著者
平地 健吾 大津 幸男 竹腰 見昭 小松 玄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ベルグマン核の不変式論を用いて領域の局所的不変量と大域的不変量を関係付けることを目標として研究を進め,次の二つの方向の成果を得た.1)グラウエルト柱状近傍領域でのベルグマン核とリーマン・ロッホの定理の関係.射影多様体上のアンプル線束Lのm冪の正則断面はmに応じて増加し,その次元はヒルベルト多項式と呼ばれるmの多項式P(m)で与えられる(これはLの大域的不変量である).この多項式をベルグマン核の漸近展開に含まれる局所不変量を用て表示した.ここでベルグマン核はLの双対束に含まれるグラウエルト柱状近傍領域の上で考える.この表示はラプラス変換を用いて具体的に与えられ,とくにベルグマン核の展開の係数とLの特性類の関係式を与える.この結果はベルグマン核と指数定理の関連を示唆している.2)ソボレフ・ベルグマン核の指数に関する解析接続.ベルグマン核の不変式論のソボレフ・ベルグマン核への一般化を行った.これにより,より多くの局所不変量を取り出すことが可能となる.まずソボレフ・ベルグマン核を大域的な双正則不変量となるように定義し,その漸近展開の局所不変量を用いた表示を与えた.さらにこの展開はソボレフ指数に関する解析接続が可能であることを示し,とくに展開の係数として現れる普遍定数がソボレフ指数に関する多項式になることを証明した.これは核関数の解析接続の具体的な計算を可能とする重要な事実である.
著者
戸谷 友則
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

すばる望遠鏡の新観測装置FMOSを用いた大規模な高赤方偏移銀河サーベイと、それによる宇宙論、特にダークエネルギーの研究をおこなった。二年間にわたる観測を成功裏に終え、数千の銀河による赤方偏移1を越える宇宙の大規模構造を世界で初めて描き出した。サーベイの概要やカタログなどに関する論文はすでに受理済みあるいは投稿中である。また、主目的である赤方偏移空間の歪みの解析から重力理論の宇宙論的スケールでの検証を行った解析もほぼまとまり、現在論文を準備中である。
著者
戸谷 友則
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

大規模銀河分光サーベイによる赤方偏移歪み測定は、宇宙物理的な系統誤差が少ないダークエネルギー問題へのアプローチとして世界的に期待されている。すばるの新観測装置FMOSは、直径30分角の領域で一度に400天体の近赤外スペクトルが取得できるという大変ユニークな装置である。日英のFMOSチームを中心に、このFMOSを用いた大規模銀河サーベイ(FastSound計画)が現在検討されている。すばる望遠鏡で40晩程度の観測時間を使い、30平方度の領域で1万もの銀河のスペクトルを取得し、これによりz>~1という最遠方の赤方偏移歪みを検出し、構造形成速度を測定することで宇宙論的スケールでの重力理論の検証を行う。いよいよ23年度から、このFastSound計画が本格的にスタートし、観測が開始されてデータも取得できた。本研究費は主に旅費として使用し、日英豪に分散する研究者の相互交流と準備研究の推進が行われた。最初の試験観測データを吟味し、サーベイデザインを最終的に確定した。初期データをさらに吟味して、輝線検出法の確定など、本格的な解析作業も始められた。すでに全体の1/4ほどのデータが取得され、パワースペクトルを計算するための準備も進めた。このFastSoundプロジェクトは、実現すれば初の日本主導の宇宙論目的大規模銀河分光サーベイとなる。それを通して経験蓄積や人材育成も目指し、さらなる次世代サーベイでも日本が大きな貢献ができるような形を目指していきたい。
著者
滝沢 元和 中澤 知洋 北山 哲
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

