著者
Masayuki Shimamura Takashi Kumaki Shun Hashimoto Kazuhiko Saeki Shin-ichi Ayabe Atsushi Higashitani Tomoyoshi Akashi Shusei Sato Toshio Aoki
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Soil Microbiology / Taiwan Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Plant Microbe Interactions / Japanese Society for Extremophiles
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.ME21094, 2022 (Released:2022-03-12)
参考文献数
50
被引用文献数
9

In legume–rhizobia symbiosis, partner recognition and the initiation of symbiosis processes require the mutual exchange of chemical signals. Chemicals, generally (iso)flavonoids, in the root exudates of the host plant induce the expression of nod genes in rhizobia, and, thus, are called nod gene inducers. The expression of nod genes leads to the production of lipochitooligosaccharides (LCOs) called Nod factors. Natural nod gene inducer(s) in Lotus japonicus–Mesorhizobium symbiosis remain unknown. Therefore, we developed an LCO detection method based on ultra-high-performance liquid chromatography–tandem-quadrupole mass spectrometry (UPLC-TQMS) to identify these inducers and used it herein to screen 40 phenolic compounds and aldonic acids for their ability to induce LCOs in Mesorhizobium japonicum MAFF303099. We identified five phenolic acids with LCO-inducing activities, including p-coumaric, caffeic, and ferulic acids. The induced LCOs caused root hair deformation, and nodule numbers in L. japonicus inoculated with M. japonicum were increased by these phenolic acids. The three phenolic acids listed above induced the expression of the nodA, nodB, and ttsI genes in a strain harboring a multicopy plasmid encoding NodD1, but not that encoding NodD2. The presence of p-coumaric and ferulic acids in the root exudates of L. japonicus was confirmed by UPLC-TQMS, and the induction of ttsI::lacZ in the strain harboring the nodD1 plasmid was detected in the rhizosphere of L. japonicus. Based on these results, we propose that phenolic acids are a novel type of nod gene inducer in L. japonicus–Mesorhizobium symbiosis.
著者
高山 裕行
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.70-75, 1985-12-10 (Released:2017-08-01)

太宰治「走れメロス」は、シラーの"Die Burgschaft"を下敷きとして書かれている。相馬正一氏をはじめ研究者諸氏がとり上げているその訳文は、木村謹治訳又は手塚富雄訳であるが、いずれも主人公は「ダーモン」である。では、太宰はどの翻訳を読んで作品化したのだろうか。それは小栗孝則訳「人質」(『新編シラー詩抄』所収)である。この訳文は主人公が「メロス」であり、本稿では小栗訳「人質」と「走れメロス」との関係を分析した。
著者
吉野 真弓 深谷 和子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.242-252, 2001-10-01 (Released:2017-11-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

The purpose of this study is to clarify the role of male teachers of home economics in the formation of students'gender consciousness. We distributed a questionnaire to a sample survey of 1216 high school students. The results were as follows : 1) Male students who were taught by male teachers liked the subject of home economics. 2) Students who had had experience of male home economics teachers had a lower gender bias in home economics education. 3) Students who were taught by male teachers had greater expectations of becoming a home economics teacher as a future career option.
著者
山中 晃 高橋 鮎子 平井 隆
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.81-84, 2002-01-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

画像所見で肋骨腫瘍が疑われ, 胸腔鏡下に肋骨切除を行った1例を経験した.症例は50歳女性で, 自覚症状はなく, 検診の胸部X線で異常影を指摘された.胸部CTで右第3後肋骨発生の骨軟骨腫が疑われ, 確定診断目的に胸腔鏡下手術が行われた.第6肋間から挿入した胸腔鏡で1.0cm大の白色の球状腫瘤が後胸壁から胸腔側に突出しているのが確認され, 第3肋間のポートから挿入した電気ドリルで肋骨切断線上に穴をあけ, 腫瘤を含む肋骨切除を行った.病理組織学的所見として, 肋骨皮質には変性や破壊はみられなかったが, 肋骨骨膜外に石灰化を伴う線維性結節が認められ, 後肋間リンパ節の炎症性瘢痕像と診断された.術後特記すべき合併症はなく, 術後6カ月後異常はみられない.小切開による切除が困難な一部の領域の肋骨に対して胸腔鏡による胸腔内操作のみの切除術は可能であり, 侵襲も少なく有用な方法と考えられた.
著者
佐々木 勉
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.167-198, 2021-07-21 (Released:2021-12-10)
参考文献数
68

