著者
詫摩 武俊
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.237-240,254, 1968
被引用文献数
5

延べ組数にして543組のMZ, 134組のDZに集団式知能検査を実施した。<BR>どの知能検査の結果においても, またほとんどすべてのサブテストの結果においてもMZ間の相関はDZ間の相関より高く, 知能検査の成績を規定している機能に遺伝性が働いていることは疑い得ない。しかし, 遺伝性の強さは, サブテストの種類によって差があり, 一般に精神作用の速度をとくに必要とする問題, 言語記憶に関する問題, 計算に関する問題, 図形の空間的配置に関する問題では, 遺伝性係数が高く, これに対して過去の経験にてらして判断する問題では低かった。この資料は知能を構成する下位機能の特色について知る一つの手がかりであるが, このデーターの一義的な解決はまだ困難である。
著者
三浦 克洋 藤崎 優次郎 中島 靖之 村上 洋介 柏崎 守 後藤 信男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.399-409, 1981-06-25

1977年3月から4月に, 系統を維持しているマウスコロニーに呼吸器病が流行し, その臨床観察, 分離ウイルスの性状, 肺の病理組織学的変化, 細菌学的および血清疫学的調査からHVJの単独感染によることが明らかになった. 流行時, 多数の成熟マウスが発病・死亡し, 系統間に死亡率の差異が認められた. 実験室保存血清の抗体調査結果から, 当コロニーでは少なくとも1973年までさかぼのぼる限りHVJの汚染は起きていなかった. いっぽう, 別棟の購入マウスおよび今回の流行が起きた同一棟内のラットコロニーにおいては, すでにHVJによる汚染が生じていた. 流行マウスコロニーでは, 感染と同時に抗体が出現し生残マウスのほとんどは高い抗体価を示した. 流行終息後の1代産仔においては若齢時には抗体が検出されたが成熟時には検出されなかった. 1代産仔およびその後約2年間に生産された6-8世代のマウスには発病も抗体出現も全く認められなかった. このことから, 当コロニーでは流行時の発病マウスの淘汰, 約2か月間の繁殖停止および流行後の生残マウスの免疫獲得により, ウイルスの存続を防止できたものと考えられる. 謝辞: 本研究の遂行にあたって, 家畜衛生試験場国安主税博士, 今村憲吉技官, 日本医科大学鈴木博博士ならびに国立予防衛生研究所中川雅郎, 鈴木映子両博士に御協力いただいたのでここに深謝いたします.
著者
森田 達也 野末 よし子 宮下 光令 小野 宏志 藤島 百合子 白髭 豊 川越 正平
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.317-322, 2012 (Released:2012-04-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は, 在宅特化型診療所とドクターネットの両方が存在する1都市におけるがん患者の自宅死亡率の推移を明らかにすることを通じて, 在宅特化型診療所とドクターネットの地域緩和ケアにおける役割についての洞察を得ることである. 緩和ケアの地域介入研究が行われた1地域でがん患者の自宅死亡率を2007年から2010年まで取得した. 自宅死亡率は, 2007年の7.0%から2010年には13.0%に増加した. 自宅死亡総数に占める在宅特化型診療所の患者の割合は49%から70%に増加したが, 在宅特化型診療所以外の診療所が診療したがん患者の自宅死亡数も63名から77名と減少しなかった. 在宅特化型診療所と一般の診療所のドクターネットは排他的に機能するものではなく, 両方のシステムが地域に存在することにより自宅で過ごすがん患者の緩和ケアの向上に寄与する可能性が示唆された.
著者
上垣 拓郎 池上 裕 中西 一郎 小久保 一哉 露木 貴裕 中村 浩二 原田 智史
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学) = Department of Natural History Sciences (Geophysics), Graduate School of Science, Hokkaido University
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.379-382, 2009-03-15

The long-period strain seismograms from the Sumatra-Andaman earthquake of December 26, 2004 and the Nias earthquake of March 28, 2005 are analyzed by comparing the observed seismograms with synthetic seismograms calculated by normal mode theory. The multiple CMT source (Tsai et al., 2005) and Harvard CMT solution explain the seismograms recorded by both extensometers and volumetric strainmeters from the 2004 and 2005 earthquakes, respectively. The long-period strain seismograms observed in Japan are consistent with about 9 min source duration and 1200 km fault length proposed by Tsai et al. (2005) and Velasco et al. (2006).
著者
廣川 雄一
巻号頁・発行日
2005-03

Supervisor:松澤 照男
著者
花見 仁史
出版者
岩手大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

