著者
片岡 博美
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-25, 2004-03-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
6

近年の国際労働力移動を取り巻く変化の中,外国人労働者と彼らのエスニック・コミュニティ,エスニック・ビジネスは,積極的に評価される傾向にある.本研究では,受入先の地域社会におけるエスニック集団の主体的活動であるエスニック・ビジネスに注目し,静岡県浜松市のブラジル人を対象としたエスニック・ビジネス事業所でのアンケート調査及び聞き取り調査をもとに,その現況,地域的展開を分析し,それらビジネスがブラジル人や受入先の地域社会に対して果たす役割や意義を検討した.1990年の入管法改正以降の浜松市及び浜松都市圏内におけるブラジル人の増加に伴い,浜松市のエスニック・ビジネス事業所の多くはその商圏を拡大させ,近隣居住のブラジル人を対象とした小規模な「狭域エスニック型」とともに,市外の広域な地方のブラジル人を対象とした「広域エスニック型」,ブラジル人以外をも対象とした「外部市場進出型」事業所が増加した.2000年以降,ブラジル人を対象とした市場が飽和状態となり淘汰・転換期を迎えた浜松市のエスニック・ビジネスであるが,広域な地方をターゲットにした事業展開や外部市場への進出に活路を見出す事業所は依然増加傾向にあり,今後も継続的発展が予測される.浜松市におけるエスニック・ビジネスは,ブラジル人コミュニティの中心やブラジル人援助の中心,そして受入社会との接点としての役割も果たしており,「民族/生活様式」専門化地域として,交流・接触の場として,トランス・ナショナルな文化空間として,自助組織結成の布石として,地元の地域社会に貢献し得る可能性を持つ.
著者
濱田 由紀
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.215-224, 2015-12-16 (Released:2015-12-19)
参考文献数
13
被引用文献数
7 5

目的:精神障害をもつ人のリカバリーにおけるピアサポートの意味を明らかにすることである.方法: Denzinの解釈的相互作用論を理論的前提とする質的研究デザインである.精神疾患と診断され,電話相談によるピアサポートを行う人20名に,リカバリーにおけるピアサポートの経験について半構成的面接を行った.結果:リカバリーにおけるピアサポートの意味は,1. 他者との出会いによって固有の人生を生きること,2. 他者の幸せに自分を生かすこと,であった.〈他者との出会いによって固有の人生を生きること〉は,1)精神病による画一性からの解放と,2)固有の人生を模索すること,という様相から,〈他者の幸せに自分を生かすこと〉は,1)痛み・気遣い,2)ありのままを受け入れてもらう経験,3)つながり・連帯,4)他者に対する有責感,5)他者支援に自分を生かすこと,6)意味ある人間関係を本質とする仕事,という様相から捉えられた.考察:Lévinasの他者論から,これらの結果は,「他者」との出会いによる固有性の再獲得と,痛みをもつ他者に対する倫理的な応答としての主体性の確立と解釈された.
著者
桑原 昌則 古野 貴志 西村 拓哉 吉本 光広 北岡 裕章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1342-1348, 2021-12-15 (Released:2022-12-18)
参考文献数
18

症例は54歳男性.役場の職員で,右視床ラクナ梗塞,脂質異常症,高尿酸血症などで近医通院中であった.昼休み中に突然,胸痛を訴えて,その場に倒れこみ心肺停止状態となった.すぐに同僚の職員がAEDを使用し心肺蘇生に成功した. 当院へ救急搬送時は意識レベル清明,血圧144/100 mmHg,脈拍数103/分であり,心電図,心エコー検査等より,急性心筋梗塞と診断した.緊急冠動脈造影検査を行ったところ,左冠動脈前下行枝#6に99%狭窄を認め,引き続き同部位に対して経皮的冠動脈形成術を施行した.当院搬送後は,術中術後とも心室細動を起こすことなく経過し,10日間の入院期間中も,致死的不整脈は起こさず,後遺症なく独歩退院した.バイスタンダーの一般市民による迅速なAED使用により,後遺症なく救命できた症例を経験したので報告する.
著者
Yuta Sawada Toshitsugu Sato Ryosuke Fukushi Yoshihito Kohari Yuuki Takahashi Sayaka Tomii Lifeng Yang Takashi Yamagishi Hirofumi Arai
出版者
The Mycological Society of Japan
雑誌
Mycoscience (ISSN:13403540)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.156-165, 2023-11-20 (Released:2023-11-20)
参考文献数
41

