著者
榎本 友理枝 高田 雅美 木目沢 司 城 和貴
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.14, pp.1-6, 2011-02-28

国立国会図書館では,所蔵する明治から大正期にかけての近代書籍を画像データとしてアーカイブ化し,Web 上で一般に公開している.このデジタルアーカイブをより簡便に利用できるよう,近代書籍画像の早急なテキスト化が望まれている.本稿では,SVM に基づく近代書籍に特化した多フォント漢字認識手法の有効性を実証する.出版社が異なる書籍から切り出した様々なフォントの漢字 256 種を用いて識別実験を行った結果,常に 92% 以上の識別率を得ることができた.従って,文字画像に対して PDC 特徴を抽出し,SVM で学習・識別を行うという提案手法が近代書籍で使用されている多フォント漢字認識に対して有効な手法であるといえる.The national diet library in Japan provides a web based digital archive for early-modern printed books by image. To make better use of the digital archive, the book images should be converted to text data. In this paper, we evaluate the SVM based multi-fonts Kanji character recognition method for early-modern Japanese printed books. Using several sets of Kanji characters clipped from different publishers' books, we obtain the recognition rate of more than 92% for 256 kinds of Kanji characters. It proves our recognition method, which uses the PDC feature of given Kanji character images for learning and recognizing with a SVM, is effective for the recognition of multi-fonts Kanji character for early-modern Japanese printed books.
著者
井東 廉介
出版者
石川県公立大学法人 石川県立大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-55, 1991

前報では,日本語と英語(欧州諸言語)の「格」表現形態が著しく異なることを挙げ,格概念は個別言語内の表現形態と直接結び付きながら抽象化されることを見た。日本語の「格」体系が欧州諸言語の文法を基盤として助詞体系に当て填めたものであることは,明治以来の「ハ・ガ論争」や三上章の日本語文法論の中などで再三言及されている。欧州諸言語の「格」概念は,格屈折語尾変化や語順のような,非語彙的な統語機能の体系から成り立っている。一方,日本語には欧州諸言語のような「格」表現の素材はない。日本語の格概念は,欧州諸言語の格に対応する日本語の言語素材から構成された。従って,膠着言語の日本語が主として特定の語彙範疇-格助詞-で表示している格体系と,屈折言語の欧州諸言語が主として屈折語尾や語順で表示している格体系とでは,極めて制約された統語機能面にしか共通点が現れないのは当然である。「格」の個別的認識もそれが包括する事象によって異なる。例えば「主格」は,英語では主語になる名詞句が取る格で,人称代名詞には特定の形態が与えられるが,日本語には,対応する形態は言うまでもなく,三・単・現の動詞形に影響を及ぼす機能を持つものも,述語部分と対応する必須要素としての役割を果たすものも存在しない。格助詞の機能意味に対応点を探って,「主題」を表示する「ハ」(「モ」)と「主語」を表示する「ガ」に共通点を見いだすのみである。ところが「ハ」(「モ」)は,名詞句以外の範疇にも付加されることから,格助詞の範疇に含めないことが多い。また,「ガ」も,情報構造上「ハ」と相補的分布を示すこと,母体文と埋め込み文で「ハ」と使い分けられることが多いこと,述語節点に対して姉妹関係というよりは被統率関係になることが多いことなどから,英語の「主語」には含まれない機能意味を多く持っている。N.Chomskyは,「格」を統語構造上の抽象的な関係概念として捉え,深層構造の支配関係から派生する方法を提案した。この方法では,個別言語の格表示は,それぞれの媒介変数を適用することによって,意味とは無関係に機械的に生成される。この方法は,日本語と西欧諸語のように格表示の言語素材に著しい相違がある場合でも,統語構造と形態を生成するには都合がいい。言語形態に伴う意味は,統語部門とは別の意味部門の意味解釈規則で扱われるので,別途考慮すればいいからである。しかし,それによって派生される文法格は,原理上,述語と述語項の意味論的関係を区別することができない。Fillmoreは,格表示形態と意味の捉え方の順序を逆転することによって,「意味」から文法格を生成する理論を提案した。述語と述語項との意味論的な役割関係を新たに「格」と定義し,その「格」の生起する環境から一定の統語構造上の法則性を体系化すことによって,「意味」と文法格を可視的に関連付ける理論を構築したのである。これは「格文法」理論と呼ばれているが,その「格」は,上述のように,伝統文法の「格」ともChomskyの「格」とも異質のものである。「格文法」理論の「格」は,述語と述語項との関係意味から抽出さた素性と名詞句から成る。この「格」のモテルは,日本語の格表示形態と酷似している上に,理論形式上格助詞が持つ統語機能を「格素性」として捉える可能性を示唆している。このことから,格文法理論は日本語の「格」関係の分析には格好の理論的基盤を提供してくれるものと期待された。本論では,格文法理論が日本語の「格」を説明するのにどれほど有効がという視点から,Fillmoreの"The Case for Case"を中心とした「格文法」理論を検討し,その問題点を探る。
著者
福尾 真実 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.34, pp.1-6, 2012-02-23

