床精神薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会においてポスター発表する予定である。さらに,英文原著論文投稿に向けても現在準備中である。
著者
中澤 満 大黒 浩 間宮 和久 山崎 仁志
出版者
弘前大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

年度当初に立てた研究計画ではカルシウム結合タンパク質の変異が網膜変性にどのような影響を及ぼすかを遺伝子改変動物の作成ならびにRNA技術を用いた遺伝子発現抑制によって検討することであったが、この研究の準備を進める段階でヒト網膜色素変性モデル動物に対するカルシウム拮抗薬の視細胞保護効果を明らかにする必要性が新たに生じたため、まず第一に後者の実験を行うこととした。カルシウム拮抗薬による視細胞内のカルシウムイオンの変化がカルシウム結合タンパク質などを介した視細胞保護効果を持つかどうかを明らかにすることの方が臨床研究上より重要であると判断したためである。この実験においてヒト網膜色素変性モデル動物としてrds(retinal degeneration slow)マウスを入手した。このマウスは視細胞特異的な構造タンパクであるペリフェリン・rdsをコードする遺伝子の変異を持ち、ホモ接合体では視細胞外節の形成異常から網膜変性をきたす。そのヘテロ接合体は非常に緩徐な視細胞変性をきたし、ヒト常染色体優性網膜色素変性のモデルとされる。まず、rdsマウスとbalb/cマウスとの間にrdsヘテロ接合体を作成し、そのヘテロ接合体が経時的に緩徐な網膜変性をきたすことを観察した後、このマウスに生直後から腹腔内にニルバジピン(カルシウム拮抗薬の一種)を連日投与した。薬物投与群と非投与群(対照群)の網膜変性の進行度を網膜電図のa波、b波の振幅から比較検討したところ、投与群の方が統計学的に有意に網膜変性の進行が遅延していた。この結果、rdsマウスヘテロにおいてもカルシウム拮抗薬の視細胞変性抑制効果がみられることが明らかになった。次に、カルシウム拮抗薬投与による網膜内の遺伝子発現の変化をみるためマイクロアレイ法を用いた検索を行った。現在その結果を解析検討しており、次のカルシウム結合タンパク質の遺伝子変異を導入したモデル動物の作成を準備している段階である。
著者
大木 一夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、古代語の活用体系・連体形の機能の分析をおこない、古代語の連体形がいかなる文法形式であったのかを明らかにするものである。平安時代における連体形の基本的機能は、連体修飾機能と準体句形成機能である。係り結びは、現代語のスコープの「のだ」とほぼ同等の機能をもつと考えられ、係り結びの連体形も準体句を形成するものである。また擬喚述法の連体形も準体句と考えられる。連体形は、平安時代以降変遷するが、この準体句形成機能が退化し、それにより連体形終止の一般化と、係り結びの衰退が引き起こされたのだと考える。
著者
中村 雅也 戸山 芳昭 石井 賢
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

損傷脊髄に対する神経幹細胞移植とC-ABCの併用損傷部脊髄内にはコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)が発現し軸索再生を阻害することが知られている。そこで、損傷脊髄に対する神経幹細胞移植にCSPGを分解するChondroitinaseABC(C-ABC)を併用した。損傷脊髄内のCSPGは正常脊髄レベルまで分解され、移植細胞はグリア瘢痕を越えて広範囲に移動し、旺盛な再生軸索が損傷部にみられた。Bio-imagingを用いた損傷脊髄に対する神経幹細胞移植時期の検討損傷脊髄に対する神経幹細胞移植の至適時期を検討するために、bioluminescence imaging system(BLI)を用いて移植神経幹細胞の経時的動態(生存率、体内動態など)を評価した結果、損傷脊髄に対する神経幹細胞移植は損傷後急性期よりも亜急性期のほうが適していると考えられた。自家組織由来神経幹細胞の培養の確立損傷した中枢神経組織に対する神経幹細胞や胚性幹細胞を用いた細胞移植治療の有用性が報告されているが、倫理的問題のため臨床応用には至っていない。そこで、自家組織成体幹細胞である神経堤幹細胞に着目して、その局在と特性を明らかにした。今回の解析より、神経堤幹細胞は胚葉を超えて各組織に成体になってからも潜伏していることが明らかとなり、従来の報告では胚葉転換によると考えられていた骨髄などの組織幹細胞が、実は神経堤に由来していることが示唆された。腫経幹細胞移植による運動機能回復メカニズムの検討損傷脊髄に対する神経幹細胞移植による機能回復メカニズムを明らかにするために移植後生着した細胞のみに特異的細胞死を誘導する方法を確立した。その結果、神経幹細胞移植によってもたらされる機能回復は液性因子によるもののみではなく、移植細胞が神経回路網に組み込まれている可能性が示唆された。
著者
森 万由子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2020-04-24