X線と電波観測により銀河団電波レリックでの粒子加速過程とその物理状態を解明し、理論モデルの構築を行った。特にtoothbrush電波レリックでの粒子加速過程が単純な衝撃波統計加速では説明のつかないことを明らかにした。ALMAを用いて5秒角というこれまでにない空間分解能のSZ効果観測をおこない、RX J1347.5-1145銀河団の超高温成分がX線ピークと異なる場所にあることを明確に示した。低周波電波での宇宙磁場研究についてPASJ誌の招待レビュー論文に対して、銀河団のパートなどに分担執筆者として貢献をした。
著者
井出 草平
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究目的は、40万人規模で日本に存在する「ひきこもり」という現象の原因理解とその支援・解決である。これまでの調査研究の中でひきこもり状態にある人にはいくつかのサブグループがあることを示してきた。中学・高校で陥ることり多い「拘束型」と、大学で陥ることの多い「開放型」があるとした。研究の1つとして大学でのひきこもりについて初めての量的調査を行った。大学の中学・高校の不登校既往はおおよそ7割が経験していない。これは、大学でひきこもり状態になっている者と中学・高校でひきこもり状態になっている者の質的な違いを示すデータだと考えている。また、この期間に厚生労働省でのひきこもり科研に参加し、新しい版のひきこもり対応ガイドラインづくりに関与してきた。現在までの研究結果を政策に反映することに成功した。家族とひきこもりの関係性について考察することを目標にし、経験者、支援者への調査を行った。この調査の結果、家族とひきこもりの関係性がより明らかになったと考えている。ひきこもりとは、社会的関係を持たないこと、家族以外の他者とコミュニケーションをしないことをいうが、ひきこもりの家族を調査した結果、本人がひきこもる以前に、家族がひきこもり状態にあることがわかった。加えて、そのような家族像は近代家族の報想像とされてきたことから、近代化とひきこもりの関係が示唆された。研究結果は牟田和恵編『家族を超える社会学』(新曜社)「ひきこもりと家族」にまとめた。
著者
井出 草平
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究目的は、日本に40万人規模で存在するとされているひきこもり現象の原因理解を行い、逸脱現象への理論的貢献をすることである。ひきこもりが社会問題化されて10年あまり経つが、ひきこもりの規定要因を研究する研究は未だに不十分である。特にひきこもりを対象とした量的研究は少なく、大学生のひきこもりを対象とした井出・水田・谷口(2011)など限られていた。本研究はでは対象を拡大し、一般人口を対象とした調査を行った。量的研究が不足している現在では、インプリケーションのある結果を引き出すことができた。調査結果の概要を記載する。ひきこもりと収入・暮らし向きといった経済状況は長期化し、親が退職するといった家庭では起こるが若年では関係は優位差がなかった。親との関係や優等生であるといった親子間の問題も見られなかった。一方で、不登校をはじめ小学校や中学校といった早い段階から孤立をすること、友人を持たないことがひきこもりにつながっていることが判明した。ひきこもりと不登校の関連はよく知られたことだが、孤立は不登校には関連が見られず、ひきこもりにのみ効果を持っていた。また、いじめ体験はひきこもりと弱いながらも関連性が見られるが、不登校とは関連がなかった。一方で、成績不振は不登校との関連が見られたが、ひきこもりとの関連が見られなかった。ひきこもり現象は家庭よりも学校における逸脱現象と関連しており、中でも不登校との関連は強いがあることが判明した。しかし、その他の逸脱項目との間では不登校とひきこもりの間には差異が見られ、学校における逸脱と雑駁に捕らえるのではなく、一つ一つの現象と関連を明らかにする必要があることが判明した。逸脱論、特に学校に関連した逸脱現象を理論化する上での基礎的な資料の収集ができた。
著者
高山 和喜 佐宗 章弘 姜 宗林 SISLIAN Jean
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