GRB970228をはじめとして、いくつかのバーストで、X線、光学、電波で残光現象が発見され、それが、矮小銀河の端に位置することも指摘された。ガンマ線バーストの先駆体は、寿命の短い大質量星などとすると、その形成地点は安定なディスク銀河中ではなく、不規則な矮小銀河の外縁にあることを意味し、銀河の星密度が濃い中心部ではなく、周辺で形成されることを意味し、そのような星形成がなぜ起きたかが問題になる。その銀河の形態とガスの状態とバースト源を生み出すはずの星形成との関係性をあきらかにすべく、銀河形成における星形成を視野に入れて、ダークハロー中で収縮するガスの分裂条件を調べた。角運動量を持っているガスが、収縮してディスクを形成し、あるものは分裂する。この分裂条件をシミュレーションと解析的手法を用いて、明らかにした。そのような知見をもとにすると、収縮率が大きく、角運動量による遠心力によって決まるディスクの半径がダークハロー半径の中に収まれば、分裂しやすいことが、明らかになった。これを、銀河形成の状況に当てはめると、ガス密度が高く、輻射冷却が効果的に聞く時機であるHigh-zで、分裂する条件が実現しやすいことが明らかになった。電波で観測されたこのバーストのシンチレーションの振舞は、相対論的膨張しているものから残光が放射されていると考えられるので、相対論的衝撃波説が強く指示される。しかしながら、このような相対論的衝撃波を形成するためには、火の玉と星間物質の互いのバリオン同士が充分相互作用する必要があり、銀河系内の宇宙線の拡散係数を用いると、衝撃波の厚みの目安になる1TeVの陽子の軌道変更距離が5pcにもなり、衝撃波は形成されない。ただし、比較的強い磁場10^4Gがあることにより、衝撃波の厚みを薄くすることができるが、星間物質にはこのような強い磁場は存在しない。したがって、バースト源からの放出体そのものが磁場を持っている必要がある。そこで、これらの困難を超えるものとして、我々は、 線バーストのモデルとして磁気波動砲を提出した。このモデルをさらに、回転の効果を入れた解析を行った。現在、この回転によるダイナモ効果を中心に、磁場の効果の研究を継続している。
著者
中西 僚太郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

明治期から昭和初期に作成された、厳島、和歌浦、天橋立、富士山、耶馬溪などの景勝地の鳥瞰図について、その現存状況を調査し、データベースを作成するとともに、作成主体、作成目的などの資料的検討を行った。それをふまえて、同地域の「案内記」や「写真帳」などの関連資料や、近世の絵画資料を参考にして、鳥瞰図に描かれた内容を分析し、表現された景観の特質を明らかにした。
著者
小針 誠
出版者
同志社女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本課題研究は、保守化・個人化する現代日本において、学校成員(教師や生徒・児童)の自己意識、国家意識(排他的なナショナリズムも含む)、その中間集団としての「社会」(家族・友人・学校・地域社会・教会など)に対する意識に関して理論的・実証的に明らかにし、子どもたちにおける社会的紐帯の復権を目指す臨床的なアプローチを試みた。
著者
パリハワダナ ルチラ 森 眞理子
出版者
京都大学国際交流センター
雑誌
京都大学国際交流センター 論攷 (ISSN:2185680X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.91-112, 2012-02

課題研究の実施有無を基準に全国における日本語・日本文化研修留学生に対するプログラム概要を分析し、課題研究を取り入れたカリキュラムの特徴を明らかにすることが本稿の目的である。 文部科学省刊行の全受け入れ校のプログラム概要が掲載されているコースガイドを研究資料としながら、受け入れ校の課題研究の実施実態と教育における位置づけ、課題研究遂行に必要な技能を補うための方策について分析した。その結果、カリキュラムにおける課題研究の設定の有無と受け入れ人数、想定学年、達成目標及びカリキュラム編成の仕方が深く関わっていることが明らかになった。日研生カリキュラムにおいて課題研究は、修了認定の基準としての役割そしてアカデミックスキル及び専門的素養を育成する方法としての役割を担っている。課題研究を取り入れたカリキュラムにおいては、課題の遂行を助長する日本語のアカデミックスキル及び研究能力を養う科目が開設されていることが顕著に多く、カリキュラムを特徴付けている。これらの科目は時間的・言語的制約を克服し、課題研究遂行を可能にしている。
著者
菱井 利祐 井原 惇行 徳永 京一 石原 博幸 岸田 俊二 永沼 誠昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性
巻号頁・発行日
vol.96, no.147, pp.19-24, 1996-07-12

4級塩アルミ電解コンデンサはその低インピーダンス・長寿命の特性から広範囲な分野で使われてきた。しかし、4級塩特有の液漏れメカニズムが存在することが明らかになり、各コンデンサメーカーでは様々な対策が講じられてきた。今回、各メーカーの対策品がほぼ出揃った段階となったため、各メーカーの製品について液漏れに対する信頼性評価、各種電気特性及びその経時安定性評価を行った。その結果、一部の製品に関しては良好な試験結果を得た。この結果から実使用状態における耐液漏れ寿命時間について考察し、少なくとも5.6×10^4Hの寿命が期待できるものと推定した。
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人環フォーラム (ISSN:13423622)
巻号頁・発行日
vol.30, 2012-03-24

<巻頭言>「総合人間」とは / 吉田忠
著者
池辺 浩子 宮内 新
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.121-122, 1993-09-27

物体の情報として表面の凹凸があるが,これは物体を認識するうえで大切な情報である.さいころは遠くから見ると立方体に見え,近くによるとその表面の凹情報を認知し,さいころであると認識できる.そこで,さいころを認識するのにそのデータを近似して,同じサイズの立方体を作り,元のデータと比較することによって元(さいころ)データの表面の凹部分を抽出し,さいころの目をよむ方法について検討したので報告する.本稿では,データの近似にウェーブレット変換を用いた.