現代の情報通信経済は、GAFAやBATHといったオンライン・プラットフォームにより牽引されている。そうしたオンライン・プラットフォームについて政府がどのように関与していくかは、長年の課題だった。2020年12月、欧州連合は、電気通信分野における支配的事業者規制を範としたデジタル市場法案を発表した。本稿は、欧州連合のアプローチを取り上げ、米国のアプローチを補足する。まず欧州連合のデジタル市場法案に至る背景として、これまでの競争法に基づく反トラスト調査の経緯、そしてオンライン・プラットフォーム市場で起きている問題点、さらにオンライン・プラットフォーム市場の経済的特性を整理する。そして同法案の内容について、支配的事業者に相当する「ゲートキーパー」とは何か、どのような基準で選定し、どのように規制するか、またその規制のためにどのような執行ツールを設けているのか、そして義務等の不履行に対してどのような罰則を科すのかを探る。欧州連合のデジタル市場法案発表から半年たった2021年6月、米国も下院司法委員会の議論を踏まえ、議員立法によるオンライン・プラットフォーム規制5法案が発表された。欧州連合の法案の特徴を明確化するため、本稿後半では、米国の法案を取り上げて対比させる。欧州連合でも米国でも、まだ法案段階である。すなわち、今回取り上げる法律内容は最終的な条文ではない。しかし、本稿は、こうしたオンライン・プラットフォーム分野における新しい規制アプローチが提案され、新たな時代に踏み込もうとしている現状を明らかにすることで、我が国の政策作り、研究あるいは企業戦略に資すことを目指す。
著者
中山 舞祐 森本 康彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44092, (Released:2020-09-17)
参考文献数
5

協働的に開発作業を行うプログラミングスタイルの一つにペアプログラミングがある.しかしながら,小学校プログラミング教育において,児童がペアプログラミングの仕組みを理解して取り組むことは難しいと考えられる.そこで,本研究では,ペアプログラミングを取り入れた小学校プログラミング教育の実施方法を提案することを目的に,児童がペアプログラミングに取り組む際のルールを定め,それに則り実践を行った.児童への提案方法の効果を聞く質問紙調査の結果,児童は,ペアプログラミングにおける役割を意識し,ねばり強く,2人で教え合いながら取り組めることが明らかになった.
著者
網谷 祐一
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.35-48, 2015-07-31 (Released:2015-11-08)
参考文献数
17

In Realism and Naturalizing Knowledge (Keisho Shobo, 2013), Ryo Uehara carefully formulates the homeostatic property cluster theory of natural kinds and expands it by applying this framework to artifacts and knowledge and thereby drawing them in the naturalistic picture of the world. This is a substantial addition to the development of naturalistic philosophy in Japan. In this essay I shall make general comments on his account of natural kinds in the following respects: Uehara's distinction between real and nominal kinds, his objection to the species-as-individual thesis, the relative lack of attention to the distinction between the realism of natural kinds and the scientific realism, and finally, races as possible natural kinds.
著者
山田 健二 須藤 明治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.905-909, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
23
被引用文献数
1

