著者
入江 喜一
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.575-583, 1960-08-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
31
被引用文献数
1

―ポリカーボネートおよびポリウレタンは, その電気的性能が優れている外, 機械的, 化学的な強さのため, 新しい合成樹脂として注目されてきたが, 最近国内においても工業的生産が始められてきた。この2つの合成樹脂の主原料であるボスゲンは, 当社により大正14年に国産化され各種の染料, 農薬, 医薬などの中間体としで生産されてきたが, 最近はポリウレタンの主成分であるポリイソシアナートの原料として大増産されつつある。本文は, このホスゲンの工業的製造法, 取扱上の注意, 回収, 精製方法について紹介するとともに, 最近脚光を浴びてきた一酸化炭素源についてホスゲン製造の立場より考察した。さらにホスゲンの利用工業について, 系統的に紹介, 説明した。
著者
堀 幸雄
出版者
自由社
雑誌
自由 (ISSN:04490401)
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.229-233, 1969-12
著者
平 静丸
出版者
日本共産党中央委員会
雑誌
前衛 (ISSN:13425013)
巻号頁・発行日
no.769, pp.169-179, 2003-11
著者
川崎 幸彦 細矢 光亮 片寄 雅彦 鈴木 仁
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.104-109, 1999-02-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
19
被引用文献数
4 12

近年, 麻疹やRSウイルス (RSV) 感染症に対するビタミンA補充療法 (本療法) の有効性が報告されているが, 本邦のようにビタミンA欠乏が問題にならない国における本療法の治療効果に関する報告は少ない.今回, 私達は, 基礎疾患を有さず栄養状態の良好な麻疹患児108例とRSV感染症患児95例を臨床症状の重症度により中等症と重症の2群に分類し, 各群についてビタミンA投与群と非投与群で, その主要臨床症状の持続期間, 入院期間, 合併症の有無を比較検討した.ビタミンAは入院第1, 第2の両病日に各々10万単位を経口投与した.麻疹患児群ではビタミンA投与群において重症度にかかわらず咳噺の持続期間が有意に短縮したが, 発熱期問や入院期問および合併症の出現率に有意差はみられなかった.RSV患児では重症度においてビタミンA投与により陥没呼吸や瑞鳴の出現期間が短縮した.すなわち, ビタミンA補充療法は本邦における麻疹やRSV感染症において, 特に重症例ではその臨床症状を改善するものと考えられた.
著者
大鷹 円美 菅原 正和 熊谷 賢 Ohtaka Marumi Sugawara Masakazu Kumagai Satoshi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.8, pp.119-129, 2009