衝撃波の応用研究のハイライトは、衝撃圧縮を用いて通常の方法では不可能な高温を発生して、宇宙船の地球大気圏再突入を模擬できる状態をを発生することである。このとき生じる一万度を超える高温は宇宙船まわりにできる衝撃波背後の状態に相当し、空気中の酸素、窒素分子は解離し、解離してできた原子の一部は電離しこれを実在気体効果という。極超音速流れの実験的研究では、実在気体効果を再現して大気圏再突入の空気力学を実証することである。本研究は、トロント大学から移設した断面100mm×180mm衝撃波管の高圧部を化学量論比の酸水素混合気を満たし、その中で微小爆薬レーザー起爆してデトネーション波を発生して高温高圧気体を生成して入射衝撃波マッハ数20を達成して、ホログラフィー干渉計を用いて極超音速流れを定量的に観測する。得た結果を要約すれば:(1)無隔膜方式のデトネーション駆動衝撃波管を設計した。化学反応なしの状態で、無隔膜方式が非常によい衝撃波の再現性を示すことを明らかにした。また、数値解析的に、デトネーション波の衝突で急速開口弁が開口し衝撃波を駆動することを明らかにした。(2)微小爆薬のレーザー起爆でデトネーション波を発生する機構、DDTを実験的に検証した。また、デトネーション波の初生に及ぼす微小粒子の介在の効果を明らかにした。(3)二重露光有限干渉縞ホログラフィー干渉計法を用いた計測法を確立した。有限干渉縞をフーリエ縞解析して密度分布を定量的に計測するシステムを開発した。(4)研究の成果を、国際研究集会、第23回国際高速写真シンポジウム、第22回国際衝撃波シンポジウムで発表し、良い評価を得た。
著者
高山 扶美子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

ASD患児から単離したヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用い、①ASD患児から採取したSHEDより分化させた神経細胞の日内変動の解析を行う。②遺伝子発現の網羅的解析により、ASDにおける概日リズム破綻の原因遺伝子を同定する。③原因遺伝子のsiRNAや阻害剤によるノックダウンを行い、ASDにおける睡眠障害の原因遺伝子の機能解析を行う。④同定遺伝子の改変マウスを用いシナプス形態・機能および行動解析を行う。前述の結果により、新しい治療法や創薬開拓に繋がる基盤研究法を提供する。
著者
石田 健一郎 白鳥 峻志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

食作用(phagocytosis)は原核生物にはないとされてきたが、我々は近年、バクテリアなどを食作用のように細胞で包み込んで捕食する2つの原核生物を発見し、培養株(SRT547株およびSRT713株)の確立に成功した。本研究では、これら2つを含む近縁バクテリアの比較ゲノム解析から、この食作用に似た捕食に関連する遺伝子を推定するとともに、それら遺伝子の機能を解析し、原核生物で初めて発見された“食作用”のメカニズムとその進化を明らかにする。これにより、真核細胞の基本性質である食作用の起源の理解に示唆を与え、真核細胞の誕生やミトコンドリアと葉緑体の獲得を含む細胞進化の理解に繋がる新知見を提供する。
著者
田中 徹 福島 誉史 木野 久志 富田 浩史 清山 浩司 菅野 江里子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

網膜上の設置位置毎に機能最適化された複数個の三次元積層人工網膜チップをフレキシブル基板上に高密度集積し、広視野角の視覚再建を実現する眼球内完全埋植・低侵襲フレキシブル人工網膜を作製するための技術開発に成功した。人の網膜の持つ光電変換・視覚情報処理・神経活動電位発生の機能を全て実現する2層積層の三次元積層人工網膜チップを設計・試作し、動作させることに成功した。この三次元積層人工網膜チップを中心窩及びその周辺部に複数個配置することにより、40°以上の視野角を実現でき、患者は自身の角膜や水晶体、眼球運動を利用しながら文字や物体を高精度かつ低負担で認識することが可能になる。
著者
千葉 敏之
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究計画では、『悦楽の園』所収の挿絵を含む図版346点のうち、ダイアグラムを含む頁をリストアップし、関連する収録テクストとの対応関係を確認しつつ、ダイアグラムの構成や目的に応じた類型に分類し、基礎データとした。そのうえで、ホーエンブルク女子修道院とその文化圏における12世紀後半の蔵書状況を蔵書リストや書簡をもとに分析した。また、『花樹の書』などのダイアグラム入り詞華集だけでなく、キケロ著『スキピオの夢』を註解したマクロビウスの写本などの継続転写型の写本群の転写・蔵書状況を調べた。その結果、パリ大学を中継点とするダイアグラム写本の波及経路のうちアルザスに至るルートをほぼ確定することができた。
著者
高木 麻紀子
出版者
東京藝術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