〔目的〕本研究の目的は,足把持トレーニングの足関節周囲筋の筋活動量について明らかにすることとした.〔対象および方法〕健康な大学生14名を対象とした.足把持力の計測は,足指筋力測定器を用いて任意の片足とした.最大把持時および足把持トレーニング動作における前脛骨筋,腓腹筋外側頭,母趾外転筋,短趾屈筋の筋活動量を計測した.〔結果〕足把持力と筋活動量との関係において,前脛骨筋,母趾外転筋,短趾屈筋との間に正の相関関係が認められた.また, タオルギャザー時の筋活動量が高い値を示した.〔結語〕足把持力のトレーニングには, 足関節周囲筋が使われる運動が有効であると考えられた.
著者
辻本 直秀 阿部 浩明 大鹿糠 徹 神 将文
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11443, (Released:2018-10-04)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【目的】拡散テンソル画像所見で皮質脊髄路(以下,CST)が描出されず,一方で皮質網様体路(以下,CRT)の残存が確認された脳卒中重度片麻痺者の歩行再建に向けた理学療法経過について報告する。【対象】動静脈奇形破裂による脳出血発症から約1 ヵ月後に当院へ入院された10 歳代後半の男性であった。麻痺側立脚相における下肢支持性はきわめて乏しく歩行に全介助を要した。【方法】CST の損傷程度から運動機能の予後は不良であると予測されたが,CRT が残存しており,麻痺側下肢近位筋の回復を予測し,歩行再建できる可能性が高いと判断し,長下肢装具を使用した2 動作前型歩行練習を積極的に試みた。【結果】発症から約4 ヵ月後,遠位筋の回復は不良であったが近位筋優位の運動機能の回復が得られ歩行能力が改善した。【結論】重度片麻痺者の歩行練習に際し,CST の損傷の評価のみならずCRT の損傷も評価することでより効果的な治療が提供できる可能性がある。
著者
新井田 清信 高澤 栄一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S167-S184, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
52
被引用文献数
1 5

幌満かんらん岩体は,日高山脈の南端部に露出する8×10kmの大きな岩体で,新鮮なかんらん岩からなる造山帯レルゾライト岩体として良く知られている.岩体内部には顕著な層状構造が認められ,ダナイト・ハルツバージャイト・スピネルレルゾライト・斜長石レルゾライト・輝岩および少量の苦鉄質岩からなる.岩体は,これら全ての岩石タイプが成層して層厚3,000mに達する複合岩体を構成し,全体的に滑らかに湾曲したスラブ状の形態を示す.ここでは,幌満かんらん岩体の層状構造に焦点をあてて全ての岩石タイプとその産状を観察し,上部マントルでつくられた層状構造の起源を考察する.
著者
関口 武
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.11-22, 1964-02-29 (Released:2009-11-12)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
尾川 満宏
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.251-271, 2011-06-10 (Released:2014-06-03)
参考文献数
18
被引用文献数
2

本稿は,ある高卒就職者たちの〈語り〉をもとに,地方の若者による労働世界の再構築過程を,ローカルな社会状況と彼らの労働経験との相互作用として考察した。 従来,調査協力者の「地元」における男性労働は建設業・製造業を中心とし,なかでも建設業は職人世界を形成してきた。調査協力者は不明確な進路意識のもとで高校を卒業し,建設現場で接した「職人天下の物語」や「ボス」をもとに彼らの《職人》像を構成し,職業人としてのアイデンティティを構築しようとした。 しかし,地元建設業を囲繞する環境は近年厳しさを増し,零細企業から仕事を奪っている。そうした地元建設業界の構造を理解するなかで,調査協力者たちは《職人》の物語に「終わり」を悟っていった。その後,彼らは工場労働に生活安定の場を求めてゆくが,学歴や年齢で序列化され,高度に分業化された工場労働のシステムは,目指すべき明確な労働者像を彼らに与えない。ところが彼らは,工場労働を《職人》世界の基準を用いて語ることで異化=再構築し,再び職業人としてのアイデンティティを語る文脈を自ら用意していたのである。 地域的な労働世界を再生産する文化のダイナミクスは地方にいまなお残存している。地方の若者が抱えるローカルな課題へ注目することは,もっぱら大都市のフリーター・無業者問題を論じてきた「学校から職業への移行」研究に,新たな地平をひらくと思われる。
著者
筒井 智樹 為栗 健 井口 正人
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.71-81, 2021-06-30 (Released:2021-07-27)
参考文献数
24