Edible basidiomycetes are highly active in the oxidative decomposition and polymerisation of polyphenols, and soybeans contain large amounts of isoflavones, which are polyphenol glycosides. Isoflavone aglycones exhibit weak estrogenic activities. In this study, we investigated the isoflavone content, polyphenol production, antioxidant activity and ergothioneine (EGT) content of soybeans fermented by Pleurotus cornucopiae and Pleurotus ostreatus. Isoflavone glycosides, which were abundant in unfermented soybeans, decreased, and aglycones increased on day 10 of culture in both edible basidiomycete-fermented soybeans. The total maximum polyphenol content in soybeans fermented by both mushrooms were approximately 4 times higher on day 30 to 40 of culture, than that of unfermented soybeans. P. cornucopiae-fermented soybeans showed maximum antioxidant activity on day 20 of culture, and this was approximately 6.1 times higher than that of unfermented soybeans. EGT was not detected in unfermented soybeans, whereas both fermented soybeans showed a maximum EGT content on day 20 of culture, which was especially high in P. cornucopiae-fermented soybeans. The antioxidant activity and EGT of P. cornucopiae-fermented soybeans were higher than those of P. ostreatus, suggesting that EGT was responsible for the increase in the antioxidant activity of P. cornucopiae-fermented soybeans.
著者
Tie-Zhi Liu Li Liu Jing Wen Shu-Yan Liu
出版者
The Mycological Society of Japan
雑誌
Mycoscience (ISSN:13403540)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.150-155, 2023-10-27 (Released:2023-11-20)
参考文献数
26

A powdery mildew was found on Leontopodium leontopodioides (Asteraceae) in China. Phylogenetic analyses using a combination of internal transcribed spacer and 28S rDNA sequences showed that this species, which clusters as sister to Neoerysiphe joerstadii, is allied to N. galii, N. geranii, and N. nevoi. This species differs from the closely allied N. joerstadii in the number and size of asci (3-10 asci, 55-75 × 20-40 µm versus 16-32 asci, 40-60 × 20-30 µm). This species is morphologically very similar to N. gnaphalii, but clearly differs from this species in having larger chasmothecia and colorless appendages. Therefore, the powdery mildew on L. leontopodioides is described as N. leontopodii sp. nov.
著者
三輪 美樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

集合体恐怖症トライポフォビアとは、蓮の花托やフジツボ等小さな穴や隆起物の集合体に対して名状しがたい不快や嫌悪を抱く状態を指す。公式の恐怖症ではないが世間の関心は非常に高く、2013年に学術的探索が開始されて以来、加速度的に研究が推進されている。生命を脅かす危険生物や病気・病原体に対する生得的適応反応との説が有力であるが、それを裏付けるようなヒト以外の動物での研究はまだない。またトライポフォビアの特徴である「怖いもの見たさ」についても検討されていない。本研究は、トライポフォビアの機序解明のための非ヒト霊長類モデル作製とトライポフォビアの「怖いもの見たさ」立証を目的として実施する。
著者
中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.14-18, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
6

はじめに : 救急救命士による気管挿管は現場での実施頻度も少なく, 技術維持のため訓練が必要である。目的 : 救急救命士養成課程の学生が雪山において, 屋内の床上で習得した気管挿管と同様の基本手技を施行できるかを検証した。方法 : 日本体育大学救急医療学科2年生72名を対象に, 気道管理トレーナを用い, 雪上において(1)傷病者頭部谷側斜面(2)傷病者頭部山側斜面(3)傷病者立位(4)傷病者埋没の4想定で気管挿管基本手技訓練を行い, 屋内で実施した結果と比較した (対応のあるT検定・有意水準P<0.05) 。結果 : 胸骨圧迫の評価が雪山で有意に低かった。環境に関係なく目視で確認できる項目は雪山で有意に高得点であった。アクシデントは「滑落」「資器材の凍結」「歯牙損傷」が発生した。考察と結論 : 雪山での気管挿管は, 基本手技の習得が現場での応用を可能にしていると思われた。
著者
杉原 辰哉 山陸 孝之 山本 美幸 藤田 和絵 門永 陽子 芦田 泰之
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.349-357, 2023-07-25 (Released:2023-07-25)
参考文献数
9