報告者の最終目的は中世末期の世俗美術の展開の諸相の解明である。本研究では中世末期にストラスブールを中心とするアルザス地方で制作された世俗主題のタピスリーに注目し、その図像源泉と形成、伝播、機能を、作品分析を基盤としつつ受容の観点からも考察することを目的とした。まず作品群のカタログ作成を通じ、当時のアルザスのタピスリーで特に人気があり且つ重要視された主題が野人であったことが浮き彫りになった。さらに中世末期の世俗図像の展開という観点から考察した結果、15世紀以降の造形芸術における野人図像の変遷において、15世紀前半のストラスブールのタピスリーが重要な媒体となっていたことが具体的に明らかになった。
著者
坂本 真樹 服部 兼敏 大内 潤子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

人は,微妙な心身の状態を,「頭がズキズキ痛い」といったオノマトペ(擬音語や擬態語の総称)を使って表現することが多い.本研究では,医療従事者へのアンケートをもとに35尺度を評価尺度として選定し,オノマトペ表現を構成する各音が評価尺度に与える影響を定量化し,オノマトペによって表される心身の状態を形態と音韻の両面から定量的に推定するシステム開発した.また,評価尺度を多言語化することで,海外の病院で日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムを開発した.
著者
竹村 瑞穂
出版者
日本福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究のタイトルは、「遺伝子ドーピングに関する倫理学的研究:原理的研究から行動規範の策定まで」であり、競技スポーツ界における遺伝子ドーピングに関する応用倫理学的考察を主眼とした研究である。遺伝子ドーピングとは、「遺伝子操作技術を、健康なアスリートが、治療目的ではなくパフォーマンスの向上を意図して利用するドーピング」のことであり、とくに21世紀に入ると現実的な懸念の対象となってきた。科学技術の進歩に対して倫理学的研究が遅れている状況の中、遺伝子ドーピングに関する倫理学的諸問題を明確化し、対応策につながる見解を提示した。
著者
神尾 道也
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