近年,我が国においては少子化と核家族化が進み,急激に人間関係は希薄化している。物が溢れている反面,子どもたちの対人関係能力やソーシャルスキルを育むことが困難になっている。不登校,ひきこもり,いじめ等の増加に歯止めがかからず家庭の中でさえ個室化し,地域社会ではお互いを知らず孤独である。親の養育力の低下に伴い,養育態度は二極化して,放任又は過保護・過干渉といった養育態度が問題となっている。一般的に,子どもが生まれて初めてこの世で出会い強い杵を形成する相手は母親およびその家族であり,家族は子どもの社会化の最初の大切な担い手となる。子どもはそのプロセスの中でソーシャルスキルを獲得していくが,特に母親がどのような養育態度で育てるかは,スキル獲得に強い影響を及ぼす。 戸ケ崎ら(1997)は,母親の拒否的な養育態度は,子どものソーシャルスキルの獲得を低くすることを報告し,Hoffman(1963)は,罪や脅しを用いて社会的行動をとらせようとする養育態度は子どもに恐怖心や怒りを引き起こし,向社会的行動を育てないと報告している。生まれてまもない乳児の行動にも様々な特徴的個人差が見られ,またそれらは乳幼児期以降も一貫性を持つことが明らかにされている(三宅,1983;Rutter,1987こうした乳幼児期の個人的特性を,HtemperamentHという概念で捉え直し,子どもの環境-の適応や対人行動の発達,愛着形成,人格形成等との相互作用を追求する研究が盛んになってきている。Temperamentに関する研究において,Thomasとchessらは9年間にわたる縦断研究HNewYorkLongitudinalStudyHにより,多くの子どもたちが元来持っていた気質的特長は何年も変わらずに残っていると結論づけた。彼らは環境要因だけでは子どもの行動障害の発生を説明しきれないとして,個人差要因の可能性を示唆し9つの気質カテゴリーを見出した(Thomas&Chess,1986)。Cloninnger(1993)らは,1988年,自ら開発した自己記入式質問紙TridimensionalPersonalityQuestionnaire(TPQ)(Cloninger,1987)を更に発展させ,TemperamentandCharacter\Inventory・(TCI)を開発した。cloninrerの気質と性格の7次元モデルにおける気質とは遺伝性であり,主として幼児期に顕われ,認知記憶や習慣形成の際に本人の意思とは無関係に行動に影響を与えるとされている。母子関係においても母からの一方的な働きかけだけではなく子どもからの積極的働きかけが関係しており,母子の相互交流が形成されることが明らかになった。村井(2002)は,子どもの問題行動が(母親の現実的育児態度ではなく)「子どもからみた親の態度」と関係していることを指摘している。子どもの気質が母親の行動特性の変化と養育態度に及ぼす影響について森下(2006)は,男児と女児では母親に及ぼす影響が異なり,男児より女児の方が影響力が強いことを報告している。次に親の養育態度研究において看過できない要因の中に,ⅠnternalWorkingModel(以下IWM)がある。Bowlby(1969,1973,1980)によると,ⅠWは,乳幼児期,児童期および思春期という重要な発達過程において徐々に形成され,少なくとも15歳までは可塑性は継続し,その後生涯を通して比較的変化は少なく持続する傾向があると考えられている。数井・遠藤(2000)は,日本人母子を研究対象として,親の愛着が子の愛着にどのように影響を及ぼすかという注目すべき愛着の世代伝達を調べた。その結果,自立・安定型の母親の子どもは,不安定型の母親の子どもよりも愛着安定性が高いことと,相互作用や情動制御においてポジティブな傾向が高くなるという世代間伝達傾向の存在を報告している。金政(2007)は,青年期をむかえた子どもと母親双方の愛着スタイルを検討した結果,母親の愛着スタイル-母親の養育態度の認知-子どもによる母親の養育態度の認知-千どもの愛着スタイルというプロセスを辿って愛着の世代間伝達が起こり得るとしている。養育の送り手と受け手が変わったとしても,愛着スタイルと養育態度との関連性が変化することなく,つまり養育の受け手である子どもが,親となった際に,自身が親から受けた養育態度の認知によって形成された愛着スタイルが自身の子どもに対する養育態度に同様の形での愛着の伝達が継承されていくと報告している。 IWM のタイプについてはAinsworthら(1978,1991)により,乳幼児期の愛着パターンを安定型(secure),アンビバレント型(ambivalent),回避壁(avoidant)の3タイプに分類され,その後の対人関係のスタイルやパーソナリティの形成に影響していくと考えられている。Hazan,C.とshaver,p.(1987)は,現在の自己にあてはまる愛着の分類と想起した過去の愛着の質との関わりは,現在の対人関係スタイルや社会的適応性との関連性があることを指摘している。IWM とソーシャルスキルの研究において,相谷ら(2000)はsecure得点が高いものはソーシャルスキルが高くなり,ambivalent且つavoidant得点の高いものはソーシャルスキルが低くなると報告している。三浦(2003)は子どものIWM の安定性が学校適応に影響を及ぼし,また養育者からの暖かい指示(情緒的指示)を高く認知する子どもは社会的ルールを受け入れやすくなることから,IWM は学校適応にも影響を及ぼすとしている。ソーシャルスキルに影響を及ぼしていると思われる要因に養育態度がある。戸ケ崎(1997)の研究では,母親の養育態度一家庭におけるソーシャルスキル-学校における社会的ソーシャルスキル-クラス内地位というモデルが探索的に支持された。 かくして,気質・養育態度・IWM ・ソーシャルスキル等に関する研究は個々になされているが,気質・養育態度・IWM ・ソーシャルスキルの因果関係を総体的に明らかにした研究は皆無に等しい。そこで本研究は,中学生・大学生を調査対象に社会化の最小単位と考えられる母子関係に注目して,生得的であるといわれる気質に焦点をあて,「損害回避」と「中学生・大学生から見た二極化した極端な養育態度」「IWM」の構造を明らかにし,如何なる要因が「ソーシャルスキル」の低下に影響を与えるかを共分散構造分析のモデリングによって解明しようとする。
著者
井上 昌睦 石橋 佑斗 田島 拓弥
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.135, no.9, pp.603-606, 2015

1.はじめに 出力が1 MWを超える太陽光発電施設であるメガソーラーは,近年の再生可能エネルギーへの関心の高まりと,2012年に開始された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に
著者
渡邉 英徳
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6459号)
著者
中田 佳世 井岡 亜希子 宮代 勲 松浦 成昭
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.258-262, 2015 (Released:2015-10-21)
参考文献数
33