心電図について講義を行った救急救命士および救急隊員に対しアンケート調査を実施し,救急現場における疑問点や需要を明らかにした。対象は島根県内の消防本部に所属する救急救命士62名,救急隊員20名。病院前12誘導心電図(PH-ECG)の現状と重要性,モニターおよび12誘導心電図の装着方法とコツ,頻出する心電図の判読,急性心筋梗塞の心電図判読,頻脈性不整脈の心電図判読について講義を実施した。アンケート内容については,上記講義内容の理解度についての回答とST変化の評価,脚ブロックとの鑑別,鏡面現象の理解について回答を設定した。職種別の認知度と理解度の違いは,全ての質問項目において救急隊員に比べ救急救命士が有意に高値であった。項目別の認知度の違いは,ST変化の評価に比べ,脚ブロックとの鑑別は有意に低値であった。救急救命士と救急隊員は共通してST変化の評価は理解できているが,脚ブロックとの鑑別における知識は不十分な傾向にあり,救急現場で誤った判読をしてしまう可能性もある。理解度が低かった項目に重点を置いて講義内容を作成し,理解を深め,救急救命士および救急隊員と病院間における報告や連携の質の向上に繋げていく。
著者
會澤 綾子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.174-179, 2021 (Released:2021-08-21)
参考文献数
7

In this study, corporate corruptions cases were collected and classified into 17 categories, and we found that the status of submission of third-party reports was focused on specific types of corruption. These specific corruptions have two characteristics: “organizational” and “low clarity of norm deviation conditions.” Thus, they may not be related to a particular person’s ethics or motives, and they are likely to become normal and continue if there is a structural equivalence network. When corruption occurs, the motive could be an issue, but the person involved may be doing it without any special motive. Although there are cases in which organizational wrongdoings focusing on organizational networks are proposed, the discussion is not sufficient, and it can be said that this is an important issue for which organizational factors should be clarified.
著者
鈴木 伸嘉 工 穣
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.126, no.6, pp.777-785, 2023-06-20 (Released:2023-07-01)
参考文献数
24

昨今, インフルエンザや COVID-19 などの感染症の流行予測に Social Networking Service (SNS) からのビッグデータを用いる手法が注目を集めている. 感染症の流行と同様に, 花粉の飛散はリアルタイムな気象条件や複雑な外的要因に左右され,それに伴う症状の出現も即時性が高い. そこで, SNS の一つである Twitter に投稿されている花粉症にまつわるツイートは花粉飛散数との関連があるのではないかと考えた. 2022年 2 月 3 日から 5 月22日の間に316,505ツイートを得ることができた. 東京都と松本市のスギ花粉およびヒノキ花粉の飛散数とツイート数との関連を検討したところ, 東京都のスギ花粉飛散数が増えるにつれ花粉症に関連したツイート数が増加し, 両者の相関関係は0.85と強い相関が認められた. 一方地方都市である松本市の花粉の飛散数とスギ花粉症に関連するツイート数との間にもかなりの相関があった. 次に, 花粉症に関連するツイートの内容について形態素解析を行った. 「くしゃみ」, 「鼻水」 といった単語が多く使われているのに対し 「鼻づまり」 の使用数が少ないことが特徴的であった. 一方, 「かゆみ」 や 「かゆい」 といった掻痒感を表す単語が多く使われていることが分かった. 代表的な SNS である Twitter を用いることで, 医学的な現象である花粉症のリアルタイムな動向を把握することができた.
著者
飯田 拓也
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

胎児や新生児の表皮細胞を使用しない、侵襲の少ない、簡便であるといった要件を満たした、臨床で施術可能な毛包再生のための培養毛乳頭細胞の移植法を動物モデルで確立した。また、毛乳頭細胞の毛包誘導を促進する培養法について、活性型ビタミンDを使用する方法を開発した。
著者
高田 靖司
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.40-53, 1979-06-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
3

長野県中央山地にある, カモシカ特別保護区と旧扉入山辺休猟区において主に調査をした。1975年8月下旬から1977年12月初旬までに得られた, 135個のツキノワグマの糞の内容と採食活動痕を分析し, 6月中旬から12月初旬までの食性を明らかにすることができた。ツキノワグマは雑食性であるが, 植物性食物に強く依存している。6月から7月には動物性食物が重要であるが, 8月から10月には動物性食物とともに植物性食物に強く依存するようになり, 11月から12月には一層植物性食物に強く依存する。動物性食物の大半は昆虫類で占められ, アリ類 (Formicidae) , 特にアカヤマアリの成虫が重要である。次いでハチ類 (VespidaeとApidae) の成虫がよく利用された。アリ類は全期間に出現し, 最も基本的な動物性食物である。ハチ類は9月~12月まで出現した。哺乳類では, ノウサギとニホンカモシカが食べられたが, 出現頻度は低い。植物性食物では, 液果・核果類と堅果類が重要である。液果・核果類は, 8月から12月初旬まで出現し, 10月中旬までは重要な地位を占めるが, それ以後その地位を失う。堅果類は9月下旬から12月初旬まで出現し, この時期のツキノワグマにとって最も重要な食物である。液果・核果類では, アケビ類, 次いでタラノキが, 堅果類ではミズナラが最もよく利用された。この3年間ではミズナラに隔年結果現象がみられ, 1976年秋は不作であったが, 1977年の秋は豊作であった。この現象はツキノワグマの食性に影響し, 1976年にはミズナラがほとんど利用されなかったが, 1977年にはよく利用された。ツキノワグマを保護するためには, ミズナラを初め, 多様な構成樹種をもった広葉樹林を維持する必要がある。
著者
宇野 芳史
出版者
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.184-192, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
33