本研究では,近代デジタルライブラリーが所蔵する画像データから上手く文字を切り出す実際的手法の開発を行う.国立国会図書館では近代デジタルライブラリーとして,所蔵する書籍を Web 上で一般公開している.これらは,画像データとして公開されており,文書内容を用いた検索が行えないため,早急なテキスト化が求められている.そのため,近代書籍に特化した多フォント漢字認識手法が提案されている.しかし,ルビが振られた書籍からは上手く文字が切り出せず,認識ができない.そこで本稿では書籍の本文からルビを取り除く手法を開発する.In this research, we develop a practical technique to clip the kanji character well from the image data that the digital library from meiji era houses. The national diet library in Japan is opened to the public as the digital library from meiji era on the Web. There are shown as image data. Since it is impossible to perform full text search, it should be converted to text data. Therefore, it has been proposed the multi-fonts kanji character recognition method for early-modern Japanese printed books. Kanji characters with rubi occur that the kanji character clipping and recognition are badly constructed. In this paper, we propose a technique to remove the rubi from body of the book.
著者
深見 嘉明 小林 巌生 嘉村 哲郎 加藤 文彦 大向 一輝 武田 英明 高橋 徹 上田 洋
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-79, no.1, pp.1-8, 2011-01-14

Web of Data というコンセプトのもと,ウェブ上で計算機処理可能なデータを分散的に生成し,それを互いにリンクさせることにより,共有財としてのデータベース資源を確立するという試み,それが Linked Open Data である.その特質を活用し,これまで行政が単独で担ってきた情報収集,分析とそれを生かした政策実現,住民サービス実施を分担するという試みが始まっている.本論文では,住民コミュニティと行政の連携を通じたボトムアップ型オープンガバメントの試みについて紹介し,ウェブ標準技術が共有財の創出と受益者の拡大にどのように貢献できるかについて検討する.

3 0 0 0 OA 妙法蓮華経

巻号頁・発行日
vol.巻4 紙背,

3 0 0 0 OA 短信

出版者
国立国会図書館
雑誌
外国の立法 : 立法情報・翻訳・解説 (ISSN:13492071)
巻号頁・発行日
vol.(月刊版. 255-2), 2013-05
著者
黒沢 幸子 日高 潤子 張替 裕子 田島 佐登史 Sachiko Kurosawa Junko Hidaka Yuko Harigae Satoshi Tajima 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.4, pp.11-23, 2008

筆者らは心理学を専攻する大学生をボランティアとして,小・中学校へ派遣するシステムを構築した。この「メンタルサポート・ボランティア活動」システムは,子どもたちの心理的支援のためのボランティア活動と,それを支える大学での授業から成り立っている。本研究は,このシステムにおいてボランティア活動を体験した学生の変化・成長の様相を明らかにすることを目的とした。そのため,学生が活動を振り返って記述した感想と活動評価アンケートへの回答を対象として,KJ法による分類を行った。分析対象となった回答は,延べ179名分であった。分析の結果,学生の変化・成長は,「学生自身の人間的変化・成長」,「現場での実践から得た学び」,「授業から得た学び」の3つの大グループと,その他3つの中グループに分類された。この3つの大グループは,相互作用・相互促進していることが見出された。キャリア教育の視点から見た学生の変化・成長は,「自他の理解能力」,「コミュニケーション能力」の2つに集約された。また,本システムにおけるボランティア活動が学生の「人間関係形成能力」を育成している可能性が示唆された。
著者
Akihito Konishi Yasukazu Hirao Kouzou Matsumoto Hiroyuki Kurata Takashi Kubo
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
pp.130153, (Released:2013-05-18)
被引用文献数
52

The improved Scholl reaction allows for the direct cyclization of anthracene oligomers to give bisanthene, teranthene, and quarteranthene. Furthermore, a variety of π-expanded bisanthenes are obtained by the Diels–Alder cycloaddition of bisanthene with several arynes. These reactions would allow us to synthesize various size- and shape-controlled polyperiacenes.
著者
田尻 秀幸 白石 偉久 近江 雅人 春名 正光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.459, pp.7-12, 1996-01-18
参考文献数
13

我々は前回のOPE研究会で、低コヒーレンス光干渉に基づく新たな屈折率nと厚さt同時測定法を提案した。本測定法では、干渉計の参照光ミラーに加えて、測定サンプルまたは集光レンズをも微動ステージ上に搭載して走査する。本稿では、測定サンプル走査法によるn、t同時測定の基礎実験結果を示し、その測定精度について検討する。現状の測定系では、厚さ〜1mmの透明板においで測定精度≧0.3%が得られ、提案した測定法の有効性を実証した。また、0.1μm/ステップのステージを用いれば、サンプル厚≧100μmで測定精度0.1%が十分に期待できる。
著者
桐戸 創也 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.7, pp.1-6, 2011-03-19