1.クリガニン配偶行動の観察クリガニの配偶行動の全体を明らかにするために配偶行動を観察した。その結果、クリガニは脱皮の直後にしか交尾を行わないSoft Female Mating型の配偶行動、即ち交尾前ガード、メスの脱皮とそれに引き続く交尾を示した。飼育下では性比はオスの配偶行動に影響を与えなかった。また、複数のペアを一つの水槽で飼育すると一つのペアの脱皮直後のメスから放出された交尾行動刺激フェロモンが隣のペアのオスの交尾行動をひき起こすことが観察され、養殖環境下におけるフェロモン濃度の管理が正常な交尾行動を維持するために重要である事が明らかとなった。2.抱きつき行動刺激フェロモンメスの尿特異的に存在する化合物を2次元NMRを用いて検索したところ、コハク酸、トリメチルアミンオキシド、酢酸塩および尿素が検出された。これらの化合物の活性試験を行ったが個々の化合物および混合物は活性を示さなかった。LC-MSを用いて分析したところ、フォトダイオードアレイでは検出されなかったメス特異的成分が複数確認され、現在構造解析中である。3.電気生理学的フェロモン検出法の開発フェロモンは複数成分から構成されていると考えられるため、個々の成分を検出するためにフェロモン受容器からの電気生理学的応答を利用する方法を考案した。フェロモン受容器である第一触角の外肢の神経束からメス尿に対する応答が記録され、本法はフェロモン成分の検索に有効であると考えられる。
著者
小薮 大輔 飛龍 志津子 小林 耕太 東山 大毅 福井 大
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本年度はこれまでベトナムで収集したコウモリ類の胎子標本を発生ステージ表を参照してステージの同定を行った。また収集した標本はPFA固定、カルノア固定、エタノール固定をそれぞれ行った。それらをマイクロCTによる三次元的非破壊撮影を行ったのち、パラフィン包埋標本・凍結標本を順次作成し、アセチレッテドチューブリンを用いた神経系の免疫組織化学染色、ヘマトキシリン・エオシンを用いた筋系・硬骨・軟骨の組織染色を行った。また、Ptch1, Ihh, Runx2, Sox9, Aggrecan 各遺伝子のRNAプローブの作成を進め、その合成に成功した。予察的にこれらのRNAプローブによるin situ ハイブリダイゼーション実験を開始したが、高品質の染色結果を得ることに成功した。新年度以降は本格的にこれらを用いてコウモリ類における舌骨発生に関連する遺伝子の発現パターンの把握を目指す。また、野外においてコウモリ類の超音波発生および聴取の行動を三次元動画記録、音声ソノグラム記録を行い、コウモリ類のエコーロケーション行動の把握につとめた。さらに、野外で捕獲したコウモリ類の成体に対し、脳幹上丘に刺激用双極電極を挿入して刺激に対する超音波発声および耳舌骨を含む外耳の動きを計測した。刺激部位に逆行性神経トレーサ・フロオロゴールドを注入し、刺激量および刺激部位を変量として、外耳の動き、発声タイミング、発声の音響特性が脳幹上丘内でどのように表象されているかの把握を進めた。また本年度はタイ・プーケットで行われたコウモリ類国際研究会議に参加し、本課題に大きく関連した研究発表を行うとともに、各国研究者と討議を行った。
著者
高須 曜 廣田 誠
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

顎骨切除後の下顎骨は骨の形態が非対称であり、特に正中部は応力がかかりやすく、咬合負荷をする場合には骨の強度を考慮する必要がある。チタンインプラントは顎骨機能の回復に有用であるが、顎骨切除後症例では残存骨やインプラント周囲への負荷を考慮する必要がある。本研究では、骨再建用スキャホールドによる再建を念頭におき、咬合応力をどのように分布させることが最適であるかインプラントシミュレーションを実施して検討した。インプラントを作用点とした下顎応力解析ではそれぞれを結合させることで3点分布においても4点分布と同等の応力軽減を図ることが可能であり、その分布は切除部から離れた片側1点、反対側2点が最適であった。
著者
太田 紘也 喜多 紗斗美
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

マクロファージは一般的には炎症を誘導性と見做されるが、近年では抗炎症作用を示すマクロファージの存在が明らかになり、M2マクロファージと総称される。M2マクロファージは、がんやメタボリック症候群などの様々な病気の発症に関わることが明らかになり、マクロファージの分極化(M1/M2)を制御機構に関する研究が注目されている。本研究では、ミトコンドリアNa+/Ca2+交換輸送体(NCLX)がM2マクロファージで高発現することを踏まえ、ミトコンドリアのCa2+輸送体によるミトコンドリアのCa2+動態制御と、マクロファージの分極化および機能発現の関連性の解明を目指す。
著者
松浦 孝典
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

GBR(骨再生誘導法)を行なったインプラント周囲組織に対し炎症を惹起させると、使用した骨補填材によって炎症の影響に差があるか組織学的に評価することを目的として実験を行った。イヌ下顎骨顎堤に骨欠損を作製しインプラントを埋入、インプラント周囲の欠損部に自家骨、異種骨を補填し治癒後に実験的周囲炎を惹起させた。組織切片上で計測したBIC、新生骨面積、骨吸収面積などの各パラメーター間には統計学的に有意な差を認めなかった。本結果より、異なる骨移植材を用いたGBR後のインプラント周囲組織の炎症の影響には差がないことが示唆された。