A seismic reflector at 13.6 km beneath western Aira Caldera, northmost part of Kagoshima Bay, Kyushu, Japan is discussed through later phase analysis of controlled source seismograms obtained in the experiment in 2008. A prominent seismic later phase appears at 8.3 s in travel time on the seismograms in northeastern Sakurajima Volcano for ray paths across western Aira Caldera in the seismic experiment in 2008. Back-azimuth of the later phase orientates center of western Aira Caldera and apparent velocity of 3.7 km/s is measured in the seismic array at northern Sakurajima Volcano. The later phase is inferred as P-SV converted reflection at 13.6 km depth from its travel time and a corresponding reflector located in the east off Osakigahana point, western part of Aira Caldera. Negative impedance contrast at the reflector is inferred from negative polarity of the onset of the later phase. Some clear later phases after S arrival, which appears in seismograms of natural earthquakes through trans-caldera ray paths, can be explained as SS reflection at the reflector. The reflector inferred as top surface of a possible magma reservoir of Aira Caldera, from its negative polarity and its location at depth of the west of known pressure source from preceding geodetic surveys.
著者
齋藤 玲子
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.663-670, 2012 (Released:2012-09-06)
参考文献数
37
被引用文献数
1

インフルエンザは冬期に流行する急性ウイルス性疾患である. 日本では5種類の薬剤が使用可能である. M2阻害剤のアマンタジンはA型インフルエンザのみに効果を示し, 耐性が出現しやすいことで知られる. ノイラミニダーゼ阻害剤はA型, B型インフルエンザに有効である. 本邦ではオセルタミビル, ザナミビル, ペラミビル, ラニナミビルの4剤が使用可能である. ペラミビル, ラニナミビルは新規薬剤でほぼ日本のみで使われている. 数年前にオセルタミビル耐性A/H1N1 (季節性) が流行したが, 新型インフルエンザA/H1N1 pdm09の出現により駆逐され, 現在インフルエンザはNA阻害剤の4剤すべてに感受性である. 一般的に耐性インフルエンザ株が検出されても, 健常人であればそれ自体で重症化したり経過が遷延するものではなく, 通常のインフルエンザと同様に治癒していく.本稿では, 日本で使用される抗インフルエンザ剤の種類と特徴, 薬剤耐性の機序について述べる.
著者
近藤 武 矢崎 武 奥寺 元
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.45-51, 1973 (Released:2010-10-27)
参考文献数
9
被引用文献数
2

日本の代表的産地の緑茶について, その浸出液中フッ素濃度を測定した結果, 一般的に高級茶 (玉露) に高濃度のフッ素を認め, さらに1回目の浸出で比較的多量のフッ素が浸出され2回目以後は少ない傾向がみられた。これらはお茶のおいしさを決める一つの科学的方法となるかもしれない。日本人のお茶からの平均的フッ素摂取量は0.48~0.97mg/日と計算され, 1日の食品よりのフッ素摂取の主要な部分を占るものと考えられた。成人男子について飲用実験を行つたところ, 緑茶浸出液中のフッ素の吸収はNaF溶液にくらべ遅れるが, 排泄は比較的速かに行なわれる傾向が認められ, NaFと緑茶中のフッ素との代謝のちがいを思わせた。また, この実験中, 尿中に排泄されるフッ素量について検討したところ, 尿中フッ素濃度 (ppm) は採尿量, 採尿時間により変動が大きいために, 尿中フッ素の測定と評価は一定時間内の蓄尿中のフッ素量 (μg) をもつて行なわれるべきものと考えられた。
著者
大橋 恵 山口 勧
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.71-81, 2005 (Released:2005-08-26)
参考文献数
30

日本人には自分を「ふつう」よりも「ふつう」であると知覚する傾向がある(Ohashi & Yamaguchi, 2004)。このように自分の「ふつうさ」を過大視することから,日本では人を形容する言葉としての「ふつう」に望ましい意味が付与されていると考えられる。本研究は,「ふつうであること」は好意及び望ましい特性と結びついてとらえられているという仮説を立てた。大学生150名及び社会人61名にある一定の条件にあった人物を想起させ,その印象を測定する方法で,「ふつうの人」は,「ふつうではない人」よりも好かれていると知覚されていることを示した。さらに,「ふつうの人」の印象は「良い意味でふつうの人」の印象に近く,「ふつうではない人」の印象は「悪い意味でふつうではない人」に近いか(大学生)「良い意味でふつうではない人」よりも悪かった(社会人)。固有文化心理学の立場から理論的な考察を行った。
著者
水野 勲
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100264, 2014 (Released:2014-03-31)