インターネットの発達により,個人で簡単にインターネット放送を行える環境が整っている.個人でインターネット放送をしているとき,放送者が次に何を話せばいいか分からなくなるという問題が発生することがある.この問題は "ある話題の中で次に話す内容を忘れた","ある話題の終了後,次の話題が思い浮かばない","視聴者との話と関連した話題が思い浮かばない" の 3 つの場面に分けられる.本研究は,3 つの場面において,放送者が次に何を話せばいいのか分からなくなるという問題を解決することを目的とする.ここで,話題を収集し,各場面に応じて適切に選択および提示することで,放送者が放送を続けるための支援を行う手法を提案する.また,提案手法を実現したシステムである "言うストリーム" を実装し,提案システムを用いて実際にインターネット放送を行ったところ,提案システムが放送者を支援するユースケースを得た.これは,提案手法は放送者が放送を続けるための支援ができることを示唆している.It has been much easier to perform live streaming via the Internet. When some performers broadcast, it is occurred that the performers have no idea for what they should talk next. Such cases are classified into three: the performers forget a phrase which they want to talk next in a topic, the performers cannot remind a new topic after finishing a certain topic, and the performers cannot realize a topic that relates to some talk with audiences. IUstream is a personal live streaming support system which solves the problem by recommending proper topic to the performers in those cases, so that it supports them to keep talking in their video streaming. We found the cases that IUsream supports the performers in actual personal live streaming. This indicates that IUstream can supports performers to keep talking in their webcast.
著者
片岡 大右
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.3-12, 2002

Chateaubriand, dans le Genie du Christianisme, fait l'apologie du christianisme en raison de sa beaute: attitude bien comprehensible pour le mouvement de retour au catholicisme apres la Revolution, dans lequel le sensible a joue un role essentiel. Mais il ne s'arrete pas toujours a la celebration de la richesse sensorielle; ce qui est a remarquer non seulement dans le Genie mais aussi dans tous ses ouvrages, c'est plutot la disqualification du monde sensible. De ce point de vue, sa << theologie poetique >> apparait comme iconoclaste, moins conforme au luxe du rite catholique que, bizarrement, a la << religion sans culte >> du protestantisme. Cependant il est vain de tenter de lier Chateaubriand a telle ou telle Eglise: dans sa << poetique des ruines >>, le salut integral du monde par la religion n'est absolument pas desirable. Il faut que des felures restent toujours irreparables, au travers desquelles il cherchera, ainsi que son Rene, << un bien inconnu >>, qu'il soit religieux ou non : Pascal considere Jesus-Christ comme le reparateur de la nature, tandis que l'auteur du Genie n'apprecie le christianisme qu'en tant qu'il fait apparaitre les felures que souligne l'acte de reparation. R. Barthes remarque dans l'ecriture de Chateaubriand << une schizophrenic naissante >>, c'est-a-dire une perte legere de l'evidence naturelle face a la realite. Cette reduction annonce le commencement de la litterature moderne, mais elle ne se comprend que par rapport a la tradition du christianisme qui, dans le Genie, n'est plus qu'un simple dispositif ouvrant une voie vers l'inconnu.
著者
河野 昭一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.145-149, 1975-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1
著者
桜井 醇児
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.519-521, 1990

最近私はフランスに旅行し,フランスの電話を用いた通信情報網ミニテル(minitel)が家庭で使われている様子を見てきた。大変興味を覚えたのでこれについて報告しよう。情報網の役割りと使い方を考える上で参考にするところが多いと思う。
著者
伊藤 由美子 大橋 寛子
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.11-20, 2011-01

本学園服飾博物館所蔵品の中で,装飾に優れたオートクチュール仕立てのイブニングドレスを取り上げ,その詳細な記録を残すことを目的とした。方法は,作品の構造,縫製・装飾技法は写真撮影により情報を収集し,実測および立体裁断の手法を用いてパターンを採取,さらにトワルによる再現を行った。結果,構造は,上半身保形のため内側に脇身頃を除く前後身頃の其々ウエストまで5本の金属製ボーンが裏打ち布に留められていた。内ベルトは身頃と裏地との間にあった。縫製技法では,裾の始末に現在の技法との相違点がみられ,折り上げた縫い代の0.5cm奥を千鳥がけで留めていた。装飾は,図案の輪郭を1本糸の鎖縫いミシンで縫われ,大きさの違う5種のラインストーン,4種のパールを巧みに使い分けており,穂の部分は,白の綿糸で隙間なく糸を渡し,その上に長さ2mm弱の管状ビーズで刺繍されていた。パターンは,ウエストより下部に使用した布幅の分量をそのまま生かし,脇身頃に利用していた。今回は,パターン採取とそのフォルムの確認およびドレス構造と技法のみの調査結果に留まった。今後は,これらを踏まえて資料に近い布を使用した実物製作を通しての縫製技法を分析したいと考える。