急性咽頭炎,急性扁桃炎は日常診療において頻繁に遭遇する上気道疾患の一つである.「抗微生物薬適正使用の手引き」では,原因微生物としてウイルスが大半で,抗菌薬治療の適応となる細菌感染はA群β溶血性連鎖球菌のみが重要であり,A群β溶蓮菌迅速抗原検査または細菌培養検査でA群β溶蓮菌が検出されなかった症例に対しては抗菌薬投与による治療は不要としている.また投与する抗菌薬はAmoxicillinを中心としたペニシリン系抗菌薬が第一選択としている.しかし,実際の臨床の場においてはA群β溶蓮菌感染症であってもβラクタマーゼ産生菌との混合感染などによりペニシリン系抗菌薬での除菌失敗例,重症例でペニシリン系抗菌薬の投与で効果が期待できず,他の抗菌薬(ニューキノロン系抗菌薬,第3世代セフェム系抗菌薬等)の投与が必要と考えられる症例もある.他の耳鼻咽喉科感染症と同様,急性咽頭炎・急性扁桃炎においても重症度判定及びその重症度に従った抗菌薬の選択という考え方が重要である.また投与する抗菌薬はペニシリン系抗菌薬を第一選択としつつ,他の抗菌薬の選択も柔軟に考慮する必要がある.
著者
田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.166-168, 1985-05-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

年1化性のミノウスバは比較的低温適応性の昆虫で(田村・大内,1977),早いものは4月下旬頃より夏期休眠に入り(田村・小見山,1976),低温・短日下で休眠消去(ISHII et al., 1983)した蛹は日増しに気温が低下する10月下旬∼11月中旬の午前8∼10時に集中して羽化する。しかしながら,この時期の気温はほぼ昼間が15∼20°C,夜間が10∼15°Cであり,探雌のための雄成虫の飛しょう活動には15°C以上が必要なため,昼間活動性であることは本種の生存上きわめて有利であり,適応的であると考えられる。
著者
田中 勤 玉木 昌幸 田中 秀之 渡辺 徹 村上 宏 八幡 えり佳 田中 敏春
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.551-558, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
7

背景:心肺停止傷病者に対するアドレナリン投与は3〜5分間隔が推奨されているが,実際に病院前での投与間隔について調査検討した報告例は少ない。目的:新潟市の院外心肺停止傷病者に対するアドレナリン1筒目と2筒目の投与間隔が社会復帰に影響するか検討した。方法:新潟市消防局のウツタインデータを用い,2011〜2015年の院外心肺停止傷病者において心原性心停止でかつ病院前で2筒投与された傷病者を対象に初回投与時間の中央値と投与間隔5分未満群と5分以上群とに分け,社会復帰率,心拍再開率,短期生存率を解析した。 結果:対象の院外心肺停止傷病者は134例で5分未満群は37例,5分以上群は97例。社会復帰は各々7例と2例で5分未満群が多かった(p<0.05)。結語:投与間隔が5分未満である症例では社会復帰例が多く,適正な投与間隔でアドレナリン投与を行うことが院外心肺停止傷病者の社会復帰率改善に寄与する可能性がある。
著者
Hiroki Endo Takashi Umeno
出版者
Fuji Technology Press Ltd.
雑誌
Journal of Robotics and Mechatronics (ISSN:09153942)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.767-771, 2017-08-20 (Released:2018-11-20)
参考文献数
17
被引用文献数
5

This paper reported the tensile strength of the difference of modeling condition on the FDM (Fused Deposition Modeling) 3D printer. The FDM 3D printer is rapidly spread with the end of patent protection in 2009. The FDM models mainly use the prototyping part and art, because that models have low strength. This time we paid attention to that actual models weight is lighter than designing models weight to conduct study on strength. And we investigated the cause of the phenomenon of decrease of polymer extrusion by replacing with the injection molding method. The tensile test proved that the strength of model can be improved by the kind of extruder head. This paper reported influence of the cooling in the supply part of extruder head and temperature of the polymer on the strength of FDM 3D models.