低温の赤色矮星の周りを回る、地球の1~3倍のサイズの系外惑星、いわゆる「スーパーアース」について、その大気の存在を観測的に調べ、これまで明らかになっていなかったその性質を明らかにする。研究の手法として、宇宙望遠鏡TESSによって発見されてきた惑星候補天体の中から惑星大気観測に適したターゲットを選定し、すばる望遠鏡などの大型の望遠鏡による観測を行う。惑星が星の前を横切る現象「トランジット」の際に分光観測を行い、そのデータを解析することで、惑星に広がった水素大気が存在するかどうかを判定する。
著者
渋谷 和雄 金尾 政紀
出版者
国立極地研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1.1992年1月に行われた昭和基地を含む南極SCAR・GPSキャンペーンの解析を行うため、GAMITプログラム入力データファイル作成及び編集を行った。平成6年度用いたCVIEWに替わって平成7年度ではAUTCLN操作が出来るようになったので能率が上がった。SIO暦、GFZ暦を用いた比較解析を行った。2.平成6年度は3日間データの解析しかできなかったが、平成7年度では17地点、10日間データを用いた解析ができた。SIO暦によると、昭和基地GPS基準点(No.23-16金属標)のITRF92地心座標値はX=1766182.964m,Y=1460336.492m,Z=-5932285.883mであった。同じデータセットについてGFZ暦を用いるとX=1766182.947m,Y=1460336.521m,Z=-5932286.005mであった。標準誤差はいづれも4-5cmであった。Z成分の差が大きい(12cm)が系統的な差かどうかは今後の課題である。3.GPS基線解析により2-3cmの収束精度を保証するためにはsite information table, session information tableの確証が必要である。日々の解は4-5cm確度で安定はしているが各基地のアンテナオフセットが、どの点でも1cm精度で安定しているかどうかは心許ない。測量用の三脚ではなく恒久的なピラ-での観測が重要である。4.昭和基地においては1993年2月からDORISビ-コンが運用されている。No.23-16金属標のDORIS解による地心座標値はX=1766182.526m,Y=1460336.784m,Z=-5932285.380mであった。比較解析結果の一部を測地学会誌に発表した。5.1998年より定期的なVLBI観測を開始する計画が具体化した(APT95 International Workshopにて発表)。GPSとVLBIの同時比較観測により地球動力学基礎データが得られるであろう。
著者
木之下 博 仁科 勇太 松本 直浩
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

酸化グラフェンを低摩擦・低摩耗添加剤として用いるために,加熱あるいは分散剤を用いて酸化グラフェンを還元して潤滑油に添加した. 加熱分散では摩擦係数は無添加よりも低いが分散温度に依存せず,摩耗は無添加よりも低く加熱温度が低いほど低くなった.分散剤を用いた分散では摩擦係数は無添加よりも低いが分散剤濃度に依存せず,摩耗は分散剤濃度が低い時,無添加より小さくなり,摩擦実験を-10℃で行った時に,既存の潤滑添加剤と同等の摩耗低減効果を示した.このように低温においても高い潤滑性がみられたさらに,ZnDTPとの併用で摩擦が非常に低くなることが明らかとなった.
著者
増田 亮津
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は豚サーコウイルス2型(PCV2)のウイルス様粒子(VLP)の表面に豚流行性下痢病ウイルス(PEDV)のスパイク(S)抗原又は豚繁殖呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)のグリコプロテイン5(GP5)抗原をディスプレイすることで次世代型のワクチンを作り上げることである。そこで(1)ディスプレイ用抗原のカイコでの高効率生産、(2)九州大学のカイコ系統ライブラリーを利用したカイコの組換えタンパク質生産性の差異の原因探索、(3)タンパク質間のグルタミン残基とリジン残基を架橋する酵素である微生物由来トランスグルタミナーゼ (MTG)を用いた抗原提示VLPワクチン作製を課題として研究を進める。
著者
菅沼 信彦 渡邊 浩子 山口 琴美 能町 しのぶ
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

妊娠初期における葉酸補充効果を検証するため、葉酸が添加されているガムを噛むことで、つわりの症状が改善するか否かを調査した。妊娠初期妊婦を対象に、葉酸添加あるいは非添加ガムを用い、ガム摂取前ならびに摂取後1週間と2週間につわり症状の改善度を自己評価した。その結果、つわり症状は葉酸添加ガム摂取により明らかに改善した。
著者
津田谷 公利
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

標準宇宙モデルとして知られているフリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空における非線形波動について考察する.フリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空の計量は一般相対性理論に登場するアインシュタイン方程式の厳密解の一つで,一様等方的な物質分布のもとで膨張または収縮する宇宙モデルを表す.本研究の目的は,解の爆発の条件,爆発解の存在時間の評価を明らかにし,さらに平坦な時空であるミンコフスキー空間の場合での既知の結果と比較することによって,宇宙膨張速度を表すスケール因子が非線形波動に及ぼす影響を解明することである.本年度もまず,非線形項が未知関数の冪乗であるタイプの波動方程式について研究を行った.昨年度得られた爆発条件は,減速膨張宇宙に対してであった.本年度は等速膨張あるいは加速膨張する場合について研究を行い,解の爆発および爆発解の存在時間の評価を示すことに成功した.1より大きい任意の冪乗で解の爆発が起こるという結果である.さらに,未知関数の偏導関数の冪乗タイプである方程式についても考察した.その結果,減速膨張,等速膨張,加速膨張に対して,いずれも解の爆発条件および爆発解の存在時間の評価を得ることができた.非線形項の偏導関数が時間変数についての場合と空間変数についての場合とで比較してみると,解の爆発条件および爆発解の存在時間の評価が異なり,興味深い結果が得られた.ミンコフスキー空間の場合と比べて解の爆発が起こりやすいということが明らかになった.
著者
小澤 弘明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、1920年代から1940年代のオーストリア亡命者たちの戦後構想と、新自由主義の主唱者と目されるハイエク、ミーゼス、ポパーらの思想の形成過程を、両者の共通項であるオーストリア・マルクス主義との対抗関係の下に把握する。それによって、社会民主主義と新自由主義の継承関係を明らかにし、新自由主義の起源についての議論に貢献することを目的とする。研究方法は主として文書館史料の並行分析という手法を利用し、社会国家の形成に関する社会的自由主義の思想・運動が、国家を通じた市場化を志向する新自由主義の思想・運動の両者が相補的であることを解明する。