小児と成人のはざまにある思春期・若年成人のがん患者は,診療科が統一されておらず,その実態の把握が困難な状況にある.欧米では,この世代をAYA(adolescent and young adult)という一つの集団として捉え,同世代に発生するがんの特徴や問題点が明らかにされている.すなわち,罹患数が小児に比べ多い,疾患分布が他の世代とは異なる,治療成績の進歩が乏しい,就学や就職,高額の医療費負担など社会的な問題を抱えていることなどが指摘されている.我が国の人口動態統計(2011年)によると,AYA世代(15–29歳)の悪性新生物による死亡数は年間約700人で,自殺や不慮の事故に次ぐ死因となっている.しかし,AYA世代のがんに関する疫学データはきわめて少ない.一定の地域に発生した全がん患者を登録する地域がん登録は,その地域で新たに発生したがん患者数(罹患数)および罹患率を計測できる唯一のシステムである.大阪府がん登録資料によると,AYA世代のがんの罹患率は,人口100万対約159であった.また,部位別罹患割合をみると,白血病,リンパ腫,脳腫瘍などの小児に多いがんと,婦人科がんなどの成人でみられるがんが混在しており,さらに,急性リンパ性白血病や横紋筋肉腫においては,AYA世代の5年生存率が小児に比べて低いことがわかった.我が国のAYA世代のがんについての課題を明らかにするためには,この世代に注目した調査研究を進める必要がある.
著者
柴辻俊六編
出版者
新人物往来社
巻号頁・発行日
2008
著者
遠藤 毅 川島 眞一 川合 将文
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.74-87, 2001-06-10
参考文献数
28
被引用文献数
9 21

大正時代の中ごろから激しさを増した東京都東部に位置する下町低地の地盤沈下は,高潮被害の続出や湿地化による疫病罹災の増加等から昭和初期には社会問題に発展した.一方,当初,地殻変動に起因するとされていた沈下原因は,多くの原因模索の後,第二次世界大戦終期に地下水の揚水であることが実証され,昭和30年代半ばから地盤沈下抑止を目的に地下水の揚水規制が施されている.その結果,地盤沈下は昭和40年代後半から東京都全域にわたり減少する傾向を示し,昭和50年半ばから沈静状態にある.しかし,沈下開始から沈静化に至る約70年間,下町低地の歴史は相続く地盤沈下と洪水・高潮の被害への対応に終始したと言っても過言ではない.昭和初期における地盤沈下原因の模索,地下水揚水説の実証,その後の沈静化に至る一連の地盤沈下問題の整理・集約は,わが国の近代科学史,とくに,公害史のうえで有意義なことと考える.そこで,本論では下町低地を中心に,地盤沈下の推移について,その概要を述べる.

3 0 0 0 OA 店飾大観

著者
日本電報通信社 編
出版者
日本電報通信社
巻号頁・発行日
1938
著者
石榑 彩乃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.128, pp.49-52, 2007-12-20
参考文献数
4
被引用文献数
1

不完全データの解析手法の代表的なものとして EM アルゴリズムがある.本研究では, EM アルゴリズムの M ステップにおいて,最尤解が陽に求まらない分布の典型として混合コーシ分布を取りあげる.以前に提案した,中央値と四分位偏差でもって M ステップを擬似的最尤推定に置き換えた手法の有効性は,分布数3以下の場合には示されている.ここでは,さらに分布数が多い場合においてこのアルゴリズムの適用性を検証する.The EM algorithm is known as one of tools for the data analysis of incomplete data set. In this study we shall take up mixture Cauchy distribution as a typical model that is quite difficult to estimate the parameters on the maximization step (M-step) of the EM algorithm. We gave the modified EM algorithm for mixture Cauchy distribution, in which the maximum likelihood (ML) estimators of parameters for Cauchy distributions on the M-step are replaced by the median and quartiles. We have also seen that this method can be applicable to the case where the number of mixed distributions is smaller than or equal to three. Here as further study, we shall see the effectivity of our method in case of increasingly more mixed distributions.
著者
拓 徹
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.25, pp.83-105, 2013-12-15 (Released:2014-07-28)
参考文献数
26

本稿では、1982年にジャンムー・カシミール州(インド)の南カシミールで起きた禁酒運動の詳細を明らかにすると同時に、この事件をめぐる新聞報道の分析を通じて、インドの政治言説におけるセキュラーな主体の再考を試みる。 1982年3月に南カシミールの中心都市アナントナーグで分離主義団体ピープルズ・リーグが起こした禁酒運動は、カシミール地元のウルドゥー語紙では広範な町民の支持を得た市民運動と報道された。だが、この運動が攻撃対象とした数軒の酒屋の経営者がすべてマイノリティー(ヒンドゥー教徒)だったため、この運動はインド全国英字紙ではイスラム原理主義的で反ヒンドゥー的な事件と報道された。これらのカシミール地方紙、インド全国紙はいずれも自らの言説を「セキュラー」と見做したが、ともにマジョリタリアニズムを含み持っており、歴史的なセキュラー言説がしばしば持つ偏りを露呈するものだった。