福島第一原発という名前が、もしも別の名前(たとえば、双葉大熊原発)であったなら、福島県の農産物の風評被害を避けられたのに、というコメントを、発表者は福島県での調査の際に何度か聞いた。そもそも風評被害とは何であり、それは地名とどのように関わるのだろうか。 地名は単に、特定の土地に付けた名前であるだけではなく、集合や関係についての論理階型(logical type)の問題を含む。そこで発表者は、集合論のアプローチにより、原発事故後に「福島」という地名が、さまざまな地理的スケールで、どのような区別と「空間の政治」を含んでいたかを考察したい。2011年3月の福島第一原発事故の前には、「福島」は福島県か福島市としか関係がなかった。しかし、原発事故後、県と市と事故原発が同じ名前をもった、自己言及性の集合関係におかれた。このため、「I love you & I need you ふくしま」という応援ソングが、原発事故から1ヵ月後に猪苗代湖ズ(福島県出身のミュージシャンの即席グループ)によって歌われたのである。ここで福島県という行政領域が、原発事故をめぐる言説の特権的な地理的スケールになったことに注目したい。福島ナンバーの自動車、福島県産の農産物、福島県出身者が、何のコミュニケーションもなく区別されたからである。これは、放射能汚染地=福島県という単純化(区別)を行うことにより、さまざまな空間政治的な効果をもった。東京オリンピックの招致では、福島は東京から遠いという言説が用いられたのは、その区別の一例であろう。 しかし、別の地理的スケールによって、問題の地平を提示することができる。福島県内のスケールでは、福島第一原発の事故によって避難を余儀なくされている「警戒区域(後に避難準備区域)」、あるいは原発事故によって避難している住民および役場の場所を、「福島」と呼ぶこともできる。また広域ブロックのスケールでは、放射線管理区域の指標である年間1mシーベルトの空間放射線量の地域(東北、関東の一部)あるいは福島第一原発から電力を供給されていた関東地方を、「福島」と呼ぶことができる。そして、国家スケールでは、福島から自主避難している住民の居住地(全国都道府県に分散)あるいは全国の原発施設のある地域を、「福島」と呼んでもいいのではないか。さらに、グローバルスケールでは、諸外国が日本からの農産物輸入を禁じている都道府県(東日本に広がる)あるいは原発事故の放射性物質が大量に撒き散らされた太平洋地域を、「福島」と呼ぶべきではないか。「福島」という地名を、県という地理的スケールに閉じ込めて議論することは、きわめて恣意的な「空間の政治」であると考える。
著者
黒田 潤一郎 吉村 寿紘 川幡 穂高 Francisco J. Jimenez-Espejo Stefano Lugli Vinicio Manzi Marco Roveri
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.181-200, 2014-06-15 (Released:2014-11-12)
参考文献数
86
被引用文献数
1

地中海は中新世の末期(5.97~5.33 Ma)に膨大な量の蒸発岩が形成されるイベントを経験した.これはメッシニアン期塩分危機と呼ばれる.これらの蒸発岩は十分に塩水が存在する状況で析出したのか,深海盆までが干上がったのか,未だ議論に決着がついていない.本論では,1)シチリア島の天日塩田で見られる蒸発鉱物(石膏・岩塩)の形成プロセスとその堆積構造と形成環境の関連を紹介し,2)シチリア島のメッシニアン期蒸発岩で提唱された塩分危機のシナリオを解説する.シチリア島のメッシニアン期蒸発岩類は浅海堆積相で晶出した初生的下部石膏ユニット,深海盆でこれが再堆積した砕屑性下部石膏ユニット,深海堆積相の厚い岩塩層,深海堆積相でこれらを覆う上部石膏ユニットに大別される.これらの蒸発岩類は5.33 Maに突如終焉し,広く鮮新世の半遠洋性石灰質堆積物に覆われる.